うらぬすさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

4.1

権力の腐敗がここまで酷いものになり得るのかと唖然としてしまうけど(これがフィクションならどれほど良かったか)、騒動の初期の段階からカメラを回していた監督の慧眼にも、真実を前線で追うのがスポーツ紙の記者>>続きを読む

アドバンテイジャス/アドバンテージ 母がくれたもの(2015年製作の映画)

3.8

どこかインディーの邦画を思わせる映像からは低予算であることが透けて見えるけど、技術的発展の速度に倫理観が追い付いていない社会が女性差別を残酷な形で露わにするというのはなかなか痛いところを突いていて面白>>続きを読む

インフィニティ:無限を旅する(2022年製作の映画)

4.0

話の面白さは然ることながら、映像がやたら凝っていて視覚的にも楽しい

宇宙飛行士の医者(2008年製作の映画)

3.7

詩的で哲学的なトーンのドラマの中に、ソ連が敷いた国への奉仕に殉じさせられる体制への疑問と非難が感じられる

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

SFとして見るといくらなんでも大雑把でリアリティに欠けるのがアレだけど、ホラーとしては十分な出来か。急にちょっとしたロボット対決になる終盤の展開は馬鹿馬鹿しくて良かった。というか全体を通して馬鹿馬鹿し>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

日本の現代社会を生々しく活写していることはそれだけで十分美点だけど、微に入り細を穿つようなその描写が単なる描写に留まらず、この映画が抱える重要なテーマにしっかりと関連しているのは流石。IKKOに似たタ>>続きを読む

私にだってなれる! 夢のナレーター単願希望(2013年製作の映画)

3.5

噛めば噛むほど美味しい的な地味な魅力のあるドラマではあると思うけど、サンダンス映画祭の評価には時折首を傾げたくなることがあり、この作品もどちらかといえばそう

青鬼 ver.2.0(2015年製作の映画)

1.2

たまにはわざと地雷を踏みに行ってみるか~と別の意味で怖い物見たさで見てみたら酷すぎてウケた。青鬼に追われるあの恐怖を何も再現できていない。人生で4番目くらいに無意味な1時間半。

ファミリー・プレイ(2022年製作の映画)

3.8

褪せた色彩と粗い質感の映像は何かと思ったら16mmフィルムでの撮影らしく、歪んだ弦の音楽と相まって古き良き時代のホラーテイスト。プロットも妙にリアリティがあって、実際の事件が下敷きになっていそう。

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.9

スペクタクルな要素は一切無い一見するとかなり地味な会話劇だけど、その会話の端々から彼女らの置かれた環境の異常さ、悍ましさが垣間見える。

苦い涙(2022年製作の映画)

3.8

ドゥニ・メノーシェの迫真の演技が、オゾンらしい手際で堅実にまとめられたメロドラマに緩急と彩りを加えていて結構良かった。でもオゾンのキャリアベストとは程遠いと思う。

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

3.6

人道に対する罪をこうも事務的に重ねていけるものなのかと

Whale Valley(英題)(2013年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

兄が心を病んでいることが示唆されているけど、そういう状態だと、どこにでも行けそうでどこにも行けない場所からの唯一の脱出の手段が死であると捉えてしまったりするのだろうか……。兄の自殺を止める弟の決死の覚>>続きを読む

ヴィクトリア(2016年製作の映画)

3.5

単なるロマコメとは言えないくらいプロットは妙に複雑で、かといって斬新というほどでもなく、社会に対する鋭い風刺が垣間見えたかと思ったら、性生活の停滞の描き方は大して鋭くもなく、終始どう向き合えば良いのか>>続きを読む

マイ・ビューティフル・ランドレット(1985年製作の映画)

3.5

2人の恋愛関係がただ殊更に追求されるのではなく、当時の社会背景の描写が鬱陶しくならない程度に存在感を示してくれていて、折衷主義的な作風の見本になりうるかも

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

4.1

フィクションが常に現実の完璧な鏡像であるとは思わないけど、それでも現代アメリカ社会の深い断絶に思いを馳せずにはいられないし、日本だって他人事ではない。というかもはや人類の宿痾なんだろうけど、だからとい>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

