映画の申し子トリュフォーの長編処女作にして映画史に燦然と輝く神品。撮影直前に亡くなった父のように育ててくれたアンドレ・バザンに本作は捧げられている。
子供たちが素晴らしい。活きいきと愛おしくこれほど描>>続きを読む
映画の申し子トリュフォーの長編処女作にして映画史に燦然と輝く神品。撮影直前に亡くなった父のように育ててくれたアンドレ・バザンに本作は捧げられている。
子供たちが素晴らしい。活きいきと愛おしくこれほど描>>続きを読む
トリュフォーの初カラー作品。イギリスで撮影された初めての英語作品でもある。撮影はニコラス・ローグ、音楽はバーナード・ハーマン。赤が鮮烈だ。消防隊の車、壁が真っ赤だ。モンダーク(オスカー・ウェルナー)は>>続きを読む
トリュフォーが撮影のアルメンドロスと初めて組んだ厳かで瑞々しい傑作。白黒作品。トリュフォーはロメールの「モード家の一夜」を見てアルメンドロスにオファーしたという。冒頭の森に少年(ジャン=ピエール・カル>>続きを読む
成瀬巳喜男のサイレント。松竹蒲田作品。片岡一郎の活弁上映。栗島すみ子はカフェの女給をしながら女手一つで息子を育てているが別れた亭主(斉藤達雄)が帰ってくるという物語だ。トラックイン、そのリフレインやカ>>続きを読む
トリュフォー十八番の「高さ」の主題が際立つエネルギッシュな作品である。なんと言っても劇中の2回のカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)の衝撃的な川への落下である。カトリーヌとジム(アンリ・セール)の逢引きを二>>続きを読む
トリュフォーがナチス占領下のパリの演劇を描いた。「高さ」が主題のトリュフォーにとって劇場は上下構造、階段とおあつらえの舞台だ。地下室にはマリオン(カトリーヌ・ドヌーブ)の夫である演出家ルーカス(ハイン>>続きを読む
トリュフォーの至福の処女作。ベルナデット・ラフォンのスカートが翻る自転車の疾走、子供たちの躍動的な走り、本作は運動そのものであり、瑞々しく官能的である。処女作から「自転車」「子供」というトリュフォー十>>続きを読む
パゾリーニは造形力が素晴らしい。フェリーニやパラジャーノフに比肩する造形力だ。仮面、兜、儀式、ギリシャ悲劇の「オイディプス王」を見事に造形化している。パゾリーニは「荒野」の作家だ。本作も撮影地のモロッ>>続きを読む
トリュフォーは映画愛に満ちている。だから襟を正して見なければならない。本作はグリフィスとルノワールとルビッチへのオマージュで出来ている。姉妹といえばグリフィスだ。アイリスアウトやフェードアウトといった>>続きを読む
マルセル・アヌーンの日本初公開作品。犯罪者(ミシェル・ロンズデール)が逃亡する白黒パートと少女の思春期のカラーパートで構成される。
アヌーンはイメージで繋ぐ。セリフが少なく、状況説明もない。エピソード>>続きを読む
トッド・ブラウニング監督の公開禁止となった問題作。サーカスを舞台に障がい者が多数出演している。障がい者への偏見、差別がストレートに描かれる。ブラウニングの手腕は確かだ。結婚披露宴から障がい者たちのアッ>>続きを読む
ギレルモ・デル・トロがエドマンド・グールディング監督の「悪魔の往く街」をリメイクした。夜の描写が素晴らしい。火、雨、後半は雪。官能的な夜だ。ギレルモは縦構図が好きだ。スタン(ブラッドリー・クーパー)が>>続きを読む
フランク・ダラボンは決定的ショットが撮れない監督だ。特に引きが撮れない。ただし俯瞰ショットが好きで、前半のショーシャンク刑務所全貌、アンドリュー(ティム・ロビンス)がハドリー主任刑務官(クランシー・ブ>>続きを読む
B級精神溢れる若松孝二のシャープなアクション映画。野上正義のデビュー作。「組織と殺し屋」の物語だ。冒頭、縦構図の道を野上が警官に肩を撃たれながら逃げる、車の下に入る、地面すれすれのローアングルで警官の>>続きを読む
若松孝二は「水」の作家だ。本作も川、湖、アザに気づく風呂、そしてラストの夜の海。要所が「水」のイメージで溢れている。
女子高生・のりこ(三浦光子)が出生の秘密と原爆症で運命が狂っていく物語である
のり>>続きを読む
「怒りが表現の原点だ」と言う若松孝二がストレートに若者の怒りを描いた。若松はアップと俯瞰だ。目のクローズアップ、俯瞰ショット、大胆なメリハリが素晴らしい。
若松の「円環」の主題。乱行や輪姦の場面は円環>>続きを読む
若松孝二の怪作。古代インドの性愛論書カーマスートラの教えを前半で解説して、後半はドラマ仕立てで実践を説く。いかがわしい事極まりないのだが当時は大ヒットした。その資金でパレスチナに行き「赤軍-PFLP・>>続きを読む
