ICHIさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

1.9

その昔「あぶない刑事」に全く乗れず、不快感ばかり募ったことを思い出した。車やヘリコプターの撮り方が全く様になっておらず、警官隊の車とギャングの車に挟まれるシーン、銀行強盗のシーンなど見せ場になるはずの>>続きを読む

曳き船(1941年製作の映画)

3.3

冒頭の結婚式の場面からポンプの水を介して土砂降りの雨が降り嵐の海の過剰な水に晒される展開はなかなかだが、シャンギャバン演じる口下手の船長の妻ともう1人の女性に対する思いが今一つよくわからず、ラストの最>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.5

最近のビートルズ関連のドキュメンタリーとかに比べ時間とお金を使って丁寧に作られていてこの偉大な音楽家の世界に浸ることが出来る。ウェスタン映画の作曲家という括り方はあまりに偏狭であることは承知しつつも「>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

「ここまでやるか」感が韓国映画映画の魅力の一つでこの作品もその手のやつなのだけど、肝心なところが杜撰で気持ちがついて行けないのが残念。時間をどう動かすかは映画の肝だけど、この映画は時間の管理が適当で、>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.8

長い間隠蔽されて来た、ハリウッド大物プロデューサーによる性暴力が報道されるまでを描いたこの作品、権力者VS被害者=弱者に寄り添うジーナリストという鉄板の構図を持ちつつ、過度にドラマチックに展開させず、>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

3.8

ATGの不良少女映画のアメリカ版みたいな感じで主人公の果ていない転落ぶりが痛々しくも心地よい。手持ちのブレルカメラとザラついた映像がインディペンデントできでいい感じ。銀行強盗の件とか脚本はズブズブだけ>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

2.9

3時間以余り固定されたカメラの超長回しでベルギーのアパートに息子と暮らす未亡人の日常生活が延々と映し出される。彼女は昼に客をとっており、この生活が破綻する匂いが最初から漂っていて、1時間が過ぎたあたり>>続きを読む

関東無宿(1963年製作の映画)

3.5

久しぶりの再見だったけど醤油を鏡にしてイカサマ博打をするシーンは何度見ても刺激的。それにしても「これは映画だからねー、嘘だからねー」と主人公に感情移入を拒む、東映任侠映画と対極にある、映画のような舞台>>続きを読む

スペース カウボーイ(2000年製作の映画)

3.6

20年前観た時はイーストウッドにしては今ひとつと思ったけど今回再見したらかなり良かったのはきっと年をとったせいだろう。

折れた矢(1950年製作の映画)

3.7

ネイティブ・アメリカンイコール🟰インディアンを野蛮で残酷な悪役と描くのではなく、ジェームススチュワート演じる白人の男はインデアンの女性と恋に落ち彼らと生きて行こうとする。ヨーロッパや先住民の文化を相対>>続きを読む

肉体の冠(1951年製作の映画)

4.0

ダンスで回転しながら、過去に傷を持つ大工を見つめる娼婦の視線を捉え続けるショットが凄い。この眼差しに囚われて破滅の道を歩む寡黙な男の物語は限りなくフイルムノワール的。川辺でうたた寝をしている男の元に手>>続きを読む

座頭市血煙り街道(1967年製作の映画)

3.8

コテコテの親子物語や笑いの取り方など、この時代の大映のベタな感じにちょっと引きながらも、殺陣の見事さ、特に近衛十四郎との決闘の雪と黒塀と目線のライティングの見事さに圧倒される。三隅研次の演出と2人の役>>続きを読む

銀座化粧(1951年製作の映画)

3.8

銀座で長年女給をする田中絹代に関わる男たち、飲み逃げしたり、金を貸すのと引き換えに言い寄って来たり、別れても金を無心に来たり、田舎から出て来て星座の話ばかりしたり、それら男のエピソードの一つ一つが面白>>続きを読む

ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実(2018年製作の映画)

3.0

revolverのスペシャル版とか、インドでビートルズに会った人の映画とか、内容の大半は大したことないけど僅かにこぼれ落ちるレアな部分で惹きつけようとする魂胆が見え見えの作品が連打される今日この頃、こ>>続きを読む

追われる男(1954年製作の映画)

3.3

屈折した若者が父親代わりの大人に反抗して最後は死ぬ、というところがニコラスレイだなぁ、と。最後の変な廃墟が舞台になるのも彼らしい。ストーリー展開はさほど面白くはないなだけど、ニコラスレイの味わいに触れ>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.6

聴覚に障がいを持つケイコが何故ボクシングをするのか、最後まで明確な答えを出すわけでもなく、ボクシング映画にありがちなドラマチックな設定や展開をかわしながら、繊細な音と映像で1人の女性を描き切っている。>>続きを読む

アウトサイダー(1981年製作の映画)

3.7

「ニーチェの馬」や「ダムネーション」に比べるとハンガリーの社会性の閉塞感が濃厚に漂いアンゲロプロスの映画に通じる感じがする。共産圏の寒々としたディスコで現実に向き合おうとしない主人公に妻が延々と怒鳴り>>続きを読む

ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

3.5

タルベーラの映画の人々は何かにひたすら耐えている。音楽やダンスにもハワードホークスの映画のような喜びは皆無で石炭を運び続けるリフトのように与えられた労働をこなしているかのように輪になりぐるぐる回る。ひ>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

湿地帯の空気感がなんとも素晴らしい。父親の暴力で家族が離散し一人ぼっちになった少女が湿地の中で周囲の差別と偏見にさらされながら成長する。そんな中、彼女に寄り添い支える雑貨店の黒人夫婦や弁護士の存在が心>>続きを読む

