ICHIさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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恐怖への旅(1943年製作の映画)

3.1

第二次世界大戦を背景にした船旅暗殺もので、さまざまな国の胡散臭い人物が入り乱れ、オーソンウェルズが演出してるよなぁと思える印象的なショットもありそこは魅力的なのだけどいかんせん脚本が杜撰でサスペンスと>>続きを読む

モード家の一夜(1968年製作の映画)

4.0

設定はロメール定番の男女4人の恋愛騒動。ただ他の作品よりコメディ感は抑え気味で宗教や哲学を語りながら恋の衝動に悶え苦しむ主人公の男を冷めた視点で描く。アルメンドロスのモノクロの映像が素晴らしい。毎度の>>続きを読む

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.7

CG臭さがやや鼻につくけどエジプトの雰囲気やクリスティーならではの謎解きが堪能出来る。ラストにポワロの苦い思いと再起を感じさせる演出、展開になっているけど、そこはちょっと微妙。

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.2

旧作のウェストサイドかなり前にTVで観たのだけど全然面白くなく、このリメイクもスピルバーグじゃなければ多分観なかったし大して期待していなかったのだが、予想に反して素晴らしい作品だった。人種間の憎しみと>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

3.2

大阪や離島の廃墟感やゴミだらけの海辺、作業現場の煙などがこの映画のトーンを魅力的に醸し出している。役者も存在感があり悪くないのだが、肝心な部分が腑に落ちず観ていて感情が掻き立てられないもどかしさが残る>>続きを読む

驟雨(1956年製作の映画)

4.0

戦後まもなくのある夫婦のギスギスとした日常を描く。ドラマチックなことが起きるわけではないが一つ一つの場面、ショット、そしてエピソードが上手で濃密な映画的自覚を体験出来る。

ドラゴン怒りの鉄拳(1972年製作の映画)

2.7

ブルースリーの身体のキレと顔の凄みを見る、それだけの作品。70年代の千葉真一の作品ってこのテイストだったのだなーと。

スパイダーマン(2002年製作の映画)

3.2

糸の伸縮を使ってダイナミックに空間移動する様を捉えた映像は魅力的。敵役は漫画的でペラペラな感だし、設定はスーパーマンの焼き直しだし、敵役が友人のお父さんというのが設定としてどうなのよだし、ヒロインが魅>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.0

平凡で気弱な父親が実は元凄腕の殺し屋で、といえば、クローネンバーグの傑作「ヒストリーオブバイオレンス」を思い出すのだが、それと比べてこの作品は脚本も演出もお粗末。父親の本性が見えて来るに連れて家族との>>続きを読む

ディエゴ・マラドーナ 二つの顔(2019年製作の映画)

2.5

映画というよりテレビドキュメンタリー。マラドーナはこういう人、という結論が最初から決まっているのでドラマ的な感興はない。

忘れられた人々(1950年製作の映画)

4.0

メキシコを舞台に貧しく親の愛に飢えた少年たちの破滅の物語。障がい者、犬、鳥、貧困、牛乳の艶かしさ、ギラギラする人間たち、殺されゴミ溜めに捨てられる少年の惨たらしい姿が胸に迫る。

青髭八人目の妻(1938年製作の映画)

3.8

ラストのオチがなんか腑に落ちないが、パジャマを買う店の店員とか、とにかく金のことだけ考えてる父親とか、デビットニーブン扮する無能な社員とか(彼が突然水中から現れ司令を受けた途端にまた海に飛び込むナンセ>>続きを読む

嵐電(2019年製作の映画)

4.2

あらゆるシーンに嵐電を絡めて、現実と非現実が交差し、時間や空間が突然繋がったり断ち切られたりするストーリーを素晴らしいカメラワークと編集と音で描き切っている。役者の多くは素人で芝居は下手なのだが、嵐電>>続きを読む

長い灰色の線(1954年製作の映画)

3.3

ジョンフォードの男性たちの歌声の魅力が堪能できる作品。陸軍士官学校の指導教官の一生を描き、軍隊ならではの友情、挫折、悲劇、誇りを描くが、生まれたばかりの子どもが男の子だとわかった途端に、息子もこの学校>>続きを読む

悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)

4.0

50年代後半のアメリカ映画のカラーフィルムの質感がとても素晴らしい。ストーリーも縦糸横糸張り巡らせて思いテーマをいい意味で万人を引き込む娯楽作品に仕立て上げているところも素晴らしい。ダグラスサークの作>>続きを読む

生活の設計(1933年製作の映画)

3.8

売れない脚本家と画家の2人の男がたまたま列車で知り合った女性を巡って張り合うルビッチらしい恋愛喜劇。セリフの使い方のうまさ、見せないで想像させるうまさなどルビッチの世界を楽しめる作品。

次郎長三国志 第三部(1964年製作の映画)

3.8

敵がお仲を人質にして自分達を待ち伏せにしているのを百も承知で「いくか」「行きましょう」「行くずら」と心底嬉しそうにウキウキと足取り軽く敵地へと旅立つ次郎長一家、歌が流れ、茶畑と茶摘み娘たちの姿が大きな>>続きを読む

夢の涯てまでも  ディレクターズカット版(1991年製作の映画)

3.6

「さすらい」「まわり道」「パリテキサス」「都会のアリス」などに見られる、崩壊した家族、それに傷ついた主人公の放浪、その再生のきっかけとなる映像や写真、というヴェンダースならではの作品。映像は流石で、特>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.0

「グラントリノ」のような作品かと思っていたがかなり違う。「グラントリノ」のイーストウッドはタフガイを貫き通し巨大なアメ車「グラントリノ」を若者に託すが、この作品の彼のアメリカから乗って来た車はメキシコ>>続きを読む

