アニマル泉さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

アニマル泉

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悪太郎(1963年製作の映画)

4.5

清順が高峰三枝子をどうしても撮りたかったという作品。原作は今東光。美術の木村威夫が初めて参加した。清順の正攻法な一作と言われるが、いやいや、予想外のジャンプカットや清順印の様々な主題に彩られていて、本>>続きを読む

春婦傳/春婦伝(1965年製作の映画)

4.5

鈴木清順が田村泰次郎の原作を2度目の映画化。1度目は谷口千吉の「暁の脱走」。清順のインタビューによれば調布の日活スタジオの近郊にオープンセットを建てて撮影された。
清順は「高低差」だ。白日夢の場面、春
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峠を渡る若い風(1961年製作の映画)

4.5

清順は1961年になんと6作品が公開されている。そのうち5本が和田浩二の主演作だ。本作は旅回り一座と風来坊の大学生・信太郎(和田浩治)のロードムービーである。清順の「橋」「トンネル」「川」が頻出する。>>続きを読む

れいこいるか(2019年製作の映画)

4.5

「ピンク七福神」の一人、いまおかしんじが阪神・淡路大震災で娘を失った夫婦の人生を描く一般作品。映画芸術ベストワンに輝いた。
いまおかは海の作家だ。冒頭の親子の海辺の場面、娘・れいこを抱いた太助(川屋秀
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のんき大将(1949年製作の映画)

4.8

ブニュエルのメキシコ時代の第2作で、その後のブニュエルらしさを発見出来る作品である。トップカットからブニュエルが偏愛する「足」だ。複数の「足」が重なり、他人の足を自分の足と間違えて掻いている、それが留>>続きを読む

糧なき土地(1932年製作の映画)

4.5

ブニュエルの第3作。「黄金時代」が上映禁止となり八方塞がりだったところ、友人が宝くじに当たり本作が実現したという、いかにもブニュエルっぽい制作秘話を持つ。スペインの知られざる奥地コルデスを描くドキュメ>>続きを読む

怪人マブゼ博士/マブゼ博士の遺言(1932年製作の映画)

5.0

ラングのドイツ時代最後の作品。「M」に続くトーキー2作目で、明石政紀が指摘しているように両作はサイレントとトーキーの過渡期を成す作品となっている。冒頭、振動と印刷機の音が不気味な偽札工場に潜入した元刑>>続きを読む

アッシャー家の末裔(1928年製作の映画)

4.8

監督ジャン・エプスタン、脚本ルイス・ブニュエルとジャン・エプスタン、原作エドガー・アラン・ポーのホラー映画の古典。サイレント白黒スタンダード。
「風」が官能的だ。廊下にたなびくカーテン、だんだん風が強
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スサーナ(1950年製作の映画)

5.0

ブニュエルの確かな手腕を確信出来る一作だ。
冒頭、少年院の縦廊下を奥から暴れまくるスサーナ(ロシータ・キンターナ)が手前の独房まで収監されるワンショットがいい。最初にスサーナのあばずれの本性が明確に印
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昇天峠(1951年製作の映画)

4.5

ブニュエルらしい庶民の猥雑さ、エネルギー、土着性、エロスがムンムンと充満するバス映画だ。満員の車内のグループショットがいい。冠婚葬祭が全て描かれる。出産はフォードの「駅馬車」もそうだが乗り物で移動中に>>続きを読む

忘れられた人々(1950年製作の映画)

4.5

ブニュエルがメキシコシティの貧困と少年犯罪をリアリズムで描き、メキシコでは物議を醸したが、カンヌ映画祭で監督賞を受賞した事でヒット作になり、メキシコ時代のブニュエルが再評価されたというスキャンダラスな>>続きを読む

番兵、気をつけろ!(1937年製作の映画)

3.8

ブニュエルの自伝によれば本作はジャン・グレミヨンが監督から降りてしまい後半をブニュエルが撮ったらしい。靴磨きで成功するというのが足フェチのブニュエルらしい。
男二人が子連れの女性を救う話でオペレッタ風
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鍬と星(1936年製作の映画)

