Tocoさんの映画レビュー・感想・評価

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

理論と真理を追求する精神はかくも高潔だが、人間はその部分だけで構成されていない。ナチス、共産主義、ソ連、安全保障等の諸問題が入り乱れていて登場人物も多くて情報過多。ゆえにメインのストーリーラインが弱す>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.3

ベラと関わる男性たちの「賢明な女性への抑圧」や「純真を傷つけたい欲望」は現代でも蔓延していて、将軍の領土発言はイギリスならではのパワーワードだった。
こうした男性たちと比較するとゴッドの父性の尊さが逆
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

日常の感じ方を変えさせる映画。この映画を見て、もっと身の回りの人を観察し、もっと毎日を大切にして、人に優しくなろうと思う。啜り泣きも聞こえたが、クリスマス前夜にこの映画を1人で見ているような人には刺さ>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

見る前はなぜ戦後の設定なのだろうと感じたが、ゴジラ70周年という節目を考えるとアリだった。戦後のPTSD、放射能、キノコ雲、特攻隊など日本のトラウマをゴジラに全部乗せしているのだが、依代モチーフを生み>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.8

原作とも水木しげるの戦争体験ともよく繋がっていてリーチが深い。現代と過去の鬼太郎がクロスする工夫されたエンディング。風景もバトルシーンも手がかかっているし作品としてテンポが良い。差別、虐待、PTSD、>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.6

基本的には裏切りがテーマなのだが、コメディ要素も相まってどこかあっけらかんとした雰囲気漂う異色の時代劇。新しい要素は沢山あるのだが、リアリズム演出や事実を徹底追求してはおらず、その肩の力が抜ける感じが>>続きを読む

アンダーグラウンド 4K デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

4.0

戦争は些細なすれ違いとカオスの果てにある。ユーゴの哀しさと行き場のなさよ。回転とループ構造は抗えない苦しみの連鎖を生み、猿は原始性と人間の野生の象徴のように思えた。逆さのキリスト、子供のような息子の結>>続きを読む

ナワリヌイ(2022年製作の映画)

3.5

ロシアはとんでもねぇ…ナワリヌイ氏はとってもチャーミングで素敵な人ですね

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

アニメーション的なる言語によって映画が構成されているがゆえに抽象的に感じた人も多いだろう。でも落ち着いて表現されたものを見つめると、それは困難を克服しようとする、時間も空間も異にする人々の間に生まれる>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

3.8

怪物というタイトルを見て、怪物を探そうとした私のような人間を描いた映画なのかもしれない。
導入シーンから想像するラストとは大きくことなる映画。だがそれがいい。鑑賞者をミスリードする映画なのだが、ある意
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ガタカ(1997年製作の映画)

4.0

優生思想へ抵抗する不適応者の主人公というSF映画と思うなかれ。この映画の懐は予想以上に大きく、友情や兄弟の確執、サスペンスの要素が盛り込まれていて飽きさせない。何よりも、不可能を可能にしようとする者と>>続きを読む

私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

2.8

人々への憎しみが殺人の動機だが、彼女が受けた被害はあまり描かれない。よって、惨劇の説得力や共感は全く抱けない。さらに、事件後の彼女の変容は責任の所在の否定でもあり、映像からは悪の存在が全く窺えない。そ>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

何が起こっているのかは終始わからないのだが、家族の危機という問題が普遍的であるがゆえに、この映画に感動することができる。カオスと混乱の描写はまさに今、私たちが体感している世界のことであり、描かれている>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.0

エンタメとしてはとてもよい。CGとはいえ京都が一部めちゃくちゃになったり、エセ五輪キャラの怪しい活用や、車内販売員に表されるようなマニュアル的振る舞いなど、日本文化のチープかつシュールなところが程よく>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.2

沼地に住んでいるのに身なりが整いすぎている感はあれど、ちゃんと彼女に自然の厳しさが浸透しているのが良いと思う。

脚本的に曖昧な部分もあるけど、直接の行動に至らずとも、たくさんの罠を仕掛けられる部分も
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ブエノスアイレス 4Kレストア版(1997年製作の映画)

4.1

ざらつきのあるDVD画質も好きだが、 4Kの鮮明さは映像の意図もより明確に伝えてくれた。
DVDで3回ほど見たのに、それでも感動して胸が痛くなるのは何故だろう。奔放なレスリー・チャンと一途なトニー・レ
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女っ気なし(2011年製作の映画)

3.1

小一時間の作品としてのまとまりは申し分ない。慣れないクラブで上手く踊れないシルヴァンを見て身につまされる思いになった人は私だけであるまい。
私はシルヴァンの周囲にあるものが印象的だった。日本のゲームや
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灼熱の魂 デジタル・リマスター版(2010年製作の映画)

3.5

ギリシア神話でこんな話があったけど、一層残酷になっていた。当時の社会体制の知識が乏しいし、作品の中での説明もあまりないが、それがこの作品のプライベートなものに、芸術的なものにしている。
さらに、憎しみ
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二百三高地(1980年製作の映画)

3.1

実際に斜面を掛け声と共に何度も駆け上がる場面や銃剣の肉弾戦は見応えがある。演出には古臭さも否めないが、ゴールデンカムイの読者もぜひ見てほしい。

私が注目したのは、乃木大将を下ろさない理由の部分だ。合
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.6

過去との確執、ヒロインの描かれ方、脚本などハリウッドの教科書のような作品。しかし、ならず者国家が明確に描かれていなかったり、ドローンなどの無人戦闘機が取って代わるであろう同時代性もある良作。キャリアを>>続きを読む

インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)

2.6

意味不明な映画を沢山見てきた中でも最上位に来る謎映画。というか、物語の主軸そのものが不明確なので、そもそもプロットを追う必要がないのかも。前半は退屈だけど、後半はなぜか惹かれるものがあった。監督の個人>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

3.3

音楽は良い。が、ミュージカル映画ゆえに、音楽を聴くための時間を確保するために、物語が犠牲になった感は否めない。

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