touchさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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けもの(仮題)(2023年製作の映画)

3.9

"美しきカオスに身を委ねて"
* * *
横浜フランス映画祭にて
3つの時代・人生が複雑に絡み合う大怪作。
それぞれの感情、過去の記憶を継承(?)するようにして未来へと収束していく多層的な構造、ザッピ
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愛する時(2023年製作の映画)

3.5

"深淵にいたる情熱だけが 心の芯に火をつける"
* * *
横浜フランス映画祭にて
謗りを受けるドイツ将校との恋、法で禁じられた同性愛…ひと筋縄でいかない愛に翻弄されながら生きたある男女の物語。
カッ
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オキュパイド・シティ(原題)(2023年製作の映画)

3.6

"NO MORE FASCISM NOW"
* * *
TBSドキュメンタリー映画祭にて
『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックイーン監督によるドキュメンタリー
4時間超の挑戦作。
コロナ禍のアム
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関心領域(2023年製作の映画)

3.8

"夫があんたを灰にして 辺り一面に撒き散らしてやる"
* * *
先行上映にて
アウシュヴィッツ収容所に壁を隔てて隣接する箱庭のような邸宅、そこで暮らす所長一家を見つめる映画という構造がまさに「関心領
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

"生きてる限り君を愛す"
* * *
三部作の中編として見事な一本。
砂虫が活躍するダイナミックな横移動の爽快感。
戦闘の撮り方も格段に良くなっており、前作の反省を踏まえた工夫が目に見える形で結実して
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世界の人々:ふたりのおばあちゃん(2023年製作の映画)

3.3

第96回アカデミー賞 短編ドキュメンタリー賞ノミネート作品
家での様子を捉えたショットがいちいち作為的で「いい画が欲しい」という企みが鼻につく。
「孫が撮ったホームビデオ」でしかなく、残念ながら大きな
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.8

"なんだか、きょうはいつもと違うことができそうな気がしてます"
* * *
丘陵地を切り拓いたゆるやかな起伏の多摩ニュータウンのランドスケープ、レトロフューチャーな建築が不思議なリズムに。
かつてここ
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ボビ・ワイン:ゲットー・プレジデント(2022年製作の映画)

4.0

"とっくに覚悟は決まってる"
* * *
ウガンダの腐敗した長期政権打倒を目指すゲットー出身の歌手に密着したドキュメンタリー
政治集会では警察の実弾で死傷者が出て、支援者は拉致されて…ボビ氏も何度も不
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雪山の絆(2023年製作の映画)

4.0

"諦めてないが 死にかけてる"
* * *
事故描写の生々しさ、容赦なく襲う自然の猛威、寒さと飢えのとてつもない絶望感。
ホラー仕込みのパニック演出に引き込まれる。
手紙のリレーをラグビーのパスになぞ
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π〈パイ〉 デジタルリマスター(1998年製作の映画)

-

"数学は万物の言語だ"
* * *
試写にて
ダーレン・アロノフスキーの原点、孤高のニューロティックスリラー
白黒の鮮烈なコントラスト、退廃的な電子音楽がバキバキにキマッている。
執着と破滅というテー
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.6

"白人が求めてるのは 真実ではなく免罪符だ"
* * *
「インテリ作家がヤケになって書いたサグライフ小説が大ヒット」という痛烈な皮肉のアイデア勝ち。
白人視点に偏った文学界の欺瞞、ひいてはそれを映画
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

-

"カメラはただの古い量子幻灯機にすぎない"
* * *
アイデアブックをそのまま映したような印象の小品。
写真や文章のコラージュ、断続して鳴る音楽から「作られるはずだった映画」を想像する他ないが、あま
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違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

3.6

"話繋ぐとかそれ絶対人に言わない方がいいよ"
* * *
こんがらがった4人の恋愛群像劇。
「えっ」や「あっ」といった間投詞で形作られる会話リズム、二人の掛け合いを固定長回しで撮るスタイルは確かに今泉
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

"私は確かに見ました"
* * *
宮中で起きた怪事件を"目撃"した盲目の凄腕鍼師が奔走するサスペンススリラー。
前半は少々もたついているが、後半怒涛のスリリングな展開はスパイ映画の趣き。
権力の腐敗
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.5

"しがみつけ"
* * *
あまりノれず。
展開を理解するうえで重要な「空売り」は十分な説明なく『マネー・ショート』でも観て予習してと言わんばかり。
小口投資家たちが主人公に靡いた理由も説得力が乏しい
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.3

"聞かせてよ あんたの声を"
* * *
完成披露試写にて
『市子』での熱演が記憶に新しい杉咲花の存在感。今作も彼女が物語を終始牽引する。
痛ましい展開の連続に胸が苦しくなりましたが、私は「悲しい」以
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.6

"暗闇と静寂に繋ぎ止められている"
* * *
圧倒的今年ベストの大傑作!
16mmフィルム撮影による温かな映像の質感、心地良いリズムの省略的な編集、主演ふたりの声の耳触りの良さ。
松村北斗のドライな
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赤い糸 輪廻のひみつ/月老 また会う日まで(2021年製作の映画)

