シネマJACKすぎうらさんの映画レビュー・感想・評価

シネマJACKすぎうら

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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

4.0

少なからず宗教(キリスト教)色を感じさせる作品だが、そこには「贖罪の意識」が一切感じられない。ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ演じる主人公は、どこかキリストやラザロを想起させる佇まいなのだ。実は哀しく>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

とにかく、主役を務めた役所広司の存在感が際立つ作品。
大きな挫折を経て、何かを諦めた主人公の、(諦めたからこそ得られる)至福の日々を描写した傑作と言える。

「フォトグラフィックな映像」と「繊細に切り
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

主人公ソフィアが回想する、20年前に父親と過ごした最後の夏休み。とにかく一切の説明が無いまま、ただただ11歳だった頃の記憶と心象風景が一人称で綴られる静かな映画。

具体的な顛末は、観客の解釈に委ねる
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.9

毎回、毎回、主演のトムクルーズが自ら取り組む、命懸けスタントが話題の、、まさに、、トムの身体に映画の神様が憑依したような、スパイアクションシリーズの最新作。
特にスタントアクションとしての最大の見せ場
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.9

怪獣映画としても人間ドラマとしても非常に完成度の高い映画。
山崎貴監督お得意のVFXによる臨場感あふれるゴジラ造形が見事。

一方、人間ドラマとしても強く心に響く、、涙腺崩壊の一本でもあった。
舞台は
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

4.9

レナード・バーンスタインの半生を描いた、ブラッドリークーパー監督第2作。主人公レナードをブラッドリークーパー自身が演じたことでも話題に。

やはりブラッドリークーパーはじめ役者陣の演技が素晴らしく、、
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市子(2023年製作の映画)

4.9

杉咲花 演じる主人公市子は、同棲相手からの求婚を受けた翌日に忽然と姿を消してしまう。若葉竜也演じるフィアンセの義則が早速捜索願いを出すものの、、実は、「市子」なる女性は戸籍上 存在しないことが判明する>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.9

ケイト・ブランシェット演じる架空の天才音楽家「リディア・ター」の人物造形がホントに素晴らしい。
もし実在していれば、音楽史にその名声を刻むような(極めて)社会性の高いキャラターになるんだが、、そこに強
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バビロン(2021年製作の映画)

4.9

1920年代〜30年代にかけてのハリウッド黄金時代を背景に、束の間の成功を手にした映画人たちの悲喜交々(ひきこもごも)を描いた大作。変幻自在なカット割と音楽のシンクロが見事に絡み合い、登場人物たちが醸>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

4.8

性的マイノリティたちの姿を通して、実は(全ての人に関係のある)普遍の愛の物語を紡ぎ出している、非常に美しい映画だと感じた。
新垣結衣、磯村勇人、稲垣吾郎、はじめ、、主要登場人物を演じる俳優陣の演技も圧
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ハント(2022年製作の映画)

4.8

韓国の安全企画部に潜入したとされる北朝鮮の二重スパイを巡る、二人の男の息を呑む攻防に2時間引き摺り回される実にスリリングな物語となっている。
とにかく先が読めない展開、ラストになって突如噴き出すエモー
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.8

岩井俊二監督最新作は、眩いばかりの悲哀と希望を感じさせてくれる音楽映画だった。ストリートシンガーの主人公キリエことルカを演じるアイナジエンドの独特の歌声と存在感。。そして、、かつてのATG映画を彷彿と>>続きを読む

春に散る(2023年製作の映画)

4.8

不当判定により燻(くすぶる)る無名の若手ボクサー、それから、世界チャンプを期待されながら突如引退して渡米した元ボクサーの初老男性。そんな、、一度は諦めた男たちの「一瞬の煌めき」を求めた、「諦められない>>続きを読む

バカ塗りの娘(2023年製作の映画)

4.8

漆塗り職人の娘がこの映画の主人公。家業を継ぎたい娘と、それを今ひとつ躊躇する父親。映画全体としては静かで暖かな空気感に満ちているが、、終盤、職人としての自己実現を図る主人公の姿に、、デミアン・チャゼル>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.8

生首がポンポン飛ぶ描写が随所に出てくるんだが、、それが何故だか、グロというよりもシュールに映る。(いわば)忠義も武士道もあったもんじゃない野望に満ちた戦国武将たちの群像劇から「黒い笑い」が滲む、北野武>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

4.8

深い罪悪感と激しい喪失感にいかに折り合いをつけるか。悲痛な人生模様を背景としながらも、、どこか「救済」と「福音」を感じさせる、<恋の始まり>を描いた映画のように思えた。

YouTubeにレビュー動画
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.7

マーティンスコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオ&ロバート・デ・ニーロ主演による超豪華<断罪>映画。いかに白人どもはアメリカ先住民の無形財産を掠め取ってきたのか、、正にアメリカ史における負の側面を晒>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.6

同性の愛人との駆け落ちで家庭を捨てた男が、(自らの)死に際に至って、娘との関係修復に<心を砕くサマを描いた>ヒューマンドラマ。
「ハムナプトラ」で主人公を務めたブレンダン・フレイザーがクジラの如く肥え
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アナログ(2023年製作の映画)

