死者ノックさんの映画レビュー・感想・評価

死者ノック

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エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

4.0

韓国の映像作品に慣れ親しんだ人間ならばよく分かるだろうけれど、作品を鑑賞中に「この俳優、絶対知っているのに」というもどかしい瞬間が度々訪れるものだ。時には、その正体に気を取られて、作品に集中できないこ>>続きを読む

バッカス・レディ(2016年製作の映画)

4.5

ブレーキの故障した列車が速度を上げて迫って来る。このまま列車が進むと線路上にいる3人の作業員を轢き殺してしまう。しかしあなたの目前には、転轍機のレバーがある。レバーを引けば列車は方向変え、1人の作業員>>続きを読む

群盗(2014年製作の映画)

4.8

その卓越した武芸能力で名を馳せた武官のチョ・ユン(カン・ドンウォン)は、実は芸妓の息子であり幼い頃、一代で莫大な財を築いた官吏の父親に引き取られらた。正妻との間にできた彼の弟が生まれてからは、次第に自>>続きを読む

ダイナマイト・ファミリー(2014年製作の映画)

3.4

ソン・セビョクペンとして使命感だけで鑑賞。取り立てて記すことはない。


イ・アイという女優は初めて知った。あの、スターからバイプレーヤーまで韓国のあらゆる俳優たちを網羅する(無駄に東方神起のユンホで
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王になった男(2012年製作の映画)

3.7

韓国時代劇映画作品に捨て作ナシ。
やはり韓国映像作品にウ◯コネタは欠かせないのか(誰得なんすか?)。
今やハリウッドスター、イ・ビョンホンもその例外ではない。

ハン・ヒョジュが猛烈に美しい。

哀しき獣(2010年製作の映画)

4.8

ロシアと北朝鮮の狭間に位置する延辺、朝鮮族のタクシー運転手のグナム(ハ・ジョンウ)は韓国に出稼ぎに出たまま帰らない妻の行方を追うため韓国に渡ろうとするが、逆に多額の借金を背負ってしまう。挙句、一日の稼>>続きを読む

鋼鉄の雨(2017年製作の映画)

4.5

締めくくり方に疑問は残ったが、紛れもない傑作だ。

韓国の加勢大周いや、吉田栄作(まあ、それはどちらでもいい)元祖オルチャン、チョン・ウソンと私が愛してやまないクァク・ドウォンヒョンのW主演で傑作『弁
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八月のクリスマス(1998年製作の映画)

4.8

なんすか、おならの幽霊って。


まあそれはどうでもいい、とにかくも本作は掛け値なしの傑作に違いないのだから。

写真館を営むジョンウォン(ハン・ソッキュ)は、穏やかな暮らしを送っている。日中は写真館
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観相師 かんそうし(2013年製作の映画)

3.9

人相からその人の人格や行く末やを読む観相学、その大家であるネギョン(ソン・ガンホ)は、山奥の寂しい土地で、息子と義弟と貧しい生活を送っていた。ある日、彼の元に都で有名な芸妓店を営むヨノン(キム・ヘス)>>続きを読む

高地戦(2011年製作の映画)

3.9

こいつらまた、う◯こネタか。
まあ、それはどうでもいい。

朝鮮戦争末期、前線では二年半の間に50万人の死者を出していた。南北の首脳陣が休戦協定ラインを巡って、駆け引きを続けていためだ。とりわけエロッ
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私の少女(2014年製作の映画)

3.8

ソウルでの不始末から監察処分を受けた警察官のヨンナム(ペ・ドゥナ)は、一年後に再びソウルに戻るという約束で海辺の町の駐在所に所長として赴任した。ある晩、唯一の産業である漁業を担う町の中心的存在であるヨ>>続きを読む

わらの犬(1971年製作の映画)

3.5

・田舎者が排他的なのは分かるけどいくらなんでも無法者が集い過ぎ。まあ、たぶんこのひ とはイギリスの片田舎を舞台に西部劇を撮っているのだけだろうけれど。ペキンパーの  ヨーロッパ観って、だいぶバイアスか>>続きを読む

映画は映画だ(2008年製作の映画)

4.0

かなり挑発的なタイトルだけれども、直訳だから仕方ない。

韓国ヤクザ映画版アメリカの夜という、一言で説明するとなんだかよくわからない代物なんだけれど、本当だから仕方ない。

血の気が多い俳優チャン・ス
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オクジャ okja(2017年製作の映画)

3.6

ポン・ジュノの映画特有のざらついた空気や、まるで底の抜けたような悲しみ(=可笑しみ)表現するにあったて、彼の脚本や演出はもちろんそうだけど、とりわけ韓国の灰汁の強い役者たちの存在が圧倒的に大きいのだろ>>続きを読む

その日の雰囲気(2015年製作の映画)

3.5

身も蓋もない邦題だが、直訳だから仕方がない。


釜山行きのKTXに乗り合わせた男女。ユ・ヨンソク扮するスポーツ・エージェントのジェヒョンとムン・チェウォン扮する会社員のスジョン。「今夜寝よう」などと
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グッバイ・シングル(2016年製作の映画)

4.0

隠れた傑作だろう。

スキャンダラスで破天荒な女優、コ・ジュヨン(キム・ヘス)。その派手なプライベートが災いして仕事は先細り、ボーフレンドには二股され、おまけに身寄りもない。天涯孤独のジュヨンは、無償
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記憶の夜(2017年製作の映画)

3.0

高台に建つ瀟洒な住宅に越してきた、いかにも幸福そうな四人家族。カン・ハヌル扮する浪人生のジンソクは、成績優秀、スポーツ万能で人望も厚いキム・ナヨル扮する兄ユソクを愛し、尊敬している。ある晩二人は、散歩>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

