ジャンさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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旋風の中に馬を進めろ(1965年製作の映画)

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砂漠の斜面や砂埃が映える。1ショット、手前の低い岩壁にピントが合って奥にいる人物がボケていた気がしたけど気のせいかもしれない。

白昼の決闘(1946年製作の映画)

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傑作。決定的な瞬間だけで映画が構成されている。

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

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ストーリーはほんの数行で要約可能なくらいすっきりしており、ミュージカルにしなければもっと短くなると思われる。だが、色鮮やかな衣装や歌声それ自体が最も価値を持つのがミュージカルだろうから、その方が良かっ>>続きを読む

悪魔が夜来る(1942年製作の映画)

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ジルの歌にアンヌが魅せられるショット、そこからアンヌの腕に沿ってカメラが下りるとルノーが手を握っており、ルノーの腕に沿ってカメラが上がるとルノーの嫉妬の表情が収まる。このショットに続いてパーティのダン>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

オープニングで示されるチンパンジーが倒れている女性の周りで何かしているところを低い位置のカメラで捉えてるのがなるほど主観ショットだったのかとか、怪奇現象を敏感に感じ取ることを示すための動物たちかと思い>>続きを読む

ベルリンファイル(2013年製作の映画)

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初っ端から北朝鮮、韓国、ロシア、アラブ(パレスチナ)、イスラエルが出てきて、もちろんその後ドイツやアメリカまで出てくる上に、さらにその中でも裏切りの要素まで入ってきて中々に複雑だが、後半3分の2くらい>>続きを読む

バージンブルース(1974年製作の映画)

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万引きしたところを捕まえにきた店員の顔にケーキを思い切りぶつける秋吉久美子は良かった。それ以外は『妹』に遠く及ばない。

野菊の墓(1981年製作の映画)

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坂道を駆け下りる松田聖子をスローで捉える出だし(顔の素晴らしさ)から、これはいい映画に違いないと確信すると、その後すぐにカヌーで男女がすれ違うシーンが続いて驚く。
構図における木の位置、坂の使い方、水
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探偵物語(1983年製作の映画)

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家の門扉や壁面を登って部屋に入る薬師丸ひろ子ののびのびとした身体性が印象に残る。
ラスト、空港でエスカレーターを下る薬師丸が顔を左斜め上に向けて松田優作を発見し、そのままエスカレーターを逆走して走り寄
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脅迫(おどし)(1966年製作の映画)

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途中までは三國連太郎に感情移入して見るわけだが、途中からその感情を読み取れなくなり、そのことがクライマックスのサスペンスを創出するという構成がうまい。

(1974年製作の映画)

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こっそりとトラックの荷台に乗り込んでみせたり、兄に追っかけられると犬のように噛み付いて見せたりする秋吉久美子が素晴らしい。

赤い影(1973年製作の映画)

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ニューロティックスリラーとニコラス・ローグの演出が見事にマッチしている。娘が水死するオープニングや主人公が赤い娘を追うクライマックス(カットバックで緊張が高まる)が好み。
真っ赤な服を着た女の子が道を
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恋する惑星(1994年製作の映画)

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金城武がクラブのバーカウンターでブリジット・リンを見つけるショットは良かったが、それ以外は気が遠くなるほど退屈だった。

マリリンとアインシュタイン(1985年製作の映画)

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面白いかどうかと言うと面白くはないのだが、マリリン・モンローが特殊相対性理論をアインシュタインに説明するというドラッギーなシーンがあるのでまあ良し。

レット・ゼム・オール・トーク(2020年製作の映画)

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メリル・ストリープを捉えるカメラの位置が段々と下降していくにつれて、主人公の人生もまた静かに落ちていっていたのだと気付かされる。(そもそもが飛行機に乗れずに船で移動する話でもある。)女性作家の墓を訪れ>>続きを読む

生活の設計(1933年製作の映画)

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観た気になってたけど観てなかった。
下着メーカーの広告のイラストを描いているという女性主人公の造形に強くモダニズムを感じるのだが、資本家ではなく劇作家や画家を選ぶという選択が保守的とも言える。

ボヴァリー夫人(1991年製作の映画)

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ユペールとボヴァリーの初夜を示唆するショットに漲るサスペンスや、祭事と夫人の浮気相手との密会のクロスカッティングが印象に残った。

スラック・ベイ(2016年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ブルジョワ(高台に別荘を持つ)と下層階級(海辺に住む)の二項対立が、二地点を行き来する渡し守、男装する女性(後にトランスジェンダーであることが明らかになる)、両階級に属する者同士の恋愛などで無化される>>続きを読む

