空虚感
モスクワの街の風景には空っ風、登場人物には空っぽの心を感じた。
エレナの夫がジムに行く場面で、急に神妙なBGMが流れ始めたので、物語の急展開を予測したんだけれど、そうでもなく、事件が起こる>>続きを読む
長くて遠い
生き別れた家族を探す旅。8年の歳月はとても長く、地球半周の旅は遠い道のりだった。誰よりも主人公のナザレットがそう感じているであろうことがよく伝わってくる作品だった。
地球半周の旅路は、>>続きを読む
父役と娘役、二人のアイデンティティを辿る物語
エンドロールで原作が作家の道尾秀介氏だと知り、だから小説っぽい構成だったんだな、と分かる。構成は巧みだったんだけど残念ながら最後まで世界観に入りきれなか>>続きを読む
心の傷を癒すとは?
フランス各地の街並みや風景の美しさに見惚れていたら、急にシリアスな場面展開になってびっくり。そこからは、繊細で丁寧な人物描写に魅入られていった。
物語の所々に出てくる自転車で走>>続きを読む
人、ひと、ヒト
法廷画家のカナオが描く人びとのように、本作で描かれる一人ひとりが魅力的で心に残る。カナオが描く人物の繊細なタッチは、彼が見つめるモノの投影か。証言台に立つ被害者女性と被告人女性の足下>>続きを読む
テーマがつかみきれず。
最初の入りからは、おとぎ話なのかな、これは?と思った。が、クーデターを起こした軍部はやたらと発砲するし、たくさん人は死ぬし、そうではないのだと気づく。
だったらと、人にフォ>>続きを読む
童心を思い返せる愛らしい作品
自身が小学生のころ、アニメの聖書物語を見て、イエス様が磔の刑に処せられる場面にショックを受けたのを思い出した。それが、僕がキリスト教を感じた原初体験だった気がする。>>続きを読む
悠久の時と大地
中国って自然のスケールが大きい!広い!っていうのが第一印象。正に大河といった長江の流れ。大陸を縦断する車窓から望む大地。時が経っても変わらない雄大な自然、少しづつ変わる街並み、エピソ>>続きを読む
優しく穏やかな時間の流れ
感じられるものは、『ラストレター』と同じだった。よい物語は舞台やキャストが代わっても、よい余韻を残してくれる。
中国という国のことは、歴史や政治といった大きな物語で耳にす>>続きを読む
原作を読んで面白かったので、続けて映画も鑑賞。なので、原作との比較から。
主人公のちひろを演じる芦田愛菜ちゃんの演技がとってもよかった。原作は会話がメインだったので、行間を読んで、ちひろの心中の葛藤>>続きを読む
澪の故郷のみずうみ、山々、駅舎、東京の下町の風景、人々が暮らす住まい、人々が交流する場。人物描写と同じ程度で、物言わぬ“それら”が丁寧に描かれていることが、強く印象に残った。
澪が上京して間もない場>>続きを読む
コメディへの昇華
パレスチナ問題は、問題の根が深く長く続いていることは知っていたけど、紛争が起こると新聞やニュースで目にしながら強く印象に残ることがなかった。この映画を観て、詳しく知りたいと思って調>>続きを読む
静謐
静かに落ち着いた時間が流れる。美術館でアートを鑑賞したような感覚に近い余韻。
モダニズム建築の直線を多用した造りや、左右対象的なフォルムは、奥行きが強調されて美しいんだけれど、なぜか窮屈な感>>続きを読む
シリアスとコミカル
二つの場面のバランスが良く、最初から最後までとっても面白かった。役者の演技力もさることながら、場面に合わせたBGMもとっても良かった。
様々な家族のカタチ
主人公の政志を含め>>続きを読む
怒りと暴力
エスカレートしてゆく負の連鎖に衝撃を受けたまま見終える。
東京オリンピックでは「多様性と調和」がスローガンに掲げられているけれど、この街の人々は多様性に不寛容で、差別的な言葉が日常的に>>続きを読む
ジョージア(旧グルジア)を舞台にした映画。伝統舞踏、石造りの住宅、食事結婚式など、とっぷり異文化に浸ることができた。
前半に舞踏指導者が言った言葉「舞踏は完璧を追求することではない。我が国の精神その>>続きを読む
何も起こらない。何も喋らない。
なのに、最後まで見入ってしまった。
映像は、ほとんどがトラックの窓から見える景色。パラグアイ~アルゼンチンの農村、ブエノスアイレスの街並み。ルベンとハシンタ親子と一緒>>続きを読む
二度目の鑑賞
4、5年前に観た時は、韓国映画にハマるきっかけに。『ラブストーリー』と本作を観て韓国映画すごいんだなぁと感じたことを思い出す。それからいろんな作品を観て、目が肥えたと思うけど再鑑賞も面>>続きを読む
