touchさんの映画レビュー・感想・評価

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まだ明日がある(2023年製作の映画)

3.9

"お母さんはいつも何もしてくれない そうかしら?"
* * *
イタリア映画祭2024にて
家父長制のヤダみをグツグツに煮込んだコメディドラマ。
「これがオッペンハイマー&バービー超えの2023年イタ
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青春(2023年製作の映画)

3.5

"金を稼ぐのって楽じゃない"
* * *
衣料品工場に住み込みで働く若者たちの群像ドキュメンタリー。
猛スピードの裁縫手さばきにまず目を見張る。
終わらない作業の繰り返し、まったく埒があかない賃上げ交
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.8

"人類も食物連鎖の中にいる 怪獣はそのことを思い出させてくれる"
* * *
観たいものが観られて大満足、期待通りの快作。
コングとちびコング、さながら「子連れ狼」の関係構築を人間抜きで進めていく思い
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

"大事なのはバランスだ。やりすぎたらバランスが壊れる"
* * *
あえて形容するなら「一流シェフがつくる極上キャンプ料理」。
小規模・低予算でもここまでできるという心意気をいまいちど見せつけられた感
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空に聞く(2018年製作の映画)

4.0

"高田のことだけやるラジオにしようって思ったんです"
* * *
陸前高田災害FMパーソナリティを務めた女性のドキュメンタリー。
小森はるか監督だから撮れたであろう風通しの良さ。
まちで長く暮らす人々
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マイ・スイート・ハニー(2022年製作の映画)

-

"イタいやつが多すぎる"
* * *
試写にて
いまどき珍しいぐらいコテコテのロマコメで一周まわって新鮮だった。
ベタな設定を盛り込みつつ、思いもよらぬポイントで予想を裏切ってくる。
『梟 フクロウ』
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異人たち(2023年製作の映画)

4.0

"これは現実?"
* * *
得られなかった愛、喪失と孤独、それでも続く人生…。
心の調子がよくないときに観たら死に引き寄せられてしまいそうで怖い。
ポール・メスカルの何者にも代え難い存在感。物哀しい
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愛していると伝えて(1977年製作の映画)

3.8

"わたしの人生はわたしのもの"
* * *
初クロード・ミレール。愛と呼ぶにはあまりにも歪なメロドラマ。
幼馴染に粘着する男、そんな彼に執心するストーカー気質の隣人女性、彼女に夢中の奔放な同僚…激ヤバ
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.8

"失って初めて本当の価値を考える"
* * *
ノーラン監督の代名詞ともいえる前後する時系列、緊張感を煽る秒針音の演出…デビュー当時から現在の作風が既に確立されていたことが分かる。
だが、70分という
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.0

"ノンと言うべき時に どうしてウィと言ってしまうのだろう?"
* * *
ビビッドな色彩が目に楽しい傑作!
亡き父との想い出の料理、パプリカチキンを作る母娘の約束がとんでもない大騒動に…。
誰も彼も清
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ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ(2022年製作の映画)

-

"私はただの母でしかない"
* * *
試写にて
グアンタナモの米軍施設に収監された息子の解放を求めた女性の奮闘記。
無情にも過ぎていく月日が恐ろしい…。
重い題材ながら人権派弁護士との凸凹バディムー
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

3.5

"同時にいろいろ起こりすぎだろ!"
* * *
土方歳三と北の大地に隠された財宝の争奪戦…どうしたってゴールデンカムイが脳裏にちらつく。
幕末から現代へと繋がるアバンの手際の良さに感心したのも束の間、
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.1

"考えすぎなくらい考えましょうよ"
* * *
試写にて
こんな石原さとみは見たことがない…復帰作にしてキャリア最高の演技。つられて思わず咽び泣いた。
子を失った親の複雑な心理とマスメディアの報道姿勢
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.5

"白砂のような死んだ脳では 自分でも食べられない"
* * *
ミア・ゴスと関わったが最後、約束された破滅。捻転するカメラ、ネオンカラーの嗜虐の誘惑。
「高級リゾート地で自分のクローンに罪をなすりつけ
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.0

"言葉がわからない"
* * *
異文化に対する軽蔑、傲慢な利己心がもたらすディスコミュニケーションの悲劇。
荘厳な大自然を前にした生命のちっぽけさたるや…。
人間の愚かな業をたとえ神(GOD)は赦し
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.1

"俺たちの一族は呪われている"
* * *
試写にて
アカデミー賞はなぜこの傑作をスルーしたのか?
今年ベストキャストアンサンブル映画の最有力候補。
プロレスラーの肉体を完璧に作り上げたうえに技の数々
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貴公子(2023年製作の映画)

-

"死ぬ前に会う最後の友達"
* * *
試写にて
荒唐無稽なハッタリに翻弄される痛快さ!
『THE WITCH/魔女』のパク・フンジョン監督らしいケレン味たっぷりのバイオレンス・ノワール。
立ち止まっ
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.8

"生き残ることがアートだった"
* * *
医療用麻薬オピオイドの被害者団体を創設した写真家ナン・ゴールディン。彼女の半生を振り返るとともに、薬害拡大の元凶とされる製薬会社の経営一族、ひいては彼らから
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プリシラ(2023年製作の映画)

