眠人さんの映画レビュー・感想・評価

眠人

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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

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舞台は冬の貴船の旅館。前作『ドロステのはてで僕ら』に引き続きタイムリープもの。ヨーロッパ企画らしく微笑ましいわちゃわちゃ感があって、何度も笑い声を漏らしてしまった。藤谷理子ちゃん、一見勝気に見えて実は>>続きを読む

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

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所謂「サイコパス」を扱った映画だと思っていたので、今まで敬遠して観てこなかった作品。Netflixで配信が始まったというので暇つぶしも兼ねて鑑賞してみると、実は露悪的な「サイコパス」映画ではなく、むし>>続きを読む

囚われの女(2000年製作の映画)

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大富豪のシモンは、恋人のアリアーヌがレズビアン(もしくはバイセクシャル)であり、女性と浮気をしているのではないかと勘繰って、アリアーヌをストーキングし始めてしまう。

海に始まり、海に終わる物語。シモ
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オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

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舞台は東南アジアのとある国。金鉱の採掘権を得る代わりに現地のアジア人女性と結婚した白人男性オルメイヤーは、「混血児」の一人娘ニナを溺愛し、彼女を西洋型教育の寄宿制学校に入学させるものの、ニナはそれに反>>続きを読む

街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

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自室に帰宅した女性がリンゴを貪り、パスタを作り、猫をベランダから落とし、洗剤を床に撒き散らしたりして、ついにはとんでもないことを実行してしまう。女性は愉快に鼻歌を歌っているが、その音には終始不気味さが>>続きを読む

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

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シャンタル・アケルマンの作品を観ていると、必ず一度は睡魔に襲われて、うつらうつらと夢と現の間を行き来してしまう。本作ももれなく睡魔という難敵を遣わしてきて、鑑賞前にアネトンを摂取していた僕はものの見事>>続きを読む

パリのランデブー(1994年製作の映画)

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愉快で滑稽な3話の短編が詰め込まれた作品。全体の尺も短過ぎず長過ぎずと良い塩梅だった。

一話目は恋人の浮気疑惑に思い悩む女子大学生(院生?)のお話。画面が多彩になる賑やかなマルシェのシーンが素敵。そ
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

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自宅で鑑賞せず映画館で鑑賞すれば良かったとしつこく後悔してしまう程、濃密で心を掻き乱される作品だった。

韓国の新進気鋭のフォトグラファー・ぺファンは、友人の結婚式に出席するために来日する。ぺファンは
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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

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濱口竜介監督の商業デビュー前の作品。東京の郊外で同棲する男女のカップルの結婚式当日を描いた作品。

タイトルから想像した通り、一筋縄ではいかない複雑な人間関係の中で煩悶する人間が生き生きと描かれていた
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

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エリック・ロメールらしい皮肉が効いた恋愛喜劇。舞台は夏場のノルマンディ。15歳のポーリーヌは従姉妹のマリオンと共にバカンスで別荘に滞在することになる。魅力的な彼女たちの周りには、当然ながら有象無象の男>>続きを読む

はりぼて(2020年製作の映画)

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悲劇的な喜劇、いや、喜劇的な悲劇という方が正しい。そんな矛盾した言葉でしか形容出来ない程に日本の政治システムは崩壊しかかっているのかもしれない。

報道記者に対して横柄な態度をとり、自らの行いを正当化
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ナワリヌイ(2022年製作の映画)

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ロシアの反体制派(反プーチン派)のカリスマであるアレクセイ・ナワリヌイのドキュメンタリー。クレムリンの関与が疑われる毒殺未遂事件でナワリヌイは生死の境を彷徨う。生還した彼は仲間とともに、情報機器を駆使>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

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映像詩と言って良いのかもしれない。様々な映画、ドキュメンタリーの映像や科白を断片化し、そこにエフェクトをかけて繋ぎ合わせていた。まるで音楽におけるサンプリングのようだ。

映像に合わせて暴力、イデオロ
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アトランティス(2019年製作の映画)

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2025年、ロシアとの戦争を終えた未来のウクライナを描いた作品。2022年のロシアによるウクライナ侵攻以前に製作されており、今考えるとなんとも予言的だ。戦争によってもたらされた消えることのない深い痛み>>続きを読む

ブルーベルベット(1986年製作の映画)

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舞台は林業が主要産業になっているアメリカの田舎町。実家の近所で削ぎ落とされた片耳を発見した青年が、その謎を追いかけるうちに官能と暴力の世界に引き摺り込まれていくという流れ。前々から観たいと思っていた作>>続きを読む

17歳(2013年製作の映画)

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輪郭がぼやけた遠くの景色を見つめるような主人公イザベルの物憂げな表情が強烈に印象に残った。

物語は浜辺で仰向けになる美少女イザベルの肢体をイザベルの弟が双眼鏡で盗み見るカットから始まる。見てはいけな
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

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舞台は湿地帯が広がるマイアミの郊外。主人公のコージーは高校の同級生と結婚し、子持ちの主婦として生活しているが、がらんどうな町と変哲のない日常に鬱屈とし、劇的な変化を望んでいる様子。コージーはひょんなこ>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

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アメリカの侘しい田舎町に住む新婚の男性が、ヒッピーの友人に誘われて、山奥にキャンプしに行くお話。行って帰ってくるだけの作品。登場人物が少なく、会話もポツポツとしか交わされないので、何度も寝落ちした。落>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

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一応ジャンルはホラー映画になるんだろうか。若い黒人男性が恋人の白人女性の実家に招かれて、おぞましい事件に巻き込まれるといったお話。冒頭から不穏な描写が続く。怖がりの人が一人で見るのはあまりおすすめ出来>>続きを読む

愛のコリーダ 修復版(1976年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

公開当時、生々しい性描写が話題になった作品。監督は巨匠大島渚。かの有名な阿部定事件が題材となっている。本当は性器にボカシが入っていない無修正版を観たかったけれど、U-NEXTで配信されているはずがなく>>続きを読む

JOINT(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

抗争シーンや肉体労働のシーンがあるけれど全く汗臭ささがなく、温度の低いヤクザ映画。暗く透き通った冷徹な映像がとても美しかった。知っている役者は1人もいなかったけれど、それでも引き込まれた。ドキュメンタ>>続きを読む

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)

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公開当時、社会的な議論を巻き起こしたディストピア&デスゲーム映画。全国の中学校から選ばれた1クラスが無人島に連行され、クラスメイトと殺し合いをさせられるといった内容。非常に有名な作品だけれど、今までし>>続きを読む

仁義の墓場(1975年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

戦後に実在したヤクザである石川力夫の生涯を描いた作品。闇市の小競り合いが描かれる冒頭はさながら『仁義なき闘い』のよう。親分を切り付け、兄弟分を殺害し、覚醒剤に溺れ続ける石川(渡哲也)の壮絶な人生に沿う>>続きを読む

やくざの墓場 くちなしの花(1976年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

舞台は大阪。職務に忠実な暴力団担当の黒岩刑事(渡哲也)が腐敗した警察組織の中で翻弄され、身を滅ぼしていく物語。

山城組と西田組の大規模な抗争が始まり、警察上層部と蜜月関係にある山城組の攻勢によって西
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沖縄やくざ戦争(1976年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

以前から観たいと思っていた東映実録物の一作。千葉真一演ずる国頭の暴れっぷりがとにかく凄まじくて、中里(松方弘樹)や海津(梅宮辰夫)も霞んでしまうぐらいの存在感だった。そのせいか、国頭が死んでからその不>>続きを読む

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