東映版の第二作。東宝版の第三部を中心にリメイクしている。カラーシネスコ。
次郎長はシリーズ前半の股旅が面白い。富士山バックに次郎長一家が歩く、歌う、走る、喧嘩する!マキノの腕も冴えわたり、これぞ活劇だ>>続きを読む
ジョン・カーペンターの長編4作目。前作「ハロウィン」に続いての出世作だ。100年ぶりの濃霧に町の犠牲者たちが生き返って復讐に来る、ゾンビ映画である。
カーペンターは突然「揺れる」「落ちる」「割れる」「>>続きを読む
連合軍占領下の廃墟のベルリンが舞台のワイルダー作品。ディートリッヒの色気が圧巻だ。ワイルダーは「距離」を活劇にするのが上手い。ジョン・ランドが資料室のキャビネットの引き出しを次々開ける、ジーン・アーサ>>続きを読む
原一男の最新作。発生から50年経った水俣病のいまを描く。ラストタイトルで土本典昭に捧げられている。3部構成の6時間12分の大作。
【第一部 病像論を糺す】
水俣病の通説だった「末梢神経説」が法廷で覆る>>続きを読む
マキノ雅弘のセルフリメイク東映版、カラーシネスコ。
マキノは「弾む」「明るい」。走る、歌う、喧嘩する。アクションが早い。セリフと同じテンポで引っ叩く。シネスコなのでカット数は少ない。東映の太秦セットが>>続きを読む
濱口竜介の3つの短編集。ロメールの連作エチュードのようだ。これから7作まで作るという。
【第一話 魔法(よりもっと不確か)】
「向き合うこと」が主題である。冒頭から濱口得意の夜の自動車。トンネルも濱口>>続きを読む
ラース・フォン・トリアーがカンヌ映画祭を制した野心作。ビョークが圧巻!神々しい。本作はビョークの素晴らしさが全てだ。フェリーニの「道」のジュリエッタ・マシーナに比肩する純粋さと愛おしさだ。
冒頭から手>>続きを読む
ラース・フォン・トリアーがカンヌ映画祭を制した野心作。ビョークが圧巻!神々しい。本作はビョークの素晴らしさが全てだ。フェリーニの「道」のジュリエッタ・マシーナに比肩する純粋さと愛おしさだ。
冒頭から手>>続きを読む
ケン・ローチの処女作。既にBBCディレクターとしての実積があり、ドキュメンタリーの手法を駆使して手堅く撮っている。ジョイ(キャロル・ホワイト)と子供ジョニーを描くローチの暖かい眼差しが素晴らしい。生き>>続きを読む
万田邦敏の最新作。愛と狂気の映画だ。精神科医の貴志(仲村トオル)亡き妻・薫(中村ゆり)貴志を誘惑する綾子(杉野希妃)、貴志は薫の亡霊に取り憑かれ、綾子は嫉妬に燃え上がり、薫も狂っていた事実が明らかにな>>続きを読む
マリリン・モンローとジェーン・ラッセルの衣装合戦がゴージャスなホークスのミュージカル。ザッツ・ハリウッドだ。モンローの唇が凄い。そして濃厚な歌唱。男たちがモンローとラッセルに群がる艶笑譚だ。子供の扱い>>続きを読む
深作欣二が時代を切り拓いたマスターピース。エネルギーの塊のような作品だ。冒頭から殴り合いの連続、裏切り、密告、次々に死ぬ、暴力的な映像はその度にストップモーションになり高らかなファンファーレが鳴り響く>>続きを読む
キアロスタミの「ジグザグ道三部作」の完結編。「友だちのうちはどこ?」の村が舞台である。あの忘れがたいアハマッドとモハマッド・レダの2人の子供たちがすっかり大人びた少年として登場する。本作では女学生が初>>続きを読む
キアロスタミの確信犯的な作品だ。車の映画である。カメラは徹底して車内から出ない。車内からの景色の移動ショット、切り取り、話している相手も見切れてオフになる、だから音の情報量が極めて重要である。バディ(>>続きを読む
キアロスタミが世界を驚かせた神品である。シンプルで力強くて豊かだ。あらゆる表現に共通する真理を見事に示した。冒頭の中庭が豊かだ。洗濯する母、泣く赤ん坊、宿題する少年、大いなる日常の営みを丸ごと肯定する>>続きを読む
ディートリッヒが美しい!冒頭とラストの黒づくめのベール姿の美しさに息を呑む。列車の個室の電気を消して顔だけが浮かびタバコを吸う。圧巻のアップだ。あるいは車両の縦廊下に立つディートリッヒのフルショットの>>続きを読む
ヒッチコックがイングリッド・バーグマンと組んだ3部作の2作目。3部作の中でバーマンが抜群に魅力的で美しく、ヒッチコックも冴え渡っている。ヒッチコックはサスペンスの神様であると共にメロドラマの名手である>>続きを読む
ディートリッヒの出世作でドイツ映画初めてのトーキー映画。ディートリヒの魔性ぶりが凄い。足だ。ヴィスコンティの「地獄に堕ちた勇者ども」が引用した神話的なディートリッヒの網タイツ姿が神々しい。しかし主役は>>続きを読む
