ICHIさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

3.2

それなりに年をとってからも「ゴーストライター」とか「毛皮のヴィーナス」とか「戦場のピアニスト」とか面白い作品を撮り続けるロマンポランスキーの新作。期待して観たのだけどちょっと期待外れ。オープニングの重>>続きを読む

ライトスタッフ(1983年製作の映画)

4.6

久しぶりの再見だったがあっという間の3時間ちょっと。昔見た時と同様にラストは感情が高まって泣きそうになった。今まで観た映画で1番カッコいい女性は「グロリア」のジーナローランズで、1番カッコいい男性はこ>>続きを読む

サン・ソレイユ(1982年製作の映画)

3.5

途中でヒッチコックの「めまい」について語られているように、記憶することと記録することの境目、混沌としたあわいのようなものを浮かび上がらせようとする作品で昭和50年代の東京を中心とする風景が映し出されフ>>続きを読む

理由なき反抗(1955年製作の映画)

3.8

久しぶりの再見だったが、オープニングのシネマスコープの横長のスクリーンにジェームズディーンが横たわるショットで一気に引き込まれる。ロサンゼルスの坂、家屋の階段、水のないプール、崖、天文台など高低を移動>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

3.7

自殺願望の男を巡って色々な国籍、民族の人が関わる展開は面白いのだけど他のキアロスタミの作品と比較するとやや単調な感があった。誰もが当然期待する自殺をせずに呼びかけに応える場面を見せずに映画を解体するよ>>続きを読む

胎児が密猟する時(1966年製作の映画)

3.8

水と密室の感じが胎内を彷彿とさせてこの作品の世界を作っている。回想シーンが説明くさいところが鼻につくが、強い思いで撮り切った凄みを感じる作品。

裸の銃弾(1969年製作の映画)

2.3

脚本が杜撰すぎて乗れない。撃ち合いのシーンも大したことなく唯一の見せ場は巨大な鶏肉を食べるところくらい。若松孝二の作品はモチーフはいいのだけどセリフが下手だと思う。もっと映像の力を信じてよかったのに。

セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

3.8

「ノロワ」はダメだったが、この作品はものすごく面白かった。ストーリーは荒唐無稽だが、主役の2人が素晴らしく、その姿を追うだけで幸せな気持ちになる。映画と演じることに対してとてもユニークで個性的なリベッ>>続きを読む

幽霊暁に死す(1948年製作の映画)

3.9

時代劇や任侠映画のイメージの強いマキノが撮ったモダンなコメディ。息子に瓜二つの父親の幽霊と息子を如何に同時に画面に収めるか、そこに映画ならではのショットと楽しさが溢れる。花菱アチャコ演じる関西のオヤジ>>続きを読む

ノロワ(1976年製作の映画)

2.8

中学生のころ観たピーターブルックが撮った「マラーサド」(本当のタイトルは無茶苦茶長い)という映画を思い出した。野外舞台劇を延々と観ている感じで、これが太陽劇団とかが孤島の海辺の古城でやっている野外劇で>>続きを読む

明日は日本晴れ(1948年製作の映画)

3.5

終戦後間もなく撮られた作品で、会話や人物背景にも戦争が色濃く影響する。故障したバスを乗客がみんなで掛け声をかけながら押す場面はそういう文脈で感動的。峠の坂道が映画的で、乗客のやりとりも面白いが、こちら>>続きを読む

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

4.0

バスジャックが起きる場面や主人公と関わりを持った女の殺害場面などの省略が素晴らしい。坂道の移動、バスのロードムービー、「都会のアリス」を思い出すポラロイドと少女、声を出すことのインパクト、海、再生への>>続きを読む

影を追う男(1945年製作の映画)

2.9

影の使い方とか地下鉄の轟音にかき消されながらの会話とかいかにも胡散臭い巨漢の男とか悪くないのだけど、舞台が南米になって「黒い罠」みたいな熱気と湿気がムンムンの空気感になるかと思ったけど室内シーンばかり>>続きを読む

パームビーチ・ストーリー(1942年製作の映画)

4.0

スクリューボールコメディの傑作の一本。オープニングの絶叫メイドだけで一本映画が撮れる。まともな人は出てこない。金持ちがみんな脳天気な変人でウズラクラブの列車内の大騒動は想像を絶する。ラストのオチに唖然>>続きを読む

ミステリー・ストリート(1950年製作の映画)

3.0

ホステス殺しで逮捕された男がハーバード大学教授の科学的捜査協力によって無実となる物語。当時は先端を行く捜査方法だったのかもしれないが、今見ると古い感じが否めない。詰まらなくはないが人物がステレオタイプ>>続きを読む

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

3.8

環境破壊や核兵器の時代に宗教にもイデオロギーにも救いを求められず自殺願望に取り憑かれた青年を描く。ヒューマンドラマ的な心理の掘り下げなどには目もくれず、ショットを積み上げるブレッソンのストイックさに感>>続きを読む

湖のランスロ(1974年製作の映画)

2.8

「少女ムシェット」とか「バルタザールどこへ行く」とかは好きだけどブレッソンだから全ていいということはなく、この作品は退屈だった。甲冑の金属感と血生臭さは魅力的。

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

3.0

ソ連共産主義の暗部を描いた作品で今の戦争を想起させずにいられない。ソビエト人の監督による作品だが最初のテロップは英語表記でこの手の作品がどういう背景で制作されたか気になる。事実の重みは感じるが映画とし>>続きを読む

昼顔(1967年製作の映画)

