きのぴさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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アイデンティティー(2003年製作の映画)

3.8

後半までタイトルの意味が分からないまま、あれ、ひょっとすると、と謎が解けたときにタイトルの秀逸さに鳥肌が立った。閉ざされた環境下で次々と殺されていく緊張感と、違和感の正体が明らかになった時のパラダイム>>続きを読む

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

4.1

涙腺ちぎれた。貴湖も安吾も愛少年も、みんな境遇が苦しすぎて時々目を背けたくなりつつ、苦しみが理解できるからこそ向けられる芯の通った優しさに沁みた。複数形のタイトルにも鑑賞後じんわりきた。
たとえ自分の
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ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

3.6

なかなか引退できないどころか、世界中の殺し屋に追われることになったジョン・ウィック。次から次に現れる敵を一人残らず倒していく様を見て、スマブラの「百人組み手」を思い出した。ストーリー自体は至ってシンプ>>続きを読む

犬神家の一族(1976年製作の映画)

3.7

超有名なテーマ曲に、超有名な二本足。昔、にしおかすみこが「犬神家!」ってギャグやっとったけど、あれはそんな有名じゃないか。
本当によく出来たミステリーだと思う。終盤まで犯人が分からない秀逸なプロットと
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ソウルメイト(2023年製作の映画)

3.9

オリジナル版と甲乙つけ難いので同じ点数にしました。「光と影」のメタファーとして小説ではなく鉛筆画にしたのは、機転が利いたアレンジだと思うし、作品の完成までの過程が二人の絆を象徴していてすごく良かった。>>続きを読む

セールスマン(2016年製作の映画)

3.7

これまた興味深いテーマだこと。正義のために復讐すべきか、許しを与えるべきか。エマッドが間違っていてラナが正しいということではないと思うけど、誰のための正義なのか、そこが一番重要なのかなと思った。
日本
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オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)

3.6

酒と薬と女とエンタメ。やりたいことだけやって死ぬという、最低で最高な人生哲学。破滅的に好きなことだけに傾倒した生活の中で、"It’s show time!"と鏡に映る自分に笑いかける主人公の表情がとて>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.8

「3回に1回は助けてあげられるかもしれない」って、優しくて誠実な見積もりだと思う。10回に1回でも決して悪くない。困った時に助けようとしてくれる誰かがいるって思うだけで、幾らか安心できるし、勇気が湧い>>続きを読む

地獄の黙示録(1979年製作の映画)

3.9

まさに地獄。戦争が常態化し、殺人が日常になる。罪のない村人たちが虐殺され、大きな森林が焼かれていく映像は本当に衝撃的で、戦争の恐怖と狂気を間近で体感した気がした。そしてカーツ大佐との対面。混沌の最奥で>>続きを読む

雪の轍(2014年製作の映画)

3.5

外国の古典文学を読んでる感じ。人間描写がめちゃくちゃ優れているのは間違いないけど、いかんせん3時間超は長すぎて、退屈と集中力との闘いになる。それに加えて、人間の見たくない部分に終始フォーカスされる内容>>続きを読む

カラーパープル(2023年製作の映画)

3.7

不屈の女性たちによる魂の反抗。原作小説もあるみたいだけど、これはミュージカルで味わうのが一番じゃないかな。生きることの喜びが音楽に乗って胸に響いた。
当時、シュグやソフィアのように堂々と自分を通せる女
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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年製作の映画)

3.8

ジェレミー・レナーがメンバーに加わり、よりチーム戦の様相に。過去3作でイーサンのワンオペ無双は十分堪能できたから、ちょうど仲間との共闘が観たいなぁと思っていたところ。派手さはないけど頼もしい面々。サポ>>続きを読む

式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

3.4

庵野監督が岩井監督に監督の役を演じさせる映画。役中の監督が庵野監督自身であるのと同時に、ひょっとすると彼女も庵野監督自身の投影なのかと。エヴァ旧劇場版3部作の後というタイミングで、庵野監督の中の葛藤や>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

4.0

悪 vs. 悪。高齢者から富と人生を搾取する悪徳後見人と、母を奪われたロシアンマフィアのスリリングな攻防。どっちが勝っても嫌な感じがするのに、気づいたらのめり込んでいた。どんな手を使っても勝ち馬になろ>>続きを読む

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

3.6

ストレートの人々への感じ方とか、パブリックな場所での振る舞いとか、カミングアウトの難しさとか。全部が等身大な週末の2日間。そういう意味ではすごく勉強にもなるし、恋心や愛情には素直に共感できる。必要以上>>続きを読む

名もなき歌(2019年製作の映画)

3.3

乳児誘拐事件を中心に、政情不安に揺れる80年代のペルーを映し出す。特にネイティブ系の貧困層の人たちは、政府や警察組織に守られることなく不況の犠牲になっていたんだろうな。ましてこういう事件は完全にスルー>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.9

不覚にも何回か吹き出してしまった。原作は読んだことないけど、ギャグセンの高さが伝わってくる。歌が上手くなりたいヤクザと、真面目な合唱部の男子中学生。決して交わるはずのない二人の化学反応を、最大値の面白>>続きを読む

エール!(2014年製作の映画)

