TnTさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

TnT

TnT

映画(684)
ドラマ(5)
アニメ(0)

客間におけるオールドミス(1900年製作の映画)

3.3

 東京都写真美術館「TOPコレクション 何が見える?『覗き見る』まなざしの系譜」にて上映されていたエジソン社の作品の一つ。今回壁にプロジェクターで映し出されていたが、巨大だとなんでも動きに迫力がある、>>続きを読む

ねこぢる草(2000年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

 「ねこぢる」はアニメをyoutubeで見たことあるぐらいで(昔グロアニメとか検索していた誰しもが通る時期に)、漫画は読めてない。しかし、可愛らしいフォルムとデカすぎる一切のハイライトもない瞳が印象的>>続きを読む

夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 死ぬ前にこんな夏の思い出を思い出せたらどれだけいいだろうか。というか、このまえ観た「君たちはどう生きるか」もそうだけど、夏特有のノスタルジーをどちらも抱えた映画であったなぁ。蝉の声、高まる気温、滴る>>続きを読む

チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

 アメリカはロサンゼルス、干上がるような砂漠の上に成り立つ街、それを潤す水を制するものがこの世界を握る。覇権を握る巨悪の世界に、そんなこととは露知らず、どんどん足を踏み入れる主人公。作中例にも出た禁酒>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(2008年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 インディ登場シーン。
帽子が落ちる→俯瞰で倒れるインディ→帽子を拾いあげ、後ろの車にインディの影が帽子をかぶるのが映る→車の中の男の怒号で一旦イメージが阻害される→カメラがパンするとインディ後ろ姿か
>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

見てない人へ

 宮崎駿の今までの諸要素を感じつつも、良い意味で肩の力の抜けた作風で、タイトルから感じた説教臭さのあるものでは微塵もなかった(そうした不安で二の足を踏まずぜひ見て欲しい!)。こちらが宮
>>続きを読む

白い巨塔(1966年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 山崎豊子原作小説の映画化作品。フィクションながらにその細部の真実味に凄みがある。冒頭でタイトルクレジットと共に見せつけられる開腹手術のシーンは、実際の手術である。その強烈さを人間の”腹黒さ”が上回る>>続きを読む

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

 「Film recognizes neither time nor space, only the limits of man’s imagination(映画が認識しするのは時間でも空間でもなく、>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

 「スター・ウォーズ」、「ブレードランナー」と続編に駆り出され続きのハリソン・フォードも御年80歳、ついに「インディ・ジョーンズ」を締めくくるに至る。マジにお疲れ様感と、上映前の予告編でトム・クルーズ>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 若いインディをリバー・フェニックスがやって、そんなインディの父親はショーン・コネリーがやるという豪華さ。そして今までの作品以上にすべてを外さない手堅さ。2作目のぶっとび具合は流石に無いけれど、これに>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 子供向けで、ナンセンスでグロテスクでエンタメというマキシマリズムで出来上がった二作目。これらを一つに纏めた怪作はまたと無いのでは?実は一作目の前日譚らしいが、それらしい素ぶりや伏線は特に無し。

 
>>続きを読む

レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 自分は、ミーハー父の映画王道英才教育を幼少期に受け、アート系が好きと言いつつも未だスピルバーグには抗えない。久方ぶりに見てちょっとした幻滅もあったりする。というか、殆ど子供向けだったんだなぁと。そこ>>続きを読む

ボクサー(1977年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 「健さーん愛してる、おしっこくさい場末の、深夜映画館…」
という寺山作詞の曲を思い出すかのような体験でした。神保町シアターにて「にっぽんのアツい男たち特集」なるものがあって、今作もそのうちの一つ。足
>>続きを読む

M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

 アルトマンによるコンプラ真反対映画。乗り気だったのに全然のれず…。マッチョなノリが正当なものとして描いているのか、それとも批判の矛先なのか掴めず。またシーンもやや散漫。オーディオコメンタリーで監督自>>続きを読む

砂の女(1964年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

 安部公房×勅使河原宏×武満徹という黄金比でお送りする不条理世界。この暑い日にわざわざ冷房も切って臨んだ。びっくりするぐらいの閉塞感と暑さや質感への苛立ちで途中は息苦しかったが、恐ろしいことに、ラスト>>続きを読む

大脱走(1963年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 「アラビアのロレンス」でロレンスが死ぬこととなったあのバイクは、一年後公開の今作において、またも逃避と挫折の象徴となる。「イージー★ライダー」もその一例であったりと、以降もこのバイクというモチーフは>>続きを読む

ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 人間が生まれ持った性(ジェンダー)から逃れられないことを、マールタほど淡々と描ける者もいない。まさに宿命としてあるがごとく。彼女が描いてきたモチーフは今作において、時代を変えても存在することを裏付け>>続きを読む

スクラッチー(2016年製作の映画)

3.9

 「バンビ、ゴジラに会う」以降、マーヴ・ニューランドは教育テレビやMTVなどでアニメーションを制作してたそうで、調べるとサイケデリックでカートゥーン的なアニメをバンバンに作っていた。

 今作もMV的
>>続きを読む

バンビ、ゴジラに会う(1969年製作の映画)

-

 「A Day in the Life」のデデーンを使って、バンビとゴジラも登場、色んな作品をパッチワーク的に紡ぎ生み出されるのは、くだらないアニメーション笑。悪魔合体。同年にまさにモンティパイソンが>>続きを読む

ドント・クライ プリティ・ガールズ!(1970年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 主人公のユリを演じるのは「闇のバイブル/聖少女の詩」での小悪魔感全開で魅せたヤルカ・シャレロヴァ。今作でも同様に男たちをたぶらかすが、そこにあるのは小悪魔とかではない、見えないミステリアスさだ。>>続きを読む

かたつむり(1966年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 後に「ファンタスティック・プラネット」を作るルネ・ラルーの初期作品。でかい人とかカタツムリとか巨大なもの恐怖症なのかな?

