このレビューはネタバレを含みます
最悪を描こうとする映画は多い。だがこの映画のテーマは最悪の「その先」にあるものだ。テロで最愛の妻を失い、幼い息子は母親の名前を呼んで駄々をこね、そして息子が眠りにつく夜になると、今度は途方もないかなし>>続きを読む
原作は冷戦時代に書かれた児童向け小説であり、この映画はゼロ年代の高校生たちの恋愛を主題に置きながらも、原発事故の現実を容赦なく描いているという点で特筆すべきだと思う。これはドイツ映画であり、そしてドイ>>続きを読む
語られる言葉は限りなく少ない。あるのはリゾート地の波の音、遠くで鳴るパーティのBGM、青く透明な海、ビデオテープ。デビッド・ボウイの、アンダー・プレッシャーが流れるなか踊る、父の姿。見終わった後で、鑑>>続きを読む
この作品を観るまで、同性カップルが直面する困難さがそこまで自分のなかにまだ入り込んでいなかったことを恥じた。
911の被害者遺族による航空会社への訴訟を防ぐため、国策的に始まった「支援基金」の設立の>>続きを読む
光と影は不可分だ。ヒラリーに起きた出来事も、支配人のオフィスも、そしてヒラリーとスティーブンとの関係も、分け隔てることはできない。観客が美しいと思うエンパイア劇場のやわらかいひかりと、居心地が悪くなる>>続きを読む
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「最初からこうするべきだった」
ひどい鬱状態になり寝込んだ父親を起こすために、ニトラムはそう言って父親を何度も殴った。殴られた父親は「わかった、わかった」といって立ち上がる。ここに、彼が気づいてしまっ>>続きを読む