ジャンさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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アンナ・カレニナ(1948年製作の映画)

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やはり展開が早すぎるが、精神を擦り減らしていくヴィヴィアン・リーの姿だけで画面に惹きつけられる。最初の汽車の場面、アンナとヴロンスキーが、雪が降る中汽車のガラス越しに恋に落ちる(恋に落ちてしまったと明>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

『風立ちぬ』で「生きねば」と言っていたあの世界を崩壊させて、戦争の現実へと帰還するストーリーは、『風立ちぬ』の持つある種の欺瞞(これがあの作品の魅力たり得てもいるのだが)に対する自己批判と受け取った。>>続きを読む

チャップリンの霊泉(1917年製作の映画)

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ホテルの前の井戸を中心に展開されるドタバタコメディ。回転ドア、階段、プールも喜劇の場を作り出す。ドタバタを作り出すチャップリン滑らかな身体が印象に残った。

残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(1967年製作の映画)

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荒野を移動する人物を護送するという物語は西部劇と同じだが、当然馬や銃は出てこない代わりに、剣と矢、身軽な身体がある。存在が示されていない人物が奇襲してきたり、移動する時間を考えるといるはずのない位置に>>続きを読む

無謀な瞬間(1949年製作の映画)

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女が海岸で死体を引きずりボートに乗せて運ぶ一連のシーン、セリフなし・音楽なしで見せるクールさが印象に残った。(その後、風に揺れる枝葉や電灯で緊張感をもたらす演出もあり。)
無償の献身を見せる男がいなく
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北野武 神出鬼没(1999年製作の映画)

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一部は見たことあったが初めて全部鑑賞。北野武からたまたま自殺という言葉が口に出たところを捉えて、蓮實が飄々と(だが言葉を適切に選んで)バイク事故が自殺だったか訊ねる。こうした場面が映像として残っている>>続きを読む

The Musketeers of Pig Alle(原題)(1912年製作の映画)

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ギャング映画の先駆け。銃の撃ち合いで白煙が画面を覆うのが見どころかと思うが、狭い通りをフィックスで撮るだけのところ、奥行きを生かした個々の人物の演出で豊かに見せている。

裸の拍車(1953年製作の映画)

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フィルムノワールの主人公が間違って西部劇に来てしまったような映画。女性に捨てられて心にトラウマを持つジェームズ・スチュアートは、足を銃で撃たれ負傷し(しかもそれが理由で気を失いうなされる)、崖や斜面を>>続きを読む

荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)

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町に敵が襲ってくるから放浪者に頼んで守ってもらうというのは西部劇における物語の典型だが、イーストウッドの身勝手な振舞いが町の中の悪事を浮かび上がらせていく。結果的に町を襲う連中にも、女を強姦するイース>>続きを読む

ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)

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冒頭、ブランコ椅子に腰掛ける女の向こうに見える階段を、白いワンピースを着た女がゆっくりと下りてくる、このショットからぐいぐいと引き込まれた。過去のある事件が現在の人物を飲み込んでいく話がベースにありつ>>続きを読む

荒野のガンマン/致命的な仲間(1961年製作の映画)

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劇映画デビュー作から、暴力の否定の主題があったのかと驚き。水辺で野営するシーンの画角が美しく、夜の薄暗さがそれを際立たせている。ヒステリックになったモーリン・オハラをブライアン・キースが抱きしめキスを>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

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前作とはまったく異なる絵柄で前作の内容を簡潔に提示する時点から、その発想に度肝を抜かれた。アニメの可能性を解放しようとする作り手の気概には当然胸を打たれたが、この手の話への興味がなくなってきている自分>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ジェームズ・マンゴールドにありがとうという気持ちで観ていた。
これでもかというアクションのつるべ打ちなのだが、走る機関車、狭い街路、地下鉄、馬、トゥクトゥクみたいな乗り物、飛行機、水中、砲撃、矢、等々
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コンボイ(1978年製作の映画)

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逃走のきっかけになる酒屋でのドタバタアクションが面白かった。車を何台もクラッシュさせるシーンは久々に見て大満足(エンドクレジットで総集編まで見れる)。車で逃走する主人公たちを市民が応援する構図は『続・>>続きを読む

ラストムービー(1971年製作の映画)

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未開の地で粗野な主人公が悪夢的な経験をする映画の系譜がある気がしており、それに属する映画。そういう意味での目新しさは実はないのかなとも思うが(又はそういう映画の先駆け?)、映画を撮ること、あるいは何か>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

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(基本的には)脚本で引っ張る第一部・第二部よりも、第三部の子供たちの交流の様子が印象に残った。列車の中の親密に心を通わせる子供たちは忘れがたい。住宅街を見下ろすロケーションや時折り差し込まれる湖のショ>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

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クライマックスの、ほとんど抽象化された出鱈目な空間でのアクションが面白かった。カメラが縦横無尽に動き回る感じは映画というよりアトラクションの方が近い感覚を持った。

ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)

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王道のスクリューボールコメディでありながら、男女の恋愛に加えて、女の結婚話とそれに対する妨害工作、死刑囚とその逃亡、市長の悪行やらが絡んできて、話がかなり錯綜している。それ故に情報量もかなり多いドタバ>>続きを読む

