2組のカップルが日曜日を湖で遊ぶ、その様子を収めたサイレント映画でストーリーらしいストーリーはないが、水の感触やカメラアングル、ショット、素人役者の4人の生き生きした表情などで退屈することなく観られる>>続きを読む
ファムファタールものではあるけどその悪女ぶりがなんか中途半端で盛り上がりに欠ける。泳げない男の子を川に突き落として上から踏みつける幼少期のエピソードが一番悪女だった。
戦後のイタリアで仕事のない若者達を描く。フェリーニらしい乱痴気騒ぎと空虚感、聖と俗、モノクロの硬質な映像とニーノロータの音楽、ラストの汽車の移動が皆の寝姿をカメラが移動する場面など印象的なシーンやイメ>>続きを読む
デニスホッパーによるデニスホッパーのための映画。音楽とか映像に70年代の香りがしてそこは悪くはないのだけど、それ以外には特に光るものはなく、「地獄の黙示録」の半分気のふれたカメラマン役が最も彼らしいの>>続きを読む
1975年当時のパリの一角で暮らす人々の日常を捉えたドキュメンタリー風の作品。ドラマチックな事は何も起こらないが、次第に映画の中に引き込まれて行く。畳んだり切ったりと言ったイメージのつながりが心地よい>>続きを読む
デュポンという企業名をはっきり出して、その企業の犯罪行為を追求する姿勢にアメリカ映画の良心、底力を感じる。日本映画だと、例えば水俣病をチッソという企業名を出して正面から取り上げた映画は未だに作られてな>>続きを読む
キアロスタミ監督のドキュメンタリー映画。カメラの前に次々と子供を立たせ、宿題について尋ねるだけなのだが、イランの病巣が浮かび上がってくる。親や教師や親族に暴力で抑圧され、神を称えフセインを殺せという標>>続きを読む
娘と妻に会うために脱獄した男と、妻に想いを寄せる警察官(脱獄した男に銃で撃たれたことになっているが、実は撃ったのは妻の方だったとい設定が泣ける)と男と一緒に犯罪を犯して警官に撃ち殺された息子を思い続け>>続きを読む
ロメールらしい、パリ郊外の住宅と公園を舞台に した4人の男女の恋のいざこざ物語。日本のテレビのトレンディドラマにもなるようなストーリーを質の高い映画にしているのは、ショットのつなぎ方、テンポの見事さ。>>続きを読む
「小津へのオマージュ」という宣伝文句に誘われて観てみたが、全くもって面白くなかった。ショットのつなぎが全然映画的じゃない。物語が展開せず、登場人物の孤独感を描きたいのだろうけど思わせぶりな映像を重ねた>>続きを読む
父親の若い恋人に敵意を抱く娘が、高校の哲学の教師の若い女性と親しくなり、彼女を父親と結びつけようとするという展開を軸に、4人の感情のもつれ合いをロメールらしくユーモアと緊張感を交えて描く。郊外の別荘の>>続きを読む
高峰秀子演じる銀座のバーのホステスの転落を描く作品。さまざまな客やホステス、マネージャー、経営者、家族などを巧みに配して彼女が次第に追い詰められて行く展開を的確な演出で語る成瀬巳喜男の力量に唸る。彼女>>続きを読む
好きな女に思いが通じたその帰り道に斬殺される長門裕之の姿に「次郎長三国志」の石松を思い出し泣きそうになった。不可能とされる、深川から青山までの大量の材木の運び出しを町衆の助力を得て行うシーンの素晴らし>>続きを読む
この映画のラスト15分は任侠映画の白眉だろう。藤純子と高倉健の別れ際の会話と揺れる柳越しのショットに震え、映画の挿入歌はこういう風にこういうタイミングで使うのだと感嘆し、討ち入りのアクションのスピード>>続きを読む
相変わらず思い込みに満ちた会話や尾行や居眠りなど満ち足りた映画体験ができるのだけど、ロメールにしてはラストの捻りが物足りない感じ。
デルマーデイヴィスが撮った西部劇。ゲーリークーパーが過去に傷を持つニヒルな医師を演じるが、もとからの彼の冷たい眼差しがこの役によく合っている。彼の助手となる粗野な若者、命を助けられて彼に思いを寄せるよ>>続きを読む
山田五十鈴が父の借金や兄の学費の工面のため転落して行く女性を演じる。警察に捕まって釈放された夜、家に帰って一緒にすき焼きの夕飯を食べようとして家から追い出され、川沿いの道を彷徨うラストが哀切極まりない>>続きを読む
かつて鶴田浩二扮するヤクザ者と結婚の約束をしていた大楠道代が、大衆演劇の役者から偶然鶴田浩二の親父分と結婚し、ヤクザ一家の姐さんになるという展開にちょっと無理があり、そこがドラマの肝でもあるので、まあ>>続きを読む
