tntnさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.1

音響に包まれる映画館だからこそ、列車の揺れを体感できた。
照明や構図が毎回格好良くて、画面に引き込まれる。アディダスのキャップや『タイタニック』の話など、ソ連崩壊後のロシアの様子が文化の流入でわかる。
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映画はアリスから始まった(2018年製作の映画)

-

ドキュメンタリーとしては超一級品だし、社会構造によって歴史から葬り去られる事実には恐ろしささえ感じる。
映画監督、俳優たちのインタビューは印象的だったけど、映画理論家、映画史家の認識がどう変化したのか
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検察官/勾留(1981年製作の映画)

3.9

自分に知識がないだけかもしれないけど、
こんなに面白い「だけ」の作品を映画館で見たの久々だった。
警察署に隣接するパーティー会場とかどういう立地なんや。終わり方の切れ味抜群!

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.9

見ている間はそこまで面白くないが、人と感想話すのは最近の映画の中で一番楽しかったので、思い返すと満足。

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

-

めっちゃ久しぶりに見た。高校の頃に見た時も映画館だった。
題材も物語の筋も全て「パルプ」なのに、ゆったりした間とカメラワークで、俳優の演技やディテールを舐め回すかのように見せられると、パルプが、あまり
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こどもが映画をつくるとき(2021年製作の映画)

4.2

プロの脚本家や文筆家には書けないパンチラインの連続で楽しい。
「ポンポンから店に入る直前まで絶対いらない!」
「こういう時はボイスパーカッションだ!」
「鉄と木の融合体」
とか。
カンパニー/チームワ
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.7

2時間ぐらい割と平板なのに、急にクライマックスでカメラワークも編集もサントラも本気出した感じ。
キャメロンは、何回も同じ話を描くことでテンプレート的物語を再生産し続ける作家という評価を聞いたことあるけ
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ゴールキーパーの不安(1971年製作の映画)

-

授業。
記号としての映像で戯れるみたいな感じかな。
ボール→コインの繋ぎとか。
道行く人が「映画だ」と気づく場面とか、物語に奉仕しない映像がいきなり現れる感覚。
最後のゴールキーパーとボールの関係性は
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ある男(2022年製作の映画)

4.4

2023年映画館初め。
超良かった。妻夫木聡は、スティーブン・ユアンみたいな佇まいだ。アイデンティティの揺らぎという「普遍」的テーマを描いているようで、日本社会に現存する問題を扱ってるという自覚も忘れ
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赤ちゃん教育(1938年製作の映画)

3.8

鳴き真似とか歌とか、ギャグのしょうもなさが最高。ゴルフ場でドタバタする展開って、『母なる証明』でもあったけど、インスパイアとかではなく映画映えしやすいロケーションってことなんだろうな。
『NOPE』が
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

3.8

黄色いモチーフの使い方は確かに面白いけれど、2時間の割に題材も演出もとっ散らかってる気がする。少なくともそれらの要素が互いに結びついてるようにはどうしても見えなくて、ただ並列されるだけ。
「相手の目を
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.9

白黒かカラーか、カメラはどこに置くのか、どのタイミングどれほど動くのか、サントラは?台詞は?という、あらゆる選択を気が狂うほど厳密に行われると、ストーリーが多少なくとも見れる。
活字文化、というか「事
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シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

4.0

体調不良で1日寝込むというBADなクリスマスイブの最後に見たら、熱下がった。ありがとう。
銃座の中、モレッツの一人芝居だけで進行する前半はかなり大胆だけど、「今何が問題なのか」「何を決断するべきか」が
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メルビンとハワード(1980年製作の映画)

3.9

映画館はおろか日本語字幕ありで見ることすら難しいかなと思っていたので、本当に感激した。下高井戸シネマ、補助席まで出してたのに満席。
ただいざ見てみると予想以上に変わった映画で困惑。この終始デタラメなエ
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.8

いくらでも美化に美化を重ねて品のない「国葬」映画にもできそうなところを徹底的に回避して、ティ・チャラの不在に気持ちの整理がつかないまま外交や国の統治、挙句戦争までやってしまう登場人物達の混乱を描くのは>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.6

