うえびんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

うえびん

うえびん

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ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)

4.5

老いの超え方

2020年 ブラジル作品
原題:Aos Olhos de Ernesto(エルネストの目で)

舞台はブラジル南部ポルトアレグレの街。主人公エルネストは78歳の独居老人で、隣国ウルグア
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おとなのけんか(2011年製作の映画)

3.3

ズルズルズレる

2012年 フランス作品

舞台はニューヨーク、ブルックリン。だけど、ずっと家の中で繰り広げられる会話劇なのでニューヨーク感はあまりない。11歳の少年同士の喧嘩の後、加害者側の両親が
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エレファント・マン(1980年製作の映画)

4.1

観られる 見せる 魅せられる

1981年 アメリカ/イギリス作品

19世紀後半にイギリスに実在したと言われる、強度の奇形により苦難の人生を歩んだジョセフ・メリックと、彼に関わった人々の物語。

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かもめ食堂(2005年製作の映画)

3.7

軽くて深い味わい

2006年 荻上直子監督作品

軽微なドラマ、軽快な音楽、軽妙な会話劇、軽装なたたずまい…、軽くゆるりとした作品でした。観終わって、呼吸がゆったり深くなった気がしてます。

主人公
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

3.7

潜在意識に揺蕩う

1977年 ソ連作品

映像は絵画的、セリフは詩的、音楽は未来的、テーマは哲学的。地上の現実と惑星での未来を対比させることで、人間の「愛」や「良心」を炙り出す。

水、火、雪、樹々
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.4

羊の皮を被った〇〇

2022年 アイスランド作品

アイスランドの山あい
連なる山々
吹きすさぶ乾いた風
近すぎる空
厚く覆いかぶさる雲

大自然の中で生きる動物たち

羊飼いの夫婦
マリアとイング
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.9

感情の揺さぶられ
概念の揺さぶられ

2018年 アメリカ/イギリス作品

凄まじい作品。冒頭から最後までの2時間弱、心と体が揺さぶられ続け、観終えた後の余韻が半端ない。圧巻。マーティン・マクドナー監
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こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)

3.9

親の心子知らず

2021年 中国作品

中国で活躍する人気喜劇女優ジア・リンが、自らの母との実話を元に創作。2021年中国の最高興行収入900億円を記録したそう。

娘のシャオリンと母のホワンイン。
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PLAN 75(2022年製作の映画)

3.2

暗い、寂しい、侘しい

2022年 早川千絵監督作品

雰囲気は嫌いではありませんが、作品からのメッセージが全く読み取れませんでした。近い将来の日本の社会を考えるための一つのテーゼなんだと受け取りまし
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夢売るふたり(2012年製作の映画)

3.9

感情という名の暴れ馬

2012年 西川美和監督作品

ブラックコメディといっていい作風なんだけれども笑い飛ばせない。表からは見えにくい人間の深奥を覗き見せられる。空恐ろしさを感じさせる松たか子の演技
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おみおくりの作法(2013年製作の映画)

4.0

死者の弔い

2015年 イギリス作品

2月6日にトルコ・シリア大地震が発生し、死者は30000人を超えたと報道されている。亡くなった方一人ひとりの日常が、突然に終わりを遂げたことを想像すると、自然
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トゥルー・グリット(2010年製作の映画)

3.7

痛快西部劇

2011年 アメリカ作品

『バスターのバラード』のコーエン兄弟の作品。随所に西部劇“愛”が感じられ、とにかく映像が美しい。

牧場主の父親を雇い人のチェイニーに殺された14歳の少女マテ
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.9

昨日の友は今日の敵

2022年 アイルランド作品

アイルランド西部の架空の島、イニシェリン島。石灰岩に覆われた荒野、その岩を積み重ねたドライ・ストーン・ウォールが広がる農村地帯、切り立った巨大な断
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HANA-BI(1997年製作の映画)

3.8

永遠の一瞬

1998年 北野武監督作品

『ソナチネ』と同じように、台詞の少なさ、独特の間、人物の心情をなぞる音楽が印象的。色は、海や空の青、暴力シーンでの血の赤と合わせて、雪の白も印象的だった。そ
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さよなら、人類(2014年製作の映画)

3.8

人間にまつわるエトセトラ

2014年 スウェーデン作品

『ホモサピエンスの涙』のレビューの最後に
“クセになるかも…”と書いたロイ・アンダーソン監督作品

コミカルでシニカル
絵画のようで詩的な映
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セルピコ(1973年製作の映画)

3.8

夢と現実

1974年 アメリカ作品

1960年代のニューヨークの街の雰囲気が感じられて興味深い。主人公セルピコを演じるアル・パチーノの演技を初めて見たけど、渋くてかっこいい。ヒゲやヒッピーファッシ
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ゼロの未来(2013年製作の映画)

3.4

ワレワレハナニモノカ?

