アニマル泉さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

アニマル泉

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ゴルゴ13 九竜の首(1977年製作の映画)

4.0

千葉真一がゴルゴ13を演じて監督は野田幸男。香港警察のスミニー(嘉倫)との攻防と麻薬シンジケートの黒幕暗殺を描く。
前半の志穂美悦子のアクションが素晴らしい。しかしあっけなく死ぬ。本作はやたらと女が死
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脱走遊戯(1976年製作の映画)

4.5

新文芸坐で追悼・千葉真一。脱走屋の物語で監督は山下耕作。冒頭から刑務所の塔の屋上に千葉真一が登り、ヘリコプターで脱獄、しかも千葉はヘリコの縄梯子にぶら下がったまま、ワンカットで囚人服から平服に着替える>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.7

村上春樹の原作を濱口竜介が映画化したカンヌ映画祭脚本賞受賞作。濱口は「並ぶ」事にこだわる。自動車、ベッド、バー、重要な場面では二人の人物が並ぶ事になる。
トップシーンは西島秀俊と霧島れいかのベッドシー
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あるじ(1925年製作の映画)

4.5

ドライヤーは本作で視線劇を確立したと思う。妻イダ(アストリード・ホルム)を虐待する夫ヴィクトル(ヨハネス・マイヤー)を回心させようと乳母マッス(マチルデ・ニールセン)が画策する物語である。マッスのクロ>>続きを読む

ミカエル(1924年製作の映画)

4.5

死とエロスが充満するドライヤーの官能的なサイレント映画。ドライヤーは「女性」が一筋縄ではいかない。自らの出自から強烈なマザコンであると推察されるドライヤーは女性に魔性や母性や逞しさやエロスなどを複雑に>>続きを読む

第七天国(1927年製作の映画)

5.0

フランク・ボーゼージの手腕が光る傑作メロドラマである。「高さ」の映画だ。チコ(チャールズ・ファレル)は地下水道の掃除夫、上からゴミや排水が流し込まれる、まさにどん底の仕事だ。かたやダイアン(ジャネット>>続きを読む

太陽(2005年製作の映画)

4.2

ソクーロフが描いた昭和天皇。終戦から人間宣言までにスポットを当てている。
終戦決定の御前会議、カニの研究、マッカーサーとの面会、写真撮影、マッカーサーとの会食、人間宣言、皇后との再会が描かれる。時間経
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素晴しい哉人生(1924年製作の映画)

4.2

グリフィスがドイツで撮影した社会派メロドラマ。第一次世界大戦後のインフレに喘ぐベルリンを舞台にポーランド移民の教授一家の群像劇を描く。中心は孤児インガ(キャロル・デンプスター)と次男ポール(ニール・ハ>>続きを読む

東への道(1920年製作の映画)

5.0

グリフィスの偉大なるメロドラマ。メロドラマの全てが詰まっている。そしてリリアン・ギッシュの最高傑作である。
グリフィスはアップだ。ギッシュのアップが素晴らしい。ローウェル・シャーマンに捨てられる場面の
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愛の花(1920年製作の映画)

4.5

グリフィスは「活劇」が素晴らしい。「並行モンタージュ」と「危機一髪」を駆使するのがグリフィスのスタイルだ。ハリウッド映画の根幹である「活劇」「エンターテインメント」を確立したことがグリフィスの最大の功>>続きを読む

タルテュッフ(1925年製作の映画)

4.5

映画は創成期からいかに自由であったかを示すムルナウの恐るべきサイレント作品。
冒頭の打ち鳴らされる鐘、大胆なアングルショット、靴を大きく手前に配した地べたのローアングル、緊張感あるショットが続く。驚く
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スージーの真心(1919年製作の映画)

5.0

グリフィスは輝いている。映画の技法が生まれた瞬間の喜びに溢れている。本作は瑞々しい至福の作品である。
なんといってもアップが素晴らしい。リリアン・ギッシュがロバート・ハロンとクラリン・シーモアの関係を
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インゲボルグ・ホルム(1913年製作の映画)

