きのぴさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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岬の兄妹(2018年製作の映画)

3.4

ものすごい映画だってのはよく分かるけど、自分には強烈すぎた。救いがなくて、苛立っていて、臭い。とにかく人間のあらゆる悪と弱さが前面に出ていて、面白さを不快感と居心地の悪さが追い越してしまった。主演の二>>続きを読む

灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.3

なんという脚本。1 + 1=の答えは、言葉を失うほど強い衝撃だった。宗教紛争下の過酷すぎる運命を追跡するだけでも相当見応えがあるのに、さらに驚愕の真実が待ち構えていて鑑賞後はもはや満身創痍。思い返して>>続きを読む

朝が来る(2020年製作の映画)

3.9

養子縁組を両側から眺めることが出来る社会派なミステリー作品だった。現代社会の中でもかなり日陰の部分までしっかりと描かれているから、相当に重たい。ずーんとくる。
胸をどんよりさせながら子どもや子育てにつ
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ニューヨーク東8番街の奇跡(1987年製作の映画)

3.7

こういうハートウォーミングなSFはいくら観たっていい。呑み込みやすくて程よくパンチが効いている。一見平凡な映画にも見えるけれど、ハリーとか脇役が結構魅力的なのと何よりチビちゃんたちが可愛くて退屈せずに>>続きを読む

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

3.8

ギレルモ・デル・トロらしい大人向けのお伽話。子どもの頃に観てたら間違いなくトラウマになってたと思う。厳しい現実とは対照的な不思議の世界、と思いきやそちらも中々にハードモードで、年端も行かない少女には酷>>続きを読む

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.6

全編ミュージカルって初めて観たかも。軽やかなフランス語と色彩豊かなシェルブールの街並みがとても洒落ていて、これはデジタルリマスター案件だなと納得。ベタな内容だけど、歌と余韻が心地よくて全然退屈しなかっ>>続きを読む

その日、カレーライスができるまで(2021年製作の映画)

3.5

おじさんがカレーライスを作るだけの映画を成立させることが出来る唯一の俳優が、リリー・フランキーなんだと思う。短い映画で全編一人芝居なのに、色々な感情がとてもリアルに表現されていた。「哀愁」って言葉がし>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

この親友コンビにハズレなし。日曜劇場をスタイリッシュに味変したようなビジネスサクセスストーリーに、胸が熱くなるのを感じた。熱意・誠意が決め手になったのは間違いないけど、あからさまな美談にせず商業的な側>>続きを読む

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)

4.1

子どもの目線から描くホロコーストの恐ろしさ。なぜ同い年の子どもが白黒のパジャマを着て有刺鉄線の内側にいるのか。ユダヤ人だから、という理由が合理的でないことくらい子どもにだって分かる。いや、むしろ当時の>>続きを読む

シチリアを征服したクマ王国の物語(2019年製作の映画)

3.5

タイトルに惹かれて鑑賞。チャーミングな世界観が見ていてとても楽しい。闘うクマ、踊るクマ、欲に溺れるクマと、楽しく眺めていると意外と学びが多いことに気がつく。人間に同化してしまう前に従来への暮らしへと立>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.1

チャーリーの最期に、人間のありのままの悪徳と美徳を見た気がする。人は往々にして欲に溺れ、大切なものを見失い、そのうえ正当化して自分を納得させようとする。けれども、その気になれば正直になれるし、誰かのた>>続きを読む

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

3.8

ずっと気になっていた映画。しかしなんて重い映画なんだろう。メディアの在り方や意義を問うような内容かと思ったけど、蓋を開けてみるとそんなやわいものじゃなかった。もっと人間の根底をえぐってる。天秤って表現>>続きを読む

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)

3.3

赤の他人どうしが家族を装ってフランスへ。設定はすごく面白いのに、登場人物たちの心の動きがあまりよく分からなかった。特にヤリニがディーパンをどう思っているのかが本当に掴めなくて、モヤモヤしたまま終わっち>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

めちゃくちゃ沁みた。若輩者ながら、仕事に取り組む姿勢、気持ちって本当に大切だと思う。死を目前にして仕事との向き合い方を変えたウィリアムズは、とても生き生きとして幸せそうに見えた。かっこよかった。
周囲
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オットーという男(2022年製作の映画)

3.9

幸せなひとりぼっちをトム・ハンクス主演で米版にリメイク。やっぱり良いお話。トム・ハンクスが演じることで元々のキャラクターに彼の色が乗っかって、よりハートウォーミングに仕上がっていた気がする。頑固ジジイ>>続きを読む

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

3.5

主演二人は渾身の演技をしたと思う。アデルとレアセドゥの身を削るような大立ち回りがなかったら、この映画は完成しなかったはず。カンヌで絶賛されたのがよく分かる映画ではあるけれど、生々しいシーンがあまりにも>>続きを読む

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

3.9

なんて暴力的で魅力的な物語なんだろう。直視しがたいのに目が離せない。全体的に鬱屈とした雰囲気なんだけど、バイオレンスなシーン以外にも、顔どアップの演出で見せる登場人物たちの表情がアクセントになっている>>続きを読む

ニューイヤーズ・イブ(2011年製作の映画)

3.8

ラブ・アクチュアリーのハリウッド版・大晦日バージョンって感じで、こちらも超豪華な布陣で最高にハッピーな新年のカウントダウンを彩る。登場人物一人ひとりにドラマがあってとても見応えがあった。めっちゃ年越し>>続きを読む

GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

3.7

すごく象徴的な映画。宇宙への憧れが20世紀よりも薄れてしまった今だからこそ、老朽化したガガーリン団地はとても寂しく見える一方、その内側にユーリが創り出したコックピットには、底が知れない夢の力を感じる。>>続きを読む

グッバイ、リチャード!(2018年製作の映画)

4.0

全くの冒頭で余命宣告を受けるから、観ている方も主人公と一緒に死の準備を進めていくことになる。リチャードはとても率直になった。権威や一般常識に迎合せず、自分と大切な人のために生きようとするのが分かった。>>続きを読む

サマータイムマシン・ブルース(2005年製作の映画)

3.8

この仲間内でわちゃわちゃする感じめっちゃ好きだなぁって気楽に観てたら、実は伏線がたくさん張り巡らされていて、なんて面白い脚本なんだろうと感心してしまった。どこか舞台演劇を感じる台詞回しもSF研の雰囲気>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.6

スカッとした。冴えない中年男にしては体格が良いなぁとは思ったけど、まさかこんなに無双するとは。しかし、どうして敵はこんなに弱いんだろう。目隠しして銃撃しても、もう5発くらいは当たっていいでしょうに。ド>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.7

スピルバーグ監督の原点を知る映画。感慨深く、ストーリーもそれなりに面白かったけど、これは監督への思い入れの深さで評価が左右されそうな気もする。比較的若い映画ファンの自分からすると、特に前半は「へぇ、そ>>続きを読む

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

3.7

設定とタイトルから少し重たい映画なのかなと思いきや、ほのぼの時々甘酸っぱい青春モノでとても心が満たされた。トヨエツお父さんの不思議ちゃんな感じが結構ハマってるし、門司君との恋模様も等身大でぎこちなくて>>続きを読む

ベニスに死す(1971年製作の映画)

3.2

この哀れなおじさまに感情移入するには余りにも人生経験が足りなかった。タージオは確かにめちゃくちゃ美少年だけど、おじさんが少年をストーキングするのは正直見てられない。
ベニスの風景とそこを歩くタージオは
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茶飲友達(2022年製作の映画)

3.9

切れ味のある社会派映画だった。孤独って、現代社会が持つ最大の特徴のひとつだと思う。そこに真正面からスポットライトを当て、独居老人を中心に様々な問題を浮き彫りにする。
マナの理想はよく理解できるし、倫理
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.6

食人の衝動に駆られる主人公たちの目線から描かれているので、人を食べるという行為がすごく甘美なものに見えた。不思議な感覚。おぞましさの中にほんの僅か神聖さすら感じる。
ホラー的な要素をもう少し排除して、
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あと1センチの恋(2014年製作の映画)

3.8

焦ったいけど、早く一緒になりなよって歯痒かしく待たされる90分も悪くない。幼馴染の障壁って意外と大きいのかな、邦題のとおりあともう寸前のところでまた遠のいてしまう。ああ、二人とも自分の気持ちに素直にな>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.1

こんなに奇想天外で先が全く読めない作品も少ないと思う。まさにダニエルズコンビの発想力の賜物。突飛な設定で思いっ切りふざけてるだけかと思っていたら、意外と普遍的で等身大なテーマが後半で待ち受ける。スパイ>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

程よく真実を明かし、程よく解釈の余地を与える良質なサスペンス。死んだカラスを埋めながら「刑事さんの心が欲しい」と呟いたシーンは、後々考えるとすごく大切なシーンだったのかも。未解決事件になって、ヘジュン>>続きを読む

スーパー30 アーナンド先生の教室(2019年製作の映画)

3.7

神戸の趣深い小劇場パルシネマしんこうえんにて。
貧しい子どもたちのために無料で個人塾を開講した、稀代の天才アーナンド先生の実話をベースにした物語。身近な事象に対する疑問を試験勉強に結びつけていくという
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.2

作中で何度か引用されるマルクスは、『資本論』の中で資本主義の物神崇拝的性格について指摘しているそうな。この映画は、まさにその物神崇拝的性格の持続性を、皮肉の限りを尽くして検証しているんだと思う。
第一
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

最悪の出会いから始まる恋っていうと陳腐な感じがするけど、これはすごく良い。不器用に距離を縮めていく二人の旅を追ううちに、ラウラの孤独とリョーハの優しい部分が見えるようになり、他人事とは思えないくらい嬉>>続きを読む

俺たちダンクシューター(2008年製作の映画)

3.4

時々こういう映画を観ておくとメンタルヘルスに良さそう。学びも気づきも何ひとつない、純度の高いくだらなさに元気をもらえた気がする。

シックス・センス(1999年製作の映画)

4.1

見事にくらった。ああ、全然気がつかなかったなぁ。この少年は何者なんだろうって、最初は少し恐怖心すら抱かせるような演出とハーレイ君の見事な演技で、ずっとドキドキしながら観ることができた。観終わった時の余>>続きを読む

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

3.5

バビロンを観て本作を久しぶりに観たくなり鑑賞。ギャツビーやハワード・ヒューズなど、ディカプリオは大金持ちのキャラクターが本当によくハマる。本作の下劣で悪徳な主人公も完全に憑依しているように見えた。
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