草の葉(2018年製作の映画)

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共感、不和(諍い)、些細なズレ、身勝手な思惑などなど、人間のコミュニケーションの多様な要素が、過ぎていく時間の中で有機的な生を展開する。ベルクソンのいう「持続」という言葉が頭に浮かんでくるのは、この言>>続きを読む

クライム・ゲーム(2021年製作の映画)

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ニコラス・レイやアンソニー・マン辺りの米製ノワールに、最後は香港ノワールも加わってくる骨太なつくり。お話としては『悪の法則』を強く連想した。

ジャズ・シンガー(1980年製作の映画)

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親子のメロドラマ的な和解シーンが素晴らしい。単純な切り返しだけで胸が溢れてしまった。
とはいえ、いわゆる「お約束」のつるべ打ちのような脚本なわけだが(元の映画を見てない)、そこから溢れ落ちる主人公の元
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青髭八人目の妻(1938年製作の映画)

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クーパーとコルベールの結婚する・しない(二人とコルベールの父、叔母の四つ巴)のドタバタシーンが至高。男と女の権力ゲームでぐいぐい引っ張り、最後はキスで強引に幕切れ。

ロイドの父に聞いて(1919年製作の映画)

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会社の奥にいる女性の父親に何度も話に行くシークエンスでは水平移動が何度も反復されるが、その後唐突に床が抜けて垂直方向の運動が導入されるシーンが見事。

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

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ブレッソンのジャンヌを観てからだと、なるほどブレッソンなら表現主義的(にすぎる)と言うだろうなという風にしか見れなかった。

ひとよ(2019年製作の映画)

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早撮りな感じがショットに出ているなあという印象だが、主役3人の演技でぐいぐい引っ張っていく無骨さがあった。

結婚の夜(1935年製作の映画)

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こちらも定型のメロドラマにはすまいという強固な意思を感じる。ゲイリー・クーパーとアンナ・ステン二人のシーンにはうっとり。

ルビイ(1952年製作の映画)

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ルビイが悪女へ転身する物語上のきっかけは大衆によるバッシングだが、猟銃を使いこなし過去にはナイフで男を刺したことがあるという彼女には、悪女の条件たる男性性が最初から埋め込まれている。終盤、結局男女が共>>続きを読む

オルフェ(1950年製作の映画)

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この時代のフランスにあって、リアリズムに背を向けた映画を撮るところがコクトーは面白い。

(1960年製作の映画)

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壁を壊す、穴を掘る、ドアの留め金を切断する、その技術的な手つきのクローズアップや鉱物・金属による乾いた音が物質的なまでに現前してくる。脱出の共謀、食料の共有、物を盗んだ配管工への暴力などにより強化され>>続きを読む

苦役列車(2012年製作の映画)

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森山未来が身綺麗で原作の主人公の汗臭さや不潔さが消えてしまっていて何だかなあという感じ。映画独自の登場人物である前田敦子の役の立ち回りも微妙で、原作では転倒的な魅力にはなっている男性中心主義が到底魅力>>続きを読む

愛の唄(1975年製作の映画)

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ジュネの小説に出てくる監獄や男性間の同性愛の放つ汗の臭気やジトッと纏わりつく湿り気がイメージとして鮮明に提示されてきて目眩がする。

ベラ・ルゴシの 幽霊の館(1941年製作の映画)

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駆け落ちした妻に対する無意識下の憎悪から、妻(こちらも交通事故により正気でなくなったらしい)を見ると手当たり次第に殺人を犯してしまうということらしい。。まさに殺される瞬間の人の主観ショットを差し込むあ>>続きを読む

ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)

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再見。フレーミング=断片化された身体や事物は、モンタージュ=再統合されることで観客の眼前に現実として生成される。それはジャンヌと司教の顔の物質性であり、声の物質性として現れるが、異端審問や監獄という極>>続きを読む

魔の谷(1959年製作の映画)

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低予算モンスターホラー。奥行きを生かした人物配置や動きが印象的。退廃的に過去を想起してばかりの女性(ギャングの愛人)が素朴な男性と恋の逃避行を試みるわけだが、最後の最後にモンスターを処理するのはギャン>>続きを読む

チャンプ(1931年製作の映画)

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何より子役が素晴らしい。感情的な演技だけでなく、階上の柵を身軽に出入りして見せ(落ちるのではないかとハラハラする)、瓦屋根を登って遠くの父親に合図まで送ってみせる身体性が何より際立っていた。