きのぴさんの映画レビュー・感想・評価

きのぴ

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シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

4.2

ドキュメンタリー調の斬新な撮り方で描かれる、「神の街」の狂気的な日常。2時間でいったい何人の青少年が死ぬんだってくらい、呆気なく銃殺されていくスラムの若者たち。なかなか衝撃的なシーンばかりだったけど、>>続きを読む

崖上のスパイ(2021年製作の映画)

3.8

アクションだけじゃない、神経を擦り減らし合う水面下の頭脳戦が見所のスパイ映画。仲間でさえ誰も信用できないし、バレたら地獄の拷問だし、こんな仕事してたら気がおかしくなっちゃいそうだな。
感動を誘うような
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マイ・ルーム(1996年製作の映画)

3.7

豪華実力派が勢揃いしたヒューマンドラマ。家族の不和やこじれがすごくリアルで、主要キャラ数人の関係性だけでぐいっと引き込まれた。家族から攻撃を食らうと心底傷つくけど、心の傷を一番癒してあげられるのもやは>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

奇蹟の子か、嘘つきの天才か。
気づいたら引き込まれてた。サスペンス的な不穏さと、17世紀の修道院に漂う神聖さ、そこに合わさるドスの効いたエログロのハーモニー。主人公ベネデッタは本当に聖女なのか、はたま
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パッセンジャー(2016年製作の映画)

3.7

この設定を思いついた時点で勝ちじゃないかな。宇宙船で孤独に人生を終える絶望感と、他人の人生を台無しにしてしまう罪悪感との葛藤。そこが一番見応えあった。前半に山場があるため、後半は若干興味が薄れてしまっ>>続きを読む

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

3.6

「英雄とは人間が必要にかられて作るものだ。そうでもしないと命を犠牲にする行為は理解しがたいからだ。」
最後の言葉の重みが心に残った。国のために命を消費する行為を肯定するため、作り上げられた英雄たち。戦
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ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)

4.3

観終わって感じる、とんでもない映画を観てしまった感。深く考えれば考えるほど鳥肌が立ってくる。こんなに考察し甲斐のある映画は随分久しぶりな気がして、張り切ってすっごく長いレビューを書いてしまいました。ご>>続きを読む

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.8

こんなにずーっと歌ってるミュージカルはあまり観たことないかも。異国情緒あふれるラテン音楽に、NYの下町を感じるヒップホップと、ノリノリでハイテンションなミュージカルが最高に楽しかった。
明るい音楽に合
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グランド・イリュージョン 見破られたトリック(2016年製作の映画)

3.7

わかりやすい敵役が出てきたぶん盛り上がるところは増えたけど、前作の痺れるようなクールさは若干薄れた印象。主要キャラの一部にテコ入れがあったのもちょっと寂しい。とはいえ、とんでもないマジックで騙されるの>>続きを読む

リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

3.5

こんなアニメは見たことなかったな。みんなベタ塗りのモノカラーで色もコロコロ変わるし、肝心のニワトリに至っては赤いモヤでしかないし。それなのに動きに躍動感があって、人の温かみを感じるからすごい。展開も割>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

もう1、2回見ないと理解し切れそうもない、膨大な内容の3時間。「原爆の父」として名前こそ知ってたものの、原爆投下後にこんな出来事が起きていたなんて知らなかったし、世界にとって重要すぎる創造物を生んでし>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.9

アンドロイドに宿る人間性、そして東洋的価値観。観る人によって感じ方や気づきが変わりそうな映画だけど、静謐な雰囲気には独特の心地よさがあった。
ロボットから家族愛を学ぶという皮肉っぽい面白さもありながら
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

3.6

しっとりした、婉曲的な復讐劇。物語自体が面白いわけではないけど、結末が気になってそわそわするし、両俳優さんの余韻のある演技に魅せられた。分からないところは分からずじまいのまま、胸騒ぎを感じながら終わっ>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.1

一気に難しくなったし、一気に面白くなってきた。第2部はなんとなくアバター1に似てる気がして、巨大砂虫を手懐けるあたりトルークマクトになったジェイクみたいだなって思いながらも、善悪が分かりやすくない点が>>続きを読む

イングロリアス・バスターズ(2009年製作の映画)

3.8

『デスプルーフ』と『ジャンゴ』の間に公開された作品。快楽主義的な復讐劇と凄惨な歴史を巧く整合させる仕事は、タランティーノ監督にしか出来ないんじゃないかな。また、ナチス軍とユダヤ人女性に加えて、派手なナ>>続きを読む

世界の涯ての鼓動(2017年製作の映画)

3.4

ジェームズとダニー、それぞれの物語は面白い。ただ、二人の恋仲を中心に添えて見た時、いまひとつ面白さを感じなかった。世界の果ての遠距離恋愛に感情移入するには、二人の出会いがつい最近すぎる気がするし、それ>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.3

これを映画館で観ることができて本当に良かった。リバイバル上映してくれたミッドランドスクエアシネマには感謝しないとな。
ジャズの迫力や熱感はまさしく初めての体験だったし、素人の耳にも三人の成長がひしひし
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コットンテール(2022年製作の映画)

3.7

リリー・フランキーの哀愁溢れる演技を味わう1時間半。監督の長編デビュー作とのことで、リリーさんの魅力や存在感を余す事なく引き出してくれていたけど、逆に言えばリリーさん頼みな感じも否めない。
キアラン・
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時をかける少女(1983年製作の映画)