プロットの脱線がおもろい。植物が育たなくて泣いたらその涙で育つので無理やり
>>続きを読む

堅々獄夫婦庭訓(1965年製作の映画)

3.6

 ブリジット・バルトー、アラン・ドロン?!が出るカチカチ山の物語。というわけわからなさと横尾忠則の謎世界を垣間見る。彼のアニメーションは同時期に2,3本撮られたのみで貴重だ。その世界観はハリウッド映画>>続きを読む

ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 「母たちに捧ぐ」で始まり、「ハッピーバースデー!」で締めくくられる。
母へのイニシエーション。処女喪失におけるトラウマ的な経験と快楽の共存を、崖からの落下と宙を浮くような恍惚として、そして風で散る葉
>>続きを読む

コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 タジキスタン内戦が起こる最中で撮られたロマンス。どのシーンにも銃声が響き渡るが、人間ドラマは妨げられることはない。そんなもので妨げられてたまるかと言わんばかりに、今度は夜空をきらめく銃弾を花火かのよ>>続きを読む

アラビアのロレンス/完全版(1988年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

 マッチ擦るつかのま"砂漠に砂嵐"身捨つるほどの祖国はありや

 完全版227分の長さを持ってしてしか、この複雑さを語れはしないのだろう。ロレンスのウィットに富んで軽妙な素振りは、マッチの火を吹き消し
>>続きを読む

マリとユリ(1977年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 マリが揺れる、良心と非行の間で。ユリに惹かれ、挑発される。人間なんて、優しさなんてラララ〜(吉田拓郎ボイス)。

 ほんとは見ない予定だったけど、前作「ナイン・マンス」のユリを演じたリリ・モノリをも
>>続きを読む

アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 モノクロが景色の寂寥感を増す。「ナイン・マンス」と色々対になって見れて、ある意味ではポジネガのネガとして位置付けられると思う。

 木を削る加工業務と、その削りカスの粉塵が白い靄となる画面は、空疎さ
>>続きを読む

ナイン・マンス(1976年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 好きも嫌いも不可解も混じる人物像の愛おしさと哀愁。今作を見て、どちらが悪いかというのを断罪するのは早急だし狭量だ。ありえないアプローチで迫る上司のヤーノシュ、それを拒むも最終的に惹かれるユリ。後に工>>続きを読む

SPACY(1981年製作の映画)

4.0

 体育館に宿る霊感。ドラッギーの中でもバッドトリップの類。

 以前松本俊夫の「アートマン」と同時上映されており見たことがあった。その時、音量ミスなのかと思える程爆音で今作を鑑賞した。ほんとに吐きそう
>>続きを読む

アートマン(1975年製作の映画)

4.1

 視覚暴力映像としてトニー・コンラッドの「The Flicker」に近い点滅現象があるが、こちらには対象がある。被写体があることで我々の目はそこに集中するにも関わらず、その暴力表現を掻い潜らなければ鑑>>続きを読む

モナ・リザ(1973年製作の映画)

3.5

 モナ・リザをコンピューターでもって遊び倒す。イメージはもはや、アンディ・ウォーホル以上に弄れる。その後、松本俊夫が「アンディ・ウォーホル=複々製」という作品をのちに作るのも頷ける。絵画への挑戦。ノー>>続きを読む

ホワイトホール(1979年製作の映画)

3.4

 デスクトップに今なら映し出されていそうなコンピューターグラフィックスによる実験映像。松本俊夫のフィルモグラフィ的に見れば、「アートマン」あたりで実験映像からアングラ的要素が分離したように思える。アン>>続きを読む

ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 ハードボイルド、群像劇、そして今作はサイコスリラー、アルトマンの幅に驚く。もはやあらすじを綴ることすら不可能で、通説しか存在できない。まさに”イメージズ”、イメージの束だけがここにあり、それらは全く>>続きを読む

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 猫の餌を買うために夜中に買い物して、でもいつもの猫缶は無くて別のを持って帰ってくると、なんの気無しに猫はそれを拒否する(この可愛げあるやり取り見て、ずっと見てられる映画だと確信する)。そしてその猫は>>続きを読む

よく見れば星(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 黒沢清に絶賛されたらしい作品。そりゃそうだと言わんばかりに緊張感の持続に満ちた作品だった。それは結局最後解決されることもなく、消化不良にも感じた。フィクションなら、映画なら、一個逸脱してしまってもい>>続きを読む

間諜最後の日(1936年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 サスペンス、ラブロマンス、そして戦争という名のアクションが絡み合う、第一次世界大戦を舞台に繰り広げられるスパイの攻防。 

 冒頭からうさんくさい死が提示される。
片腕の無い召使いは、葬儀を終え皆が
>>続きを読む