天馬トビオさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

天馬トビオ

天馬トビオ

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あした晴れるか(1960年製作の映画)

3.0

ただただ明るい、脳天気な、正義感あふれる、ちょっと子どもっぽくて母性本能を刺激する好青年、石原裕次郎。
おでこ丸出し、仕事バリバリでお酒もいける、ツンデレなメガネっ娘、芦川いづみ。
中平監督の演出も都
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NAGISA なぎさ(2000年製作の映画)

3.5

江ノ島を望む湘南鵠沼海岸。海の家が乱立し、スピーカーからは大音響で歌謡曲が流れ、若者や親子連れの海水浴客で芋の子を洗うような雑踏。かたや、三方を岩山に囲まれた、地元住民も近づかないような、静かで秘密め>>続きを読む

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

3.0

連綿と続く〈ゴジラ・シリーズ〉。その中で〈ミレニアムシリーズ〉と呼ばれる一連の作品中の最高傑作にして、シリーズ全体にとっても画期となる作品。

一つ目の、画期。シリーズで初めて、なぜゴジラは必ず日本を
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(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

3.5

田中登監督の、そして日活ロマンポルノ・シリーズの傑作。

文学や映画の題材に、「聖なる娼婦」と呼ばれるような女性が登場することがありますね。例を挙げれば、『罪と罰』のソーニャでしょうか。本作の芹明香扮
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大魔神怒る(1966年製作の映画)

3.0

ちゃんと「時代劇」しているところは、さすが三隅研次の作品か。昔は子供向けの特撮であったても、役者さんも監督以下スタッフもきちんと作っていたことがよくわかる(大映でも東宝でも)。

恋人たち(2015年製作の映画)

3.5

「日本って、クソですよね」

主人公が何度となくつぶやくこの言葉が、映画全体を貫いている。

妻を通り魔に殺された青年、ゆるい日常生活から抜け出したい人妻、偏見と誤解にさらされる同性愛者。それぞれが細
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軍旗はためく下に(1972年製作の映画)

3.5

『野火』とともに、旧帝国陸軍の南方戦線での悲惨な状況を描くツートップ。

敗走、上官殺害、敵前逃亡、飢餓、人肉食……多視点で描かれる戦争の様相は、本家『藪の中』同様に、どれが真実で、どれが妄想か、正解
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悪魔が来りて笛を吹く(1979年製作の映画)

3.0

すみません、脚本が不出来なのか、ぼくの理解力が劣っているのか、事件の原因、解決の過程がさっぱりわかりませんでした。梅宮辰夫の変な闇屋の大将は、原作にも出てくるのでしょうか。何よりも西田敏行の金田一耕助>>続きを読む

岸辺の旅(2015年製作の映画)

3.0

「岸辺」とは、あの世(彼岸)とこの世(此岸)、それぞれの「岸」を指すのでしょうか。成仏できないままに岸辺を行き交う魂を救ってあげられるのは、生きている人たちの未練を捨てたあきらめでしょうか、尽きぬ哀し>>続きを読む

風林火山(1969年製作の映画)

3.0

実はこの映画、封切り時に観ています。歴史好きの中学生にとっては生涯忘れられない作品になりました。ところがそれから40余年たって観なおしてみると、ずいぶんとチープな作品に感じてしまいました。

だから怖
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伊豆の踊子(1954年製作の映画)

3.0

何度も映画化されている『伊豆の踊子』、今回は1954年製作の野村芳太郎版を鑑賞。踊子は美空ひばり。
踊子の小学校を帝大生と二人で眺めるシーンや、物乞いや旅芸人を禁ずる村の立て札などに、後年の『砂の器』
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銀座の恋の物語(1962年製作の映画)

3.0

まだ当時の銀座は、一歩裏通りに入ると民家が残り、そこここに下町情緒が残っていたことを感じます。画家志望の若者とお針子の恋。あの時代の銀座だからこそ、そんな恋もあったんでしょうね。

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

3.0

「松明は引き継がれた」。ヒーローの血脈は、かくして次の世代に引き継がれていくのか。この映画のキモは、バットマン死後の、ラスト10分にある。

ニッポン無責任時代(1962年製作の映画)

4.0

年功序列に終身雇用。社内恋愛に接待三昧。右肩上がりの成長期のお気楽サラリーマン。こんな時代にサラリーマンをやりたかったよ、ほんと。

狂った野獣(1976年製作の映画)

3.0

おマヌケな銀行強盗は、中卒で大阪に出てきて仕事を転々とし、女に持てたことも、大金を手にしたことなど一度もないような70年代の最底辺を生きる二人組。その一人、川谷拓三が唄う「南国土佐を後にして」が哀しい>>続きを読む

三大怪獣 地球最大の決戦(1964年製作の映画)

4.0

僕にとっての怪獣映画の原点。こどもの頃にリアルタイムで観て以来だったけど、いくつかのシーンは記憶どおりだった。刑事・夏木陽介が、記憶を取り戻した王女・若林映子の質問「あなたはどなた?」に、「貴女のボデ>>続きを読む

きみはいい子(2014年製作の映画)

3.0

正直、観続けることが辛い映画だったけれど、尾野真千子を抱きしめる池脇千鶴に救われた。彼女、いい女優さんになったなぁ。

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)(2007年製作の映画)

4.0

理想の世界実現のための革命を希求しながら、同志リンチ殺人や銃撃戦を引き起こし自壊していく過程。ねじれ歪んだ思想から生み出される狂気に慄然とし、繰り返される粛清の残酷さに吐き気すら感じてしまいます。見続>>続きを読む

