どんどん多様化する現代のメルヘンの形、または、古典的なお伽話への21世紀のアンサーなんだと、そんな風に思う。ここには誰からも愛される可憐なお姫様も人々から慕われるハンサムな王子様も登場しない。スポット>>続きを読む
刹那的に交差する男女、そこにあるのは必ずしも恋愛ではない。少しだけの優しさと一瞬だけの体温を求めて。夜明け前の都会の空に溶け込んでゆく寂しげな紫煙とラヴソング。
今この瞬間もまた、世界のどこかで、タクシーは乗客を乗せ、運転手と客は、愛と人生と哲学についてとめどなく語っているんだろうなあ。
『アンナと過ごした4日間』といい、現実では拒絶される窃視という行為も、こうしたアートフィルムの中では純粋な愛の形として描写されがちだよね。客観的に観察すれば、彼達の清らな感情を見出せるけれど、実際に同>>続きを読む
流動的な世界に変わらない物など無く、若さはやがて萎れ、技術の進歩によって、世界はどんどん変貌を遂げる。混沌を極めるディストピアの中でこそ、より一層作品の根底に流れる不変的な存在を際立たせ、人が人を想う>>続きを読む
ラストのシークエンスが、暴君の悪政のもとで抑圧された民衆の蜂起に重なり見え、恰もあの銃声によって革命が完成されたようで、言い知れぬカタルシスを感じた。ゴルチエの煌びやかな黒いドレスを纏ったヘレン・ミレ>>続きを読む
¡Vive!
鮮烈な色彩、過剰にデフォルメされた登場人物、仮面を被った民衆、目眩く豊穣なイマージュ。全編を通してカーニバルみたいで、88歳になってもなお、こんなにも華やかでエネルギッシュな作品を創>>続きを読む
こんなにも異質で、ユニークな作品を大スクリーンで邂逅出来たという純粋な悦び。荒々しいタッチでありながら、潤んだ瞳の繊細さをも捉える、豊かな絵画の世界に引き込まれた。ゴッホの作品やエピソードからは、創造>>続きを読む
プリミティブなエロティシズム
磨けばよく光る原石のようで、セピア色の表面は内側の煌めきを隠し切れない。とびっきりにチャーミングでハッピーが溢れている。
ヌーヴェルヴァーグをアメリカに落とし込んだらこんな感じなのかも知れないと思った。のちのアメリカンニューシネマとはまた少し趣を異にしている気がする。荒削りから生まれるスタイリッシュさ、ジャジーで生き生き>>続きを読む
額に映る水紋だとか、頸に滴る汗の湿度感だとか。繊細で瑞々しい。ボサノバ感の強い映像空間で、湿潤としているが、不思議と清涼感もあり、清らかで透明な朝露を彷彿させる作品。
映画を通して何かしら問題が解決さ>>続きを読む
サイケデリックでスウィートな夢。壁の穴を覗いたら虚構と現実の境界線が曖昧になるとか顕微鏡の中に宇宙遊泳する美少女がいるとか、アイデアに浪漫があって素敵。これくらい破綻したカオスな映画の方が愛嬌あって好>>続きを読む
カウンターカルチャー精神に溢れていて思わず顔が綻んでしまう。物語は無いに等しいけれど、既存の価値観と反対のベクトルを行く姿勢、好き。悪戯っ子みたいな三人が兎に角可愛い(少し『ドリーマーズ』ぽい。この映>>続きを読む