キアロスタミは「坂道」と「俯瞰」の作家だ。本作も「友だちのうちはどこ?」と同じくジグザグ道や坂道が頻出する。曲がりくねった坂道を走る黄色の車がいい。色でいえば水色の服や水色の壁が美しい。冒頭はゲートを>>続きを読む
子供たちの宿題についてのキアロスタミのドキュメンタリー。冒頭は登校風景。「宿題した?」「何を撮ってるんですか?」「まだ決まってない」という声がオフでかぶる。小学校の朝礼。イランの子供たちはイスラム教シ>>続きを読む
マンキーウィッツは芝居を長回しで撮る。ワンシーンが長い。場面数は少ない。役者の芝居を丸取りする方法だ。だから映画的な感動や官能は無い。イヴ(アン・バクスター)が演劇界の人間関係を巧みに操って成り上がっ>>続きを読む
ルネ・クレールの運動感が素晴らしい傑作。冒頭の刑務所や工場で横並びの列をとらえる横トラックショット、例えば人形を作る横トラックショットや、シンメトリーな縦構図、全く隙がないモンタージュだ。まるで小津の>>続きを読む
ルネ・クレールの運動感が素晴らしい傑作。冒頭の刑務所や工場で横並びの列をとらえる横トラックショット、例えば人形を作る横トラックショットや、シンメトリーな縦構図、全く隙がないモンタージュだ。まるで小津の>>続きを読む
ガルボの最後の出演作。キューカーはやり過ぎの所もあるが冴えている。ガルボが貞淑な姉と架空の淫らな妹を演じる羽目になるという変則のスクリューボール・コメディになっている。新婚のカップルに荒れ玉の女性が割>>続きを読む
イングリッド・バーグマン主演で監督はヴィクター・フレミング。RKO制作の歴史劇でテクニカラースタンダード。
ジャンヌ・ダルクの生涯を描いて前半は戴冠式、後半は裁判がクライマックスになる。一度は拷問に屈>>続きを読む
コクトー自らが原作を脚色して、監督にジャン=ピエール・メルヴィルを起用して映画化した。コクトーの条件は主役にエドゥアール・デルミットを起用すること。コクトーはデルミットを生涯にわたり寵愛した。ナレーシ>>続きを読む
O・ヘンリーの短編集のオムニバス。20世紀フォックス。案内役はなんとスタインベックだ。
【警官と讃美歌】監督ヘンリー・コスター。ルンペン役のチャールズ・ロートンが素晴らしい。倒れ方が凄まじい。刑務所で>>続きを読む
野原位の処女作。「ハッピーアワー」の二番煎じになっている。野原は時間のコントロールが下手だ。「映画は時間の芸術である」と喝破したのはコッポラだが、映画の神髄は観客を早く作品に没入させて時間を忘れさせる>>続きを読む
これはどうした事か!007の世界をこんなに壊してしまったら次回作が作れないではないか。寅さんが嫁さんをもらうような、客を裏切る、やってはいけない衝撃だ。
本作の主題は「高さ」だ。落下する、壁を垂直に下>>続きを読む
吉田恵輔は決定的なショットが撮れないと思う。冒頭もスローモーションのモンタージュが説明的で映画的感動がないのだ。唯一、古田新太と松坂桃李が2人で現場検証するロングショットは良かった。
古田のモンスター>>続きを読む
キアロスタミの処女作。処女作から「少年」という主題がしっかりと定まっているのが凄い。少年たちのサッカー、走りっぷりがいい、顔がいい。特に主役の少年ハッサン・ダラビの顔つきがいい。路地がいい。ガミガミ怒>>続きを読む
ホークスは動物が出ると途方もなく突き抜ける。本作はチンパンジーだ。チンパンジーが調薬した若返りの薬がてんやわんやの大騒動になる。ジンジャー・ロジャースとケーリー・グラントが素晴らしい。
「液体」をめぐ>>続きを読む
イーストウッドが文字通りのラストカウボーイである奇跡の作品。本作の主題はイーストウッドの十八番の「届ける」ことである。届けるのは少年ラフォ(エドゥワルド・ミネット)と闘鶏のマッチョだ。舞台はメキシコ、>>続きを読む
ヒッチコックがイングリッド・バーグマンを初めて起用した作品。本作以降「汚名」「山羊座のもとで」と3部作で組むことになる。制作はデヴィッド・O・セルズニック。本作では精神分析を取り入れているのだが、ヒッ>>続きを読む
ディートリッヒが衝撃だ!この色気、男たちを誑かす魔性、死を恐れない悲劇、映画史に孤高に咲く大輪の花である。ディートリッヒは足のエロスだ。冒頭から夜の雨、女の足のアップ、さらにスカートを捲ってガーターを>>続きを読む
千葉真一がゴルゴ13を演じて監督は野田幸男。香港警察のスミニー(嘉倫)との攻防と麻薬シンジケートの黒幕暗殺を描く。
前半の志穂美悦子のアクションが素晴らしい。しかしあっけなく死ぬ。本作はやたらと女が死>>続きを読む