上Kさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

上K

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トムボーイ(2011年製作の映画)

3.7

内面の機微がこんな官能美に溢れた映像になるのかって素直に感動した。
主人公が直面したような非情な現実があるというのもたしかだけど、そんな厳しい現実を前にして揺れ動く姿がいかに貴いものか、思いを巡らすこ
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鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

3.8

なるほど神の沈黙なのだろうと思う一方、どちらかというと本当の意味で信仰から離れて生きられるかを考えてしまう。ここでの「愛」みたく、何かを(おそらくほとんどは無意識に)神格化する事でようやく正気を保つ、>>続きを読む

君を想い、バスに乗る(2021年製作の映画)

3.2

妻との約束を果たす本人の内面の部分と、それを外から見て発信する人と。「老人の旅」をコンテンツとして発信する視点も結構なもんだろうけどね。投稿を見た人が旅を助ける可能性が広がるところには意味があるとも思>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.6

何でもネタにしようって行いが何を産むのか、これはたしかに疑問が残るけど、その行いに殉じる人もいるってのは本質的な人間の性なのか、現代社会の悲劇なのか…

やっぱり、自然の論理性みたいなのを度外視した倫
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さがす(2022年製作の映画)

3.6

「生きる意味」みたいなことは可能であれば持ちたいと思うけど、突き詰めた先にどうなるかというと、この映画のような姿も…。
意味を考えることと実現する手段との関係はなお難しい。ましてや、山内みたく手段(の
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

3.7

顔のどアップを見ながら、ジャンヌに感情移入するかと思いきや、させてくれなかった。不自然に見開いた目などなど、色々な表情の真意は分からずただ眺めた。でもこれは意図的なものだと思う。(もちろん誤解かもしれ>>続きを読む

パリのランデブー(1994年製作の映画)

3.8

この映画の軽さはすごく愛おしいと思ったし、これは多くの人にとってもそうなのか、聞いてみたくなる。

愛とか親密さを決める要素ってなんだろう?と自分もよく思ったものだけど、結局よく分からない。じゃあ「分
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

3.6

自由を求めて、描いた通りの自由を手にした人っているんだろうか。
でも自由への欲求からは逃れられないのだとすると、うーん、こういう事なのか…

トト・ザ・ヒーロー(1991年製作の映画)

3.5

人に対する誤解から殆どの問題が発生するんだとして、大人になればその誤解に気づけるかというと、やっぱり難しい。

最後の最後でその誤解を、優しく解きほぐすのでなくブチ破るかのように自己犠牲に走って、そん
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平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)

4.1

社会的に生きるってことは狸的に生きるってことだな、と思った。幻想のように大義を創りながら、化けながら、都合よく生きる。狸にも人間にも色々いるなぁ。

なんやかんやで狸達が苦闘の末に、化けること(≒社会
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.7

気分で動くし嘘も下品な事も言うし、終いには自然と相手を傷つけるし。でも映画を盛り上げるための過剰さという感じでもなくて、むしろ現代的な要素とマッチしていた気がした。まさしく不確実な時代なんだなと。
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戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

3.7

あまりに収まりが良くて、なんか乗せられた?と思う反面、「これぞ」な映画だと思った。とっても興味深かった。
映画史上最も有名なシーンがあると聞いていたけど、どこなのかは観てればすぐ分かるくらい際立ってた
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新学期・操行ゼロ(1933年製作の映画)

3.5

エネルギー爆発してた。テンポが早くて、想像力が問われる感覚があった。

忘れられた人々(1950年製作の映画)

3.6

表現がややこしくてストレスを抱えながら観てたけど、安易に理解させないことが目的か?と考えた。
ギリギリあり得るかもしれない人間の姿を観る側の共感を度外視して撮ったような作品だけど、動物のイメージと極限
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いつか晴れた日に(1995年製作の映画)

3.7

タイトル(原題)とセットで観る中で、2人の性格の違いがボヤけていったのが面白いなと思った。
2人がいろんな要素を引き出し合って、もはや性格では括れなくなる姿を見られてよかった。お姉さんの感情が暴発する
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街の灯(1931年製作の映画)

3.9

格好良さを相手に認めてもらいたいのはみんなそうだとして、それを積極的に外に晒すのか、内に秘めて自分だけが知る格好良さとするか、これは相当な難問。優劣はないだろうし、徹底するにはどちらも厳しいものだろう>>続きを読む

モダン・タイムス(1936年製作の映画)

4.0

とっても笑った。
体制とか構造とか、非人間的(多分言い過ぎ)なものに人間らしさを見出す感じ。人間らしさが何かは分からないけど、多分その感じに笑ってた。
そう考えると笑いを見出すことは生きやすさを見出す
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セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

3.9

素晴らしく振る舞いたくても、性格に邪魔される感覚ってあると思う。自分らしくあれ、なんて言われても自分らしさを呪いたくなることもある。そういった裏腹な部分が繊細に描かれてたかな。
これはある種の元来備わ
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死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