4.2

スウェーデンの大監督シェストレムの初期サイレント映画。画面は固定ルーズショットのみで抜きは手紙と写真だけだ。人物のアップはない。そのぶん人の出入りや動きがリズミカルである。ラスト、息子のエリック(アー>>続きを読む

アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生(1955年製作の映画)

4.5

ブニュエルのメキシコ時代の異色作。幼い頃に女性家庭教師が目の前で革命の流れ弾に当たって死んだ体験が、偶然「死ね」と念じた瞬間だったために、少年に流血と露わになった女性の太腿が「血と性」として刻印される>>続きを読む

秋津温泉(1962年製作の映画)

4.5

吉田喜重の処女作。企画は岡田茉莉子。原作・藤原審爾。岡田茉莉子が素晴らしい。
常に走ってる。吉田喜重の岡田の撮り方も美しい。うなじが強調される。メロドラマである。「水」と「鏡」という吉田喜重の主題が顕
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殺しの烙印(1967年製作の映画)

5.0

鈴木清順と仲間達が狂い咲きした奇跡の傑作。「高さ」と「距離」の映画だ。
タイトルバックは飛行機の着陸。大和屋竺が歌う「殺し屋のブルース」が流れる。宍戸錠は殺し屋ナンバー3、本作はそもそもが殺し屋ランキ
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銀河(1969年製作の映画)

4.5

ブニュエルの自由奔放な巡礼の旅。かなりいかがわしい2人、ピエール(ポール・ブランクール)とジャン(ローラン・テルズィエフ)が出会う様々な人々や奇跡が描かれる。神はいるのか?三位一体の問答、天使、決闘、>>続きを読む

嵐の孤児(1921年製作の映画)

5.0

フランス革命を背景に孤児姉妹の運命を壮大に描くグリフィスの超大作。
リリアン・ギッシュとドロシー・ギッシュが同じ衣装でまるで双子、ドッペルゲンガーである。
グリフィスは「高低差」を巧みに使う。盲目のド
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マンクスマン(1929年製作の映画)

5.0

ヒッチコック最後のサイレント映画。BIP(British International Pictures)制作。
親友2人が恋人を取り合うメロドラマをサスペンスフルに描く。イギリスのマン島が舞台で、前半
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復活(1915年製作の映画)

4.5

ラオール・ウォルシュの初長編監督作品。サイレント映画。冒頭、カーテンが大きくたなびく窓辺に呆然としているオーウェン少年、少年が窓下を見下ろす、母の棺を納めた霊柩車が出発する。緊張感溢れる一連のショット>>続きを読む

男女の戦(1928年製作の映画)

4.5

グリフィスの艶笑譚。参りました。不倫が起こす家族の騒動を横綱相撲で描いている。「足」が強調される。トップカットから美容院のマリー(フィリス・ヘイヴァー)の足だ。ネズミがマリーの足を登って大騒ぎになるの>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.0

高齢の車上生活者たちを描きながら現代アメリカ社会の孤独と矛盾を浮かび上がらせる野心作。監督はクロエ・ジャオ。プロデューサー兼主演はフランシス・マクドーマンド。本作はオスカーの作品賞、監督賞、主演女優賞>>続きを読む

キャット・ピープルの呪い(1944年製作の映画)

4.0

ロバート・ワイズの監督デビュー作。制作のヴァル・リュートンが監督のガンザー・V・フリッチを変えて「市民ケーン」の編集のワイズを抜擢した。「キャットピープル」の続編でオリバー(ケント・スミス)とアリス(>>続きを読む

キャット・ピープル(1942年製作の映画)

5.0

ジャック・ターナーの才気溢れる傑作。制作はヴァル・リュートン。RKOの大ヒット作品となった。白黒スタンダード。
雨、雪、火、そしてプールの波紋。ターナーは官能的である。ノワール調の影。ターナーは夜の窓
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