4.5

「鍬(すき)と星」とはアイルランド独立を目指す市民軍の旗印。本作は戯曲の映画化でフォードはRKOと随分揉めたらしい。フォードは芝居と同じ役者でやりたかったのだがRKOが興行的にバーバラ・スタンウィック>>続きを読む

虎鮫島脱獄(1936年製作の映画)

4.2

フォードの脱獄映画。20世紀FOX 白黒スタンダード。脚本ナナリー・ジョンソン。
ファーストシーンは火祭り。リンカーン大統領がなんと南部のディキシーをリクエストする。そして劇場でのリンカーン暗殺。フォ
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ウィリーが凱旋するとき(1950年製作の映画)

4.2

フォードのコメディの腕が冴える戦争映画。20世紀FOX 白黒スタンダード。
太平洋戦争が始まり一番に志願して田舎町の英雄になったウィリー(ダン・デイリー)がなかなか戦地に赴けず、町の人々から軽蔑される
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人類の戦士(1931年製作の映画)

4.5

フォードの1930年代は充実している。その力量を示す作品。サミュエル・ゴールドウィン製作、音楽アルフレッド・ニューマン、主役ロナルド・コールマン。白黒スタンダード。
フォードの運動感が素晴らしい。アロ
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悲愁物語(1977年製作の映画)

4.5

清順が日活を解雇されて以来の10年ぶりに松竹で撮った復帰作。原作・梶原一騎、脚本・大和屋竺、撮影・森勝、美術・木村威夫。しかし不入りで公開2週間で打切りになる。清順は常にこれが最後の作品かもしれないと>>続きを読む

俺たちの血が許さない(1964年製作の映画)

4.8

小林旭と高橋英樹が兄弟の清順作品。清順らしい「高低差」の作品で「斜面」や「坂」が魅力的だ。
ラストの壮絶な撃ち合いは斜面を走り回る高低差の銃撃戦になる。浅利良太(小林旭)が血だらけで穴に逆さまに滑り落
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悪魔の街(1956年製作の映画)

5.0

鈴木清順の非凡さが発揮された初期の重要作。クレジットはまだ鈴木清太郎、第3作であり、初めての暗黒ノワール物だ。白黒スタンダード。
早崎(河津清三郎)が尋ねる貴美子(由美あづさ)の仕事場はガラス越しの写
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わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)

5.0

フォードがオスカー5冠(作品、監督、助男、撮影、美術)を制した、イギリスのウェールズを舞台にした自伝的作品である。
少年のモノローグで家族のドラマを描く。前半はセリフがほとんど無い。末っ子ヒュー少年(
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サブマリン爆撃隊(1938年製作の映画)

4.3

フォードの海軍物は面白い。密室で男集団、フォード劇団が勢揃いする。本作は食堂に上から次々と船員たちが飛び降りてくるのが面白い。
ペリー(リチャード・グリーン)とスーザン(ナンシー・ケリー)のラブストー
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現代好色伝/テロルの季節(1969年製作の映画)

4.2

沖縄返還をめぐる佐藤首相訪米を爆弾テロで阻止する若松孝二のクライム・フィクション。脚本は小水ガイラ。
フルート、チェロ、ドラムが響く。パートカラーで日米の国旗と3Pセックスにミッシェル・ルグランみたい
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ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

4.5

カラックスのユーロスペース30年記念として制作された作品。カラックスは「恋人」を描く。本作は全てカップルの話だ。9つの恋人たちの「ランデヴー」で構成されている。「怪物」もカラックスの主題だ。本作もドゥ>>続きを読む

セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.5

リヴェットのガーリッシュな長編。冒頭からセリフなしのセリーヌ(ジュリエット・ベルト)とジュリー (ドミニク・ラブリエ)の尾行場面が続く。ケーブルカーに乗るセリーヌをジュリー が階段を駆け上がって並走す>>続きを読む

駅馬車(1939年製作の映画)