4.6

ハンドメイドな風合いにこだわる内装デザイナーの青年が、行きつけの喫茶店で偶然出会った女性。携帯を持たぬ、どこか謎めいた彼女に恋心を抱くことから始まる数奇な物語。
映画の序盤に見せるVLOG風の撮影手法
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.6

今作の特徴は、同業者である殺し屋同士の、不条理ながらも熱いバディ感にフォーカスした点ではないだろうか。マカロニウェスタンを彷彿とさせるような技ありのクライマックスに、思わず涙腺が刺激されてしまった。は>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.6

心臓の持病に苛まれ心が壊れゆく夫と、認知症により脳機能が壊れゆく妻が辿る、<最期の刻>が描かれていく。二つのカメラアングルを二画面分割により同時に見せる映像手法も話題に。
ともすれば、絶望的で退廃的に
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デシベル(2022年製作の映画)

3.7

爆破テロサスペンスというと真っ先に思い浮かぶ映画がある。
1974年製作の超名作「ジャガーノート」だ。主人公であるイギリス海軍の爆弾処理班キャップと犯人(退役した主人公の先輩)の手に汗握る攻防。。
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こっぴどい猫(2012年製作の映画)

3.6

随所に笑えるところがあるのだが。

バッハの調べと
妙に被写界深度の浅い、
思わせぶりな映像に惑わされ。。

果たしてここで声を上げて笑ってよいものか、戸惑いをおぼえる。

そんな心のさざなみを迎え撃
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

先日YouTubeにアップした本作のレビュー動画では『被虐の構図』という言葉を使った。
それが”意味不明”と感じられたのか、、あまりの再生回数の上がら無さ具合に笑うしかないのだがww

笑いといえば、
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.5

ドキュメンタリーといえども、商業映画として公開される作品には劇作同様に”何か”意図された物語性があるものだ。
そして、ここで描かれるものは、二人の主人公”三島由紀夫”と”木村修”の奇妙な友情物語だった
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人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年製作の映画)

3.9

これは好き。
蜷川監督特有の、ショッキングピンクを主とした色彩が持つ説得力。しかも今作では"陰と陽"のコントラストもきいて。

終盤、(演技という意味においては)宮沢りえさんが全部持っていってしまうの
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ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

3.4

正直言って、前半1時間強くらいは「え!?これ大丈夫???」ってな感じだった。

ところが、、
この映画は尺の残り1/3くらいから俄然よくなる。予告編でみせるクダリがほぼ出切った後からが本作の本当の見ど
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海獣の子供(2018年製作の映画)

5.0

映像がとにかく美しい。
個々の生命と全宇宙を同列に描いた、
これは誕生の物語。

幻想とリアルのシンクロ具合も、
過不足なきポエッティな説明も、
煌めくような海の造形も、
そして、、
それ自体が海もし
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アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

5.0

マーベル&ディズニーからファンに捧げられた、究極のThanks Giving Movie。
アベンジャーズ愛が強ければ強いほど、より楽しめて泣ける。。そんな一流どころの誠意と技が絶妙に合わさった逸品。
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

5.0

これほどまでに世界は荒みきっているのか。。

聖人ラザロがみつめる現代社会。
キャッチコピーのように至福の時を味わっている場合ではない。
実に醜い世の欺瞞を、観る者の心を捉えて離さないほどの柔らかく美
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.5

後半のオムニバス的な下り、、
あれは主人公テルコの、各キャラクターへの果たし合いに見えた。
そして最後は、、

とにかく主演・岸井ゆきのさんがパワフル。
そこには意外と「サッドティー」の強烈キャラ朝日
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キングダム(2019年製作の映画)

4.8

意外や、大傑作。
邦画はあまり本数見てないが、マイ邦画オールタイムベストに絡む一本。
特にスペクタクル系ジャンルの中では随一かも。

特に凄いのは冒頭の数十分でガッシリ心を掴まれてしまったこと。ここで
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シャザム!(2019年製作の映画)

4.3

私は、こんな哀しい境遇で生まれてきたアメコミ映画の主人公を他に知らない。初めてかも、アメコミ映画でこれだけ泣けたのは。

つまりこの作品、スパイダーバースのようなこじらせ少年の成長物語ではない。悲痛な
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荒野にて(2017年製作の映画)

3.8

この映画から受ける波を”感動”と言っていいのか判らない。
”16歳の孤独な少年”という乗り物に乗って眺めるリアルな社会見学。
そこにある悲喜こもごもは、世の弱者を取り巻く現実なのだろう。

スティーブ
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プーと大人になった僕(2018年製作の映画)

3.6

大人への入り口に立とうとする少年の門出を描く物語だからこそ滲む、切なさや甘酸っぱい焦燥感などが魅力のプーさん。それだけに、意外と続編製作の難易度は高いと思われるが。。
そこを、旧作メアリー・ポピンズを
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500ページの夢の束(2017年製作の映画)

4.0

主人公の唯一の自己実現とは、家族と一緒に暮らすことだという、なんとも健気でやるせないキャラ設定そのものが、涙と感動を誘う一遍。
クリンゴン語で本当に会話できるんだということを、この映画に教えてもらいま
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