てつじさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ボーン・アルティメイタム(2007年製作の映画)

4.0

裏の裏を読む逃避行からの大胆な潜入、攻防一体となった接近戦。僅か数秒の心理戦に幾重にも張り巡らす罠。頭脳戦のスピーディな展開に一瞬たりとも目が離せない。アクションが極限に加速し、凄まじいまでのカット数>>続きを読む

十手舞(1986年製作の映画)

3.4

石原真理子の新体操リボンと竹中直人ブルース・リー対決、夏木マリの前衛舞踏と唯一正当な渡瀬恒彦の殺陣。五社英雄監督の十手舞への言葉「華麗にして凄艶、ビビットでシリアス。なンといっても正調時代劇の枠だけは>>続きを読む

モア(1969年製作の映画)

3.5

ピンク・フロイドの幻想的な音楽が、ドラッグとSEXに溺れる退廃的な若者の姿と見事に同化する。ミムジー・ファーマーの代表作、残酷な堕天使っぷりが見事だった。あんな目でジッと見られたら一緒に奈落の底まで堕>>続きを読む

渚の果てにこの愛を(1969年製作の映画)

3.7

名作『スペンサーの山』で鮮烈デビューしたミムジー・ファーマーの揚々たる未来に何があったのかは知らないが、欧州に活躍の場を移しB級映画のヒロインとして数本の作品を残している、本作はその中の1本。既に忘却>>続きを読む

二郎は鮨の夢を見る(2011年製作の映画)

3.6

予約一年待ち、寿司店の頂点に立つ"すきやばし次郎"の店主小野二郎のプロフェッショナルな職人技。その妥協なき仕事を更に極めんとするあくなき挑戦者の情熱。弟子たちが愚直に積み上げる下積み修行10年の重さ。>>続きを読む

大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス(1967年製作の映画)

4.0

大映スコープの横長な画角を活かしたガメラとギャオスの対峙、贅沢なミニチュアセットを広大に組み立て、引きの画を可能にした巨大な大映スタジオの美術に今更ながら感動し身震いした。昭和ガメラシリーズの最高傑作>>続きを読む

野獣を消せ(1969年製作の映画)

3.0

米軍基地周辺のアメリカナイズされた無国籍感溢れる無法地帯。暴力とレイプ、恐喝と略奪が蔓延る町を、長谷部安春監督がエログロ強めなバイオレンスタッチで描く。内臓が飛び散るスプラッターシーンは成功していると>>続きを読む

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.2

阿部サダヲの瞳孔に光がない、爬虫類のような瞳の冷たさ。殺人鬼・榛村の死刑に至る病の闇深さ、徐々に明らかになる榛村の洗脳に費やした時間と罠、感染の拡がりが蜘蛛の巣に絡めとられるような不気味な恐怖へと変わ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015年製作の映画)

3.7

美脚を露わに標的に照準を定めるスナイパーのクールな美しさ、シリーズ最強のヒロイン、イルサを演じたレベッカ・ファーガソンが抜群だった。オートバイをかっ飛ばすカーチェイスのスピード感に酔い目が釘付けになっ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.7

手に汗握るスリリングな展開を、これでもかと畳み掛ける世界最高峰のアクションシーン。トム・クルーズの身体を張った命がけの演技に息を呑み、一瞬たりとも目が離せない。アクションに特化したシリーズなので物語が>>続きを読む

薄桜記(1959年製作の映画)

3.8

市川雷蔵最高の殺陣はこの作品だと思っている。虫の息で戸板で運ばれた(不)尋常の勝負。深々と降り積もる雪、片手片足の復讐鬼は、寝転び這いつくばりながら仇を次々に討ち果たす。圧倒的な様式美で描く斬新な殺陣>>続きを読む

モーニング・ムーンは粗雑に(1981年製作の映画)

3.1

『無力の王』と並ぶ高樹澪のデビュー作。真っ赤なアメ車に乗ってラジオから流れるサザンの曲を聴きながらドライブする。それだけの退屈な作品なのだが、当時のクリスタル族のブランド意識やファッションが懐かしく感>>続きを読む

ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

5.0

カリオストロ城の高低差の広がりを巧みに活かした怒涛のアクションのキレの鋭さ、ブリキのおもちゃのような飛行艇、ニセ札で壊れそうなターボ搭載フィアット。夢物語なお伽話にギッシリと宮崎駿監督の「好き」が詰ま>>続きを読む

ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

3.6

汗がポタリとメガネを滴り落ちていくスリリングな緊張感をそのまま汗で描写するデ・パルマ監督らしい映像マジック。オールスターキャストだが映画はトム・クルーズの独壇場、圧倒的な存在感で舞台狭しと暴れ回る。疾>>続きを読む

トイ・ストーリー2(1999年製作の映画)

3.7

5歳児がリクエストしてきたこの映画、おもちゃを愛し大切にする優しいメッセージが孫の心を掴んだ様子。おもちゃが喋り動き出す面白さは俗世の垢にまみれたジィジには面倒くさい部分もあるのだが、孫の目を通して観>>続きを読む

グロリア(1980年製作の映画)

4.1

組織に銃をぶっ放すグロリアの啖呵と覚悟、溢れる庇護の母性愛。酸いも甘いも噛み分けた50オンナの命を賭けた生き様のカッコよさ!クールでイキ、ジーナ・ローランズの煙草の吸い方がまた絶品なのだ!ジョン・カサ>>続きを読む

東京リベンジャーズ(2021年製作の映画)

3.3

若手イケメン俳優の品評会みたいで、尚且つヤンキーの喧嘩映画じゃ食指も動かなかったのですが、今が旬の若手俳優たちの熱量がビシビシと伝わってくるイキの良い作品でした。特に傍を固める今田美桜や山田裕貴の個性>>続きを読む

ボルサリーノ(1970年製作の映画)

3.6

フランスを代表するドロンとベルモンドがっぷり四つの豪華顔合わせ。どちらかと言うとベルモンドの陽の個性が強調された作品で、ドロンの寡黙な陰の個性は消されている印象だ。ベルモンドを引き立てる、"プロデュー>>続きを読む

ボーン・アイデンティティー(2002年製作の映画)

4.0

ジェイソンのポテンシャルと身体能力の高さを記憶喪失という大海原にポンと突き落とす設定の面白さ!ジェイソンとは何者なのだ?という謎、ジェイソンの記憶のベールが徐々に炙り出され怪物化していくスピーディな展>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.4

まずは是枝裕和監督とぺ・ドゥナ『空気人形』チーム再結成が嬉しい。ただまた擬似家族の物語なので映画の新鮮味は薄く、人間の善意が集結したかのようなエピローグには不自然な居心地の悪さを感じた。全然褒めていま>>続きを読む

天使の涙 4Kレストア版(1995年製作の映画)

4.3

ウォン・カーウァイが世界に突きつけたアジアの熱気とビート、時代はアジアなのだと拳を突き上げるその熱量の熱さ!スタイリッシュで近未来的なクリストファー・ドイルの手持ちカメラ。超広角レンズをスコープの画角>>続きを読む

忠臣蔵(1958年製作の映画)

3.6

大映美術の極み!豪華絢爛な壮大な絵巻物。日本に"忠臣蔵"は幾多とあれど私にはこの58年大映版が、一番シックリと沁みてくる。大上段に振りかぶったケレン味たっぷりとした大芝居が、赤穂浪士たちの一幕毎のエピ>>続きを読む

アラン・ドロンのゾロ(1974年製作の映画)

3.6

軽快なBGMと共に颯爽と登場するアラン・ドロン、スペインの窮地を救う正義のヒーロー"ゾロ"。暗黒街の屈折した役どころが多かったドロンが単純明快、勧善懲悪なヒーローを嬉々として演じている。そういう意味で>>続きを読む

ガメラ対深海怪獣ジグラ(1971年製作の映画)

2.0

鴨川シーワールド付近の海がジグラとの決戦場所、ミニチュアの建造物をハデに破壊する怪獣映画特有のカタルシスも無く、ただガメラとジグラがジャレあっているような緩い決闘シーンが続く。邪魔くさい生意気な子供と>>続きを読む

運命じゃない人(2004年製作の映画)

