アイスティーさんの映画レビュー・感想・評価

アイスティー

アイスティー

71フラグメンツ(1994年製作の映画)

3.6

ハネケの徹底してキャラに寄り添わない(観客を誘導しない)主義の極致的作品という感じがした。
これまで以上に断片の連続で、見るのにかなりの気力が必要。上級者コースという感じだろうか。

自分のキャパシテ
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ベニーズ・ビデオ(1992年製作の映画)

3.8

ファニーゲームや隠された時間とも繋がっていて、全てはここから始まったのだなという胸熱感があった。

ハネケは徹底して「抑圧」と向き合い続けてる作家なんだなと。
それを物語を通した「答え」じゃなく、映像
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セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)

4.0

素晴らしかった。
ニュースや取材記録を見て「知る」ことよりも、彼らのことをずっとよく眼差すことができた気がした。
背景を「知った」瞬間に、彼らの命は僕らの中で"情報"になる。
この作品は、その情報化を
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隠された記憶(2005年製作の映画)

3.7

ハネケが初めてこっちにサービスしてくれている気がした。
これまで度々登場してきた、(無自覚に)抑圧をもたらしている側を主人公に据えた初の作品なのではないだろうか。
ファニーゲームと同様に巻き込まれ型。
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ピアニスト(2001年製作の映画)

4.2

めちゃくちゃ良かった。
キャラクターが見える作品は、やはりどれだけ抽象度が高かろうが内容が重たかろうが、面白いものは面白い。

この時代に先駆けてやってること自体が凄すぎる。ハネケ作品で今の所1番好き
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.5

素晴らしすぎるサスペンススリラー。
恐怖と混乱のみで見せ切る凄さ。
最初から最後まで緊張の糸を切らさない緻密さ。
精神世界をアニメ表現だからこそできる手法で鮮やかに描き出す。
改めて見直して、本当にす
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

3.8

悪意と不条理もここまで徹底してると逆に清々しい。
構造全体を通しての警鐘みたいな感覚なのだろうか。
やはりこれも、圧倒的な演出力に目を引かれてしまった。一体現場でどうやって演出してるのだろう、、、
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白いリボン(2009年製作の映画)

3.6

登場人物似すぎてて頭が混乱して、映画を途中で止めて、ネットで人物を頭で整理してから見直した結果、見終わるまでにめちゃくちゃ時間がかかってしまった。
ストーリーの難解さを跳ね除けるくらい演技や演出が凄す
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異人たち(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

うーん、、、自分には厳しかった。。。105分で本当に良かったなと。

 映像は徹頭徹尾点描のような抽象度で展開され、中身はひたすら感情を丁寧に説明してしまう自分語りで埋め尽くされているといった印象。
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.7

予習が必要だった。。。
自分の無知を恥じた。
役者の芝居だけでなく、編集や映像も芝居してるというか、闘ってるレイヤーが高次元過ぎて、その背中すら捉えられていないというのが正直な感想。
色んな意味で偏差
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告白(2010年製作の映画)

4.0

冒頭30分の第一幕を独白と回想で見せ切る手腕凄すぎ、、このパートだけで中島監督じゃないと成立しなかったと思えるほど見事。(山戸監督が撮ったらどうなるのかめちゃくちゃ気になる)
「DRIVE」の冒頭シー
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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年製作の映画)

2.9

伊藤健太郎氏と出口夏希さんのお二人が素晴らしかった。
あとはほぼワンシーンしか出てこないが、孤児の子役の方が特に素晴らしかった。この映画で一番良かったのでは?

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

麻薬中毒者の脳内を3時間ひたすら見続けるかのような苦行、、、
キメながら本書いてるのかなってくらい破茶滅茶だった。
作品を重ねてると、ロジック抜きにしたものをやりたくなる気持ちもわからなくはないけども
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すべて、至るところにある(2023年製作の映画)

3.4

読み取るのなかなか難しかったなぁー
シネマドリフターという手法そのものに興味を持った。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.5

難しかったなぁー。
半分も読み取れてない気がする。。。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

これこそいまの時代に必要な、真のパーフェクトデイズだと思った。木漏れ日降り注ぐお耽美な日常を、パーソナル世界に自閉して愛でることがパーフェクトとは到底思えない。

誘導的な展開や演出を一切禁じてここま
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

子供ゆえの残酷さというか、本当のことしか話さないベラの言葉に触れる度に清々しい気持ちになった。
知性を獲得していくにつれ、映像は色づき、ベラの歩き方も表情も洗練され、映像の解像度や彩度は上がっていく。
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.8

やはり今見ても全く色褪せることのない大傑作。。。
むしろその輝きは増しているようにも思えた。
単なる学生ヒエラルキーを超越して、人の業の全てが詰まっているように感じる。
90分ちょっとでこれだけの要素
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アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

4.0

映画の根幹は役者が支えてるんだよなと、改めて思えた作品だった。
奇を衒うことなく、キャストの魅力を余すことなくカメラに収め、丁寧に丁寧にショットを紡いでいくことで、映画はここまで面白くなるんだなと。震
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

どうしても気になってしまったのは、物語の根幹である狂児の歌声が"そこそこ上手い"という点。
そのまま出場しても絶対最下位にならくないか?と、、、
そして子分たちの歌声も具体で提示されるので、相対的な上
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

マルチバース演出って、α世界線の主線が強くあるからこそ、それを改編できる可能性に胸が踊る気がするのだけど、本作は初手から改編のオンパレード過ぎて、全然乗れなかった。。。
この煩雑な世界線の交錯をよく脚
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終わらない週末(2023年製作の映画)

4.0

作劇としてはなかなかに歪に感じるほどひたすらにサスペンスの持続で魅せていく映画。投げっぱなしだけど、瞬間瞬間の面白さがあって最後まで惹きつけられた。
ハリウッドドラマの作劇を映画の尺に当て込んだような
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