うえびんさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

うえびん

うえびん

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ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

4.0

忘却の彼方に葬れないモノ
なくせないコト

2019年 タイ作品

まず、タイの映画がこんなにオシャレなんだと驚く。20年くらい前にバンコクとプーケットに行った記憶が、一気にアップデートされた。断捨離
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好きにならずにいられない(2015年製作の映画)

3.5

大きなおじさんの小さな恋の物語

2015年 アイスランド作品

オタクの中年男フーシ。趣味は、ラジコン、フィギュア、戦争のシュミレーションゲーム、ヘビメタ。僕はラジコンくらいしかやらなかったんで、彼
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静かな雨(2020年製作の映画)

3.9

記憶をめぐる
日常からフワリと浮かんだ物語

たい焼きには、誰もが何らかの記憶を呼び起こされるんじゃないだろうか。僕は、高校生のころの市電の駅で売っていたたい焼きを思い出す。

静かなピアノの旋律
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アジズの奇跡(2015年製作の映画)

3.5

他力と自力

1960年、トルコ、イスタンブールから遠く離れた山奥の村が舞台。

雄大な自然。澄み切った空。切り立つ岸壁と遠くに連なる山々。一年の間に8ヵ月も雪に覆われるというが、雪景色は荘厳で美しい
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リアリティのダンス(2013年製作の映画)

3.6

心の中の少年

2013年 チリ作品

アレハンドロ・ホドロフスキー監督の自伝的・詩情的・幻想的・独創的な作品。

チリの港町トコピージャ、映像のカラフルな色使いが賑やかで眩しい。浜辺に打ち上げる小魚
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万引き家族(2018年製作の映画)

3.3

家族とは何か

是枝監督が追い続けるテーマ。毎作、興味深く見続けている。著作や対談本も数冊読んでいて、作風の背景を知り、考えに共感するところも多い。本作も劇場公開時すぐに夫婦で鑑賞した。だけど、あんま
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活きる(1994年製作の映画)

4.1

時代と共に変わるものと変わらないもの。
国や社会のあり方と家族のあり方。

1994年 中国作品

1940年~1970年、30年あまりの中国の国の変化とそれに翻弄される一家の生活が描かれる。映像から
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グリーンマイル(1999年製作の映画)

4.2

人は誰もが”死”に向かって生きている。

ファンタジーのジャンルに括られているけど、現実以上、幻想未満といった印象でリアリティもある。舞台は、1935年アラバマ州の死刑囚舎房。閉ざされた空間で、数名の
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Shall we ダンス?(1996年製作の映画)

4.0

安心、安定の日本印。

1996年、今から26年前の作品。一度観たけど何も覚えていない。だけど観始めるとすぐに懐かしさと安心感を覚える。役所広司、竹中直人、柄本明、当たり前だけど、みな、とっても若い。
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アスファルト(2015年製作の映画)

4.3

人間戯画

2016年 フランス作品

古びた団地
そこに暮らす人々

生命力を有さない無機物のアスファルト
それに囲まれて暮らす
有機体としての人間

無機物と有機体の違い
人のもつ感受性が際立って
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みかんの丘(2013年製作の映画)

4.6

国と国の争い=戦争
戦争の中で起こる人と人との争い=殺人
庶民の日常に突如として現れる戦火
日常の中に突発する人の死

2013年
ジョージア、エストニア合同製作

1991年ソ連邦崩壊とともに独立し
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わたしたち(2016年製作の映画)

3.7

わたしたち=家族
 ソンとお母さん
 ソンとお父さん
 ソンと弟
わたしたち=友だち
 ソンとジア
 ソンとボラ

前者のつながりは確かで強く、後者のつながりは儚くて脆い。

何気ない日常の描写の中に
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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

4.2

追憶
失われゆくカウボーイ文化と失われゆく友(愛)情。男らしさとは何かという問いがめぐる。

1963年ワイオミング州ブロークバック・マウンテンから物語が始まる。

題名が地名の作品、『パリ・テキサス
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第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)

4.0

自然の中のヒトの営み
ヒトの社会の中で女として生きること

19世紀の北ベトナム
富豪の家に三番目の夫人てして嫁いだ14歳のメイとその家族の物語

山岳地帯の豊かな自然風景が美しい。牛の出産、鶏の屠殺
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凱里ブルース(2015年製作の映画)

3.7

幻惑的な映像世界

中国、貴州省凱里から鎮遠へ
山深い世界
あらためて中国の広大さを知る
ミャオ族と蘆笙(ろしょう)
中国の55の少数民族のひとつと
その民族楽器を知る

冒頭、『金剛般若経』の一節
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砂の器(1974年製作の映画)

3.9

昭和的ノスタルジー

僕が生まれた年、昭和49年に公開された作品
記憶はないけれど、体に染み付いてるであろう時代の空気感が、何となしに思い出された。

東京、秋田、出雲、伊勢、大阪、石川
今西刑事は事
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ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)

4.0

映画の原初をめぐるステキなおとぎ話

作品の舞台は、昔のフランス、パリ
何となくおとぎの世界に見える
回るゼンマイのモチーフが
行ったことのない過去に時間を巻き戻す
映画という新しい手法による
おとぎ
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聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

