ICHIさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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荒野の決闘(1946年製作の映画)

4.3

ヘンリーフォンダがクレメンタインに恋をしてオシャレして香水をかけてもらったりダンスをするシーンとかが印象に残っていたが今回観ると随分重い印象を受けた。いつも明るい感じのウォルターブレナンがこの上なく嫌>>続きを読む

拳銃無宿(1947年製作の映画)

3.3

セドナのホテルの廊下や部屋にこの映画のパネルが飾ってあったので観たのだが、ひどくはないけど特に素晴らしいわけでもない作品だった。ジョンウェイン演じる無法者が敬虔なクリスチャンの一家に命を救われその家の>>続きを読む

ジェントルメン(2019年製作の映画)

3.2

凝った構成とスタイリッシュな映像でそれなりに面白くは見られるのだけど、話の幹というか求心力に欠ける感があって、凶暴で狂った男たちが色々やり合った末の落とし所がなんだったのかよく分からず、モヤモヤが残っ>>続きを読む

マネーボール(2011年製作の映画)

3.8

スカウトに説得されて大学進学を辞めて大リーグの選手を目指し挫折した主人公が貧乏球団を立て直し優勝を目指す。大リーグの選手獲得の駆け引きが面白いしイエール大卒の統計オタクがそこに関わる展開もいい。主人公>>続きを読む

遠いところ(2022年製作の映画)

3.3

おそらく実話をベースに作ってあるのだろうし沖縄の貧困と暴力の問題を丁寧にリアルに描いていて、こちらも基本的にはそういうものを見に行ったわけなのだけど、救いのない展開が、ある意味型通りというか当然そうい>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.4

前作の細かいことなんてこっちは覚えちゃいないんだから、以前のしがらみとかトラウマとか絡めないで欲しいです。あと、次回作を作るためにネタを引っ張りすぎないで欲しいです。チャットGPTとかリアルな問題にな>>続きを読む

殺人カメラ(1952年製作の映画)

3.5

物語としては「世にも奇妙な物語」とか「笑うセールスマン」的な感じでそこに社会風刺が混ざる手法は時代的な古さを感じるが、人物が多彩で重層的だし、階段を効果的に使った上下の構造も素晴らしい。

戦火のかなた(1946年製作の映画)

3.6

ロッセリーニの戦争ものはイタリア語によるイタリア人の視点で作られているので、ハリウッド的な、正義のアメリカ、イギリスvs悪のナチスドイツという世界観とは違う作品になっている。かと言ってムッソリーニを肯>>続きを読む

駅馬車(1939年製作の映画)

4.8

モニュメントバレーを目に焼き付けるために久々に観たが、素晴らしいとしか言いようがない。凄い映画を観るとそのストーリーとかと関係なく泣いてしまいそうになるが、ジョンウェインが最初に映った瞬間のズームアッ>>続きを読む

孤独な場所で(1950年製作の映画)

3.9

ニコラスレイが描く人物は屈折して幸せを自ら壊してしまう。ハンフリーボガート演じるロサンゼルスに暮らす脚本家もとてつもなく繊細、かつアンバランスな精神も持ち主で周囲の人たちをことごとく傷つけ自ら傷つき去>>続きを読む

ドイツ零年(1948年製作の映画)

3.8

戦後直後のベルリンの廃墟感が凄い。その廃墟を縦に横に歩く少年を延々と追いかけるショットは、その絶望感と相まって「大人は分かってくれない」を思い出させる。ラスト近く、父親を殺して彷徨う少年が廃墟の教会の>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.8

トランプの看板や演説がとても効果的で、テキサスの工場地帯に暮らす人たちの嫌な感じがキッチリ浮かび上がってくる。主人公の、定職に就けず麻薬の売人をしている元ポルノ男優がドーナツ屋の少女に一目惚れして身分>>続きを読む

Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック(2018年製作の映画)

3.1

主人公の2人の女子高生や周囲の人たちのお馬鹿さ加減でそれなりに楽しめる作品ではあるけど、そう言うのを延々と見せられるだけで映画としては凡庸。しかし親から見放され、学校にも行かず、薬物で逮捕される女子高>>続きを読む

1秒先の彼(2023年製作の映画)

2.8

ひさしぶりの山下敦弘の新作ということで期待したけど、宮藤官九郎の、まぁ細かいギャグとか脱力感は面白いけど全体の構成がグダグダだねーといういつもの感じで、特に心動かされる場面も、ハッとするショットもなく>>続きを読む

風の武士(1964年製作の映画)

3.3

七人の侍の宮口精二が忍者の姿で宙返りしたり手裏剣を投げたりするのに度肝を抜かれたが、他にも顔も芝居も濃い人物が次々と出てきて、特に「猫」と称する南原宏治演ずる忍者の声のいかがわしさと、彼が育てた女忍者>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

2.8

どーせダメだろうなー、でも他に観たい映画もやってないしなー、ダメ元で観てみるかーと思って観たら、ほらーやっぱりダメだったじゃないかー、という作品でした。とにかく脚本が雑で登場人物の心が通じ合う瞬間が感>>続きを読む

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

3.4

かなり以前に観た時には、「面白いシーンもあるけど全体的は退屈な映画」という印象で、その後ハードボイルド映画をたくさん観てきたので色々新たに感じるところがあるに違いないと期待しつつ観たけど、うーむ、エリ>>続きを読む

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.3

主人公レスリーのダメっぷりというか、酒場で酒を飲む姿のしょうもなさは中々で、アメリカの貧しい田舎町の痛々しさがヒリヒリ感じられる。手持ちで揺れる感じの画面も悪くない。しかし脚本があまり上手くなく、ポイ>>続きを読む

大脱走(1963年製作の映画)