3.0

ダンスにアクション、サスペンス、それから歴史映画の側面もあり、盛りだくさんである。まあもともと歴史的事実だから仕方ないにしても、映画だし物語(=虚構)だし。出来事の表象は常に片手落ちなのだから、いっそ>>続きを読む

ソウル・ステーション パンデミック(2016年製作の映画)

3.5

ゾンビのアニメーションが緻密でキモい。

もしかしたら、このいかにもサバイバル能力の低いヒロインが逆に緊張感をもたらしているのかもしれない。

有事にこそ人の本質が露わになる的なこと書いていたのは内田
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ミッドナイト・ランナー(2017年製作の映画)

4.5

大食いでおバカ、だが何があっても正義を貫く情熱マンスル系DT、パク・ギジュン(パク・ソジュン)。理系出身で警察大学に進んだ変わり者、ジャンケン弱すぎ、ロジカル系DT、ヒヨル(カン・ハヌル)。対照的な二>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

4.0

物心ついたときには辰兄は、行く先々の観光地でまるでカーネル・サンダースのように不敵な笑みをたたえて佇む漬物屋のマスコットであり、ワイドショーの中では(当世風に言うならば「リアリティ・ショー」だろう)そ>>続きを読む

殺し屋1(2001年製作の映画)

5.0

三池崇史の最高傑作だろ、これ。

体液と血液、それからまるでバケツいっぱいの臓物ぶちまけたかのような冒頭からぶっ飛ばしまくりである。

天井から吊るされた無数の鎖、その先端に取り付けられた鉤が皮膚を抉
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仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

3.8

北大路欣也と梶芽衣子のランデブーが作品を全体を艶っぽく仕上げている反面、千葉真一一味の暴れっぷりと彼のブロークンな広島弁も手伝って、前作よりもドタバタ感が増している。

寡黙に任侠道に徹した前作の方が
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ゾンビランド(2009年製作の映画)

3.8

ゾンビ映画というよりは、ほとんどロードムービー(というか当世風のゾンビ映画において両者は切り離せない関係にあるらしい。例えば『ウォーキング・デッド』もそういう意味では完全にロードムービー的な形式のテレ>>続きを読む

ホステル(2005年製作の映画)

3.8

イーライ・ロス作品の多くは、古典的な物語構造を逸脱しない。起承転結の無い映画は、映画ではないと言っているみたいに。彼の内面では落としどころつけたがるオブッセッションでも働いているのだろうか。優等生的と>>続きを読む

感染家族(2018年製作の映画)

3.5

産業も観光資源もない、ただ通り過ぎるだけの田舎町。事故を起こした旅行者に法外な整備料金をふっかけるあこぎな商売で、たくましく生きる開店休業状態のガソリンスタンドを経営する長男夫妻(チョン・ジェヨン、オ>>続きを読む

スプリット(2017年製作の映画)

3.7

ああ、そうか、『アンブレイカブル』に連なる作品なんだ。
予備知識なしにシャマランってだけで観ていたから、ブルース・ウィリスが出てきて驚い
た。それでも、ひとつの独立した作品として楽しめる。

解離性同
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.5

例えば、夜道に街灯に反射した車の窓ガラスに人の顔を見た気がして背筋が凍るように、煙の無いところに火を立たせるような“過剰な”人間の想像力を頼りにしている作品だと思う。

あまりにも情報が不足していたた
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グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)

3.0

全身に白粉、身体を隠すのは頼りない胸当てと腰蓑だけ。半裸の少女が密林を駆け回る終盤のシークエンスは、さながら暗黒舞踏。

カニバリズムを一概にダメって言えるのは西欧中心主義の暴力だよね。だから西欧的な
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冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

4.0

世界の自明を疑うことのない社会的な孤立って怖いね。

反対給付を迫られるある家族が堕ちてゆく様が描かれているが、園子温らしい白々しい演出も随所に見られ、特別リアリティがあるわけではない。

偏にでんで
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

ポン・ジュノのどの作品よりもエンターテインメント性に富んでいる。2時間をあっという間に駆け抜けてしまう。あまりにも完璧な構成で、ほとんど何も思い出せないくらいだ。

ポン・ジュノ作品の代名詞的役者、ソ
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サムライ(1967年製作の映画)

3.6

アラン・ドロン扮するヒットマン、ジェフ・コステロの陰気臭い部屋には不釣り合いなキッチンを思い出して欲しい。使い古されたミルクパン、棚に並んだジャムの小瓶やティーパックの包み箱を。世の中には、お菓子作り>>続きを読む

トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

3.8

三部作の最後に「秘密」という主題に回帰する。


ファッションモデルのヴァランティーヌ(イレーヌ・ジャコブ)はある日、運転を誤り犬を轢いてしまう。飼い主は、孤独な元判事ヴェルヌ(ジャン=ルイ・トランテ
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ネッド・ライフル(2014年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

前二作でもネッドを演じたリーアム・エイケンが今作でも、同役を演じている。あの小憎たらしい少年を知っているわれわれは(そう言えば彼は、同級生にフェラチオをさせて放校になったホールデン・コルフィールドも呆>>続きを読む

トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

3.7

EDの夫に愛想を尽かしたドミニク(ジュリー・デルピー)は財産分与という平等を求め、まだ妻を愛する失意の理髪師、カルロ(ズビグニェフ・ザマホフスキ)は、彼女に自分の愛と等価な愛(=見返り)を求めたという>>続きを読む

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

5.0

人は誰しも秘密を抱えている。

愛とは自由(例えば秘密を抱えることも許されるはずだ)が約束されていると同時に、苦しいのはそれが寛容さのことでもあるからだ。

自動車事故で夫と幼い娘を同時に失ったジュリ
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