TnTさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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フリッカー(1965年製作の映画)

3.5

 今作は警告文(ここだけ伴奏も映画風してるのだが)、タイトルクレジット、そして白と黒のフレームが点滅する本編だけしか存在しない。そのフリッカーの内にあるはずもない形の変化を見て、色の変化を感じた今、「>>続きを読む

Kustom Kar Kommandos(原題)(1965年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

 ケネス・アンガー追悼。あの禍々しいアングラ世界に思い馳せ...。

 「スコピオ・ライジング」に次ぐマシーンフェチ、今作はバイクではなく車に。男性の同性愛者のフェチの対象としてのマシーン、いやそもそ
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書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

 一番血を沸かせる映画。劇場で見るべき作品。

 劇場で味わう大音量の音楽と目も眩む映像の数々に、映画で感じる最大限の血の湧き様を味わった。バイブル、原点としていつも心にあれ。ただイメージの洪水すぎて
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二頭女-映画の影(1977年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 影の一人歩き。影は別人のごとく動くし、または壁に焼き付いている。トリック的だが、それだけでないリリシズムがある。寺山作品は見世物という点でメリエスに近いが、トリックだけに止まらないところが良い。高松>>続きを読む

書見機(1977年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 本の虫の寺山修司らしい作品。いつも思うが自伝的なものも別に自己満足的という風には見えない。他の作家がよくする自己弁護的な要素が少ないのと、所詮は本の虫らしい引用の賜物として出来上がった世界だからか、>>続きを読む

蝶服記(1974年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

 観客は映画内の退廃の夢を見るのか、そして実行できるのか。

 スクリーン内とは別に観客と思わしき影がちょうど鑑賞している我々サイズで映し出される(これも劇場だからこその効果)。次第にその影はただ彷徨
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ジャンケン戦争(1971年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「あれ、俺らじゃんけんしてただけだよな?」
「どこで道を間違ったんだ…」
という声が聞こえてきそうな作品。

 地獄じゃんけん戦争開催である。じゃんけんで勝った者が相手に何してもいいみたいなルールだけ
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トマトケチャップ皇帝(1971年製作の映画)

4.3

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 もし子供が戦争を始めたら。大人と子供の違い、そこに浮かび上がる戦争の本質。例えるなら、血はトマトケチャップに置き換え不可能なのに、それを無理矢理置き換えたような話。見せつけられるのはそのズレに起きる>>続きを読む

檻囚(1962年製作の映画)

3.5

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 寺山初の映像作品。粗々しいし、カットごとの繋がりも殆どない。状況演劇を記録した風で、ディープウェブにでもありそうな代物。世界観自体は確立されているのでどんなに点でバラバラでも、あるアングラ世界のファ>>続きを読む

さらば箱舟(1982年製作の映画)

4.9

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 「100年経ったらこの意味わかる!」。...2082年まで生きて見返したい。

 ガルシア・マルケス「100年の孤独」原作。そして寺山修司遺作。この目一杯のノスタルジアに触れ、あぁ、寺山はほんとにル
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リンカーン(2012年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

 DVDで日本向けに監督直々挨拶あって驚き!これはやはり本国アメリカにこそ響く内容なんだろうなぁと思った(南北戦争って奴隷制の有無で始まったのか、知らなかった!)。重厚だが、社会派すぎてかなり眠くなる>>続きを読む

Dizzy Dishes(原題)(1955年製作の映画)

3.5

 アニメ「リトル・オードリー」の一編。オードリーの声優はベティ・ブープの声を務めたメイ・ケステル(今作のタイトルはベティ・ブープ作品にもある)。赤毛の女の子のおてんば劇。”Saucer”はティーカップ>>続きを読む

マダム・トゥトリ・プトリ(2007年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 小、中学生ぐらいのころ、youtubeが普及してからグロいアニメーションがよくおすすめに出てきたことがあった。「クレイアニメ グロ」とかほんと検索しては誤爆してトラウマになったりした。今作もその一つ>>続きを読む

パッション(1982年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 冒頭の青空を追う作品だったのかもしれない。それは二度と訪れないが、それとは別の雪の残る白い世界にて、今作は幕切れする。

 2回目の鑑賞だったので人物とか内容とかわかったけど、後期のゴダールの物語の
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迷惑帽子/これらのいやな帽子(1909年製作の映画)

3.5

https://twitter.com/jfjrjmsjlg/status/1656531769863340037?s=46&t=qaJWOhD0EPa77U1K0GtGmg
 この動画見てグリフィス
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1PM-ワン・アメリカン・ムービー(1971年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

 そういえばカンヌにて公開されるゴダール未完成の作品の予告編が上がっていた。映し出されるのは生前”脚本”と言っていたものだが、画像や写真、ドローイングなどで構成されているのがわかる(https://t>>続きを読む

カメラマンの復讐(1912年製作の映画)

4.1

 カメラが生まれた世界でもはや安寧の地はない。例えそれは虫の不倫であっても。

 こちらの虫は、ちゃんと虫で裏側とかは気持ち悪いと思ったりしたが、意思を感じると可愛く見えるものである。元祖バグズライフ
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困った一夜(1896年製作の映画)

3.4

 寝る前に虫を目撃すると自分のテリトリーを侵された気になって気持ち悪くて眠れなくなる。夜は見たくない作品。虫がまた絶妙にキモい、デカい。映画として何を題材にしようとなったときに人間の根源的不安要素に手>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 ダンジョンズ&ドラゴンズというアメリカ発祥のテーブルトークRPGの映画化。今まで三部作として映画化されてるが評価を見る限りなかなかのクソ映画らしい。今作はそんな作品にリブートとして恐れ多くも果敢に立>>続きを読む