日本の家族を描き続けてきた是枝監督が、フランスの、しかも国民的大女優の家族をどう描くのか?興味をもって鑑賞し始めると、すぐにいつもの是枝ワールドに引き込まれた。
中盤以降、この家族ってもしかして血の>>続きを読む
解釈する必要がない作品
という解釈をした。
河瀬監督の作品に共通する光の描写が特に際立つ。
森に差し込む光、木の葉や水面に照射する光、トンネルの先の光、窓から差し込む光、僕たちの世界はこんなにも光に>>続きを読む
高校で吹奏楽をやってる娘に便乗して鑑賞。
あまりアニメは観ないので、期待していなかったら大きく期待を裏切られた。
まず、絵が細やかでキレイ。一場面一場面が絵画のよう。風景や光、人物像に合わせた姿勢>>続きを読む
よいお話だと思うんだけど、最後まで感情移入できなかった。冒頭のアブラハムの「自分の老いと向き合ってみる」という覚悟に期待感を高めて見続けたのだけれど。
何でだろうと考えてみた。
主人公の人物設定、>>続きを読む
イギリスのある家族の日常。あまりに過酷で切なくなった。物語の最後、仕事に向かう父の姿に希望は見えないんだけど、父を止めようとする家族の懸命な姿にうっすら希望が見えた。
思春期の子ども、親子、夫婦に生>>続きを読む
物語は、夫婦の離婚と両親の間に挟まれる子どもの葛藤。よくある話だけど、認知症を患う祖父を介護するヘルパーとその家族が加わることで、2つの家族、それぞれの家族のあり方、見え方がちょっとずつ変わってゆくの>>続きを読む
二回目の鑑賞。一回目は、幸夫が圧し殺していた感情を陽一にぶつけるシーンの印象が強く残ったけど、今回は、幸夫の心境の変化、その過程がじんわりと印象に残った。
突然の事故で妻を失くしたことによって生じた>>続きを読む
修道服の白と黒のコントラスト、森や荒野の雪景色、聖歌の歌声。赤ちゃんや子ども、修道女たちの澄んだ瞳。映像は、どれも美しく印象に残った。
テーマは、神への信仰、罪と赦し、深くて重たかった。
敵国の兵>>続きを読む
観終わってハーッとため息が出た。息を詰めて観ていたことに気づく。
才能と狂気、偉大とは何か。自分には人より秀でたいという志向がないので、アンドリューやフレッチャーの志向が理解できず。最後にアンドリュ>>続きを読む
二度目の鑑賞。アツシ、瞳子、四ノ宮、3人の主人公の不器用な生き様。感情移入しそうになると、行き過ぎた言動に引いてしまう。3人を取り巻く人たちも、自分の身の回りに数多くいそうな人たち。アツシの会社の同僚>>続きを読む
始めから終わりまで、独特の世界観が感じられて面白かった。ストーリーは、過激に展開する予感をもたせながら、静かに展開するのも面白かった。美しい白銀の世界と就寝前の鏡に映る家族の姿が、共に日々変化する様が>>続きを読む
雪山を自由に駆けまわる二頭の鹿、食肉工場で人間に屠殺される無数の牛、その食肉工場で出会って恋に落ちる二人の人。
海外の映画を観るのは、異国情緒に触れたいから。この映画は、異国情緒だけでなく、動物との>>続きを読む
二度目の鑑賞
正常と異常、普通と特殊、健常と障害。人は、人のふるまいだけではなく、在り方にまでレッテルを貼り区別する。区別は力の不均衡を生み、強い者と弱い者の間に差別が生まれる。
ジョンドゥは、知>>続きを読む
映像の世界観は独特だったが、物語に入り込めなかった。かの時代のプロパガンダに抵抗する主人公を描きながら、この時代(現代)に描くかの時代(戦時)としては、画一的だなぁと感じてしまって、想像力をはたらかせ>>続きを読む
色彩と面影
少年期のシャロンが、フアンと一緒に泳いだ海から見る空の、突き抜けるような青色。麻薬中毒の母にまとわりつくようなピンク色。青年期のシャロンが、ケヴィンに殴られて顔から流れ出る血の赤色。成人>>続きを読む
光が、全ての河瀬作品に通低している。「殯の森」に差し込む光。「あん」の桜の花越しの光、「光」の丘の上で二人を包む光。本作では図らずも主人公の名前が“ひかり”。都市、山村、海辺、どこにも変わらず降り注ぐ>>続きを読む
ストーリー展開と音楽がリズミカルで爽快。古き善きアメリカの雰囲気にとっぷり浸かれた。
一方、この時代の負の部分。人種による差別や偏見には心が痛んだ。白人の黒人に対する差別、白人間の国籍に対する差別、>>続きを読む
“巡る”
鑑賞中に浮かんだ言葉だ。
家族の物語は、認知症を患う父を軸に巡ってゆく。7年の歳月を通じ、だんだん父の記憶は失われてゆく。
一人ひとりの家族にとっての“夫、父(お父さん)”“祖父(おじい>>続きを読む