本当は五点満点の映画である。だが,私が見たのはジュネス企画から出ていた古いVHSである。紀伊国屋書店から出たクラシックシネマシリーズ(『吸血鬼ノスフェラトゥ』や『戦艦ポチョムキン』の最も原盤に近い品質>>続きを読む
とにかく面白い。高橋留美子のギャグ漫画のポルノ版みたいなもんで,物凄く原始的なコメディ映画なんだが,とにかくテンポが良いのと斜め上どころかブラジルまで掘り進んじまった,みたいな予想不可能なドタバタの数>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
現在ではその作品からの評価が難しい映画監督の筆頭である伊藤大輔の戦後大映における代表作。60年に撮った『切られ与三郎』とともに歌舞伎物に材を取った作品である。
普通,時代劇映画というのは他で言うところ>>続きを読む
退屈男シリーズ第二十六作。長崎出島を舞台に異国情緒溢れるレビュー盛り沢山で魅せる好篇。歌謡映画の職人たる佐々木康の真髄をようやく見た気がする。いつもの欠伸がでる座敷舞踊ではない。多分,この頃に普及して>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
東映随一の巨匠であった内田吐夢の名作である。悲恋物の体裁を持ち乍ら感傷的な,浪花節のような表層的な感銘を与えるに終始せぬ優れた批判的叙情性を含んだ傑作である。
作家とは何か。作家の為すことは社会に於い>>続きを読む
ジャン・ローランの映画を観るのはこれが初めてなのである。ユーロトラッシュの大物として知られる御人であるが,本作は実によくできた佳作であった。
冒頭の埋葬の場面からして美しい。黄土色がかった画面の色彩構>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
セックスを主体にした一種のブラックコメディ。それ以上でもそれ以下でもない。こういうのを「高度な愛のドラマ」とか云うのはやめておこう。こんな「変な」映画に文芸ポルノみたいな煽りは似合わない。
原作の戯曲>>続きを読む
東映の監督陣の中で名人を数えるといえば,内田吐夢,マキノ雅弘,松田定次の三人にまずは絞られるだろう。その三人もそれぞれ全く違った作風の三人であり,内田吐夢はどっしりと根の生えたような重厚なシャシンを撮>>続きを読む
東映の水戸黄門シリーズの決定版。讃岐高松藩主である実子の乱心の真偽と,それに絡む御家騒動を収めるために江戸から高松まで旅をするロードムービー。アメフトのようなフットワークの軽さを活かした立ち回りあり,>>続きを読む
集団時代劇前夜の大傑作。明朗時代劇でもなければやくざ映画のカタルシスでもない。虐げられた者たちの反逆。それが,『七人の侍』の百姓衆にも退けをとらぬ雑草のような生命力を持つ庶民たちの意思の結実として起こ>>続きを読む
常に爆発寸前。美しい映画ってのは普遍的に緊張を強いてくるもんだけど,これほどがちがちに締め付けられる作品も他にない。フランスの移民問題については殆ど知らない。しかし,メーター振り切れ寸前の若年のいきれ>>続きを読む
ここまでくると何作目なのかさっぱり分からない。分かっているのは映画版退屈男はこの後二作で打ち止めということだ。つまりシリーズ最後期の作品ということ。
とはいえ,それまでと打って変わったギミックがあるわ>>続きを読む
主演の姉の代表作である『ローズマリーの赤ちゃん』を観たばっかりで,あんな名作と比べると怒る人もいるかもしれないけど,でもやっぱり好きなんだなあ。最初に観たときは退屈で退屈で,どうにも仕様がなかったんだ>>続きを読む
東映の退屈男のシリーズでは特につまらない作品。佐々木康の作品というのはどれも松田定次より一段と落ちるのだが,本作はその中でも極め付きの駄作。題材は非常に面白そうなのに,それをこれだけつまらなくできると>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
恥ずかしながらロマン・ポランスキーの作品はこれしか観ていないのです。
70年代のオカルトブームの先駆のような作品だが,所謂オカルト御三家の『エクソシスト』『オーメン』『ヘルハウス』とはまた違ったテイス>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
この映画,正篇続篇ともに製作年度がめちゃくちゃ。allcinemaやビデオパッケージだと正篇が88年,続篇が83年というサスペリア現象が起こっているが,IMDbによれば共に90年の作品らしい。どっちも>>続きを読む
私にとって本作と『ドラゴンへの道』はカンフー映画におけるオールタイム・ベストのツートップである。観客の観たい通りにカンフーアクションが展開し,お約束の中にサスペンスがある。東映時代劇,日活無国籍アクシ>>続きを読む