2013年 アメリカ作品

時代は、コンピューターに支配された近未来
どこか古さも感じられる未来の世界
懐かしく新しくも感じる

主人公は天才プログラマーのコーエン
荒廃した
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明日に向かって笑え!(2019年製作の映画)

3.1

チーム一丸

2021年 アルゼンチン作品

2022年ワールドカップ、カタール大会の優勝国アルゼンチン共和国の作品。主人公のフェルミンは元サッカー選手で今はガソリンスタンドの店主。メッシと並ぶ国民的
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ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版(1989年製作の映画)

5.0

映画による
映画好きのための
映画をテーマにした物語

1989年 イタリア作品

年明けにJ-waveのモーニング・クラシックのコーナーでエンリオ・モリコーネ特集をやっていて、本作のテーマ曲を聴いて
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

4.4

お母ちゃんはえらい

2016年 中野量太監督作品

激しく重たい作品が続いたので、箸休めに、一度観たことのある本作を選択。何度観てもよいものはよい。一度目も泣けたけど、二度目も泣けた。おそらく同じ港
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.4

鎮魂歌

2022年 新海誠監督作品

『君の名は。』『天気の子』と同様に絵が綺麗で、どの場面にも魅入られる。特に愛媛県のみかん山や、フェリーの場面が懐かしかった。母親の故郷が瀬戸内海の島で、子どもの
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.6

頭スッキリ、心ずっしり

2011年 カナダ作品

初めて味わう余韻。謎解きのプロットは数式のように組み立てられ、物語の展開も章ごとの時間配分も無駄が無い。冒頭の謎が解けて頭はスッキリ、なのに心にはず
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存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

存在≒いること

2018年 レバノン作品

2年くらい前から観たいと思いつつ、なぜか観るのをためらっていた作品。観終わって、ためらっていた訳をしみじみ感じている。観るのに覚悟がいったのだと。

舞台
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

3.7

くるくる回る

2017年 イギリス/アメリカ作品

回り回る音楽と車

音とリズム

回るレコード盤
回るジュークボックス
回るカセットテープ
回すiPodのプレイリスト

音に合わせた
映像の流れ
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林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.4

忘れたいこと
忘れられないこと

2022年 ギリシャ作品

ある日
記憶を失った
ひげもじゃの物静かなおじさん
覚えているのは
リンゴが好きなことだけ

世界で蔓延する
記憶喪失を引き起こす奇病
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.3

親なき子たちの魂の再生

2022年 韓国 是枝裕和監督作品

登場人物の丁寧な人物造形、俳優陣の演技が素晴らしい。ソヨン(IU)と生まれたばかりの赤ちゃんのウソンを軸に、ブローカーのサンヒョン(ソン
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.6

あっぱれ

1992年 イラン作品

1990年、イランで大地震がありました。1987年に作られたアッバス・キアロスタミ監督の映画「友だちのうちはどこ?」のロケ地、コケール村も大きな被害を受けました。
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ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

4.5

“希望”とは何か

2022年 瀬々敬久監督作品

ラーゲリ(露: Лагерь)。ソビエト連邦(1922-1991)が共産体制の維持・強化のために治めた強制収容所。反体制の政治犯や敵国の捕虜などが収
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どら平太(2000年製作の映画)

3.8

痛快時代劇

2000年 市川崑監督作品

舞台は江戸時代のある小藩。「壕外(ほりそと)」と呼ばれる治外法権と化した地区にはびこる腐敗をただすためにやってきた町奉行の望月小平太。あだ名は「どら平太」。
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少年の君(2019年製作の映画)

4.3

儚く、脆く、刹那い

2021年 中国/香港作品

「昔は遊び場(playground)だったのに…」今は?。冒頭の入りから、物語にグイグイ惹き込まれる。

とにかく、主演の二人、チョウ・ドンユイ(チ
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

3.4

さらっと

2016年 韓国作品

だいぶ前に観たのを奥さんと再鑑賞。前は、ハン・ヒョジュが可愛く、上野樹里も出てたなぁってことくらいしか印象に残っていなかった。それから、韓国の映画やドラマをたくさん
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

4.2

死ぬという大仕事

2016年 スウェーデン作品

オーヴェ 59歳のおじさん
大柄な体型
青色がよく似合う
気が短い
家族思い
正義感が強い
サーブの車が大好き
ボルボの車は嫌い
ドイツ車もフランス
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ソナチネ(1993年製作の映画)

4.2

青い空蝉

1993年 北野武監督作品

沖縄の澄み切った空と海、青い車、青白い月、冒頭の青い魚、全編通して青色、ブルーが印象に残る。主人公の村川(北野武)の心境、やくざを辞めたい、死にたいという憂鬱
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神々のたそがれ(2013年製作の映画)

3.6

旧くて新しい世界

2013年 ロシア作品
原題:Hard to Be a God(神様はつらい)

地球に800年遅れた別の惑星

初めて見る世界
降りしきる雨にどろどろの地面
街、城、酒場は石造り
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アイ・キャン・スピーク(2017年製作の映画)

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これはダメ、採点不能

2017年 韓国作品

DVDジャケットの“日本では上映不可能と言われた問題作”のフレーズにひかれて視聴。確かに、これは上映不可能だ。映画の作法というものがあるとしたら、明らか
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サイの季節(2012年製作の映画)

3.5

溶け合う
情景-心情-詩情

2015年 イラク/トルコ作品

情景描写が美しい
様々な灯り
波のしぶき
降り積もる雪


真上からのカメラアングル
車の車窓から見える景色
独特な画角が印象的

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