tntnさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.5

全編にわたってひもじくて寄る方ない状況が続くが、焦燥感が激しくなることはない。むしろトイレとか、寝る所とか、服を洗濯するとか、体を洗うとか細かな日常を徐々に失っていく過程を通して、一定のリズムでジリジ>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.3

言いたいことは沢山あるけれど、、、
こんなんズルいだろ。
アニメも漫画も見ないし、ゲームもやらない自分が、成長と共に追いかけてきたシリーズと唯一言えるのってマーベルだったなーと実感。

黒い罠(1958年製作の映画)

4.0

再鑑賞。
背景にいる不穏な対象は、遂にガラスや扉を越えてこちら側に侵入してくる。終始べっとりと纏わりつく恐怖。
にしてもやっぱオープニングはカッコ良すぎるな。タイムリミットを設定しつつ、とにかく画面を
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ストレンジャー/謎のストレンジャー(1946年製作の映画)

3.9

妻が真相を知るシーンが完全に『スパイの妻』。
オーソン・ウェルズ、ロレッタ・ヤング、エドワード・G・ロビンソンの人物造形が実はかなり異様で、途中から俄然面白くなる。
前景・後景というよりも今回は上と下
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上海から来た女(1947年製作の映画)

3.9

『市民ケーン』ではパンフォーカスを用いて、一つの画面において前景・中景・後景が物語を語っていたわけだけど、今作における前景と背景の使い分けもかなり面白い。
オーソン・ウェルズとリタ・ヘイワースが親密に
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妻は告白する(1961年製作の映画)

4.2

呪いの映画だ。
彼女にかけられた呪いが最高潮に達したとき、彼女自身が呪いとなる。ラストシーンの恐ろしさは忘れ難い。

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.2

ファン・ジョンミン演技上手すぎ。
総書記の本拠地に招かれる場面で撮影もサントラも『シャイニング』になるところで笑ってしまった。
何より黒金星とリ所長の友情モノとして良かった。ラストの視線のやり取り。凄
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悪の法則(2013年製作の映画)

3.8

今まで幾度となく「ヒーロー」「ヒロイン」を演じてきたハリウッドスター達が、揃いも揃って「わからない」が口癖のまま混乱し憔悴し無残な最期を遂げていく様を描くリドリー・スコットとコーマック・マッカーシーは>>続きを読む

トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)

3.9

『最後の決闘裁判』や『ラストナイト・イン・ソーホー』を巡る議論を通過した後では、この映画の性的虐待描写はやり過ぎだし「告発」の域を超えて「暴力」になってると言わざるを得ない。
ラジオの曲が下品な対位法
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.2

年末にいいもの見れた。
三宅唱が『ドライブ・マイ・カー』について「台詞のない脇役まで綺麗な立姿をしていた」と語っていたけど、逆に本作は良い意味で力が抜けてる。カツ丼屋とか宅急便配達員とかの、ほとんど素
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.2

さっきまで聞こえていた音がもう聞こえないという不安は映画館で感じられて良かった。
でも同時に、世界の中で生きる方法は、目が見えたり耳が聞こえたりすること以外にもあるのかなと思える。
あのラストに納得で
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私は決して泣かない(2020年製作の映画)

4.6

本作はもちろん、『システムクラッシャー』や『17歳の瞳に映る世界』などを立て続けに見たこともあって、若者にとって現代がとても生きづらい世界になってることを感じてしまったあ。
車校で試験中止になってしま
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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

4.7

ドイツ映画祭に惹かれて観に行った。期待してたけどそれよりも良かった。というかしんどい。
ラジ・リ版『レ・ミゼラブル』のラストの先を描きながらも、同じ結論に戻ってしまったかのような。
ベニーが生きること
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二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

4.0

震災後新たな街が作られていく街に赴いた4人の旅人が、被災者の語りを聞き、それを自らの言葉で報告し、遂に語りを獲得するまでのワークショップを追った作品。
4人が最後に朗読する詩は、瀬尾夏美が自ら描いてる
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天国と地獄(1963年製作の映画)

4.8

YCAMで見た。再鑑賞。スクリーンは初。
143分間面白すぎ。
誘拐すら起こる前の会社の権力争いからして既に緊張感が漲る。
大豪邸の一室→街の中→ドヤ街→殺人が起こった別荘→面会室、と次々と舞台を変え
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羅生門(1950年製作の映画)