黒澤明の作品だからといって,どれもこれも楽しめるとは云えない。『天国と地獄』や『七人の侍』は確かに日本映画でランキングを作ったときに,1・2フィニッシュを決めてきてもおかしくない傑作であるが,『用心棒>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
退屈な映画であるとの声多い本作,しかし私はそう思ったことがない。これは何も自慢とかそういうのではなくて,多分単純な好みの問題なんでしょうな。その証拠に私には『2001年宇宙の旅』とか『バンカーパレスホ>>続きを読む
68年にロマン・ポランスキーの傑作『ローズマリーの赤ちゃん』が公開されてからというもの,73年の『エクソシスト』が決定打となって新世代のオカルト映画がホラー映画界を席巻した。イタリアでもマリオ・バーヴ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
『サスペリア』と『インフェルノ』が1ミリも面白くなかったので不安だったのだが,これは面白い。前の二作は友人と観たんだが,やっぱり映画は一人で観るに限る。
『サスペリア』は冒頭の殺人場面の後はまるで別の>>続きを読む
小学校の国語の授業から聞かされる「感情移入による読解」というのが嫌い。たしかに,文学というのはあるライン以上の普遍性を持つものが評価されるべきだとは思う。しかし,「感情移入」という言葉が使われたとき,>>続きを読む
ジャンルはホラー・コメディだが,カンフー映画が大好きな自分にとっては純然たるアクション映画である。やっぱりねえ,コメディとして作ったにしても,ゾンビ映画のパロディとして作ったにしても,カンフーがマジな>>続きを読む
映画ってのは絵じゃないわけで,「流麗なカメラワーク」とか,「流れるようなアクション」とかいった風に表現するのは,つまり一枚絵が美しいだけじゃ映画にならないってことだ。一枚絵だけ綺麗で,しかし映画として>>続きを読む
北朝鮮の映画はどれも「偉大なる大将軍様」を讃える文言が出てきて嫌になっちゃうのだが,本作は時代劇であるためか,直接にはその科白(もしくはモノローグ)は現れない。ただ,クライマックスの展開など,体制側と>>続きを読む
今回の劇場版コナンはいただけなかった。
子供向けの映画に,「国家のため」とか国防とかのキーワードを潜ませるのはあまり感心できない。子供向けだからといって,毒にも薬にもならないものを作れというつもり>>続きを読む
松田定次監督の仕事を追っていくと,この人はここぞというときに必ずといって良いほど外さぬ素晴らしい仕事をしていることがわかる。東映時代に日本最初のシネスコとして撮った『鳳城の花嫁』,東映創設五周年記念作>>続きを読む
美しい映画だ。「綺麗な」ではない。美しい。
チコの住む貧しいアパートの最上階まで,螺旋階段を上っていく二人を映し続けるカメラも,戦場に赴くチコに対するディアンの精一杯の強がりも。脆くか弱かったディアン>>続きを読む
SFホラーの頂点に君臨する傑作中の傑作。最初は後に『バタリアン』を撮ることになるダン・オバノンがメガホンを取る予定が,企画段階での議論の行き違いからリドリー・スコットに役がまわってきたという。
宇宙船>>続きを読む
Boowyの1stを指して「誰がこのバンドが後にあれだけのモンスター人気を博すと考えただろう」というのがあるが,本作もまさにそれである。殺人シーン以外ちっとも面白くない映画で,冒頭以外見どころのない『>>続きを読む
ゾンビ映画は好きなんだが,それでもロメロのような一級品が好きだ。そうでなくてもルチオ・フルチぐらいグチャドロだったり,バイオハザードくらいアクションしてれば良いのだが。これは全てにおいて中途半端。
こちとら志穂美悦子のアクションが見たくてウズウズしとるのに,渡瀬恒彦の下手くそな空手アクションを延々みせられたらたまったもんじゃない。渡瀬恒彦は空手部主将だったらしいが,カンフー映画ってのは華麗に魅せ>>続きを読む
主筋は悪くないのだが,ゲストキャラクターがあまりに類型的な性格なのと,コナンが捜査にあまりに入り込み過ぎていてやはり最低だと言わざるを得ない。人の(しかも女性)の家に勝手に上がり込むわ,警察の捜査本部>>続きを読む
パッケージからは碌な映画じゃないという印象を受けるが,実物は奇のてらいもないアクション映画。凶悪な出来のものが多いこのジャンル内においては高水準の作品。
活劇の第一の眼目は明朗,という日本人の私からするとタイのカンフーアクションはどうも肌に合わないものが多い。本作にしてもそうだ。カンフー映画ってのは大体単純かつスピーディーなものが期待されるものだが,本>>続きを読む
惜しむらくはカンフーアクションの出来る役者が主演二人以外には碌にいなかったことだ。なんでもやれば出来るってわけではないのだ。やはりカンフーは香港映画界の専売特許なのだなあ。