ケタミンさんの映画レビュー・感想・評価

ケタミン

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アレックス STRAIGHT CUT(2020年製作の映画)

4.0

ストーリーはともかくとして、撮影手法の斬新さ、それに尽きる。もちろん役者陣の迫真の演技あっての上だが。後年登場した『ゼロ・グラビティ』や『バードマン』などの先駆となるようなつくり方とも言えると思う。カ>>続きを読む

イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.5

場面転換やカットつなぎが遊び心満載で楽しかった。
10年くらい前に『僕はビートルズ』というマンガがあったっけ。
おもしろかったなあ、あれ。

夢のアンデス(2019年製作の映画)

3.5

アンデスの圧倒的な景観と、その麓にある人間界の圧政・暴力。山脈から切り出された岩肌の皺=地層に刻まれた悠久の歴史と自国の現代史を重ね合わせることにより、不条理に抗う不屈の精神を描きつつ、時を経て移ろい>>続きを読む

シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

3.5

バンドのオリジナル曲がどれもよかった。
80年代風でありながら、素直にいいじゃん!って思えるような。

80年代前半って、ロックの潮流がパンクからニューウェイヴへの移行期にあってサウンド・プロダクショ
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息子のままで、女子になる(2021年製作の映画)

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トランスジェンダーがテーマなのに、なぜ英題が 'I decide' ではなく ‘You decide’ なのか疑問だった。始まって数分でその疑問は氷解した。You decide. あなたが決める。私で>>続きを読む

MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.5

主演の長澤まさみが「全然共感できない役柄だったけどなんとか理解しようと一生懸命演じた」みたいなこと言ってたが、いや、なかなかすごい役づくりでした。キャラクターのみならず時間経過の変遷をもみごとに表現し>>続きを読む

魚座どうし(2020年製作の映画)

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人間を管理/統治するために有効なのが罪悪感だということ、それをおとながこどもに無意識のうちに有効活用する現実を見せつけられた。そのおとなもそのように育ったからそれ以外の方法を知らないのだろう。キリスト>>続きを読む

あみこ(2017年製作の映画)

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思い込みと衝動と焦燥感と喜びがないまぜになったあの青い春の痛さがダイレクトに伝わってきた。きわどい崖っぷちをつたいながら登山ではなく下山するみたいな。パンクでシュールでとんがった、言い換えると荒削りで>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.5

この作品を善悪で判断してはいけない。
これは人間存在の深淵に触れてくる映画。

カルトは外側から見ると狂気だが、内側から見ると外側の方が狂ってる。それをこの映画では、主人公が情緒不安定で深刻な神経症を
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.0

時間いじラー・ノーランの面目躍如ってとこでしょうか。もはや時間遊びがゲーム感覚。観客含めこの映画に関わったすべての人たちの中で一番楽しかったのは、脚本書いてる時のノーラン自身だったにちがいない。

宇宙でいちばんあかるい屋根(2020年製作の映画)

3.0

桃井かおりの芸達者と清原果耶の繊細な演技力と湿っぽくない音楽センスのおかげでギリギリクサくないところにとどまったな。

カセットテープ・ダイアリーズ(2019年製作の映画)

3.0

移民問題、人種差別、親子の軋轢といった、映画のテーマとして定番の要素を無理なく盛り込み、実話ベースであることと80年代という時代背景で全体を締めた青春成長譚。役者は良かったし、すべての登場人物の描き方>>続きを読む

マイリトルゴート(2018年製作の映画)

4.0

これは、なんというか、実に独特な感性。オリジナリティがすごい。虐待のおぞましさをみごとにファンタジー化しながら気持ち悪い余韻はしっかり残す。絶妙だ。

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.5

頭脳明晰な論理的知性と類稀なる文学的知性のぶつかり合いは、政治討論というより哲学論争の様相を呈していた。つまりこの頃は「政治哲学」という概念が命脈を保っていたわけだ。暴力を肯定しながらもユーモアと互い>>続きを読む

眠る虫(2019年製作の映画)

-

彼岸と此岸の境界を溶かすような作品だった。虚構と現実あるいは夢と覚醒の境界と言い換えてもいい。

前半、ありふれた日常の長回しを映画館の暗闇の中で観ると、映し出される日常が悪夢化する。物語性の欠如によ
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アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)

3.5

連れ合いが観てた横を通り過ぎようとしたらなんとなく異様な雰囲気の画面に引き込まれて足が止まり、結局最後まで観ちゃった。なのですいません、途中からの鑑賞です。それでもこの静謐なる変態青年へ感情移入させる>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.5

空想と現実が入り乱れる10歳の少年の主観で描かれる戦争体験。
題材は重いが、コミカルでポップで詩的。
色彩の妙と音楽のツボ、散りばめられた伏線とその回収、完璧な役者陣、どこを取っても一級品。映画でしか
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.5

『万引き家族』とテーマが被るという噂だったが、はるかにエンタメ寄りだった。つまりモラルを凌駕するリアルな現実を描く、というよりは初めからモラルなんかない荒唐無稽な状況を娯楽として描く、ということ。テー>>続きを読む

黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.0

何なんだろう、例えるならトイレのドアちゃんと閉めないとか石鹸で体洗ってもその泡をきちんと洗い流さないとか食い散らかした後の食器いつまでもテーブルに置きっ放しみたいなこのぐっちゃぐちゃな世界観。ジプシー>>続きを読む

ファヒム パリが見た奇跡(2019年製作の映画)

3.5

実話だからね、泣ける映画に決まってる。
役者が良くて音楽も良かった。
久しぶりに見たジェラール・ドパルデュー、太ったなあ。早死にしなきゃいいけど。
それにしても人間が人間扱いされるフランスの政治風土、
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.0

人種差別を扱ってる割には思ってたよりコミカルタッチだった。
同じく人種差別をモチーフとした『グリーンブック』が人種を超えた人間の在り方へと内面を掘り下げるベクトルだったのに対し、こちらはあくまでもその
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洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

4.0

1956年。日本が戦後の復興期から高度成長期へと突入した時代。人と人の関わり方がおおらかで人情に溢れ、規範意識がゆるくて後腐れがなかった。主人公は刹那的なダメダメ人間だが、それを受け入れる寛容さが社会>>続きを読む

サイケな世界 ~スターが語る幻覚体験~(2020年製作の映画)

3.5

大切なのはセットとセッティング。これほんと大事。
では良い旅を。

アトランティックス(2019年製作の映画)

3.5

セネガル行ったことない自分には異文化すぎてなかなか感情移入できなかった(登場人物の識別がにわかには困難だったり、結婚や親族との関係性やそれらの社会的位置付けが理解しづらかったり)が、異文化すぎるだけに>>続きを読む

転校生 -さよなら あなた-(2007年製作の映画)

2.5

元祖尾道版と同じく入り組んだ石畳の坂道が多い善光寺門前町を舞台にしたところ、なるほどーと納得。その街並をカメラが縦横無尽に映し出すだけでワクワクする。

が、尾道版が傑作だった印象が残っていただけに、
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グリーンブック(2018年製作の映画)

4.0

実に粋なロードムーヴィー。
差別と権力を劇的に使って人種を超えた人としてのあり方へと掘り下げていく重層的なストーリーテリング。主人公のマッチョなふるまいが当時のおおらかな社会を象徴して郷愁を誘う一方、
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

4.0

キャスティングが冴えてた。
宮沢りえの役づくり、半端なかった。
杉咲花の没入演技がすごくて持っていかれた。
オダギリジョーはオダギリジョーだった。

脚本も冴えてた。
伏線の回収が次の展開への伏線とな
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パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

4.0

このタイトルでこの内容って・・・
ダムドのニュー・ローズで始まるノリノリの冒頭から痛快なパンク青春映画と思いきや、パンクとアヴァンギャルドの対決という思いもよらぬシュールな展開。どちらも既成概念の破壊
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海獣の子供(2018年製作の映画)

3.0

WOWOWで鑑賞。圧巻の映像美だった。
これはたぶん、海や海の生き物や生命現象や宇宙やそれらをつなぐ神秘とか抽象性をどれだけ美しい映像表現に落とし込むことができるか、ということに挑んだ作品なのだろう。
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.5

自然体だった。リアルだった。酒ノリだった。アップが多かった。シチュエーションのわかりづらい不親切なフレーミングに臨場感があった。欲望やしがらみの薄いフラットな人物描写が心地よかった。それでいて登場人物>>続きを読む

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

3.5

2時間半の長尺を感じさせずにぐいぐい引きずりこむ手腕はおみごと。
見応え抜群。後味の悪さも超一級。絶望しかない。『ジョーカー』よりも胸糞。

夫婦間の亀裂を描いた点では『マリッジ・ストーリー』の枠組み
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失くした体(2019年製作の映画)

4.0

ファンタスティック!
詩的でありながら一瞬たりとも目が離せない80分。
ありえない設定なのに嘘くさくない人間ドラマ。
そしてこの感性は、まぎれもなくフランス映画。ヌーヴェルヴァーグの血を受け継いでる。
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はじまりへの旅(2016年製作の映画)

3.0

森を俯瞰する美しくも不穏な映像に始まり、一転して異様にワイルドなシーンから魅力的な設定・テーマへとつなげる冒頭の展開にはワクワクさせられた。が、次第に気分は尻つぼみに。一番過激なのがファーストシーンだ>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.0

人を幸せにするためのシステムなのに、そのシステムを維持することが優先されて逆に人を不幸にする、そんな現実に抗おうとする人間をリアルに描いて身につまされた。国民のために国家があるのか国家のために国民がい>>続きを読む

バスターのバラード(2018年製作の映画)

4.0

どの話も皮肉が効いててとてもおもしろかった。
細部まで贅沢なほど緻密な画面は、短編ならではのクオリティ。偏執的でありながら魅力的な人物造形。予想の斜め上をいく情け容赦ない展開。そういったすべての構成要
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.0

本家キャメロンの復帰でT2の正統な続編、ということでどんな新機軸を出してくるか?と期待してたが、概ねT2の焼き直しだった。ストーリーとしては新たな展開があったが、ターミネーターはそもそも殺人マシーンが>>続きを読む

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