3.9

YCAMで見た。再鑑賞。スクリーンは初。
暴行事件の真相を藪の中にしてしまうことの問題点は確かにスルーできないのだが、正直言うとアンサー的作品『最後の決闘裁判』よりずっと見応えがあった。
一応最後の三
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.9

これがエドガーライト最高傑作とも、フェミニズムを真摯に描き切った作品とも言うつもりはないが、ホモソーシャルな見栄の張り合いをひたすら退屈に鈍重に描いた『最後の決闘裁判』よりは確実に面白かったし、音楽同>>続きを読む

御法度(1999年製作の映画)

3.9

松田龍平、浅野忠信もさることながら、男色に気をやきながらも蚊帳の外で見守るしかない役柄にビートたけしを配役するのが面白いし、的確。
自分の映画でやたら死にたがるのもそうだけど、武って自分が才能や教養の
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探偵はBARにいる(2011年製作の映画)

4.0

面白かった!これぐらいの邦画がずっと作られるべき。

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

4.3

面白かったところを挙げだしたらきりがないぐらいの作品かもしれん。DVD買って何度となく見返したい。
広大な大地において、プロフェッショナル達が互いの居場所を見つけ睨み合い殺し合い信頼し合う物語。
丁寧
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.1

○○ぽいなーとは思う作品は山ほどあるけれど、基本的にはアメリカ製ホラー/アクションに思い切り振り切ってるのでとてつもなく楽しい。

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

3.8

授業のために見た。
ナチス党大会を混乱に陥れ『美しき青きドナウ』が流れ雨が降ってくる一連のシークエンスは本当の素晴らしかった。細部が巨大な運動に繋がっていく感動。
少年の目にとって最も奇異に強烈に映る
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皆殺しの天使(1962年製作の映画)

4.0

屋敷の外にもカメラ出るんだって思ったけど、面白かった。大人数の人間(と動物)が一斉に同じ動きをする光景の滑稽さと気味悪さ。ドン・シーゲル版『ボディ・スナッチャー』で広場にわらわらと住民が集まって来る光>>続きを読む

ババドック 暗闇の魔物(2014年製作の映画)

4.7

『エクソシスト』や『シャイニング』、『反撥』など、取り憑かれた人間が家庭を壊していくホラーの伝統を踏襲しながら(例えば終盤の母親と息子のやり取りの場面は『シャイニング』でのジャックとウェンディの対決の>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

3.8

最早「配慮してますよ〜」というエクスキューズすら見せない多様性のあり方は本当に凄い。そのおかげか、ヒーロー映画でありながら、存在を否定される「悪」が登場しない。クロエ・ジャオ独特の、ローキー画面と静的>>続きを読む

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

3.7

ロデオから転倒して頭部に重症を負った男。終わってしまった時間と、取り残された現在。彼の地味な人生をひたすら綴るだけ。それでも野を駆ける瞬間のエモーションも掬い取る。

ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)

3.9

電話映画だった!!
基本超絶早口会話劇ながらも、ドラマが急展開する瞬間は画面一発で見せる。序盤の細かいジャンプカットは終盤の前振り。主人公2人が、利権争いを口八丁手八丁でサバイブしていく爽快な映画。

オールド(2021年製作の映画)

4.4

オープニング映像で「30年ぐらいスリラー撮ってきました」と語るシャマランの言葉に一切嘘がない。
ガイ・プリスカ一家のドラマの順序よりもショック演出を優先させる潔さ。だから全く飽きないし、しかも、何を見
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シャイニング 北米公開版(1980年製作の映画)

5.0

コンチネンタルバージョンに追加されたシーンの多くは、ダニーの超能力やジャックの過去など状況説明の描写で、かつそれらは単調な切り返しで描かれるので、正直コンチネンタルバージョンの方が面白かったかな。
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.8

『宮本から君へ』があくまで男性向けのファンタジーに過ぎなかったことが、男性向けの教材のような本作を見るとよくわかる。
やっとここまで、とも思いつつ、まだここなのという意見にも頷ける。
そもそも153分
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霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)

4.1

映画で怖い話をする場面が怖いのは、話の内容以上に話している人と話を聞いている人が怖いからだ。
殺風景な廃墟の中、パイプ椅子に座った人間がただ話すだけの本編がこんなにもスリリングなのは、話の内容が深部に
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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.5

あんまりにも闇が心地よくて見てる間ずっと幸せだった。
『ベレジーナ』と『ヘカテ』は、「幻想を押し付けられる女」と「幻想を押し付ける男」の物語としてちょうど正反対だと思う。
前半から主人公はあらゆる人間
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