うえびんさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

うえびん

うえびん

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エル・スール(1982年製作の映画)

3.9

光と影の魔術

1982年 スペイン/フランス作品

娘 エストレリャ
父 アグスティン
父と娘の物語

レンブラントの絵画のような
光と影が強調された映像が美しい

父の生きる現実社会
娘の想像する
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

3.6

失われた時と場所
残る思い

2020年 フランス/中国作品

『凱里ブルース』のビー・ガン監督
前作同様
ワンシークエンスショット炸裂

めくるめく世界
廻り廻る映像
巡り巡る時間
独特の世界観が味
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日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.3

史実の中に生きた生身の先人たち

1967年 岡本喜八監督作品

先月、日本武道館で行われた全日本合気道演武大会に参加しました。開会式の冒頭では、会場に集まった1万人が全員で「君が代」を斉唱しました。
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怪物(2023年製作の映画)

4.9

誰も知らない
得体の知れないモノ

2023年 是枝裕和監督作品

第76回カンヌ国際映画祭の脚本賞の賞賛に違わず脚本が素晴らしかった。前半と後半の場面展開で、登場人物たちに対する思い入れが二転三転す
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アニー・ホール(1977年製作の映画)

3.6

コミカルでアイロニカル

1977年 アメリカ
ウディ・アレン監督作品

漫談芸人アルビー(ウディ・アレン)とクラブ歌手アニー(ダイアン・キートン)の恋愛模様。男女の出会いと別れ、よくある物語だけれど
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バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)

3.3

奇想天外

2017年 インド作品

正直、疲れたーっていうのが第一印象。史実、伝説、神話が入り交じった奇想天外なストーリー、絢爛豪華で気宇壮大な映像は新鮮でもあったけど、目が回った。

剣、短刀、弓
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声もなく(2020年製作の映画)

3.8

腑に落ちない面白さ(その2)

2020年 韓国作品

イ・チャンドン監督の『バーニング』、村上春樹の原作を映像化した作品は、何かのメタファーだらけで、作品全体に“腑に落ちない面白さ”を感じた。

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マルタのやさしい刺繍(2006年製作の映画)

3.9

老いても子に従うな

2006年 スイス作品

舞台はスイスのエメンタール地方、穴あきチーズが有名なエメンタールチーズの産地です。アルプスの山あいの村トループ、山々と大きな切妻屋根や窓辺を花で飾った小
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PIG ピッグ(2021年製作の映画)

3.5

変わるもの
変わらないもの

2021年 アメリカ作品

静かな、静かな森の中
巨漢のおじさんとブタ

トリュフをみつけるブタ
トリュフで生計を立てるおじさん
トリュフのビジネスで成功した青年

ブタ
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麦の穂をゆらす風(2006年製作の映画)

4.7

誰がために戦うか

2006年 アイルランド/イギリス他作品

『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』のケン・ローチ監督の作品。両作とも、現代イギリスに生きる市井の人びとの生活上の苦しさが
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サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)

3.7

色鮮やかな少年時代

2022年 金沢知樹監督作品

長崎の青い空、青い海、主人公の久田少年の青い靴、ピンク色の自転車、オレンジ色のみかん、黄色い電車…、ビビッドで鮮やかないろんな色が印象に残る。
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Viva!公務員/公務員はどこへ行く?/オレはどこへ行く?(2015年製作の映画)

3.8

公務員はつらいよ

2017年 イタリア作品

祖父→父→子
代々受け継いできた公務員という仕事。主人公ケッコも子どもの頃からの夢は公務員。夢を果たして公務員になって悠々自適の毎日を過ごしていた38歳
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北京的西瓜(ぺきんのすいか)(1989年製作の映画)

2.9

一株のチンゲンサイから始まる日中友好物語

1989年 大林宣彦監督作品

舞台は、千葉県船橋市郊外のとある八百屋。すべての生活を中国人留学生に捧げた夫婦の相互交流が描かれる。実話を元にした作品。
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ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

4.7

見上げてごらん夜の星を

1999年 アメリカ作品

鬼才、カルトの帝王
デビッド・リンチ監督
本作にカルト要素はない

静かで、穏やか
優しさにあふれている

アルヴィン・ストレイト
アイオワ州ロー
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レオン 完全版(1994年製作の映画)

3.6

………

1994年 フランス/アメリカ作品

リュック・ベンソン監督の作品は、『グラン・ブルー』で初めて触れた。ハリウッド映画と邦画しか知らなかった僕に、ヨーロッパ映画に目を拓かせてもらった記憶があ
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.3

子どもの眼

2022年 森井勇佑監督作品

静かで丁寧に描かれた作品。独特のテンポと間が心地よく、一場面一場面が強く印象に残ります。あみ子の強い眼差しを中心に。

今村夏子さんの原作(未読)のもつ雰
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三姉妹(2020年製作の映画)

4.1

「恨」(ハン)の国の家族の「恨」

2020年 韓国作品

長女ヒスクを演じるキム・ソニョン。どこかで観た覚えがあると思ったら『愛の不時着』の北朝鮮の村の人民班長。その印象も強かったが、本作の強烈な印
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.6

栄枯盛衰
ウシハクとシラス

1987年 イタリア/イギリス/中国作品

以前に観たのは高校生だっただろうか。清朝中国、最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の波乱万丈の人生くらいにしか覚えていなかった。今回は、溥
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海の沈黙(1947年製作の映画)