少年メリケンサック(2008年製作の映画)

3.0

最近の若手女優さんの中で、ぼくの一番のお気に入り、宮崎あおいの演技力にまず驚きました。映画「初恋」の翳のある女子高生や、大河ドラマ「篤姫」の凛とした女性像からは想像できない、彼女のコメディアンヌとして>>続きを読む

鴨川ホルモー(2009年製作の映画)

3.0

ホルモーたちとの共演をCGでみごとに表現した特殊撮影技術もみごとですが、青春映画としての面白さが際立っていたと思います。大森一樹監督の「ヒポクラテスたち」もそうですが、京都の町を舞台に大学生を主人公に>>続きを読む

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

5.0

長尺2時間半を超す大作ながら、一瞬たりともダレたところの無い緊張の連続。時系列で描かれた日本近代史の分水嶺となる一日を、追体験できる興奮と喜びは何事にも代えられない、まさに映画ならではの至福の境地。>>続きを読む

赤い鳥逃げた?(1973年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

メーテルリンクの〈青い鳥〉が幸福の象徴であるならば、この映画のタイトルになっている〈赤い鳥〉は、いったい何の象徴なのだろうか? それを、既成権力への反逆の象徴と答えることは簡単だろうが、主人公の三人に>>続きを読む

桜田門外ノ変(2010年製作の映画)

3.0

いわゆる桜田門外の変――後世、義挙と称えられ、烈士と顕彰されても、所詮やっていることはテロであり、人殺しにすぎない。しかし残念なことに、世界の歴史はそうした「暴力」によってのみしか変わろうとはしない。>>続きを読む

天国と地獄(1963年製作の映画)

4.5

三船敏郎のかっこよさが際立っている。

野心家として情を捨てるか、地位と名誉を捨てて人を救うか、その狭間で揺れるあたりはある種ステレオタイプの演技だったかもしれないが、後者として生きることを決断して以
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ノルウェイの森(2010年製作の映画)

3.0

小説は小説、映画は映画ということ。上下2冊の長編を2時間程度にまとめるなんてどだい無理な話。要は脚本家や監督が、いかに原作を読み込んで自分のものとしているか、否かってことでしょう。おおむね小説と映画の>>続きを読む

告白(2010年製作の映画)

3.0

先ずは、地上波放送など絶対にできない、きわめてアンモラルな内容の物語の映画化を断行したプロデューサーの英断と、どうしようもないくらい下手くそでリーダビィリィティに欠ける原作を、モノトーンにも近い色調の>>続きを読む

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

5.0

長いこと映画を観ていると、自分にとっての「極私的映画」というものがいくつかあることに気がつく。映画史上の「記録」に残る作品ではなくても、自分にとって忘れることのできない「記憶」の輝きに彩られた映画のこ>>続きを読む

マイ・バック・ページ(2011年製作の映画)

3.0

冒頭、閉鎖された東大安田講堂に沢田が忍び込むシーン。籠城戦で廃墟となった構内の壁に残る、あの有名な落書き――「連帯を求めて孤立を恐れず」。出だしは悪くない。本編への期待は高まる。

ラスト、居酒屋で沢
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SUPER 8/スーパーエイト(2011年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公が肌身離さず持ち続けていた母親の形見のロケット。ラスト、生まれ故郷に帰るエイリアンの宇宙船に向けて、みずからの意思でそのロケットを手放すシーン(このとき初めてロケット内の写真が画面に)には涙が出>>続きを読む

いちご白書(1970年製作の映画)

4.5

食料調達係りとなってドラッグストアで買い物を済ませた二人が、食べ物でいっぱいになったカートを押しながら走るシーン。キム・ダービーの可愛らしさが際立つ、このさわやかで、疾走感あふれるロマンティックなシー>>続きを読む

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-(2011年製作の映画)

2.0

歴史をさらりと描き、重みに欠ける。誰が戦争を起こし、誰がどう戦い、誰がどうやって終結させたのか。戦争映画に徹底するのではなく、視点を民間人に置いたところも失敗。何よりも、軍人山本五十六を家族思いの人情>>続きを読む

無宿 やどなし(1974年製作の映画)

5.0

圧倒的な美しさである。「日本のルルーシュ」と謳われた斉藤監督の魅力のすべてが、ここに凝縮した感じだ。晩夏の山陰から北陸にかけての海と山の40年前の美しさが、ぼくに懐かしさと悲しみを思い出させる。草いき>>続きを読む

黒部の太陽(1968年製作の映画)

5.0

ついに念願のノーカット完全版を、それも映画館の大スクリーンで観ることができた。この時点で、ぼくの生涯ベストは『七人の侍』と本作のツートップで決まりである。

出演者、演出、すべてが最高の布陣であり、最
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あいつと私(1961年製作の映画)

3.0

あの頃の女子大生って、一握りの限られた特権階級のお嬢さまだったことがよくわかった。妹役の吉永小百合と酒井和歌子も可愛い。

のぼうの城(2012年製作の映画)

2.0

犬童一心にはいつもがっかりさせられるなぁ。美少女が主人公の小品は良かったけれど、大作を演出できるほどの技量には欠けるということだろう。

主人公の若手狂言師、秀吉の大物ミュージカル俳優、それに武闘派家
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まむしの兄弟 二人合わせて30犯(1974年製作の映画)

3.0

ミリタリーージャケットにパンタロンのジーンズ。フーテン少女の歌う「赤色エレジー」に昭和の香りがプンプンと匂っている。そんな彼女が文太兄いに捧げる一世一代の純愛には、荒唐無稽な展開もぶっ飛んでしまう。