若松孝二が「荒野」の主題を鮮明にした、脚本の大和屋竺の色合いが濃厚な挑戦作。荒野と十字架だけで作ってしまう力量に感服する。冒頭、坂道を下る2台の車を横からワンカットで捉えたロングショットが素晴らしい。>>続きを読む
若松プロの屋上で撮影された密室劇で若松孝二の作家性が際立った傑作である。若松は「俯瞰」の作家だ。ほぼ屋上のみが舞台なので俯瞰の風景や屋上の若者たちをさらに俯瞰でとらえるショットが際立っている。若松の「>>続きを読む
四季シリーズの最終作。秋の高い空、風、斜光が美しい。ロメールは四季それぞれ特有の光を探して撮りたかったのかな?と想像する。
イザベル(マリー・リヴィエール)はワイン畑を育てている親友のマガリ(ベアトリ>>続きを読む
ロメールの四季シリーズの第1作。ベートーベンのソナタがテーマ曲として響く。哲学教師のジャンヌ(アンヌ・ティセードル)が4つの部屋をちぐはぐと移動する羽目になる物語だ。ジャンヌは恋人が出張なので彼のアパ>>続きを読む
恐るべき若松孝二の初期のアナーキーな挑戦だ。制作前年に起きたシカゴ看護婦8人殺しをモチーフにしている。夜の海で美少年(唐十郎)が拳銃をぶっ放す。長玉レンズで迫り来る波バックの唐がいい。若松は「海の作家>>続きを読む
若松孝二のATG作品。白黒スタンダード・パートカラー。「革命は精鋭なる兵士だけがなし遂げる」「右から左、左から右へ動かしているだけの指導部はダメだ」東京総攻撃を画策する革命軍の内ゲバを描く。組織のメン>>続きを読む
ヌーヴェル・ヴァーグがパリを活きいきと撮ったように若松孝二は新宿を撮った。本作の主人公は「新宿」である。若松は「新宿は差別しない街」だという。ゴールデン街、南口大ガード、よく知っている白銀公園が写され>>続きを読む
若松孝二が内田裕也の主役で撮った東映作品。カラーシネスコ。脚本は荒井晴彦。日本に戻ってきた内田は、古巣の外タレを誘致する音楽事務所の裏稼業が麻薬と売春だと知り、事務所の金を強奪する。居候先の多々良純は>>続きを読む
母性愛が凄まじい若松孝二の初期の珍作品。FC所蔵作品である。白黒シネスコ。海辺の半島での家族のバカンスが暗転して絶体絶命の危機になる。崖から海に落ちた子供と父を救出出来るかというシンプルな構成で、本作>>続きを読む
軍部=権力と農村の女性の貧困を描く若松孝二の反骨精神が溢れる作品。昭和9年から南京大逆殺までの時代を背景に山形の寒村から女郎屋に身売りされた少女(島明美)を描く。女郎屋の「密室劇」である。窓や廊下を望>>続きを読む
若松孝二が「蒸発人間」をテーマに撮った。何故か列車で目が覚めると田舎の漁村に着いた山谷初男が彷徨う、つげ義春の漫画みたいな物語だ。望遠レンズが効果的で、迫りくる波が背景になる海辺の情事の場面、道を歩く>>続きを読む
全てが瑞々しく、自由で、革新的で、躍動感に溢れる至高のフィルム。シャンゼリゼ通りの伝説のワンカット、丸めたポスターから覗きこむベルモンドのアップから直結のキスカット、ラストのベルモンドの横顔、映画史に>>続きを読む
ゴダールの全力疾走!逃げる!疾走する!追いかけても追いかけても絶対に追いつかない。立ち止まることも振り返ることも許されず、ひたすら逃げる、どんどんスピードを上げて。その絶望が胸に刺さる。そして疾走の果>>続きを読む
溝口健二の第一映画撮影所での1936年の作品。20日ほどで撮られたという。第一映画撮影所は永田雅一と川口松太郎たちが創業してわずか2年だけ存続した撮影所だ。
溝口の十八番である長回し、大きなセットが確>>続きを読む
アケルマンの凄みはワンカットの異様な長さだ。
車窓、アンナの歌、とてつもなく長い。十八番はノンモンのワンショットである。セリフもなくアンナをただひたすら撮り続ける。ただし本作は「ジャンヌ・ディエルマン>>続きを読む
シャンタル・アケルマンの出世作。主婦ジャンヌ(デルフィール・セイリグ)の毎日は忙しい。家事、子育て、仕事と止まることなく動き続けている。ジャンヌの秘密は仕事が売春であることだ。そしてジャンヌが動きをや>>続きを読む
ブレッソンの前にブレッソンなし、
ブレッソンのあとにブレッソンなし。
本作は自由奔放、ブレッソン節が炸裂した巨匠の円熟期の至芸だ。ブレッソンは「部分の作家」である。顔を撮らない、足や胴体を切り取る、そ>>続きを読む
ソフィア・ローレンが圧巻である。凛とした立ち姿が力強く美しい。本作は女から戦争を描いた秀作である。様々な女たちが登場する。ジョバンナ(ソフィア・ローレン)マーシャ(リュドミラ・サベーリエワ)アントニオ>>続きを読む