tntnさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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アワーミュージック(2004年製作の映画)

3.7

『映画史』を経由したからこその、地獄篇の悲惨なモンタージュの数々。
煉獄篇で、今までのゴダール映画と確かに共鳴する問いの数々。「この状況で映画を撮っていいのか」という問いから誰も逃れることができなくな
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パッション(1982年製作の映画)

3.7

「映画とは、光によって我々の世界の影を描く」みたいな台詞が確かあって、そのものずばりだなと思うぐらい、ライティングがバキバキに決まった画面が終始かっこよかった。ただ笑えるシーンも多くて、突然体をぐにゃ>>続きを読む

万事快調(1972年製作の映画)

3.8

果てしない横移動で描かれるスーパーマーケットのカタストロフが、最近見た映画の中で一番ブチ上がったので満足。マジで凄かった。
前半の、巨大な工場セットを丹念に見せるシーンは、ゴダールの誇らしげな顔が見え
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アバター(2009年製作の映画)

3.9

公開時以来。
アバターに入る時も出る時も必ず眼球のアップが入るし、焦点が合わない視界の描写もあるし、最後には「I can see you」と言うし、視覚体験としての3D映画への強固な拘りを感じる。
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家にはいたけれど(2019年製作の映画)

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初めてアテネフランセ行った。席小さすぎ&固すぎ。
子供達によるハムレットと、いくつかの家庭の風景が交差する。
自転車を買う場面に顕著な長回しロングショットがあまり効果的とは思えず、というか全体的に何を
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ラルジャン(1983年製作の映画)

4.2

凄かった。今の所ブレッソンの中では一番好き。単純に面白いし怖い。
無駄を削ぎ落とした演出とよく表現されるのも頷けるぐらい、映す必要のないものを映さないという姿勢を強く感じる。逆に画面に映るものは、必要
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素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)

3.9

東京に暮らす恋人達の日常を描くって、昨今の邦画の一大潮流と同じコンセプトにも関わらず、今作とそれらの作品が決定的に違う点は、その社会性にある。とにかく貧困が二人の生活を苦しめ、二人の関係すらも蝕んでい>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.7

ニトラムに寄り添うわけでも突き放すでもない作り手の姿勢には納得するけど、映画として見ていて面白いかは別問題。

ゴダールの映画史 第6章 新たな波(1995年製作の映画)

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ヒトラーの映像と、『裏窓』で覗くジェームズ・スチュアートがコラージュされるのとか、どう受け止めれば良いのか。

ゴダールの映画史 第5章 絶対の貨幣(1995年製作の映画)

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最後のイタリア映画の数珠繋ぎでエモくなるんだけど、それでいいのかと自問する。あと、『映画史』という題材で、ゴダールが選んだのが、(それもとてつもなく過剰な)カットアップコラージュであるというのも重要な>>続きを読む

ピクニック(1936年製作の映画)

4.3

ジャン・ルノワールは初めて。びっくりするほど好きで、良かった。
やはり前半の窓が開く瞬間に一気に心を掴まれる。男性達と、ピクニックに来た家族という二つの空間と時間が、まさに相互に浸透し始めることの感動
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ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

4.0

隙間時間ギリギリで見たけど、見れてよかった。
原型が予め決まっている題材をリメイクすることで、逆にヘルツォークの一貫した主題である「越境」が見事に浮かび上がる。
ノスフェラトゥが棺の中に隠れて海を渡る
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アス(2019年製作の映画)

3.7

ホラー映画の定石をことごとく外した結果(対決が始まる前に、ドッペルゲンガーがどの位置にいるかを全てバラしてしまう見せ方はさすがにどうなのよ)、恐怖ともサスペンスとも無縁の追いかけっこが続いた挙句、終盤>>続きを読む

アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

5.0

今は亡き渋谷アップリンクで見てから、5年後に再鑑賞。映画とはタイミングであるという言葉に従うなら、多分これ以上ないタイミングで再鑑賞したと思う。それぐらい心に染み入る良い映画だった。
たった一夜の物語
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.5

人間がNOPEと呟いているうちに、壊れ出す機械と暴れ始める動物。この問答無用で迫ってくる恐怖
やっぱり「見たことないもの」を見たくて映画館に行ってるわけで、その欲望をここまで満たしてくれたことに感激。
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X エックス(2022年製作の映画)

3.9

アメリカ南部の殺人鬼一家ホラーというジャンルを、構造的に捉えてみせる変わった映画。劇中のあらゆる細部が、物語と形式の両方に同時に奉仕しているので、作品を分析すると楽しい。
出色なのは、最初の殺人。鮮血
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灼熱の魂 デジタル・リマスター版(2010年製作の映画)

3.9

話の骨格が『ブレードランナー2049』と本当に同じで、ドゥニ・ヴィルヌーヴってずっと同じ物語を変奏しているのだなと考えた。
もちろん、爆発する車のロングショットも。(元ネタはタルコフスキーだと思うが)
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