続・次郎長三国志(1963年製作の映画)

3.8

半分くらいが石松と三五郎とお仲を巡るエピソードなのだが、東宝版と比べるとキャストに物足りなさを感じてしまう。石松演じる長門裕之は森繁が持っていた軽みに欠けて一生懸命いい加減な石松を演じているように思え>>続きを読む

夏物語(1996年製作の映画)

4.0

夏のフランスの海岸に1人の孤独な雰囲気の青年が船でやって来る。短いショットと日付のテロップを重ねて時間と出来事の経過をテンポ良く描す、そのリズムに引き込まれる。海岸、街、カフェ、部屋、それぞれの風景が>>続きを読む

お遊さま(1951年製作の映画)

4.2

結婚相手の姉を愛する男とそれを承知の妻と天女なのか鬼なのかわからない姉が3人で仲良く暮らす。「突然炎のごとく」的な三角関係が美しい京都の風景の中繰り広げられる。溝口の演出の素晴らしさは言うまでもないが>>続きを読む

バワリイ(1933年製作の映画)

3.0

ウォーレスビアリーとジョージラフトが町のナンバーワンの座を巡って争う。2人とも陽気で喧嘩っ早くて単純で、酒場の乱闘、殴られたら目を回して気絶、女性たちのダンス、芸達者の子役、など「古き良きアメリカ映画>>続きを読む

弟とアンドロイドと僕(2020年製作の映画)

2.5

自分が存在することに実感が持てない大学講師が自分そっくりのアンドロイドを作る。レトロ調の病院とか常に雨が降っている屋外とか雰囲気ややろうとしていることは悪くないなだけど、いかんせん説明不足で、父親との>>続きを読む

影なき声(1958年製作の映画)

3.3

松本清張原作の犯罪物だが、真犯人がわかるまでのストーリー展開よりも映像イメージが優先するところが鈴木清順ならでは。特にフランスの田園みたいなもやに霞む小平の畑の風景とか、割れた鏡に映る犯罪者たちの顔と>>続きを読む

毒薬と老嬢(1944年製作の映画)

3.7

舞台で大ヒットした作品の映画化で、コメディの教科書のような作品。ブラックな状況の下で様々な変人が入り乱れる。特に毒入りワインの絡ませ方やずっと外で待っているタクシー運転手の存在が上手い。主役のゲーリー>>続きを読む

ただ悪より救いたまえ(2019年製作の映画)

3.8

「レオン」と「ターミネーター」と「ジョンウィック」を混ぜ込んだような韓国映画で、韓国映画らしいてんこ盛りの筋立てを満喫できる。主な舞台はバンコクで子供の臓器売買やトゥクトゥク、ゲイの助っ人などタイ的な>>続きを読む

次郎長三国志 第一部(1963年製作の映画)

4.0

相変わらずの個性的な面々が集まって一家が作られて行く集団形成の楽しさ。「七人の侍」や「リオブラボー」などを思い出す。御用提灯が迫るシーンの美しさとそれを突破する迫力、全員身ぐるみ失ってくしゃみをしなが>>続きを読む

暁の偵察(1930年製作の映画)

3.2

ハワードホークスの初のトーキー映画。飛行機を使った戦闘シーンの撮影は見事で、生き残って帰るて来る飛行機の数を音で確認するなど、飛行機の音が効果的に使われている。酒場の男たちの合唱シーンはいかにもホーク>>続きを読む

乱暴者(1952年製作の映画)

4.0

メキシコを舞台にブルジョアの地主の手先となり破滅する力持ちで少し頭の弱い男を描く。強欲な地主、股引姿で菓子を求めてヨタヨタ歩くその父、悪女の塊のような妻、金をたかる男の親族などなど登場人物が皆濃いキャ>>続きを読む

冬物語(1992年製作の映画)

4.0

5年前に旅先で知り合った男性との間にできた娘を育てながら彼との再会を夢見る主人公の女性のお馬鹿な魅力が素晴らしい。ラストの奇跡的な再会はロメール的な偶然性であると同時にルビッチ的な恋愛讃歌。

虎鮫島脱獄(1936年製作の映画)

3.2

ジョンフォードの脱獄物ということで期待大だったが期待ほどではなかった。黄熱病を媒介する蚊を追い払うためにハリケーンが迫る中窓ガラスを叩き割るシーンとラストの使用人の12人の子供のシーンは良かったけど。

立ち去った女(2016年製作の映画)

4.0

何の予備知識もないまま偶然観た作品だったが観てよかった、映画の神様ありがとう。冤罪で30年間刑務所に入っていた中年女性の釈放後の物語を、4時間近くに渡って音楽や移動撮影やクローズアップは用いず固定され>>続きを読む

忘れじの面影(1948年製作の映画)

3.8

浮気者の年上の音楽家に純愛を捧げ1人腸チフスで死んで行く女性をジョンフォンティーンが演じる。偽物の旅を演出するチープなアトラクションの中で2人の愛が深まる場面が秀逸。オフュルスらしいカメラのトラベリン>>続きを読む

ハスラー(1961年製作の映画)

4.1

陰影に富んだモノクロの硬質な映像がスタイリッシュで、この作品の魅力的な雰囲気を醸し出している。ポールニューマンを始め登場人物は皆生きることに不満と不安を抱えギャンブルを通してのみ生きている実感を感じる>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.5

今年濱口監督の作品を3本観たが、どれも緊張感に満ちて画面に釘付けにされる傑作だった。題材や台詞は時に小説的で、長回しを中心とする演出は時に演劇的だが、全体を通してこの上なく映画的。偶然と想像を通底にし>>続きを読む