オーソン・ウェルズの オセロ(1952年製作の映画)

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シェイクスピア劇をここまで現代芸術に昇華した例があるのだろうか。極端なクロースアップ(背景の黒に白く浮かび上がる顔)、ロングショットとその大胆な構図、傾いたカメラ、高速な編集(殺害シーン)など、表現主>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

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ギャンブラーが次々に大会で勝負を繰り返し、確かセリフでもあったが、話が進んでるのか分からない不条理感が出てくる。ただ、その裏には戦争の痛ましい記憶が響いており、その地味さとは裏腹のサスペンスが終始漲っ>>続きを読む

ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

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屋内は暗い画面で撮ることに徹しており、蝋燭の光だけで営業する酒場という変わった場所まで度々登場させる。対照的なのは屋外の真っ白な雪で、流れる水の冷たさまで画面に映っているかのような荒涼とした水辺が素晴>>続きを読む

ベストフレンズ(1981年製作の映画)

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プロダクション・コード支配下で映画を撮ってきたキューカーが、男女のセックスを露骨かつ官能的に撮っているのがどこか感慨深い。嫉妬で反目し合いつつも、根底に揺るがない友情を持つ女性二人の描き方にも物語的な>>続きを読む

アダム氏とマダム(1949年製作の映画)

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スクリューボール・コメディが、「変人」の主人公による物語から「変わった」状況によるシチュエーション・コメディへと移行したとは加藤幹郎の言だが、まさに後者の典型たる映画。
男女平等を訴えるフェミニズムの
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お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

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男性の女装や女性主導のラブシーンなど、去勢された男性像が読み取れるが、結局はマリリン・モンローによる無条件の恋愛感情によって古典的なハリウッド・エンディングを迎える。

マダムの欲望(1907年製作の映画)

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女が通りがかりの人からお菓子やらワインやらを次々と奪っていき、それを堪能する女の大袈裟な顔を別ショットで見せる。最後は、女がキャベツ畑に倒れ込んだ拍子に子供が生まれてくる(トリック撮影)という謎展開。

フィラデルフィア物語(1940年製作の映画)

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オープニングの夫婦の別れをサイレントで見せる手際の良さが素晴らしい。
基本的にはセリフの応酬で正直疲れる映画だが、車で寝ているキャサリン・ヘプバーンにケーリー・グラントが顔を近づけて静かに会話する、夜
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

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コルベールが船から海に飛び降りて泳いでみせたり、川辺(ロケーションもいい)で寝そべっているその顔に涙が浮かんでいるのをクローズアップで捉えたり、ラストショットで結ばれた2人を映さなかったり、単なる古典>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

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前作よりはよかった。気軽に見れるミステリーをある程度リッチな画面で見れるという意味では良いと思うが、それにしては長すぎるか。

ライトハウス(2019年製作の映画)

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商業映画かと思って見始めたら、モノクロの画面に光や海の美しさを確実に捉える映像にびっくりした。リアリズムと表現主義を難なく両立させるロバート・エガースの才がすごい。

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

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主人公はイニャリトゥ自身の投影である、超現実的な出来事が何らかの隠喩になっている、といった映像の解釈を誘発するつくりなのが勿体ないくらい、時に詩情豊かで、時に卑俗な映像のひたすらな連なりに圧倒された。

知りすぎていた男(1956年製作の映画)

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ロイヤル・アルバート・ホールの一連のシーンが素晴らしすぎる。オーケストラの曲を背景に、暗殺者、標的、それを見るしかない女性を、カタストロフに向けた緊張感を高めつつ交互に見せていく。今やコンサートホール>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

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マット・デイモンのカリスマ性と戦略で周りを次々と説得していき、マイケル・ジョーダンとの契約を掴み取る様子がテンポ良く描かれる。チーム団結ものにもなっていて、戦略を練り、個々が活躍しつつ協力して一つのゴ>>続きを読む

タンポポ(1985年製作の映画)

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序盤の高橋努と渡辺謙が宮本信子のラーメン屋に入ってから安岡力也らと外で喧嘩するまでのシーンの時点で、せせこましいラーメン屋ということも重なって全く良く撮れていないと思ったが、その後も悪い脚本も相まって>>続きを読む

粛清裁判(2018年製作の映画)

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被告たちの証言する様子が淡々と映され、その合間に彼らの処刑を歓迎する民衆の様子が差し込まれるつくり。
ソ連経済を何らかの方法で脱臼させることを企てており、それに加えて軍事的な活動を行うとともにフランス
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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

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人物たちや顔のない亡霊、浮遊する塵までも全てが緩慢に動いている。煉獄と思われる場所は色彩を欠いており、神殿や風車などはあるものの、そこには平板で匿名的な空間が広がっている。人物たちは時に共感し時に静か>>続きを読む

Flight to Fury(原題)(1964年製作の映画)

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冒頭、移動する男をロングショットで撮りつつ、車に乗って外を見る男女のショットにさっと移ることで男が監視されていることを示すと、男は川沿いの小屋で他の男から何やら受け取り、中身を出すと小粒のダイヤモンド>>続きを読む