悪魔の館(1896年製作の映画)

3.4

怪奇の走り。こういったモチーフが、最近見てる初期カートゥーンの世界観に繋がっているのかも。館だと思ったら後半めっちゃ晴れて外みたいになる。ポンと出てくるメリエス印のあの編集、めっちゃ上手くいってるやつ>>続きを読む

雪合戦(1896年製作の映画)

3.5

 誰が誰に投げてるんだ!いや当てればそれでいい、それが雪合戦。途中くる自転車の男は集中砲火されて来た道を戻る。目的の方向を諦めるほどの集中砲火というのも笑えるが、ここにはリュミエールおなじみの画角内に>>続きを読む

カラビニエ(1963年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

 戦争という状況に、一切の葛藤もなく染め上げられる人物像は不気味。そうした存在になればなるほど戦争というシステムの理不尽さといとも簡単になびく人間の愚かさが浮かび上がる。鈴木史さん、池田百花さん、上條>>続きを読む

ニューヨーク23番通りで何が起こったか(1901年製作の映画)

3.4

 23 skidooってバンドがいて、バンド名がスラングと知り、その由来を辿ってたらニューヨークの23番街説があって、建物の関係で変な風が起きて女性はよくスカートがめくれて、去ることを余儀なくされると>>続きを読む

ロベール・ウーダン劇場における婦人の雲隠れ(1896年製作の映画)

3.3

 メリエスの手品映画。これ当時どれぐらいの信ぴょう性があったのだろう。リュミエールに衝撃を受け、その驚き、映画のエモーションの部分を彼は別の形で表現していく。

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 「ジュラシック・パーク」と製作時期が被っているその作風の対比を見たくて、久々に鑑賞。やっぱりところどころ本当にキツくて泣いたりした。にしてもなぜこの両極端の横断をスムーズに行えてしまうのだろうか。映>>続きを読む

Snow-White(原題)(1933年製作の映画)

4.8

 ベティシリーズで一番好きだけど、単にこれはキャブ・キャロウェイのSt. James Infirmary Bluesが良すぎるだけかもな(この歌もこのアニメバージョンが一番響く)。ナンセンスだが白雪姫>>続きを読む

Minnie the Moocher(原題)(1932年製作の映画)

4.5

 最高!フライシャー作品は怪奇表現に容赦ない。同時期のミッキーマウス作品と比べると断然こっちの方が好き。
 
 キャブ・キャロウェイの歌を知るきっかけにもなった作品。今作で知ったからか、なんだかんだM
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The Haunted House(原題)(1929年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

 似た題材で同時代のアニメーターたちと比較できそうなので、ハウンテッド・ハウスもの比較の場としてレビューする。

「The Haunted House」(1929)ウォルト・ディズニー
「Swing
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Betty Boop, M.D.(原題)(1932年製作の映画)

4.4

 狂いすぎ注意。ベティ・ブープシリーズはやっぱ狂おしいほど好き。ノリと笑いと変化自在な体と歌と、キュートなキャラクター。ディズニーはクラシカルアニメ感があるけど、フライシャーの手がけたアニメは俗っぽさ>>続きを読む

Bimbo's Initiation(原題)(1931年製作の映画)

4.4

 冒頭のビンボー誘拐の高らかな歌が良いが、組織が何故ビンボーに執着するかは全く無説明笑。
We are the members of do it or die♪
「するか死ぬか」メンバーというネーミン
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インク壺の外へ(1919年製作の映画)

3.7

 これがアニメの初期衝動だと思うと、発明した人類がイかれてる笑。なんでカートゥーンってこんなぶっ飛んでるのか。しかも、初ロトスコープ作品だ。そして実写と絵の融合が見受けられる。道化師のココは監督のデイ>>続きを読む

ジグザグ(1996年製作の映画)

3.5

 たった45秒の作品なのにいつも入れる10カウント入ってくるから本編爆速笑。普通の景色に見えて変なやつ何人か紛れてるけど早すぎて何も掴みとれないままに終わる。ファーストカットとラストカット、シチュエー>>続きを読む

ジャバウォッキー(1971年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

 次から次へと見たことないイメージすぎて、鑑賞後眠りに落ちる(知恵熱?)。無いものを現出させるその創造性が羨ましい。

 筋は無いが、掲げられた肖像写真が”父”の存在で、監禁されてるかのような閉塞感が
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絵画の主題(1989年製作の映画)

3.7

 描かれた人物がいろんな絵画世界を縦断する。マネ、マティス、キリコ、ベラスケス、フェルメール、ホッパー、もっと見たい題材ばかり。絵の世界に入り込みたいという欲求を叶えさせてくれると共に、彼らの影響をシ>>続きを読む

フーガ(1999年製作の映画)

4.1

 フーガ、「曲の途中から、前に出た主題や旋律が次々と追いかけるように出る曲。遁走(とんそう)曲」(Oxford Languages引用)という意味だそうで、今作はそれをアニメーションによって表現したも>>続きを読む

M・アーウィンとJ・C・ライスの接吻(1896年製作の映画)

3.4

 情感たっぷりな表情となにかを囁き合う二人、そしてキス。サイレントを利用したもどかしさ、彼らの囁きは彼らだけのものなんだなぁとしみじみ。どうやら劇のワンシーンらしいが、その情報無しに見るとカメラ前でも>>続きを読む