鶴田浩二が義理と人情の狭間で追い詰められる渡世人を演じている。跡目争いを巡って次々に起こるトラブルを様々な人物を巻き込みながら展開させる笠原和夫の脚本と土砂降りの墓地を始めとする印象的な画面で描く山下>>続きを読む
監督名と作品タイトルのテロップがマンションのフレームにきっちり収まって表示されるショット、エンディングのテロップが主人公が歩き去って空白となった画面に表示されるショット、さすがロメール。このシリーズら>>続きを読む
ロックハドソンが正当防衛で25年間刑務所に入った男を演じる西部劇。ラオールウォルシュが監督をしているが、親子3代にもつれる葛藤が今ひとつ劇的な盛り上がりに欠け、凡庸な印象の作品。リーバンクリフがいかに>>続きを読む
「大人は判ってくれない」的な悪童物語だが、キアロスタミの少年はいつも信じられないくらい自然で演技をしてると思えない。イランの田舎町に住む悪童がサッカーの試合見たさにお金を不正に工面して夜行バスでテヘラ>>続きを読む
音楽の使い方、ロングショットの見事さなど神代辰巳の世界を堪能できる。怪優岸田森が演じるポルノ映画監督の存在感が圧倒的で、改めて彼の早逝が惜しまれる。好きな映画を撮るための手段としてポルノ映画を撮ってい>>続きを読む
70年代初めの新宿の風景が魅力的。ラストの夜が明けた新宿西口のビルのシャッターが上昇する場面も素晴らしい。上昇と下降、水の存在感など映画的ではあるのだが、脚本が今一つで主人公の男の絶望感がよくわからな>>続きを読む
手の動き、視線、扉、格子、ブレッソンを巡って語られる通りのことが画面から伝わるが、それに感動するかというとあまりそんなことはなく、「少女ムシエット」や「バルタザールどこへ行く」などに比べると退屈な感が>>続きを読む
極悪人リバティバランスがリーマーヴィン、その手下がリーバンクリフ、素晴らしいキャスティング。全編が時代に取り残されてゆく不器用なガンマン、ジョンウェインの鎮魂歌となっていて、ジョンフォードの叙情性が最>>続きを読む
吹き替え感満載のバーグマン扮するブルジョワの母親が息子を自死で失い悲しみに暮れるという開始20分くらいまではどうということない映画なのだが、バーグマンが貧しい人々が暮らすアパートに出入りして最終的に精>>続きを読む
雷雨の中送電線によじ登り、落雷や感電や落下の危険と隣り合わせで作業する男たちの姿がスリリング。その男たちがみんな女のことしか考えていない能天気な感じもアメリカ映画的で楽しい。が、物語の中心となるエドワ>>続きを読む
終戦の翌年に撮られた時代劇でGHQの検閲で殺陣が取れないとか色々制約があったらしい。将軍の隠し子の青年が一目父に会おうとする人情話しだが、ラスト10分の盛り上がりが凄い。坂東妻三郎を取り囲む御用提灯を>>続きを読む
大阪の長屋の端っこの高台下を汽車が走るのが音と煙で示され通天閣が煙る、そのセットが素晴らしい。高台の下を汽車が走って行くのが移動しながら吐き出される煙で示される躍動感ある美しいショットはその後製作され>>続きを読む
「取り憑かれた男」の凄みを感じさせるフリッツラング的な作品だが、緊張感の持続が、たとえば「飾り窓の女」や「スカーレットストリート」などに比べると緩くて物足りない感じが否めない。デートリッヒがおばさんで>>続きを読む
ルビッチの省略の見事さは語り尽くされているが、映画にしても演劇にしても、直接見せたり語ったり説明したりしないで、観客に想像させることがどれほど豊かで幸せなことかを実感させてくれる素晴らしい作品。
同時多発テロの首謀者の疑いをかけられキューバの収容所に拘束され続けるモーリタニアの男をジョディフォスター扮する弁護士が救う。ジョディフォスターの存在感が圧倒的で彼女なら裁判で負けないだろうと思わせられ>>続きを読む
5人の犯罪者を巡る意外なドンデン返しの物語だが、なんか物足りない。冒頭でクライマックスを見せてそこに至るまでを回想で見せて行くので「最後はどうなる」というサスペンスが最初から欠如していて、途中までこち>>続きを読む
ローアングルから空を背景に走る人力車が美しい。最初、カットの繋ぎや手ブレの激しい移動撮影に違和感を感じたが、次第に演出のリズムに心地よさを覚える。特に月形龍之介が機嫌よく酒を飲み、寒気がすると言って横>>続きを読む
モンティ・パイソンのテリーギリアムは大好きだけど彼の映画は今一つという感を今回も抱いた。カフカ的な悪夢の世界や小道具、衣装等の造形やちょっとしたギャグ、アイデアは素晴らしいのだが、物語を引っ張る物語構>>続きを読む