4.4

練りに練った秀逸な脚本、或る夜に起こった出来事に登場人物たちの様々な視点が絡み合い、バラバラだった物語が視点が加わる毎に線になっていく面白さ。内田けんじ監督の卓越した観察眼と綿密な構成力。ピュアな純愛>>続きを読む

影なき殺人(1947年製作の映画)

3.7

事実を基に、ある殺人事件をエリア・カザン監督が再現したセミドキュメンタリー。その鋭利な語り口の鋭さは、不十分な検証で容疑者を裁こうとする司法への正義の鉄槌のようで、力強い怒りが剥き出しだった。人種差別>>続きを読む

ゴールド(1974年製作の映画)

3.3

新ジェームズ・ボンド襲名人気にあやかって2匹目のドジョウを狙ったロジャー・ムーア主演作。作品は大コケしたが当時のパニック映画ブームの影響を受けたラスト30分の緊張感は秀逸だった。子役デビューのパッツィ>>続きを読む

1秒先の彼(2023年製作の映画)

4.2

「四畳半タイムマシン」の街京都を舞台に、山下敦弘×宮藤官九郎のファンタジーラブコメとくれば観逃す手はない。現実より1秒早い岡田将生と1秒遅い清原果耶の「1日」が重なりながら交差してゆく時間の優しさ!2>>続きを読む

散り椿(2018年製作の映画)

3.7

殺陣の速さ、岡田准一の低空飛行の瞬速に目を見張る。散り椿、散りゆく椿の花は人の命、咲き誇る椿を見ながら散っていく儚い人生の縮図。雄大な自然、雪の白さを自在に操る木村大作監督の匠の技が儚い椿を真正面に捉>>続きを読む

カサブランカ(1942年製作の映画)

3.8

小粋でお洒落!ウィットに富んだセリフがボガートとバーグマンのクールな魅力を際立たせた名作。砂漠の町カサブランカに渦巻く陰謀、連合軍とドイツの対立をサスペンスの緊張感で鮮やかに描き出す。記憶に残る数多く>>続きを読む

太陽にかける橋/ペーパー・タイガー(1975年製作の映画)

2.8

三船敏郎が海外でいかに尊敬されていたかが良くわかる、デヴィッド・ニーブンやハーディー・クリューガー共演の本気度を感じせるイギリス映画だった。ペテン師が本物のヒーローになるお伽話、安藤一人少年が頑張るが>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.1

60歳を越えて見える風景が、若い頃に見ていた風景と全然違う物になっている。残りの人生の限られた時間、価値観の変化、近しい人たちとの別れ、様々な要素が重なり見えてくる景色が確実に変化していくのだ。宮﨑駿>>続きを読む

リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960年製作の映画)

3.4

低予算で映画を撮り続けたロジャー・コーマン監督のブラックコメディ。人喰い花のデンジャラスな妖気に惹き寄せられるおバカな人間たちのナンセンスギャグのテンポの良さ。恐怖と喜劇の融合、そのギャップの可笑しさ>>続きを読む

螢川(1987年製作の映画)

4.2

圧巻のクライマックス!その幻想的な映像の美しさは噂の通り至福の名シーンだった。画面一杯に広がる蛍の乱舞が濁流のように流れ出す、まさに蛍の"川"なのだ。須川栄三監督の抑制の効いた演出と姫田真佐久が撮る北>>続きを読む

ハンガー:飽くなき食への道(2023年製作の映画)

3.7

立ち昇る炎の中でガンガン鉄鍋を振る若き女性料理人、炎を操り最上の火加減で料理を完成させるチュティモン嬢のカッコよさ。タイの格差社会をシニカルに風刺する飯テロの裏テーマも上々。兎に角チュティモン・ジョン>>続きを読む

ガメラ対大魔獣ジャイガー(1970年製作の映画)

2.6

「ガメラ!万博会場を壊さないでー!」子供たちの願いでジャイガーとの決戦場所万博パビリオンの破壊はない。ジャイガーの強さより、ガメラの弱さばかりが目立つ。子供心にシリーズの限界を感じ、映画館での昭和ガメ>>続きを読む