5.0

グロリア・スワンソンが圧巻のビリー・ワイルダーのフィルム・ノワール。大邸宅とパラマウント撮影所を舞台に虚実一体となって物語が進行する。ノーマを演じるスワンソン自身がサイレント映画の大女優だし、実際にス>>続きを読む

ピンクのカーテン(1982年製作の映画)

4.0

美保純のために作られた映画である。最初から最後までアイドル映画のようにあざとく美保純の即物的なアップを見せつけていく。「階段」が印象的だ。冒頭から階段を美保純が降りてくる。兄・阿部雅彦のアパートは外階>>続きを読む

猫とカナリヤ(1927年製作の映画)

4.2

パウル・レニが渡米して撮った第1作。サイレント映画。ユニバーサル。タイトルは遺産に群がる親族をカナリアを狙う猫に例えている。
トップカット、手が画面の埃を払うとタイトルバックが出てくる。本作は「手」の
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ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

5.0

ジャームッシュの「羅生門」である。メンフィスの一夜を3つのストーリーで反復する。同時刻がそれぞれのエピソードで繰り返されて多面的に状況が明らかになっていく。ちなみに黒澤明の「羅生門」は「ゴーストドッグ>>続きを読む

ロストロストロスト/何もかも失われて(1976年製作の映画)

5.0

メカスは美しい。「ショットの強度」と
「グルーヴ感」この二つが天才的だ。一つ一つのショットが力強い。コマ撮りやピンボケ、手振れなどをエモーショナルにつないで独特のグルーヴ感を醸し出す。本作でメカスは自
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フランケンシュタインの花嫁(1935年製作の映画)

5.0

主役ボリス・カーロフ、監督ジェームズ・ホエールによるユニバーサル怪奇映画の大ヒット作の第二弾。白黒スタンダード。
冒頭、嵐の夜、メアリー・シェリー(エルザ・ランチェスター)自ら続編を語り出す。ちなみに
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ミイラ再生(1932年製作の映画)

4.2

ボリス・カーロフが怪物を演じた3作目でカール・フロイントの初監督にあたるユニバーサル怪奇映画。白黒スタンダード。制作時の10年前にツタンカーメン王墓の発掘という世紀の大発見があり、エジプト王朝の太陽神>>続きを読む

恐怖の精神病院(1946年製作の映画)

4.0

ヴァル・リュートンが制作した最後のRKOホラー映画。ボリス・カーロフ主役、マーク・ロブソン監督、白黒スタンダード。
前半はシムズ院長(ボリス・カーロフ)のラインで進み、後半はシムズ院長の画策で入院させ
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フランケンシュタイン(1931年製作の映画)

4.5

「魔神ドラキュラ」に続いて作られたユニバーサル怪奇映画の大ヒット作。ジェイムズ・ホエール監督、モンスター役に抜擢されたボリス・カーロフの出世作となる。オープニングタイトルではモンスター役は?エンドタイ>>続きを読む

密航0ライン(1960年製作の映画)

4.5

清順は拳銃が出てくると活きいきする。本作は密航船内の狭い廊下、階段で、「高低差」を活かした清順らしいアクションが繰り広げられる。石炭倉庫への小高雄二の落下、長門裕之との再会、コークスに火を付けての脱出>>続きを読む

豚と軍艦(1961年製作の映画)

5.0

米軍基地街に群がる欲望を徹底的に煮詰まらせて戦後日本の縮図を浮かびあがらせた今村昌平の傑作。今平は力強い。大島渚や今村昌平のような力強さが今の日本映画に一番求められていると思う。
シネスコの横いっぱい
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悪魔の往く町(1947年製作の映画)

4.5

エドマンド・グールディング監督のフィルム・ノワール。20世紀フックス 白黒スタンダード。スタントン(タイロン・パワー)がサーカスを舞台に成り上がっていく物語で、読心術を装ったペテンで絶頂から破滅するま>>続きを読む