4.0

色々語り尽くされたこの作品に今更何を言ったらいいのかわからないが、収容所、独房、トンネルが舞台となる前半から、後半一転してロードムービーみたいになるところがとってもよかった。特にチャールズブロンソンと>>続きを読む

いれずみ半太郎(1963年製作の映画)

3.4

博打に負け続けた半平太が女房をもらって最後の大博打に勝つが女房は病死するという悲恋もの。見せ場の歌を歌う場面が唐突だし、入れ墨の場面も平仮名がなんか幼稚な感じがしてしまい今ひとつ。女房に死なれた半平太>>続きを読む

ビデオドローム 4K ディレクターズカット版(1982年製作の映画)

3.5

変態クローネンバーグの変態爆発映画。80年代的なビデオテープとかパラボナアンテナとかチープなダンスとかがいい感じ。黒幕の男が「ヒストリーバイオレンスやのエドハリスばりに胡散臭かったらもっといいのに。ク>>続きを読む

オール・ザ・キングスメン(1949年製作の映画)

3.4

正義感の強い男が権力を握り強権的な政治家へと変貌して最後は撃ち殺される。元からそういう性情がこの男にあったのか、政治の世界に毒されたのかはともかく、ドラマとしては面白いのだけど、ちょっとステレオタイプ>>続きを読む

馬上の二人(1961年製作の映画)

3.5

「捜索者」と同じくコマンチにさらわれた子供を連れ帰る物語だが、「捜索者」同様ある種の陰惨さが付き纏う。連れ帰った青年がヒロインの女性の弟だったことがわかったものの街の人たちがリンチにかけてあっという間>>続きを読む

遠すぎた橋(1977年製作の映画)

3.5

昔から何度も観ている作品だが何度観ても各部隊の関連がわかりにくいけど、国際色豊かにスター俳優を揃えて3時間にまとめ上げた力技に心惹かれる。音楽がいいし、決して上手な撮影ではないけどCGではなく人と物を>>続きを読む

ワイルドツアー(2018年製作の映画)

3.2

山口県で植物の標本を作るワークショップに参加した2人の中3男子と指導する女子大生の物語。ワークショップに参加した素人をそのまま使うのは滝口竜介的で、年上の女性への淡い恋が破れるというトリュフォー的な物>>続きを読む

殺し屋ネルソン(1957年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

30年くらい前から観たい、でも観られない、そのうちDVDになるんじゃないか、ニュープリントになってリバイバル公開されるんじゃないか、BSシネマでひょっこりやったりするんじゃないか、と待てど待てどもやら>>続きを読む

暗闇の秘密(1949年製作の映画)

3.0

死んだ夫の声が聞こえるという女と精神を病む科学者の男が海辺の古屋敷を舞台に惹かれ合うという二ユーロティックサスペンスなのだけど、登場人物のキャラがみんな最初から最後まで同じで、途中で意外な事実が明かさ>>続きを読む

北部への追撃(1943年製作の映画)

3.7

北極圏に近いカナダを舞台に、エロールフリン演じるドイツ系カナダ人の主人公がナチスの陰謀に立ち向かっているのか手を貸しているのか途中まではっきりさせないところがミソ。物語の展開もスピイーディーでやたらと>>続きを読む

復讐!反ナチ地下組織/裏切り者を消せ(1944年製作の映画)

2.9

ヒッチコックだったら100倍面白い映画になってだだろうシチュエーションなのに、サスペンスとしてハラハラさせられる訳でもないし、ストーリーは直線的すぎて深みに欠けるし、一つ一つの事件が呆気なく予定調和的>>続きを読む

マルサの女(1987年製作の映画)

3.4

30数年ぶりに観たが、設定の面白さに改めて感心する。主役の宮本信子と敵役の山崎努の関係性もいいし上司の津川雅彦も他の作品に見られがちなやりすぎ感がなく、貫録を感じさせる。が、山崎努の息子のエピソードが>>続きを読む

オリ・マキの人生で最も幸せな日(2016年製作の映画)

3.3

フィンランドのボクサーが周囲の盛り上がりや興行ビジネスや減量やプレッシャーに辟易しながらリングに上がって呆気なく負けるが、恋する女性と結婚してなんか幸せ、という作品。モノクロの画面とフィンランドの森や>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

ロシアを舞台にした寒くて暗いロードムービー。主人公と列車で同室になった、とてつもなく嫌な感じのプーチンを若くしたみたいな男と次第に打ち解けて行く過程がスリリングで、ラスト近くの彼の涙にはグッとくる。善>>続きを読む

河上の別荘(1930年製作の映画)

3.5

刑務所の囚人たちが野球をやるという設定だけでたまらなく楽しい。アルドリッチの「ロンゲストヤード」や深作の「ダイナマイトドンドン」に通じる。この二作が囚人vs看守だったのに対してこの作品の看守達は牧歌的>>続きを読む

高速道路家族(2022年製作の映画)

3.0

設定は面白いけどショットも人物造形も凡庸というか深みがないというか、途中で飽きる展開でラストはの持って行き方は、これはダメだろう。貧困家族の物語の、子供の見せ方とか、食い繋ぎ方とか、そういうのって世俗>>続きを読む

あ、春(1998年製作の映画)

4.1

相米の映画はストーリー展開じゃないよなぁと思っていたら、この作品はストーリー展開がとても面白いコメディーで、こんなに軽やかで肩の力が抜けた作品を相米が撮っていたことに驚いた。バカボンのパパみたいな山崎>>続きを読む

魚影の群れ(1983年製作の映画)

3.8

相米慎二といえば、長回し、突然の雨、登場人物が口ずさむ歌、ということは散々語られてきているのだけど、この作品もオープニングの長回しや北海道の安宿のベランダ越しに突然降る雨とその中で別れた妻を追いかける>>続きを読む