3.8

自首するかの葛藤を通して自由について考える展開も、その後の希望を持たせる描写も濃密だった。暗殺を通した、まさしく意味との闘い。
戦時中にその戦争を題材にしたこともあって、怪物みたいな映画だと思った。展
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地獄門(1953年製作の映画)

3.8

まさかサスペンススリラー的なヤバイ展開だとは…。でも後味は切なさが圧倒的。
袈裟がとった選択は本当に複雑。でも板挟みの状況で理不尽と向き合うとああなってしまうのかもしれない。
渡の最後のセリフなんかは
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.4

ドキュメンタリーアニメ。もっと生々しい現実があるのだ、と言う前提で一連のアニメーションを眺めることで、なかなか幅広いことを思わされた。
記憶は現実そのものではないとすれば、アニメのようにしか振り返れな
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.8

器が広かったな、と思う。劇場を出る時に安心感が胸にあった。別に映画の結末自体に安心感を覚えたわけではなく、この映画の眼差しに安心感があった。
世直しを謳ってある人の決断を糾弾する前に、根本的に人間はど
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アルマゲドン(1998年製作の映画)

3.2

映画だった。「画面の外には無限の可能性が」みたいな。予定調和は立派な映画の醍醐味なんだろうと思った。皮肉とかではなく。

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

3.7

その人の性質と行いは本当に密接なんだろうか。
どれだけ関係が深い相手でも過去を知ってしまうと印象が変わるというのはよくある話だけど、過去の出来事だけで印象を決めていいものか悩んだりするよね。
生まれな
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トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

とっても面白かった、ファミリー群像劇。
スムーズに壊れていくような家族。
それでも、一旦全部ぶっ壊れて各々が死を明確に意識してからの、月の光…。これは口開けてぼーっと聞き入ってしまった。崩壊した家庭な
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.6

勢いがもの凄かった。登場人物の運動量もそうだし、唐突で収拾つかない(あえてつけない)構成も相まって、エネルギーが尋常じゃない。ナイス気まぐれ。
動きまくった結果どうでも良くなる心情ってのも爽やかでいい
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捜索者(1956年製作の映画)

3.8

顔のない正義というか…。実践のない大義に意味もないだろうけど、大義のない実践(争い)も考えもの。それが笑えるシーンもあったけど。
とはいえ、そのハッキリしない部分に自覚的なのはある意味カッコ良くもある
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.6

散々暴れ回ったと思ったら、すごく清々しかった。変な拘りが強過ぎてクレイジーだったのが、「この人の前では嘘はつけない!」みたいな拘りに変わっていって、気づいたらピュアになってた。混沌とした過程を経たから>>続きを読む

トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

3.9

たしかに、平等を目指した行動は、多かれ少なかれ相手への復讐になるかもしれないね。
ただ、愛を壊す/壊させるためでなく、示す/示させるための復讐となると、コメディになるのか。なんとも不思議。

振り回さ
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ピアニスト(2001年製作の映画)

3.7

終始やりきれない思いだった。
いい年まで抑圧されてきたエリカがとる極端な行動。対立と依存、SとMとか、いつも行き過ぎた形で現れてた。
でも、過激さよりも、それがごく自然なプロセスに見えた(見せられた)
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人間の條件 完結篇(1961年製作の映画)

4.1

終始目を背けたくなるようなシーン。象徴的な風景や梶さんの表情から、人が生きる事について、嫌でもたくさん考えさせられた。

生き延びるだけでは人間になれず、むしろ遠ざかっていくように見えた。そして埋もれ
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人間の條件 第3部望郷篇/第4部戦雲篇(1959年製作の映画)

4.1

古参兵との対立の際に梶さんが取った行動はものすごくて、もはや信仰を生むレベルだと思ったし、古参兵も面食らってた姿が印象的。

でも場面が戦場に移ると、その理想とか、古参兵との対立もろとも、綺麗さっぱり
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人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇(1959年製作の映画)

4.1

これほどまでにシリアスな心持ちで映画を観た経験はないかもしれない。
第一部二部は個人と組織の葛藤が色濃かったけど、結局のところ理想は行動(結果)で支えるしかないというのが残酷に思えてならなかった。王さ
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ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」(2019年製作の映画)

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こういう表現もあるのか…。引き出しが増えた感じがしてとっても嬉しい。

資本主義の盛衰をテーマにする作品は数あれ、その中心にいた人物たちが洗練された言葉で自虐的に語りまくった時に、あんなに美しいことに
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マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)

3.8

過剰なコメディも、音楽と演出で包んでみるとスッと受け入れられるの不思議だな、としみじみ。

ヒギンズの言動はどうあれ、根本のところは非常に共感できてしまう。

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.6

悪の魅力も、それが病気のように広がる様もそんな遠い世界の感じはしない。行い(殺人)は否定できても、そこに救いを求める心の動きはどう否定しようか。
何より、「決めさせる」って怖いな。