きのぴさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

きのぴ

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トランス・ワールド(2011年製作の映画)

3.4

謎が明らかになっていくところは結構引き込まれたけど、終盤にかけて失速した感じがする。低予算が露骨に分かるチープなCGがかなり浮いて見えたから、もっと別の手法や見せ方を考えて欲しかった。ストーリー自体は>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

3.9

1920年代のハリウッド、巨大なパラダイムシフトの大波に呑まれた人々の成り上がりと退廃のジェットコースターを照明全開で乗り倒す3時間。品行も節制も存在しない、人間の欲望のすべてが解放された異様な世界に>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.6

争いのきっかけは大抵ささいなことで、わりと早い段階でそのきっかけも重要じゃなくなる。争いの根底にあるのは元凶ではなく、争っている状態そのものであって、要するに争い自体が争いを続ける駆動力なんだろうな。>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.8

スリリングな潜入捜査のなかにコメディ要素もありつつ、人種差別を痛烈に批判する社会派映画。エンターテイメント性とメッセージ性のバランスが良くて、楽しみながらも未だ大きな問題なんだということを強く感じた。>>続きを読む

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

4.2

「誰にも奪えないものが自分のなかにある。希望だ。」これは山本幡男ではなく、ショーシャンク刑務所でのアンディーの格言だけど、山本の生き方を上手く言い得ている言葉だと思う。最後まで希望を持ち続けた山本は、>>続きを読む

あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)

3.7

原題も邦題も、なかなか乙だってことがだんだん分かってくる。インドの階級社会と地方に残る悲しい風習。直接的な描写はなくても、ラトナを取り巻くしがらみがとてもリアルで苦しかった。人生を半ば諦めかけながら、>>続きを読む

梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

3.6

やや短めだけど、周りの人に優しくなれそうな映画だった。生きていれば人に迷惑を掛けることくらい誰にだってあるのに、それを忘れるから多少の不都合に怒りをもって反応してしまう。自分も含めて、どうも現代人は迷>>続きを読む

金の国 水の国(2023年製作の映画)

3.9

なんて優しい映画なんだろう。自分が出せるなかでも一番綺麗な涙が流れた気がする。
とっても優しい二人がついた嘘が、いがみ合う両国にやがて泰平をもたらす。血を流す代わりに過去を水に流して、そこに水を引く。
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

4.1

パッケージから想像してた映画とは全く違ったけど、これは名作じゃないかな。愛と憎しみ、罪と赦し、人間の強さと弱さが、波のように心に押し寄せて感情を揺り動かす。タイトルの意味がよく分かる。
さすがのA24
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

3.7

すべてはタイトルに込められてたんだな。大地震で瓦礫と化した町のなか、話し掛ける人はみんな家族や友人を失った人ばかり。その先の人生に居るはずだった大切な人を亡くしても、それでも人生はつづいていく。それを>>続きを読む

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

4.0

ニュー・シネマ・パラダイスにスタンド・バイ・ミーのエッセンスを加え、インドを舞台に描き直したような映画。しかも実話。面白くないわけがない。
映画への愛と、故郷との訣別がやはり大きなテーマとなっていて、
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カセットテープ・ダイアリーズ(2019年製作の映画)

3.7

ブルース・スプリングスティーンを聴くのは実は初めて。ボスは確かに代弁者だった。内なる叫びをストレートに歌う彼の音楽は、ジャベドと彼が住むルートンという町によく合っていると思う。ただ、ボスに影響されるが>>続きを読む

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.8

取り留めのない会話劇。観る人に重大な影響を決して与えない、きっと観ても観なくてもどっちでもいい映画だと思うんだけど、各篇のどこかに必ず引力があって、なぜか目が離せなくなる。カフェで一人勉強している時に>>続きを読む

七人の侍(1954年製作の映画)

4.2

なんて構成力だろう。七人それぞれの魅力や心情描写も確かに物凄いけど、起承転結に忠実な王道展開でいて、尚かつ観る人を3時間半近く釘付けにする構成力に恐れ入る。侍集めから、準備、奇襲、緊迫の防衛戦まで、自>>続きを読む

50回目のファースト・キス(2004年製作の映画)

3.9

すごく素敵。正直リアリティはあんまり無いけど、ハワイの最高なロケーションも相まって、思う存分ロマンスに浸れる映画だった。毎日恋に落ちるってどんな感覚なんだろう。
あとセイウチやペンギンとのやり取りが楽
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パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉(2011年製作の映画)

3.4

ウィルやエリザベスが出てこないの寂しいなぁ。3人が主人公みたいな感じだったから、ストーリーは悪くないけど少し物足りなさがあった。バルボッサは作品を重ねる度にだんだん好きになってきてる。

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.0

世界を代表する映画音楽家エンニオ・モリコーネの偉大過ぎる功績を振り返る映画。ニューシネマパラダイスやワンス〜アメリカの他にも、本当に数多くの名作を残してて、3時間近いドキュメンタリーも不思議と退屈には>>続きを読む

百円の恋(2014年製作の映画)

3.8

"Hungry and Angry" ジムの梁にしれっと刻まれていたこの格言が、この映画の本質を言い得ているような気がした。クソみたいな生活、クソみたいな自分をボクシングに昇華する。「百円の価値しかな>>続きを読む

ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.7

難しい。この映画のメッセージが何なのかよく分からなかったけど、エヴァンの嘘は多くの人を結びつけ、またエヴァン自身の世界を大きく広げた。大事になり過ぎて収拾がつかなくなったとはいえ、嘘をついてなかったら>>続きを読む

恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム(2007年製作の映画)

4.0

これぞインド映画の真髄。豪華絢爛の限りを尽くした一大叙事詩を、キングオブボリウッドことシャー・ルク・カーンの一人二役で楽しむ。
ボリウッドは決して引き算をしない。脚本にせよ演出にせよ、全て足し算で何と
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ディナーラッシュ(2000年製作の映画)

3.7

食欲をそそるクライムサスペンス。「飯テロ」とはまさにこの映画のために生まれた言葉なのかもしれない。
火を噴くような厨房のスピード感と、落ち着いた雰囲気のなかで水面下の牽制が続くホール。二つの場を時に横
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エクス・マキナ(2015年製作の映画)

3.6

ネイサンが予言した通り、完成されたAIにとって人間なんて原始人みたいなものなんだろう。AIを所有物として扱い消費する者、AIを一人の女性と捉え好意を抱く者。そしてAIはというと、、、最後まで展開が読め>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.8

ボクシングや実生活(特に会話中)で目を澄ませるケイコとは対照的に、観客は自然と耳を澄ませることになる。映画音楽を使う代わりに環境音に輪郭を持たせることで、かえって耳が聞こえないということを強く意識させ>>続きを読む

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)

3.9

『フォレスト・ガンプ』『Always 三丁目の夕日』など、各国に代表的な愛国人情映画があるとすれば、本作もその一つなんだろうな。国によって中身や展開はもちろん違うけど、全体的な雰囲気はかなり似ている気>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.5

哀愁たっぷりお爺ちゃんと不良少年のロードムービー。親切なマルタファミリーとの団欒が、侘しい砂漠の風景も相まってとても温かく感じる。
ラフォが若くて水気に溢れているせいでマイクがカラカラに渇いて見えたけ
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

4.3

この迫力、絶景、ストーリー。これだからパンドラの世界はやめられない。もはやナヴィと同じように世界を眺め、同じようにスカイピープルを見ている気がする。物語は人間vsナヴィの闘いから、トゥルクンが標的とな>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

3.0

自分には早すぎたかな。ゴダールを理解せずして映画好きは名乗れない的な、変なプレッシャーを勝手に感じながら集中して観たけど、残念ながら退屈さ以外にはほとんど何も印象に残らなかった。悔しい。ジムバッジ8個>>続きを読む

ブータン 山の教室(2019年製作の映画)

3.8

「先生は未来に触れることができる。」ルナナ村の人々が口にするこの言葉がすごく印象的だった。世界一幸福な国ブータンの辺境での暮らしは、素朴でいて満ち足りているように映るけれど、子どもたちの学びへの意欲は>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

3.9

自分的、日本で3本の指に入る小説が遠藤周作の『沈黙』。それを並じゃない熱意と盤石の布陣で再現したスコセッシ監督には感謝しかない。揺れるロドリゴの心情やキチジローの存在がやっぱりすごく良くて、でも何より>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.3

マトリックスシリーズはジェットコースターのようなもの。褒めてるわけじゃなくて、一度頂上まで昇ったら後は降下するだけ。尻すぼみな第3部を払拭するような大作を少し期待したけど、尺が無駄に長いだけの薄味なラ>>続きを読む

おみおくりの作法(2013年製作の映画)

3.7

ジョン・メイの背中の曲がり方が寂しく、同時に深い慈しみを感じる。20年以上も孤独死と向き合い続けると、死に対する恐怖心が人一倍大きくなりそうな気もするけど、ジョン・メイにあるのは孤独に対する同情と死へ>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

4.8

こんなに嗚咽したのは久しぶりかも。それくらい厳しい苦難の中に二人は居て、絶望的な状況下で二人の繋がりだけが優しい。ただの不良と優等生の恋愛ではない、「勝つ」ための二人の命を懸けた闘いに感情を根こそぎ持>>続きを読む

黄金のアデーレ 名画の帰還(2015年製作の映画)

3.6

名画をめぐる法廷での闘いと、絵のモデルが経験した激動の歴史。この二本軸の展開に引き込まれる。
オーストリア政府や美術館側の言い分は分からなくもないけど、詰まるところ凄惨な出来事を肯定することになっちゃ
>>続きを読む

音楽(2019年製作の映画)

3.7

けんじの声なんだか味があるなぁって思ったら、ゆら帝の坂本慎太郎だったとは。ニッチな所から適任を見つけたなぁ。3人の気の抜けた雰囲気や台詞も、織り成す音楽もすごく魅力的で、牧歌的なのにどこか奇抜な世界観>>続きを読む

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

4.0

ひと目見てもう大ファンです。なんて綺麗な女優さんなんだろう。ストーリーももちろん最高なんだけど、それ以上にイスに夢中になった。日本人男性の1日が巡ってきたら真っ先に立候補したい。
人は内面だなんて言っ
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女神の見えざる手(2016年製作の映画)

3.7

金と権力の世界で、媚びることなく華麗に振る舞うかっこよさ。でもそれは多大な努力と自己犠牲の上にあって、後半にかけてその苦悩が徐々に明らかになるんだけど、そこで初めて分かる主人公の信念や目的意識の強さに>>続きを読む