3.5

広島出身だしいつか観ないとなぁと思いつつ、ずっと寝かしてきた大林宣彦作品を初鑑賞。細田守のアニメ版は何回も見てるし、世代的には断然そっちの方が肌に合うなぁと思いつつ、ジュブナイルな甘酸っぱさや気恥ずか>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.9

こんな世界観の作品は初めてかも。破滅に向かうディストピアな世界と、女子高生のごく等身大の日常との温度差を楽しむような映画かなって最初は思ったけど、どうやらもっと複雑な感じ。命の価値や正義の是非を問うよ>>続きを読む

アラジン(2019年製作の映画)

4.0

やっぱりアラジン大好き。ディズニーの中でもストーリーが一番面白い作品だと思う。ただ幸運で成り上がるってだけじゃなくて、機転が効いたり正直者だったり、アラジン自身にちゃんと魅力と能力が備わってるのが良い>>続きを読む

ANNIE/アニー(2014年製作の映画)

3.7

超有名なミュージカル、でも観るのは初めて。予想通りのハッピーエンドな王道ストーリーだったけど、クスッと笑えるシーンが多くて、また素敵な歌も盛りだくさんで存分に楽しめた。『Gold Digger』って曲>>続きを読む

スナッチ(2000年製作の映画)

4.0

集中してないと置いてかれそうなテンポの速い展開、めちゃくちゃ良い。『ジェントルメン』を先に観ちゃったからあれだけど、ガイ・リッチーはやっぱこういうテイストのが一番面白いよね。意外と死に際があっさりして>>続きを読む

Shall we ダンス?(1996年製作の映画)

3.9

好きなことに打ち込む情熱って、やっぱり素敵だなって思った。コミカルな要素も多分にありながら、社交ダンスへの愛や情熱がすごく真摯に描かれている。ダンスを始めた動機とか踊る目的はみんな違っても、それを認め>>続きを読む

マガディーラ 勇者転生(2009年製作の映画)

3.5

ラージャマウリ監督の初期作品。ストーリーや構成はバーフバリによく似ている。前世の因縁を400年後の未来で清算するという、これまた神話のような設定で、ツッコミどころは大いにありつつ分かりやすい展開を素直>>続きを読む

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.7

ラッセ・ハルストレム監督とは180度反対の角度から、ワンコへの愛を形にした映画、と解釈していいのかな。人類の友であるワンコの頼もしさと愛らしさ、加えて恐ろしさを存分に楽しむことができた。もちろんダグラ>>続きを読む

かぞくのくに(2012年製作の映画)

3.9

日本からほど近い隣国のひとつなのに、限りなく遠い。国家に生き方を統制されて考えることをやめてしまったソンホや、家族や生活のために淡々と仕事を遂行する監督官を見ていると、息が詰まりそうだった。家族と離れ>>続きを読む

アイデンティティー(2003年製作の映画)

3.8

後半までタイトルの意味が分からないまま、あれ、ひょっとすると、と謎が解けたときにタイトルの秀逸さに鳥肌が立った。閉ざされた環境下で次々と殺されていく緊張感と、違和感の正体が明らかになった時のパラダイム>>続きを読む

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

4.1

涙腺ちぎれた。貴湖も安吾も愛少年も、みんな境遇が苦しすぎて時々目を背けたくなりつつ、苦しみが理解できるからこそ向けられる芯の通った優しさに沁みた。複数形のタイトルにも鑑賞後じんわりきた。
たとえ自分の
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ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

3.6

なかなか引退できないどころか、世界中の殺し屋に追われることになったジョン・ウィック。次から次に現れる敵を一人残らず倒していく様を見て、スマブラの「百人組み手」を思い出した。ストーリー自体は至ってシンプ>>続きを読む

犬神家の一族(1976年製作の映画)

3.7

超有名なテーマ曲に、超有名な二本足。昔、にしおかすみこが「犬神家!」ってギャグやっとったけど、あれはそんな有名じゃないか。
本当によく出来たミステリーだと思う。終盤まで犯人が分からない秀逸なプロットと
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ソウルメイト(2023年製作の映画)

3.9

オリジナル版と甲乙つけ難いので同じ点数にしました。「光と影」のメタファーとして小説ではなく鉛筆画にしたのは、機転が利いたアレンジだと思うし、作品の完成までの過程が二人の絆を象徴していてすごく良かった。>>続きを読む

セールスマン(2016年製作の映画)

3.7

これまた興味深いテーマだこと。正義のために復讐すべきか、許しを与えるべきか。エマッドが間違っていてラナが正しいということではないと思うけど、誰のための正義なのか、そこが一番重要なのかなと思った。
日本
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オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)

3.6

酒と薬と女とエンタメ。やりたいことだけやって死ぬという、最低で最高な人生哲学。破滅的に好きなことだけに傾倒した生活の中で、"It’s show time!"と鏡に映る自分に笑いかける主人公の表情がとて>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.8

「3回に1回は助けてあげられるかもしれない」って、優しくて誠実な見積もりだと思う。10回に1回でも決して悪くない。困った時に助けようとしてくれる誰かがいるって思うだけで、幾らか安心できるし、勇気が湧い>>続きを読む

地獄の黙示録(1979年製作の映画)

3.9

まさに地獄。戦争が常態化し、殺人が日常になる。罪のない村人たちが虐殺され、大きな森林が焼かれていく映像は本当に衝撃的で、戦争の恐怖と狂気を間近で体感した気がした。そしてカーツ大佐との対面。混沌の最奥で>>続きを読む

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