4.3

社会の中の聖と俗、善人と悪人
同じ人の中に混在する善性と悪性
人から人に対する恨みや憎しみ
そして、赦し

自分の中の価値観や、日本という国で常識だと思い込んでいるものが揺さぶられる。人間と社会の矛盾
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Mommy/マミー(2014年製作の映画)

4.1

Mommy!
一人息子のスティーブから母ダイアンへの心の叫びが、最初から最後まで聞こえ続ける。一本の太い筋が通った作品。

ジャケットの目の覚めるような青(スティーブは意外な物に乗って走ってる)、美し
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.3

光と影

ハリウッド映画が苦手なのと、クィーンがテーマだから、きっとド派手に違いないと敬遠していた作品。前に観た映画の余韻がウェットにまとわりついて離れないので、スッキリしたく本作を選択。観た映画に後
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シークレット・ヴォイス(2018年製作の映画)

3.8

2019年公開
スペイン・フランス合作
原題:Quien te Cantara(誰があなたに歌いますか)

お隣のフランスや、海を挟んだイギリスの映画にはよく出逢うけれど、スペインの作品はめずらしいと
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.6

過去と現在
幻惑と覚醒
嘘と誠
言語と非言語
死者の声と生者の声

目に見えるものと見えないもの
耳に聞こえるものと聞こえないもの
両者をつなぐ道

その道を案内するのは、
真っ赤な年代物のサーブの車
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ある子供(2005年製作の映画)

4.2

"子供”とは何か、を痛切に訴えてくる

主人公ブリュノの荒んだ生活と郊外都市の殺風景な街並み。大通りを行き交う車の音やバイクのエンジン音、無機質に鳴り響く音が、荒み具合を増して印象付ける。また、アップ
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地上の星たち(2007年製作の映画)

3.6

イシャーン君、よかったね。
よき理解者と、よき師匠に出会えて。

シンプルにそう思った。
ただ、それだけ。

前半、イシャーンの目に映る微細な光景や不思議な文字の見え方が、彼の特殊な障害と才能を想像さ
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ウェディング・バンケット(1993年製作の映画)

4.1

嘘から出たまこと

Wedding Banquet(結婚披露宴)
1993年 台湾・アメリカ

ウェイトン(台湾)とサイモン(米国)は、ゲイのカップル。ウェイトンから間借りするウェイウェイ(台湾)は、
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おくりびと(2008年製作の映画)

4.9

人の一生の最期の時を整える納棺師
それを一生の仕事とした一人の男の物語

10年以上ぶりの再鑑賞

山形の農村風景と地元で愛される銭湯、チェロの音色に、視覚と嗅覚を刺激され、ノスタルジーを掻き立てられ
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2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

4.1

カトリック教会における教皇 
ベネディクト16世とフランシスコ
イギリス映画界における名優
アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライス

カトリックの総本山、絢爛豪華なサン・ピエトロ大聖堂。ローマ市
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ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

3.9

インド
ムンバイで起こった同時多発テロ事件

凄惨な殺戮、無慈悲な無差別殺人、リアルな描写と臨場感に、ただただ苦しかった。亡くなった人たちの無念、ホテルに閉じ込められた人たちの恐怖を思うと、胸が痛んだ
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リリーのすべて(2015年製作の映画)

4.5

ヒトにとっての性差(Gender difference)とは何か?

1920年代のデンマーク、コペンハーゲン。
旧き良きヨーロッパの異国風情がふんだんに感じられる。すべての映像の構図、色合いが美しい
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.1

凪沙(草彅剛)の一果(服部樹咲)に対する眼差しが微妙に変化してゆく様が印象に残る。一果がバレエを踊るシーンが美しい。だけど、世界観が全く掴めず後味がよくなかったのはなぜだろう。

登場人物の描かれ方。
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

4.3

中国の一時代を
とある集団で共に過ごした青年たちの物語

冒頭からいきなりの毛沢東肖像画にちょっと驚く。そこからの中国共産党政治部文芸工作団の日常が、青春時代を後からしみじみ思い返した淡く儚い夢のよう
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ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ(2017年製作の映画)

3.4

コミカルな場面とシリアスな場面を織り交ぜながら、最初から最後まで軽妙に展開してゆく。コメディタッチで描かれているので、登場人物の会話が面白い。そんな感じなので、想像の余地は少なくてサラッと観終わった。>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)

3.9

荘厳な映像と音楽
普遍的な物語

ミュージカル作品の映画化
役者の歌唱力は圧巻。舞台と違って、アップショットが多用されるので、表情がよく分かる。場面ごとの背景設定が壮大でリアル。1800年代前半のフラ
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.2

さまざまな家族のカタチ

昔ながらの任侠映画(あまり観たことないけど)と、現代社会におけるヤクザの世界がバランスよく描かれていた。俳優陣の迫真の演技、剥き出しの感情と静かな情景描写の抑揚が、心に波を起
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サマーフィーリング(2016年製作の映画)

3.5

きめ細やかな作品

青色の変化が印象的
突然この世を去ったサシャ
青色が好きなのがよく分かる
部屋のカーテン、Tシャツ、シルクスクリーンに
塗り込める青色のインク

恋人を喪ったロレンス
妹を喪ったゾ
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スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.3

切なくも痛快な物語

戦争、国籍による分断
統治する側とされる側
同じ民族同士のイデオロギーの違いによる分断
自由(資本)主義と共産(社会)主義

国籍とイデオロギーの違いを超えるべく結成された
チー
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