光が激しく明滅する要領を得ない映像から始まった時点でもう不穏な気配を感じたから、バカンスにおける父娘の心の触れ合いや微妙な距離感を描くだけの作品でないことは察知できたけど、それにしてもこの映画が纏う陰>>続きを読む

ブラック・アズ・ナイト(2021年製作の映画)

3.1

手堅いような雑なような。とりあえずそのオチは要らなかった。

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.9

親密な雰囲気を持つヒューマンドラマであり、緊張感漂うサスペンスの側面もあり、更に少し捻りのきいた社会批評を加えながら、時折笑わせにもくるという、意外なくらい多様で複雑な映画(それは今までの是枝監督作品>>続きを読む

スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017年製作の映画)

4.0

ビジュアル面はシリーズ出色の出来栄えだし、物語の根幹を成す設定がそもそも古びた善悪の二元論でもはや時代に合わなくなってきたところ、その境界の曖昧さを追究するような脚本は結構良かったと思う。賛否両論とは>>続きを読む

ピーター・パン&ウェンディ(2023年製作の映画)

3.4

『ピートと秘密の友達』も本作も微妙だし、デヴィッド・ロウリーはもうディズニーの仕事は断った方が良いのでは。どう考えても彼の才能はアート方面全振りの形で活かされるべき。なんで去年のベストに選んだ『グリー>>続きを読む

ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

3.4

グロい・怖いというよりは気色悪い。当時の基準では革新的でスタイリッシュだったのかもしれないけど、今観ると流石に……。でも単に悪趣味に走るだけではないただならぬセンスを感じたから、『クライムズ・オブ・ザ>>続きを読む

ザ・マザー: 母という名の暗殺者(2023年製作の映画)

2.9

致命的に酷いわけではないけど、わざわざジェニファー・ロペスを起用したのにこんな何の変哲も無いアクション映画を作ってどうするの?と思わざるを得ない

グレート・インディアン・キッチン(2021年製作の映画)

3.7

どんな題材であれ直接的に描きすぎると退屈になる危険があるものだと思うけど、台詞やシチュエーションの選び方が抜群に上手いからか、女性を家庭に仕える奴隷としか思っていない男共への憤りが画面に緊張感を漲らせ>>続きを読む

タバコは咳の原因になる(2022年製作の映画)

3.2

この監督のユーモアセンスは残念なことに自分はあまりピンと来ないことが多い

The Eyes of My Mother(原題)(2016年製作の映画)

3.9

敢えて多くを語らないことで生まれる余白と余韻が恐怖を際立たせる

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

異国情緒溢れる声楽めいたものと共に冒頭からクレジットを流すという人を食った展開で始まり、これは凝った演出を詰め込んだ異形で以て観客を圧倒する手合いか?と思いきや、トッド・フィールド監督に限ってそんなこ>>続きを読む

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

シビュラシステムが浸透した社会で起こる歪みを色々な面で描いてほしいという自分の欲望はあまり満たされなかったけど、これまで謎だった部分がかなり解明されたし皆に見せ場があって普通に良かった。でもアニメ3期>>続きを読む

ロバート・ライシュ: 資本主義の救済(2017年製作の映画)

3.5

経済や社会に関する知識が無さすぎるからせめてこういうドキュメンタリーをたまには観ないと……という義務感で観ただけだけど、専門的すぎず、かといって当然表面的でもなく、普通に面白かった

白い刻印 アフリクション(1998年製作の映画)

3.6

哀しき暴力の螺旋と終わらない苦悩というつい目を背けたくなる真実を冷徹に描く秀作だとは思うけど、原作小説の方が面白そうな気がしてならない

クロック(2023年製作の映画)

3.7

奇を衒った演出過多で少しげんなりするものの中々面白かった