-

"私は自分の人生を生きる"
* * *
試写にて
正真正銘、プリシラの物語だった。
『エルヴィス』で見えなかった彼女の人生、まるで籠の中の鳥の幽閉生活に光を当てる。
グルーミング的な出会いに始まりDV
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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

3.9

"ピカソになった気分よ"
* * *
人工中絶が違法だった当時のアメリカで推定1万2千人の中絶を支援したとされる女性団体「ジェーン」。
裕福で何不自由ない生活から一転、ひとりの専業主婦がその活動に身を
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美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

3.6

"後悔から自由は始まる"
* * *
クレール・ドゥニ監督登壇イベント付先行上映で観た。
鍛えた肉体の躍動、訓練された無駄のない動きを群舞として捉え、洗練された所作の中に美を見い出す視点は興味深い。
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.8

"まったく こんな悪童だらけじゃ 日本の未来が思いやられるね"
* * *
高純度なサイコキラー映画。
沖縄の歴史、基地建設問題を後景化している点や「コンデジの動画でそんな鮮明に撮れるか?」など作劇の
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.2

"こちとらナチュラルボーン世紀末なんだよ!"
* * *
ドラえもんとデスノートの悪魔合体。
素なのかギャグなのか煮えきらない時代錯誤のオタクキャラ造形、fromおっさんtoおっさんの内輪ノリでずっと
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けもの(仮題)(2023年製作の映画)

3.9

"美しきカオスに身を委ねて"
* * *
横浜フランス映画祭にて
3つの時代・人生が複雑に絡み合う大怪作。
それぞれの感情、過去の記憶を継承(?)するようにして未来へと収束していく多層的な構造、ザッピ
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愛する時(2023年製作の映画)

3.5

"深淵にいたる情熱だけが 心の芯に火をつける"
* * *
横浜フランス映画祭にて
謗りを受けるドイツ将校との恋、法で禁じられた同性愛…ひと筋縄でいかない愛に翻弄されながら生きたある男女の物語。
カッ
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オキュパイド・シティ(原題)(2023年製作の映画)

3.6

"NO MORE FASCISM NOW"
* * *
TBSドキュメンタリー映画祭にて
『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックイーン監督によるドキュメンタリー
4時間超の挑戦作。
コロナ禍のアム
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関心領域(2023年製作の映画)

3.8

"夫があんたを灰にして 辺り一面に撒き散らしてやる"
* * *
先行上映にて
アウシュヴィッツ収容所に壁を隔てて隣接する箱庭のような邸宅、そこで暮らす所長一家を見つめる映画という構造がまさに「関心領
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

"生きてる限り君を愛す"
* * *
三部作の中編として見事な一本。
砂虫が活躍するダイナミックな横移動の爽快感。
戦闘の撮り方も格段に良くなっており、前作の反省を踏まえた工夫が目に見える形で結実して
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世界の人々:ふたりのおばあちゃん(2023年製作の映画)

3.3

第96回アカデミー賞 短編ドキュメンタリー賞ノミネート作品
家での様子を捉えたショットがいちいち作為的で「いい画が欲しい」という企みが鼻につく。
「孫が撮ったホームビデオ」でしかなく、残念ながら大きな
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.8

"なんだか、きょうはいつもと違うことができそうな気がしてます"
* * *
丘陵地を切り拓いたゆるやかな起伏の多摩ニュータウンのランドスケープ、レトロフューチャーな建築が不思議なリズムに。
かつてここ
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ボビ・ワイン:ゲットー・プレジデント(2022年製作の映画)

4.0

"とっくに覚悟は決まってる"
* * *
ウガンダの腐敗した長期政権打倒を目指すゲットー出身の歌手に密着したドキュメンタリー
政治集会では警察の実弾で死傷者が出て、支援者は拉致されて…ボビ氏も何度も不
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雪山の絆(2023年製作の映画)

4.0

"諦めてないが 死にかけてる"
* * *
事故描写の生々しさ、容赦なく襲う自然の猛威、寒さと飢えのとてつもない絶望感。
ホラー仕込みのパニック演出に引き込まれる。
手紙のリレーをラグビーのパスになぞ
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π〈パイ〉 デジタルリマスター(1998年製作の映画)

-

"数学は万物の言語だ"
* * *
試写にて
ダーレン・アロノフスキーの原点、孤高のニューロティックスリラー
白黒の鮮烈なコントラスト、退廃的な電子音楽がバキバキにキマッている。
執着と破滅というテー
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.6

"白人が求めてるのは 真実ではなく免罪符だ"
* * *
「インテリ作家がヤケになって書いたサグライフ小説が大ヒット」という痛烈な皮肉のアイデア勝ち。
白人視点に偏った文学界の欺瞞、ひいてはそれを映画
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

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"カメラはただの古い量子幻灯機にすぎない"
* * *
アイデアブックをそのまま映したような印象の小品。
写真や文章のコラージュ、断続して鳴る音楽から「作られるはずだった映画」を想像する他ないが、あま
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違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

3.6

"話繋ぐとかそれ絶対人に言わない方がいいよ"
* * *
こんがらがった4人の恋愛群像劇。
「えっ」や「あっ」といった間投詞で形作られる会話リズム、二人の掛け合いを固定長回しで撮るスタイルは確かに今泉
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