とんこつたろうさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

とんこつたろう

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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.1

心から自分を愛する者が味わう、薔薇色の地獄絵図といえようか。
彼らが抱える虚しさの矛先は己の不甲斐なさにではなく、常に自分への敬意を無くしてしまった世界に対してなのである。延々と語られる一人称の嘆きは
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マジック・イン・ムーンライト(2014年製作の映画)

3.3

自分にとって都合の良い解釈だけに没頭する行為は信仰心のみに限らない。恋愛の初々しさは同じだけの危険性を孕んでおり、主人公のヒロインに対する滑稽な盲信っぷりはダブルミーニングを成している。
皮肉に溢れる
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人の望みの喜びよ(2014年製作の映画)

3.5

他人の孤独に寄り添うというのは、いかに覚悟が必要で難しいことか。苦しみを言葉でアウトプットできない子供たちにとって、震災以降の世界がどのように見えているのか伺い知れる貴重な作品。
"生"への執着を瑞々
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パレードへようこそ(2014年製作の映画)

4.0

与られた境遇が全く異なる他人との関わりのなかで、自分に向けられた優しさを見いだす人々。違いを越えて同じ方向へ歩もうとする姿に理想の世界を垣間見た。世間との折り合いやエイズなどLGBTの生きにくさのほか>>続きを読む

陽だまりハウスでマラソンを(2013年製作の映画)

2.7

ジジイのスポ根コメディじゃないんですね。老夫婦と独身娘の人生を対比して、生涯の伴侶と歩むことの尊さを説く人間ドラマです。
個人的には脇を固める魅力的なキャラたちの想いをもっと掘り下げてほしかった。だっ
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カフェ・ド・フロール(2011年製作の映画)

4.0

脈絡のない2つの物語がどう繋がるかと思えば、まさかの形で全てが結び付く瞬間に納得。
反則技なので賛否は激しく別れるも、向き合うことに疲弊した3つの魂がひとつの終着点に辿り着く様に安らかな救いを感じる。
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22ジャンプストリート(2014年製作の映画)

3.2

前作には及ばぬが、ジョナ・ヒルが放つ過剰なダサさとチャニングの無駄なイケメンっぷりが活きた笑いは健在。あらゆる差別の扱いようにヒヤヒヤしつつ、しっかりとユーモアに富んだジョークとして転化させるのは流石>>続きを読む

ブルックリンの恋人たち(2014年製作の映画)

2.8

昏睡前における家族の関係性を描き足せば、その喪失感に観客も強い共感を得られたはず。
単にありがちな展開を辿るだけなので悲劇を前に置いてけぼりを喰らった。ラストの選択もあまり必然性が感じられないが、リア
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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

3.9

歴史サスペンスに留まらず、時代と共に変遷するマイノリティの立場に迫った意外な切り口に驚かされる。権利のために戦う海外勢の活動を見ては、日本にはない真っ直ぐなエネルギーを感じる人も多いのではないだろうか>>続きを読む

ジュピター(2014年製作の映画)

2.8

既視感だらけのストーリーと独創性に欠けたキャラデザやメカデザイン。加えてやたらと説明的に掘り下げられた展開には、ニュアンスで語ることを得意としたウォシャウスキー姉弟の作品とは思えぬ安直な出来映えに。資>>続きを読む

ネイバーズ(2014年製作の映画)

3.4

クソ学生どもがクソなりにも、大人として成長していく姿に愛おしさが込み上げてくる。気付けば青春が終わりかけている絶望や焦燥を味わった人は多いんじゃないだろうか。学校文化の違いに共感こそ出来ないが、ザック>>続きを読む

あしたになれば。(2015年製作の映画)

2.8

口説い演出とキャラ設定、笑わせ所もふた昔以上遡ったようなタッチでテンプレのようにコテコテの青春映画。だがひたむきに煌めく若さというのは、作品の粗さえも帳消しにしてくれるほど尊いものだと解った。
夏服、
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イントゥ・ザ・ウッズ(2014年製作の映画)

2.8

バラバラの御伽話を巧みに紡ぎ合わせた前半の盛り上がりが素晴らしく、ファンタジーとミュージカルの魅力を最大限に引き伸ばした相乗効果を発揮している。
しかし完全オリジナル要素である後半は伝えたいことを詰め
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博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)

3.6

無償の愛に伴うリスクと負担を通し、夫婦愛を美化せず描いた数少ない尊きラブロマンス。
寄り添うことの本質を理解したが故の決断には、ほろ苦さを味わいつつも納得の余韻。博士の数奇な半生も重要だが、軸となるの
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ソロモンの偽証 前篇・事件(2015年製作の映画)

4.0

中学生が司法制度を理解する過程をハブいたのは裁判という行為への説得力に欠けるが、間延びへの防止策とすれば納得の添削。キャラクター像を掘り下げることでカバーもできている。

脚本の魅力も去ることながら、
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女神は二度微笑む(2012年製作の映画)

2.8

散々謎を引き伸ばし煽っておきながら、想像範囲内のありきたりな結末を迎えたことが残念。「ひょっとして・・・」が的中。
しかし伏線の張り方は技巧的で、そのプロセスはこれまでのインド映画の中で最もハリウッド
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アフリクテッド(2013年製作の映画)

3.3

能力系POVなら二番煎じだが、製作自体はクロニクルよりも前だそうな。資金難による撮影中止を挟む苦労作でCGは控えめだが、その粗い映像がかえって現実味を増し世界観に没頭できる仕様。
作り手側のハングリー
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プリデスティネーション(2014年製作の映画)

3.5

B級アクション出身監督がタイムリープという壮大な題材を纏められるか不安だったが、フォーカスを主人公周辺の動きにのみ捉えたことでスケールの大きさをカバー。
華やかさには欠けるものの、伏線の引き方には二転
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かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.3

少女が偶像として崇め讃えられ、その業を孤独に背負う姿が残酷に描かれていく。彼女の想いをよそにして、富を得る毎に美しく色付く世界はなんと皮肉なことか。
ただひとつの実直な想いを乗せた生命賛歌でもあり、皆
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

3.7

グルメ・ロードムービーという新たなジャンルを開拓したに留まらず、TwitterやVINEなどSNSの実態や利点を生かした要素が時代の動きを端的に捉えている。
離婚してもなお円満な家族関係というのも21
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君が生きた証(2014年製作の映画)

3.8

渋めの音楽映画かと思えば、強烈で重厚な絶望がトリックのように仕掛けられている。しかしここで重要なのは衝撃の度合いではなく、"誰しも先入観で物事の価値を見落としているのでは"ということ。
真実を前に人々
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死んだ目をした少年(2015年製作の映画)

3.5

鬱屈した青春を描く割に掘り下げが浅い。負け犬学生たちの醸し出す滑稽さはウィットに富んだ笑いがあるが、主人公の絶望から滲み出るどん底感がやや希薄。ラストに至るまで彼らの抱える深刻さは伝わらなかったが、キ>>続きを読む

きっと、星のせいじゃない。(2014年製作の映画)

3.3

斜に構えたような強さを持つ主人公たちが魅力的。大抵の難病モノは世界一不幸な私の顔をするが、理不尽な死とは明日は我が身で他人事ではない。
"この世界に何を残せるのか"という疑問をユーモアに富んだ口調で語
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