4.1

"1万年後も 変わらないものがある"
* * *
Stranger最終上映回滑り込みで観た!
エ〜ッ!何コレ!?めちゃくちゃ面白〜〜!!
人気漫画の設定を集めたような「転生オカルトホラー異能バトル感動
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Here(2023年製作の映画)

4.3

"覚えてる 私の色は緑"
* * *
まるで白昼夢を見た心地。
コンクリートジャングル(都市)で肩を寄せ合い暮らす人々の営みと、森の中にひっそり息づく苔の相似形。
二人の遭遇を起点にマクロからミクロの
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.1

"これが私に見えるもの 聞こえるもの"
* * *
心温まる出会いあり、胸が痛む別れあり…こんなにも揺さぶられるとは…!
一言で表せば「終電で寝過ごして終点駅から家に帰るだけの話」だが、小さな奇跡の連
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.6

アリ・アスター監督のQ&A付き試写にて
さながら底無しの悪夢…主人公ボーの人生を追体験する不安と困惑と狂乱の渦、ずっと最悪を更新していくパニック行脚。エログロナンセンスの悲喜劇に振り回されて最後まで呆
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カラーパープル(2023年製作の映画)

-

"私を蔑する限り あなたには不幸だけが訪れる"
* * *
試写にて
奴隷解放を経てなおコミュニティの男性から虐待されたアフリカルーツの女性たち。
抑圧された怒りが爆発する後半、"声"を取り戻した彼女
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

-

"手放して失ったら その分得られるものがある"
* * *
試写にて
「あの時、離れていなかったら…?」過ぎ去った時間、結ばれなかった初恋に思いを馳せる切ないロマンス。
12歳で韓国から移り渡った監督
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.6

"地獄で生きろや。…承知"
* * *
漫才話芸を意識したという掛け合いのテンポ感。
爆音ノイズの演出・ブツ切りの編集など、かつて助監督を務めていた中島哲也作品の影響が色濃く表れている。
「くすぶって
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.7

"心に決めないと"
* * *
試写にて
雪山の山荘で起きた男性の不審死をめぐるヒューマンサスペンス。
薄氷を履むような法廷劇、ずっと足場がぐらつく感覚。
強さと脆さを表現するザンドラ・ヒュラーの演技
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.6

"天から役目なしに降ろされた物はひとつもない"
* * *
原作者に幻滅して観るモチベーションがだいぶ薄れていたが、知人にお誘いをいただいたので良い機会と観てきた。
ソリッドなアクションパートとギャグ
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ラスト・リペア・ショップ(2023年製作の映画)

4.0

"Just keep going."
* * *
第96回アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門ノミネート作品
アメリカで数少なくなった学生用楽器の修理工場を取材した短編ドキュメンタリー。
楽器分類ごと
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ナイト・オブ・フォーチューン(2023年製作の映画)

3.7

第96回アカデミー賞短編実写ノミネート作品
遺体安置所を訪れた男性が偶然知り合った男性に「亡くなった妻との対面に付き添ってほしい」と頼まれるが…。
見た目には厳つい印象の男性たちが内に抱えた弱さや孤独
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Firebird ファイアバード(2021年製作の映画)

-

"ロミオが星に願ったのは 隠れて会うことじゃない"
* * *
試写にて
ソ連占領下のエストニアが舞台、実話に基づく痛切なラブストーリー
法により同性愛が許されなかった時代、隠れて愛し合うしかなかった
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

-

"彼が克服できなかった最大の問題は…"
* * *
試写にて
ビクトル・エリセ監督のキャリア集大成のような傑作。
撮影中に俳優が失踪したことで未完成となった映画をめぐるミステリー仕立てのヒューマンドラ
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.2

"ありがとう 何か質問は?"
* * *
IMAX試写にて
興奮しっぱなしの90分!自分も立ち上がってジョギングしたくなる!
開幕から次第に増えていくメンバー、陰影コントラストのキマった撮影、複数ライ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.4

"美しいもの以外あかんかったら この街全部消えるで"
* * *
うーん…。原作の時点で既にノれていなかった「反社会的組織の大人と中学生の秘密の交流」という危うい設定が実写になったことでより生々しく映
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レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

3.7

"彼女の思うようにさせてあげて"
* * *
不思議な映画だった〜!
コンクールに応募するため長年寝かせていた脚本を引っ張り出してきた女性が不慮の事故で昏睡状態に。するとなぜか脳内が映画の世界に接続し
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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

4.3

"戦争は爆発音ではなく 静寂から始まる"
* * *
ロシア軍による爆撃で次々に破壊されるマリウポリ市街地、病院までもが攻撃されている凄惨な現実。犠牲になった市民の声、血で染まった担架に胸が詰まる…。
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ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

3.9

"祖国を捨てなければ 生き延びられなかった"
* * *
北朝鮮から脱出を試みる家族とその支援者に密着するドキュメンタリー
現地の手引きはブローカー頼りという「地獄の沙汰も金次第」の悍ましさ。険しい山
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.2

"沈黙は悪くない たくさんの人々が沈黙の機会を逃し 多くのものを失った"
* * *
早くも年ベス級の傑作。
家にも学校にも居場所がなく心を閉ざしていた寡黙な少女が、親戚の夫婦に預けられて少しずつ打ち
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