笑えない理由のひとつは、不快さが足りないんだと思う。
アリアナグランデのコンサートは、もっとみっともない「大惨事」になるべきだったんじゃないか。あそこで、長々と歌うことが十分「やらかし」だとでも? >>続きを読む
こんなに、はっきり、ストーリーにフックがあるのに、あまり言われてないのは不思議(同じことは「秘密と嘘」にも「ロンググッバイ」にも思った)。
ゴシックな「狂気」に対する憧れが、ひとつのモチーフであるこ>>続きを読む
この映画は、運動に満ちていると、蓮實重彦じゃなくても、そう言うだろう。広くもない空間を、人が、カメラが、本当によく動く。酔っ払ってグラングランしてる一人を助けながら五人が、地下通路を「シャッター閉めな>>続きを読む
意外と笑える。
ジョン・クラシンスキーのアイディアを、いろいろあってケネス・ロナーガンが形にしたそうだけど、ロナーガンは「アナライズミー」の脚本家として世に出た人で「ユーキャンカウントオンミー」も、>>続きを読む
キルスティン・ダンストとミッシェル・ウィリアムス。子役出身の二人の女優が、まあ、見物。
キルスティンは、ともかく、一瞬も止まらず、表情をくるくる動かすのをやめない。ワシャ、この手を上げ下げしながら>>続きを読む
最高。地味なんだけどねえ。隅から隅まで役者の顔がいいし、シナリオも最高(スラップショットの人)。
ニューヨークドールズのボーカルと、ママス&パパスのかわいいほうと、ソニックユースのドラムと、ウォーホ>>続きを読む
警官が記者から差し出されるオレンジジュースと、女が警官に「あんた以外に誰がやる」と言われることは、パラレルになっていて、つまり、告白して許されることの反復。
終わってみれば、この映画は、この二人をど>>続きを読む
まず、映画は、主人公ヨシカに、その独白の「聞かされ役」となる、街の人たちを与えた。
ミュージカル映画で、主人公たちが歌い出すと、通行人や店員が、とつぜん絶妙なサポートにまわる、という、アレだ。
「>>続きを読む
主演の彼女のことを、誰もが少女のようだと言うのだけれど、この映画はまさしく、「少女モノ」なのだと思う。「ロッタちゃんはじめてのお使い」のような。
監督のサラ・ポーリーは、インタビューで、ミッシェル・>>続きを読む
ゴールディ・ホーンはくちびるを、ちょっと噛むお得意の表情(プライベートベンジャミンのポスターのあれ)をちらちら見せて新鮮で、この映画を見た人はみんな彼女をほめるのだけど、本当に素晴らしいのはイングリッ>>続きを読む
これは自分が見るしかないという、使命感でamazon.UKからDVD取り寄せ(リージョンゼロ、英語字幕なし、というやる気のない盤)。ダイアローグほとんど分からないまま、しかし、とても楽しく見終わった。>>続きを読む
酒で死ぬつもりで引っ越してきた郊外の家の外壁に、なぜかキリストの顔のような染みがあらわれ、その「奇跡」にずっと困惑しているルーク・ウィルソンの大顔面(下がり眉)がよく、アンサンブルをなす女性たちもすご>>続きを読む
最高。最高。最高。
彼らはみんな柔道でつながっている。この映画が描いているのは、人には生きるために必要な抽象レベルがあるということで、この映画では、その抽象レベル、イコール柔道(彼女にとっては歌)。>>続きを読む
どシリアスな悲劇の主役を演じているつもりのバート・ランカスターと、おそらく何も考えていない監督フランク・ペリーのすれ違いが生んだ珍品。しかし一見の価値はある。
初老と言っていい年齢の彼が、海パン一丁>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
近親相姦の暗示は、、、、それも含めて「秘密と嘘」「人生ってすばらしいわ」ってことで、いいんですよね?