細雪 ささめゆき(1983年製作の映画)

3.0

バブルの時代に東宝カレンダーを飾るスターを揃えて衣装や小道具にふんだんにお金をかけて作られた感じの映画。原作の人物設定がいいので2時間20分何とか観られるけど、話の展開はテレビドラマみたいだし、映像や>>続きを読む

人生とんぼ返り(1955年製作の映画)

3.4

関西弁の殺陣師を演じる森繁と文句を言いつつ彼を支える恋女房演じる山田五十鈴の掛け合いを堪能し、マキノの名人芸的ショットに酔う。しかし山田五十鈴が亡くなって京都の薄暗い部屋で中風となって一人寝入る森繁の>>続きを読む

芝居道(1944年製作の映画)

3.8

「歌行灯」や「鶴八鶴次郎」を彷彿とさせる成瀬の芸人物。戦時中に撮られたため、設定や展開にツッコミ処があるが、提灯行列の幻想的な撮り方はマキノの提灯に引けを取らない美しさであり、大阪の芝居小屋の美しさは>>続きを読む

婦系図(おんなけいず)(1942年製作の映画)

3.7

スリから研究者へ変貌を遂げる長谷川一夫とその許嫁の芸者山田五十鈴の悲恋物だが、長谷川一夫の恩人の古川緑波が怪物というか変人すぎて彼に振り回されて滅茶苦茶にされる若い恋人の悲恋物という感じもする。ラスト>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.3

デビッドロウリーの新作ということで期待して観た。時間の流れとか死のイメージなどがゴーストストーリーを思い出させる。捕らえられ縛り付けられた主人公を捉えたカメラがゆっくりパンすると白骨化した主人公が映し>>続きを読む

奈落のマイホーム(2020年製作の映画)

3.0

ソウルのマンションが地盤沈下で500メートルの地底に落下し、そこから住人たちが脱出するという魅力的なシチュエーションなのだが、脱出パニック映画としてはスリル不足で人間ドラマとしては軽いコメディータッチ>>続きを読む

無法の王者ジェシイ・ジェイムス(1957年製作の映画)

3.6

フィリップカウフマンの「ミネソタ大強盗団」などジェシージェームズを描いた映画は幾つかあるが、ニコラスレイが撮ったこの作品は妻との悲恋が印象的で、彼の傑作「夜の人々」の匂いがする。銀行強盗のシーンもぬか>>続きを読む

幸福の設計(1946年製作の映画)

3.6

トリュフオーが敬愛したフランスの監督ジャックベッケル。名前は耳にしていたがからの作品を観たのは初めて。細かいカット割りで印象的なショットが随所に出てくる。当選した宝くじを巡る夫婦の物語にはさほど引き込>>続きを読む

ペルシャン・レッスン 戦場の教室(2020年製作の映画)

3.2

生き延びるためにユダヤ人収容使でペルシャ人のフリをして全く知らないペルシャ語をナチスの高官に教える、という設定はとても魅力的で期待したのだけど、物語の展開が優先されてディテールが雑。物語はディテールに>>続きを読む

とらんぷ譚(1936年製作の映画)

3.3

毒キノコで親族11人が死に、お金を盗んだ罰でキノコを食べなかった自分だけが生き残り、不道徳なことをして生きるべきだという人生観を主人公が得る導入の展開が素晴らしいのだけど、ギャンブルや詐欺にまみれた主>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

3.8

きっとここは真面目なシーンなんだろうなぁ、感動的なシーンなんだろうなぁ、と思いつつ何度も爆笑してしまう。「んなアホなー」「それは無理過ぎるでしょー」「ここで歌うかぁー」「もう治ったのかぁー」などと心の>>続きを読む

私はゾンビと歩いた!(1943年製作の映画)

3.5

キャットピープルのジャックターナーによる異国の呪術のエキゾチックな感じと一族を巡る愛と憎しみのゴシックロマンが混ぜこぜになった変な作品。夜の影の使い方がもろにフィルムノワールで、そういう意味でもジャッ>>続きを読む

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生(1968年製作の映画)

3.7

予算の関係でそうなったのかもしれないがモノクロの映像が印象的。この作品の社会学的な分析はそれはそれで面白いのだけど、ゾンビのフラフラ歩きと群れる感じには独特の魅力があり、特に冒頭の墓地でゾンビがフラフ>>続きを読む

愛人(1953年製作の映画)

2.8

小津の墓参りに鎌倉に行き、鎌倉に来たんだからここで映画を観ようと川喜田映画記念館へ。小津がやっていたら最高だったのだけどやっていたのは市川昆のこの作品。市川昆はあまり関心した作品はないのでまぁ、面白か>>続きを読む

晩春(1949年製作の映画)

4.2

小津の墓参りに行こうと思いたち、再見する。原節子の父親への愛情の濃さに狼狽え、親娘のスリリングなやりとりに引き込まれる。笠智衆が「お父さんももう56だから先が短いんだよ。」というセリフにも狼狽える。

ディア・ハンター(1978年製作の映画)

4.6

何度も繰り返し観ている作品だけど前半1時間15分かけて描かれる人々の暮らしや人間関係が繊細で、聖と俗が入り混じって何とも素晴らしい。そこにヘリの音が被さり一気にベトナムの戦場へ持って行く演出の見事さは>>続きを読む

斬る(1962年製作の映画)

3.5

大映作品ならではの重厚さとエログロが混ざった変な時代劇。脚本がバタバタしていて市川雷蔵もニヒルのような軽薄なような、妹役の渚まゆみは唖然とするくらい芝居がド下手で、一つ一つのエピソードは絡み合わず、ラ>>続きを読む