うらぬすさんの映画レビュー・感想・評価

うらぬす

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ビハインド・ザ・ドア 誘拐(2020年製作の映画)

4.0

頼むからこのサイコババアに致命的な(そして可能な限り残酷な)一撃を与えてから逃げてくれ、というのは子供たちに相手には望みすぎだろうか。
飛び道具的な展開や演出は用いず、非力な子供目線での恐怖を徹底的に
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デスパレート・ラン(2021年製作の映画)

2.9

銃乱射事件を題材とした真に迫った誠実なサスペンスと、先の展開が読めない興味深いスリラー、どちらにも遠く到達していない明らかな失敗作

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

キリスト教が求心力を失いつつあった当時の社会情勢を絡めた、説得力のある(?)前日譚としてのストーリーも十分楽しめた。だけどそれ以上に、悍ましさの中に美しさが滲むような、現代美術的な趣すらある恐怖演出の>>続きを読む

ダムゼル/運命を拓きし者(2024年製作の映画)

3.3

よくあるファンタジーを女性主導の物語として構成し直した感じで悪くはないけどちょっと無難すぎて何の驚きもない

テリファイド(2017年製作の映画)

3.7

あまりにも不可解な現象を前に、恐怖と同じくらいかそれ以上に当惑させられる。とはいえ奇を衒うばかりではない、ホラー演出の冴えを随所に感じて悪くなかった。ただジャンプスケアはもうちょっと控えめのほうが好み>>続きを読む

グランド・セントラル(2013年製作の映画)

3.7

被爆によるフィジカルな危機と人間関係面の危機という二重の危うさを孕んだ恋の行方を描く、なかなか奇妙で興味深い映画だった

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.9

難しいことを何も考えずに観られる馬鹿げたロマコメだけど、ジェニファー・ローレンスがコメディエンヌとしても一流であることが分かったし、普通に面白かった。最後に犬のことも幸せにしてくれてありがとう。

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.1

オールドスクールなロマンスでありながら(前世云々の話なんて久しぶりに聞いた)都会的な洗練ゆえか全く古さを感じさせない。感情の機微を余白を的確に使いながら思慮深く表現している。

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

父と同様、SF的な想像力と、人倫を挑発する悍ましい物語を紡ぐセンスと、現代芸術めいたビジュアルへの拘り、この3つを兼ね備えた稀代のクリエイターとしての才能を今回も遺憾なく発揮しているとは思うし、悪夢的>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

呪いの正体は、息子への愛と期待という大義名分のもとに強権を振りかざす父親と、その父親が作り上げたこの家庭そのものだった、ということなのか…。
ケビンが兄弟のことを母に相談したときに母が「兄弟間で解決し
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オーメン(1976年製作の映画)

3.4

ホラーというよりオカルトゴシック怪奇譚という感じでさして怖くなかった。この手のジャンルの映画がアカデミー作曲賞を獲るのかなり珍しい気がして、どんな音楽なんだろうと思ったら初っ端FF7のセフィロスのテー>>続きを読む

神さま聞いてる?これが私の生きる道?!(2023年製作の映画)

4.0

思春期を迎えたばかりの女の子が直面する”あるある”な問題を、当人の目を通して新鮮な驚きと当惑として観客に見せるのが本当に上手い。ユーモアのセンスも抜群。『スウィート17モンスター』と同じくらいのテンシ>>続きを読む

Invincible(原題)(2022年製作の映画)

3.7

光と影のコントラストが美しい映像が少年の苦悩を一層浮き彫りにしているようで、短編とは思えないエネルギーを感じた

ファニー・ページ(2022年製作の映画)

3.6

オフビートという言葉では少し控えめすぎる癖の強い登場人物と接しながら、人生における本当に大切なものとは何かを学んでいく……的なありがちなプロットを想像したけど全然そんな展開にはならず、粗いスケッチのよ>>続きを読む

Knight of Fortune(原題)(2023年製作の映画)

3.7

深い悲しみと気まずい笑いが同居する不思議な趣の短編

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.6

芸術は往々にして魔法のような奇跡の中で生み出されるのではなく、倦怠感すら漂う日常の中でなんとか閃きを捕まえるようにして創り出される、生々しいものなのだという監督の実感が込められているように見える

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.1

あまり映画用語に詳しくないからどう言えば良いのか分からないけど、ショットとショットの繋ぎ方が不自然で忙しなすぎるというか、カット割りが細かすぎて集中力が削がれるというか。物語が緊張の度合いを高めていく>>続きを読む

キングダム エクソダス〈脱出〉(2022年製作の映画)

3.8

この作品の真髄を理解できているとは到底思えないけど、クリエイターが作家性を拗らせまくった末に生まれ得る最も奇怪な形の達成を目撃できたのは良かった

世界の人々:ふたりのおばあちゃん(2023年製作の映画)

3.1

オスカー繋がりの『ラスト・リペア・ショップ』と同じで、ドキュメンタリーにあって然るべき(と自分が勝手に考えている)実直さにいささか欠けるのではないかと

キングダム II 第3章/第4章(1997年製作の映画)

3.8

第1章、第2章から更に気味の悪いカオスが加速する。色んな偉い人がOKを出してこれがお茶の間で放送されるデンマークという国、何?

キングダム(1994年製作の映画)

3.8

目眩がするくらい支離滅裂で、シニカルな笑いと厭世的なムードと陰謀めいた謎に塗れている。でも不思議と強烈な一貫性のようなものも感じる。退屈に思う場面もままあるのが玉に瑕だけど、耐えた分しっかり見返りはあ>>続きを読む

シャーリー・チザム(2024年製作の映画)

3.3

伝記映画のはずなのにシャーリー・チザムという一人の人間を描く気があまり無い?

鯨の骨(2023年製作の映画)

2.8

う〜ん 申し訳ないんだけど演技が血の通ったものに感じられなかったし、全体を通していかにもインディーの邦画にありがちな鬱屈とした自己陶酔感めいたものが漂っているような気がして、ちょっと厳しい

ジャマル・カショギ殺害事件 真犯人は逮捕されない(2020年製作の映画)

3.7

フィクションさながらの構成だと思ったら『イカロス』の監督で納得。大胆不敵な設計がこの恐ろしい一連の出来事をより鮮明にしている。

サウザンド・アンド・ワン(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

変わりゆく都市NYにおいてまさに「街角に置き去り」にされたかのように慢性的な貧困の中で暮らしていた黒人のリアルに目を映しつつ、献身と愛情を軸にしたドラマが展開される。誘拐は正しくない、あるいは愛は無条>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

3.7

史実を正確に伝えることが目的ではないのだから必ずしも史実に厳密に則らなくて良い、それくらい映画は自由なものだということに改めて気付かされる

ロー・タイド(2019年製作の映画)

3.6

より陰鬱でより深刻なバージョンのスタンド・バイ・ミーといった趣でなかなか悪くないけど、特に新鮮さはない

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.2

観客を問答無用で作品世界に引き込む映像の魔力。莫大な製作費と監督の美学が理想的な形で結実したら凄いものが出来上がるのは自明。ドラマとしての魅力という点では決して傑出していないけど、それを考慮しても4.>>続きを読む

12日の殺人(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

刑事が真実を追求しやがて事件を解決に導くというありがちであると同時に観客から期待されている筋書きを、監督はあっさりと捨て去る。その代わりに、事件に向き合う刑事らや容疑者候補の人々の言動を冷徹な眼差しで>>続きを読む

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