この監督の方法は、俳優を見世物にするもので、ひどく品がないけれど、そこに発生する人間の可愛げと>>続きを読む
「ラースと、その彼女」から幻の友だちつながりで。
これ、すごくヘンな物語。(ネタバレかも)
映画の途中……………
主人公の友人、身長6フィートの白いウサギであるハーヴェイは……………>>続きを読む
これ、主人公のラースよりも、家族やコミュニティの人たちに感情移入するように作られていて。同僚の黒人女性の誕生パーティーにラースが現れたとき、彼女が「あーMr.Sunshine!来てくれたのね」って言う>>続きを読む
この人はこういうこと言う人です、こういうことをする人です、という箇条書きが矢継ぎ早に繰り出されて、余白がぜんぜんない。阿部寛や樹木希林が、その場所にどういるかを見たいのに。編集部であのデカブツが繊細な>>続きを読む
見るたびウソを吐いている信用できない人サム・ロックウェルが(銀河ヒッチハイクガイド、コンフェッション、マッチスティックメン、セブンサイコパス……どんなヤツなんだ本人)サマーランドの名物男ってだけで、く>>続きを読む
妻に捨てられかける「つまらない男」のつまらなさが、皆さんご指摘の「不器用な走り方」ぐらいでしか表現されていないのが弱いところで、ジョージ・クルーニー、あんまり仕事してないな、ほとんどの時間帯、ちょっと>>続きを読む
1961年生まれのアレクサンダー・ペインには、苦笑いしながら「現代っ子だねえ」という感想しか持てない。60年前後に生まれた日本で言うオタク第一世代が、もう、このまま大人になりそうにないとうのは、世界的>>続きを読む
「フェリスはある朝突然に」「ハイスクール白書」と同じ、天才少年(少女)もの。主人公は、前2作の主人公と同様、優秀すぎて倫理観がちょっとおかしいのだけれど、前2作は主人公がクズで周囲もそれにふさわしい感>>続きを読む
映画は、男のことを、少しづつ少しづつ分からせていく。男は、半端なヤクザをやっている。男は、別の土地へ行きたいと思っている。男は、使えない手下とその女を、抱え込んで暮らしている。男は、それなりに信頼され>>続きを読む
冒頭、主人公が17才のGFの話をしていて、名前から中国系だとわかったとき、彼のバンドのメンバー二人(♂と♀)が「……」「……」というリアクションをする。え、今のアメリカでそれアリなんだ。ド頭から、この>>続きを読む
ビル・ヘイダーの園長が(この監督の前作「スーパーバッド」と同じく)中心人物ではないのに、いちばん魅力的に造形されていて、遊園地にふさわしい「ゆるキャラ」ナイズされた大人を楽しげに演じている。妻クリステ>>続きを読む
「ワンダーボーイズ」から監督つながりで初見。90年代ノワールの傑作と世評も高いこれですが、ケビン・スペイシーの刑事をはじめキャラクターが皆、自分に満足しきっているのがなんとも薄い。ラッセル・クロウとキ>>続きを読む
まず、エピソードの転がり具合。主要キャラ3人の配置は理屈どおりだけど、空港にあらわれた編集者の連れが赤いコートの美女(男)であることや、盲目の犬の運命や、モンローのジャケット、すごいリーゼントの黒人等>>続きを読む
病院を舞台にしたZAZ調のギャグ映画。インターンたちの青春・恋愛なども若干。ハリー・ディーン・スタントンの指導医が尿サンプルをなめるまね(中指をひたして人差し指をなめる)をしたりする。ずっとあれ面白か>>続きを読む
下世話な艶笑喜劇でありつつシリアスに深淵を語るという、キメラのような接合で示されたものは、「薄っぺらいサバービアン(郊外人種)もまた人生の深淵を生きていいのだ」という希望のビジョンだった。それはもうア>>続きを読む
映画の中で「風が吹くと人が自殺する」ということが起こると、観客は「それが起こった」と信じなければならない。
この人の撮るものは、主人公が信じていた物語をサッと別の物語に置き換えてみせたり(アレとアレ>>続きを読む
むやみと酒が飲めることも、モテることも、ピンポンダッシュも、友人たちの喝采がなかったらなんの意味もなかったと、人生でただそれだけを思い知らされた主人公が、こんどこそ12軒のパブ巡りを完走しようと故郷の>>続きを読む
4人のホワイトトラッシュ(としか言いようがない)が、競馬のうまい話で一発当てようとヤバイ筋から大金を引っぱってくるのだが‥‥という話。自分がこの80年代コメディをどれだけ好きか、とても書き切れそうにな>>続きを読む
どのシーンのどの芝居もムダ球がなく、展開上の意図を持って際どいところに決まってゆく。一人のキャラクターの行状を追うだけで、こんなに「持つ」のはそのためだ。マットの妹との会話だけは、Excuse me?>>続きを読む
精神病院から外出許可を得た患者4人がヤンキースの試合を見にマンハッタンに向かい、思わぬトラブルに巻き込まれる。自分ではどうにもできないビョーキを持つ4人は、人生に「欲求」の持ちようがないキャラクターな>>続きを読む
主人公の男も女も、仔犬の目をしている。前半、犬にとってのこの世の生きづらさが奇妙に歪んだエピソードで描かれ、ああこれはそういうブラックなヤツかと思っていると、やがて誰ひとりパッとしないまま勝手に世界は>>続きを読む
当時いたく感動したのは、映画をここまで漫画のように(写ってしまうリアルに対して無責任に)撮っていいんだという、その一点に対してだった気がする。そして、それでもなお残る、ニコラスケイジの途方にくれた赤ん>>続きを読む