本当に良かった。映画って面白いって改めて思わせてくれる。見ている間も見た後も沢山のことを考えたので、思い出したらまた書く。

RRR(2022年製作の映画)

3.8

S・Sラージャマウリ監督の語り口は、やはり自分には本当に合わない。後半から、時制がイタズラに乱れるので全然物語に乗れない。前半までは面白かったし、橋の少年救出劇みたいな新鮮な場面がもっと見たい。ヒンド>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

3.9

前半の勢いがたった30分で終わるのは肩透かし。そのせいでそんなに「さがす」映画に見えなかった。緊張感のある場所から一気に人間が動き出すアクションの見せ方が凄い面白いくて、もっと見せてほしいぐらい。
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ハミルトン(2020年製作の映画)

-

160分間続く曲であり、アメリカ建国史を非白人たちが語り直す史劇であり、歴史に忘れ去られた人々を巡る物語であり、徹頭徹尾ヒップホップ精神に満ちたミュージカルである。
2015年から、リン=マニュエル・
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.1

とにかくリッチな映画だった。
無国籍な雰囲気満載の円都、西部劇みたいな荒野、90年代東京の街並みと高速道路。イェンタウンクラブ。英語、中国語、日本語が混ざる台詞。エキストラ一人一人、画面の細部にまでデ
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グレムリン(1984年製作の映画)

3.9

小さい頃繰り返し見た記憶。見返したら全然覚えてない場面ばかりだった!
おもちゃ箱をひっくり返したっていう言葉がめっちゃ似合う。
映写機に映る影→スクリーンがビリビリに引き裂かれる場面が、格好良くて好き
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.6

セリーヌ・シアマとクレア・マトンは、ここにいない誰かと、終わった時間の残り香を、或いは今にも消えそうな思いと、もしかしたら万人は許してくれなさそうな願いを、画面に何とか刻もうとする。その姿勢が本当に不>>続きを読む

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.4

エイジズム、リプロダクティブ・ライツ、プロチョイス/プロライフ、同性婚、出産と育児、信仰と思想、学歴など数多の問題や要素を人生の中で同時進行的に起こるものとして描く。それを見ることは、多分「アメリカの>>続きを読む

ファスビンダーのケレル(1982年製作の映画)

3.8

今までと画面の色合いが違いすぎて困惑。前半は冗長に感じたけど、途中から面白い。『自由の代償』のコンセプトとははっきりと異なり、真正面から、ホモ・ソーシャルな関係性の有害性を描く。授業で習ったクィア理論>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.0

フィックスでフレームを意識させる画面作りが多い。グラスの中にゆらゆらゆれる茶葉と、記憶空間の中でゆらゆら漂う記憶の欠片。博物館の展示品の合間を縫うような横移動のカメラと、森の木々の間を縫うような横移動>>続きを読む

アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー(2022年製作の映画)

-

後で詳しく考える。
最新型のロトスコープで描き出される1969年ヒューストンと、膨大な歴史的フッテージは、ほとんど印象派の絵画みたいだ。
実写映像をトレースしたとはいえ、現実にはあり得ないカメラワーク
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

5.0

再鑑賞、というか5・6回ぐらい見てるはず。
ピカデリーのライブ音響上映で見た。耳壊れるかと思った。やはり凄すぎて言葉を失う。
見ること、聞くことで、何かが伝わると信じ切ってる人が作ってる映画。
砂漠の
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.3

ちゃんと調べて書く。
システムからこぼれ落ちて不可視にされること、スティグマを貼られ「善意」から生まれた偏見を与えられて周縁化されること。
その中で、自分達はここにいると言い続けることについての映画で
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スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

4.3

とても好き。英国王室の面々が一堂に会したエリザベス女王の邸宅やダイアナ妃の生家を、幽霊屋敷に見立てた心霊映画。室内も戸外も霧や靄のかかった画面で見せる撮影や案山子、血塗られた逸話を巡る書などアイテムの>>続きを読む