3.4

終わらないモノローグ

1947年 フランス作品

チクタクチクタク…
時計の針の音が
静けさを際立たせる

雪景色
暖炉の炎
瞳の輝き
モノクロの映像が
美しさを際立たせる

フランスの田舎町
老人
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アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.7

昔々あるところにあった
南スラヴ人の国の物語

1995年 フランス/ドイツ/ハンガリー作品

3時間弱、長い作品だけれど、あっという間だった。エミール・クストリッツァ監督の祖国への郷愁、哀愁が感じら
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白痴(1999年製作の映画)

3.8

虚と実

1999年 手塚眞監督作品

第二次世界大戦後に無頼派と呼ばれた作家群の中心だった坂口安吾の同名小説が原作(未読)。独特で美しい画、文学的な言葉、不思議な映像世界に人間社会の深奥が透かし見え
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手紙と線路と小さな奇跡(2021年製作の映画)

3.5

すごいぞ!イ・ソンミン

2021年 韓国作品

山奥の村に住むジュンギョンは、駅を作ってほしいと大統領に宛てて手紙を出し続けている。父のテユンは機関士だが、息子の夢を相手にしない。

ジュンギョンは
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パーフェクト・ノーマル・ファミリー(2020年製作の映画)

3.1

完璧な普通の家族

2020年 デンマーク作品

ドキュメンタリータッチで、カラフルな色使いの映像が印象的。

11歳の少女エマに突然の出来事が次々と襲いかかる。

離婚するという母・ヘレ
女性として
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イロイロ ぬくもりの記憶(2013年製作の映画)

3.9

イロイロな諸事情

2013年 シンガポール作品

舞台は1997年のシンガポール。一人っ子のジャールーは両親と3人暮らし。母は身重の体を抱えながら勤めにも出る。家族はフィリピン人女性のメイド・テレサ
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ヴェラの祈り(2007年製作の映画)

3.8

キリスト教世界における
罪と愛

2007年 ロシア作品

絵画のような構図
色合いと光の加減が美しい

登場人物はほとんど話さない
何も言わない渇いた風景
雨や水の流れが
心情を映す

差し色の水色
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淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)

4.3

夢と福
dream & happy

2018年 香港作品

私たちの身近にも展開しているような親しみやすいハートフルなストーリー。主人公の二人、チョンウィンとエヴリンのキャラクターと演じる俳優さんの
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黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.1

川の流れのように

1998年 ユーゴスラビア作品

今は無きユーゴスラビア連邦共和国(1992-2003)
舞台はドナウ川沿いの田舎町

「美しく青きドナウ」
ワルツのような大河の流れ
それをバック
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フード・インク(2008年製作の映画)

3.7

より大きく、より早く、より安く
→小さく、ゆっくり、適正な価格で

2008年 アメリカのドキュメンタリー作品

今年1月のダボス会議で、シュワブ会長やビル・ゲイツから突然飛び出した昆虫食(食用コオロ
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海の上のピアニスト(1998年製作の映画)

3.9

音楽をめぐるおとぎ話

1998年 イタリア/アメリカ作品

『ニュー・シネマ・パラダイス』(NCP)のジュゼッペ・トルナトーレ監督。あちらは5.0の満点をつけたけれど、こちらはそこまでの余韻は残らな
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戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.2

芸術は長く人生は短し
(哀悼の意を表して…)

1983年 日本/イギリス 大島渚監督作品

エンディングのハラ軍曹からロレンスに贈られた言葉に、坂本教授が手掛けた有名すぎるテーマ曲がシンクロして強く
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バタフライ・エフェクト(2004年製作の映画)

3.5

時をかける少年

2004年 アメリカ作品

バタフライ効果。蝶の小さな羽ばたきが、遠くの地の気象を変えるというカオス理論。主人公のエヴァンの少年時代の小さな行動が、10年以上経った未来、大学生になっ
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.7

人生スケッチ

2000年 台湾/日本作品

8歳の少年ヤンヤンと
姉、父母、祖母、叔父、その周りの人びと
淡々とした日常と
各々に訪れるドラマ

ヤンヤンの登場場面
それほど多いわけではないのに
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ある過去の行方(2013年製作の映画)

3.9

ギクシャクは流転する

2013年 フランス/イタリア作品

『別離』のアスガー・ファルハディ監督の作品。『別離』と同じく夫婦の離婚劇と、それに翻弄される子どもたちの話。舞台は、イランではなくフランス
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

4.4

勝つことが正義の国

2020年 アメリカ作品

単に法廷劇として、とっても面白かった。被告人のシカゴ7人+1人、弁護士、判事…、みんなキャラクターが立っていて魅力的。何よりも、実話がベースになってい
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.3

あの街この街

2021年 イギリス作品

主人公、9歳の少年バディを演じる
ジュード・ヒルの演技がいい

勉強と遊び、初恋
映画の世界への一喜一憂
神への信仰、両親のケンカ、祖父の病気
ギャングの悪
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.9

東京

2021年 岨手由貴子監督作品

東京の街の景色、富山の風景が美しい。人もセリフが少なく抑えた演出で、美しい背景に上手く溶け込ませている。

地方都市との対比で浮かび上がる、東京。美紀のような
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