3.6

ブニュエルらしい聖と俗とが相克して俗が寄り切る物語。なんと言ってもオープニングとエンディングの妄想馬車と鈴の音のショットが素晴らしい。主人公の亭主を狙撃して警官に撃ち殺されるフレディマーキュリー似の男>>続きを読む

ワイルド・アパッチ(1972年製作の映画)

3.9

居留地から脱走したアメリカの先住民をベテランの斥候と若い指揮官が追跡する物語。陰惨な展開ではあるのだが、空を背景に人物を仰角に捉えられショットの素晴らしさ、追跡劇=知恵比べの面白さ、人物像の的確さと適>>続きを読む

ひまわり(1970年製作の映画)

2.8

昔からタイトルとスチール写真とテーマ曲はさんざん見聞きしていたけど「単なるメロドラマ」というイメージで敬遠していたこの作品、ウクライナのこともありもしかしたらいい映画かもしれないと思って見たら、「単な>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

3.0

生まれ故郷のベルファウストで暮らす一家がその土地を離れるまでの一部始終を専ら少年の目を通して描く。題材は悪くないのに何故か乗れない。引き込まれない。音楽や映像がクリアすぎるし、敵役に魅力がないし父親像>>続きを読む

夕陽に向って走れ(1969年製作の映画)

2.4

恋人の父親を撃ち殺して恋人と逃げるネイティブ・アメリカンの青年をロバートレットフォード扮する保安官が追跡する。差別問題を色濃く出しているところがポロンスキーらしくかつアメリカンニューシネマだけど、追跡>>続きを読む

突破口!(1973年製作の映画)

4.0

いかにも70年代のドンシーゲルが撮った犯罪映画でその空気感だけで気持ちが満たされるが、ウォルターマッソーのアクションを欠いた裏ぶれた凄みがなんとも素晴らしい。彼が元軽飛行機のパイロットで、殺し屋の車と>>続きを読む

帰らざる河(1954年製作の映画)

4.0

山師に馬と銃を奪われたロバートミツチャムが息子と山師の婚約者のマリリンモンローがイカダで激流をくだりながら数々の困難を乗り越え、最後は山師を殺して2人は結ばれる。シンプルな筋立てだけどロバートミッチヤ>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.4

一触即発的な緊張感があってそれなりに引き込まれるのだが、人物の心理が明確に描かれていないので、なぜここでこのような行動をとるのかが腑に落ちない感が最後のシーンまで続く。意図的にそうして、例えば西部劇的>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.7

最初の緊急事態宣言が出て自宅勤務となり、毎朝早朝にDVDて映画を観ていたそんな頃に観たのがタイロンパワー主演の「悪魔が往く街」。見せ物小屋で働く男がインチキ超能力で脚光を浴び、破滅して行く物語。デルト>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

3.9

魔女に仕立て上げられ火刑に処せられる展開となると当然「裁かるるジャンヌ」を思うのだけど、ジャンヌの人々が当人も含めて中世のキリスト教的世界観の中にいるのに対し、この作品の主人公の女性はそこから抜け出し>>続きを読む

恋の秋(1998年製作の映画)

4.4

ロメールの映画の楽しさ素晴らしさを満喫できる作品。皆自分の欲望に忠実で、策略や誤解が入り乱れるストーリー展開の楽しさ、秋の日差し、青いドア、緑と赤の衣装、ワインの赤い色、眼差し、移動、省略、モンタージ>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.0

強烈な映像に打ちのめされる。ローアングルのクローズアップ、ひたすら見開かれたジャンヌの目、涙、拷問器具や曲芸人や髑髏や鳥の群れの不吉なイメージ、キリスト教の深いところは解らずとも、ショットの迫力で納得>>続きを読む

ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

2.9

一つ一つのショットの構図は素晴らしいし白を基調とする画面や顔をほんのり照らすライティングも美しい。が、愛に関する観念を言葉でいくら説明されても面白くなく、例えばロメールの作品のように言葉よりもそこで生>>続きを読む

奇跡(1954年製作の映画)

3.9

オープニング、風にはためく布の白さに打たれる。風の音はこの作品の通底音であり、白さが画面を彩り続ける。「神の与えた試練」に耐える人間の生を肯定するでも否定するでもなく、抽象論に陥るでもなく生々しく、印>>続きを読む

疑惑の渦巻(1949年製作の映画)

3.7

ジーンティアニーを陥れる怪しげな催眠術士演じるホセファーラーが素晴らしい。悪役がいいといい作品になる。オットープレミンジャーの演出は手堅く、音楽も良く、サスペンス映画としてよく出来ているが、催眠術で人>>続きを読む

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

3.3

アッパスキアロスタミの映画があまりに素晴らしいので、同じイラン映画のこの作品も期待満々で観たのだが、悪くはないけど物足りない感じの残る作品だった。まぁ、小津を観て日本映画はなんて素晴らしいと思った外国>>続きを読む

シンプルメン(1992年製作の映画)

1.8

強盗犯の男とその弟が昔テロリストで逮捕され脱走した父親を探す。そこに色々な人が絡むわけだが、誰一人として悪い人に見えない。荒んだ匂いがないのが、この手の作品として致命的。例えば「セインツ」とか「続激突>>続きを読む

恐怖への旅(1943年製作の映画)

3.1

第二次世界大戦を背景にした船旅暗殺もので、さまざまな国の胡散臭い人物が入り乱れ、オーソンウェルズが演出してるよなぁと思える印象的なショットもありそこは魅力的なのだけどいかんせん脚本が杜撰でサスペンスと>>続きを読む