3.7

昨日見た『ブラック・フォン』のイーサン・ホークとの落差が凄い。ウィーンは静かだけれど美しい異国というより、若者が夜に屯するようなどこにでもある街にも見える。
恋愛映画というより人生についての映画だと思
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ブラック・フォン(2022年製作の映画)

4.4

びっくりするほど画面に引き込まれた。
後で詳しく考えたい細部に満ちている。映画館で見れて良かった。
暴力を振るう・振るわれるという関係性が、残念ながらこの世界には存在していることを真摯に見つめ、それを
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第三世代(1979年製作の映画)

4.4

"Die welt als wille und vorstellung"
速すぎる。煩すぎる。
テレビの音声と、本の朗読と、サントラと、台詞とが一気に被さり、カメラは所狭しと部屋を動き回ったかと思いき
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晩春(1949年製作の映画)

4.1

原節子の表情が恐ろしいほど悲しげ。結婚や見合いの話を退屈そうに聞いている序盤から、家を出ることが避け難い運命であることを悟って目から生気が失われていく終盤まで。父と娘のドラマと評されているし、映画の表>>続きを読む

幕が上がる(2015年製作の映画)

-

再鑑賞
クレジットに出てくる出演協力の高校名が、今でも全国大会に出てるところばかりで、強豪校は流石だなと思った。
とかくスポーツばかりがクローズアップされがちな高校の部活において、演劇の大会を、しかも
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呪詛(2022年製作の映画)

3.3

あんまり盛り上がってないライブしてるミュージシャンが、コールアンドレスポンスを観客に煽って無理やり盛り上げようとしているのを見せられる
みたいな映画。POVで謎解き展開を見せる戦略が1ミリも感じられな
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ヴィジット(2015年製作の映画)

5.0

再鑑賞。複雑怪奇な物語論を、あくまでどんでん返し満載のホラーと、絶妙なギャグセンスで撮れてしまうシャマランはやはり最高。
トラウマや恐怖や傷を負ったら、まず物語を信じろ!そして物語を作れ!
特に映画と
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歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡(2019年製作の映画)

3.8

「世界は徒歩で旅した者にのみ、その姿を現す」
久しぶりに訪れた岩波ホールは、記憶の中よりずっと小さかった。
後半で、ブルース・チャトウィンとの交流を語るヘルツォークを見た時、この映画はヘルツォークにと
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マホルカ=ムフ(1962年製作の映画)

3.9

ハインリヒ・ベルの原作は日記であり、日記とは主観的視点から、信頼できない語り手を設定できる。映画において、原作のテキストはほとんど忠実に引用されているのに、主人公が歩く街並みも、夢と現実の垣根もあっさ>>続きを読む

ピアニスト(2001年製作の映画)

3.8

ハネケにしては見やすい。
群衆のロングショットが延々と続いて、何を映そうとしているのかが理解できない演出は健在。
ただ、流石にイザベル・ユペールの扱い(それは作者が登場人物を描くという意味でも、監督が
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THE COCKPIT(2014年製作の映画)

5.0

再々々鑑賞。
見れば見るほど良く思えてくる。
横向きにomsbを写して、初めて完成した曲のビートが生まれる瞬間とか、
遂にOKテイクが出る瞬間とか。
この曲の完成形を知ってると、「正解出したぞ!」と興
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アン・ラシャシャン(1982年製作の映画)

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オープニングの旋回するカメラカッコいい。ここのエルネストの台詞回しが歌ってるみたいで、ミュージックビデオかと思った。
三者面談って変なイベントだったなと思う。
普段の教室配置を変えて、ちゃんと予定合わ
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.7

マジで音楽映画・ミュージカル映画、自分に向いてなさすぎる。
終わりが見えてる話を、音楽で盛り上げるとなると、自分と楽曲との相性の良さが生命線になると思うのだけれど、相性良かった試しがほとんどない。
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アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

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オープニングで、カメラが引いたタイミングで演奏が揃う瞬間がめっちゃかっこよかった。正直そこが感情のピークだったとは言える。
『THE COCKPIT』のレヴューで引き合いに出されていたから「音楽作り映
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暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)

3.7

ホテルの前のカエルとか、刑務所に立ち込める霧とか、絶対に良いことにならない予感が漂う。逃げきれないことぐらい2人はわかってる。切ない。ラストでヘンリー・フォンダが見ているものは、彼を呼ぶ声は果たして何>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.3

トム・ウェイツがクラブの客を引き連れて夜の野原に繰り出すとバイクの曲芸スタントショーが始まる場面は、『ザ・マスター』のセルフオマージュすら突き抜けて、祝祭的高揚感に満ちている。
大人にならない子供達に
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ANIMA(2019年製作の映画)

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かっこいいし、映像がとても綺麗。
最後のトラム大好き。
どこにも書くところないからここに書くけど、HAIMの『valentine』のLiveビデオで、P.T.Aなりに『the perfect kiss
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