5.0

映画史に刻まれたフォードの至宝である。世界遺産だ。未来に一本だけ残す映画を選ぶような事があれば本作である。
駅馬車は6頭立てなのが良い。川の渡し場がアパッチに襲撃されていて駅馬車ごと川に突っ込んで行く
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香も高きケンタッキー(1925年製作の映画)

5.0

馬のモノローグで展開するフォードの異色のサイレント映画。ロバが主役のブレッソンの「バルタザールどこへ行く」を思い出す。フォードは「馬」の天才だ。本作はフォードしか撮れない馬への愛に満ちた映画である。>>続きを読む

三人の名付親(1948年製作の映画)

4.5

冒頭に「ハリー・ケリーに捧ぐ」とクレジットされる。フォードがハリー・ケリー主演で撮った「恵の光」のリメイクである。息子のハリー・ケリー・ジュニアのデビュー作だ。
オープニングタイトルは本編内のアバンタ
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誉れの一番乗(1926年製作の映画)

4.2

原題は「シャムロック大競馬」で「香りも高きケンタッキー」に続く競馬映画。今回は馬が次々と飛び越える障害物競馬だ。シーラ(ジャネット・ゲイナー)の登場は愛馬ロザリンと鮮やかな飛び越しだ。ニール(レスリー>>続きを読む

肉体(1932年製作の映画)

4.2

フォードの異色のプロレス物でレスラー・ポラカイ(ウォーレス・ビアリー)と悪女ローラ(カレン・モーリイ)のメロドラマだ。MGM白黒スタンダード。
「円」のイメージが氾濫する。トップカットは刑務所内を輪に
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男の敵(1935年製作の映画)

5.0

ボグダノビッチによるフォードのインタビューによれば、西部劇に飽きていて本作を提案したところ、RKOのジョー・ケネディ社長がアイルランド出身だったので製作許可が下りたらしい。しかし撮影中にRKOが売却さ>>続きを読む

アメリカの友人 4K レストア版(1977年製作の映画)

4.4

ヴェンダースが憧れの監督や仲間の監督たちを出演させた異色作。ニコラス・レイ、サミュエル・フラー、ダニエル・シュミット、ジャン・ユスターシュ。よくもまぁ集めたものだ。シネフィルの面目躍如である。原作はパ>>続きを読む

アメリカの友人(1977年製作の映画)

4.4

ヴェンダースが憧れの監督や仲間の監督たちを出演させた異色作。ニコラス・レイ、サミュエル・フラー、ダニエル・シュミット、ジャン・ユスターシュ。よくもまぁ集めたものだ。シネフィルの面目躍如である。原作はパ>>続きを読む

さすらい 4K レストア版(1976年製作の映画)

4.5

ヴェンダースの「ロードムービー三部作」の第3作。白黒ビスタ、3時間の大作だ。本作は脚本がない即興演出で撮られている。
トップカット、風がなびく美しい畑を俯瞰で捉えた大ロングショットにワーゲンが土煙を上
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さすらい(1975年製作の映画)

4.5

ヴェンダースの「ロードムービー三部作」の第3作。白黒ビスタ、3時間の大作だ。本作は脚本がない即興演出で撮られている。
トップカット、風がなびく美しい畑を俯瞰で捉えた大ロングショットにワーゲンが土煙を上
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まわり道 4K レストア版(1975年製作の映画)

4.2

ヴェンダースのロードムービー三部作の第2作で三部作の中では唯一のカラー作品。脚本はノーベル賞作家のペーター・ハントケ。ナスターシャ・キンスキーの鮮烈なデビュー作である。ドイツ最北部から南まで縦断するロ>>続きを読む

まわり道(1974年製作の映画)

4.2

ヴェンダースのロードムービー三部作の第2作で三部作の中では唯一のカラー作品。脚本はノーベル賞作家のペーター・ハントケ。ナスターシャ・キンスキーの鮮烈なデビュー作である。ドイツ最北部から南まで縦断するロ>>続きを読む