3.8

『コーダ あいのうた』の仏オリジナル版。華やかさやドラマチックな演出は控えめに、農業の町の素朴さがとても温かい。主人公のポーラもまだ幼い。だから、パリの音楽学校がより遠く感じるし、ハリウッド版よりも家>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.6

スライドショーのような静止画の連続とナレーションで構成された、初めて観るタイプの映画。文明崩壊後の地下世界で、主人公は危険な時間移動の被験者に。過去には愛する人が、未来には人類の希望があり、やはり主人>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

こんなに実験的な映画はなかなか観られない。『アルジャーノンに花束を』と『バービー』を掛け合わせて、それをエロとグロとメルヒェンで濃いめに味付けしたような、とても魅力的な物語と世界観。実験的でありながら>>続きを読む

マグニフィセント・セブン(2016年製作の映画)

3.9

なるほど、最後ほぼイコライザーじゃんって思ったら同じ監督なのね。『七人の侍』を西部劇にアレンジした『荒野の七人』、それをさらにリメイクしたのが本作。仲間集めや農民との共闘といった見所は踏襲しつつ、極悪>>続きを読む

トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)

3.8

この映画がきっかけとなり、ベースになった事件が再検証され、法改正にもつながったとか。社会派映画としては、興行収入以上に価値のある成功だと思う。
校長たちによる暴行や性的虐待があまりにも生々しくて胸糞悪
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千年女優(2001年製作の映画)

4.1

ラストシーンの鳥肌ったら。パーフェクトブルーに負けずとも劣らず、本作も相当込み入った構成の妙を魅せてくれる。素の千代子と作品中の千代子が同じ目的を共有していたり、メタ的存在であるはずの取材班が回想中の>>続きを読む

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

3.8

一夜限りのロマンスが美しかった23歳。人生の選択や巡り合わせに思いを馳せた32歳。二人が41歳になった本作では、人生の意味や生き方についてますます深く考えさせられる。
ほかに登場人物が増えたのはすごく
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月はどっちに出ている(1993年製作の映画)

3.5

「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな」
すごく人間味のある映画。在日コリアンの主人公と出稼ぎフィリピーナの恋人を中心に、多国籍で活気のある人間模様が結構楽しかった。忠さんもコニーも、「〇〇人は〇〇だ」み
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.8

すごい、ちゃんとゴールデンカムイが再現されてる。正直、山崎賢人の杉元に慣れるのには若干時間がかかったけど、杉元の不死身っぷりが高い再現度で演じられていて、日本を代表する実写特化型アクション俳優だなぁと>>続きを読む

マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

4.0

これは痺れるわ。ヴィジュアル、音、激しいアクション、全部良い。このハードボイルドな終末世界をいかつい車が爆走するだけでも脳汁出るし、イカれ度MAXなジョー軍団の追撃が迫力満点でめちゃくちゃ面白かった。>>続きを読む

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

3.7

エリが失踪する前と後で、登場人物たちの内面の見え具合が大きく変わる。責任転嫁する人、暴力的になる人、楽観主義に逃げたい人。この人ならどう考えどう行動するか、登場人物それぞれのパーソナリティが明確に設定>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.2

パラサイトを観た時と同じくらいの衝撃。最近この類の韓国映画は本当に面白くてびっくりする。
C・マッカーシーの『ザ・ロード』みたいな荒廃した終末世界。唯一崩壊を免れた集合住宅を舞台に、生き残った人々の生
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.0

歴代のバットマンとはまた違い、ダークで儚げなバットマンがとても魅力的。ボソボソと囁くような話し方に、頬は痩けていて体調が悪そう。それでいて、過去作以上に大きな使命と役割を背負っているようにも見えた。>>続きを読む

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

3.9

ウィーンでの出会いから9年後、パリで再会した二人。前作同様、ほとんど二人の会話劇で終始する。それでこれだけ引き込まれるんだから本当にすごい。楽しげに話している様子は9年前と全然変わらないのに、会話の内>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.1

日本の恋愛映画の最高峰かもしれない。ぶっ刺さりすぎて終盤涙が止まらなかった。好きなものが一緒だったり(てか二人ともセンス良すぎ)、全く同じことを考えてたり、些細な共通点から惹かれていく当初の二人が本当>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

3.9

もしも飛行機の機内でバイオテロが起きたら。リアリティのある設定の中、極限状態で生き残る道を探る乗客、客員たちと、地上で奮闘する人たちのドラマが見応え抜群。
日本の自衛隊が簡単に攻撃しないでしょとか多少
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.7

やりたい事があるという不幸せ。才能があるという不幸せ。そういう地獄を生きている人たちがいるんだと、ツチヤから学んだ。
世間から干渉されずお笑いだけをやっていたいのに、お笑いは世間に向けたものであるとい
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バービー(2023年製作の映画)

3.8

めちゃくちゃ笑った。バービーが自分を見つめ直す物語かと思いきや、ケンに対する盛大なイジりであり慰めでもある。ライアン・ゴズリングがこれを真剣にやってるってだけで面白いし、ウィル・フェレルあたりでちゃん>>続きを読む

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

3.7

キアヌのキレッキレのアクションを拝める幸せ。年齢を感じさせない身体の動き、お見事ですな。殺し屋界隈での超大物感、VIP待遇がまずかっこいいし、敵が不憫になるくらいの無双っぷりには当然ながら痺れた。ウィ>>続きを読む