Wakanaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

Wakana

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戦争と女の顔(2019年製作の映画)

3.5

戦争がどのように女を分断するかというはなし。あと女が期待されている役割をどうこなすかについて。
まったく異なる二人の女性、イーヤ(突然身動きがとれなくなる発作に悩む)とマーシャ(男性の期待に沿って振る
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恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

3.5

繰り返し見たいいくつかのシーンといくつかのやりとりはある——「この世で期限のないものはないのか」とか「制服が似合う」「私服も素敵」とか。
この映画の男女(というか男)が限りなくイノセントで深掘りされな
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

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彼の寄るべなさが生きづらさに結びついていく映像について、知識なく挑んでさっぱり太刀打ちできなかった。観客に知性を要求する映画。
無知なわたしはとりあえず、子どもを心配したママが——たとえどんなに見当違
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夏物語(1996年製作の映画)

4.5

近所の女の子との日課の散歩、ペラペラ話しながらたまにハグとかキスして、海も山も行ったり来たりしてて最高だったけど、これはまだ連日猛暑日を記録しないころの夏の話……。
でも真夏にもう一回見たい。

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.8

普通にいい成長物語だが、インタビューでの数々の子どもの語りがキモになってこの映画を一段階上の素敵さに押し上げている。
子どもの無垢な語りが傷ついた大人の痛みを癒やしていくというといかにもありがちという
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ドーナツキング(2020年製作の映画)

3.0

これはドーナツ店の記録というより人の欲望の記録だ、もっと欲しい、もっと欲しいと思うだけで何が欲しいのか思考放棄した人の行くすえ。

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.8

蓄積された記憶、というかアイデンティティを失くした人間がどのようにそれを探し出す話かと思いきや、その記憶がもたらす傷の深さゆえに自らそれを切り離した男の話だった。でも自分からは逃れられない。
記憶を失
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淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

4.0

酒もタバコも夜遊びもこなすせっちゃんの新しい女ぶりから触発されたドクトルの行く末が奥さんへの矯正ビンタ。ここでのせっちゃんの先進的な女性像はあくまでも男性の真似をした女性に過ぎず、女の分断を進めただけ>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.8

濱口竜介の映画を見ていると、人間関係がどのようにできあがっていくかがわかる気がする——私の隣に立つ人は〈あなた〉じゃなくてもいい時期があったしいずれまたその時期が来るが、とにかく今は〈あなた〉じゃない>>続きを読む

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

4.0

親を亡くして孤独がもたらす恐ろしい側面を身をもって体感しているからこそ、進学や恋愛で叔父さんと自分が抱えるだろう孤独を想像しては耐えきれないと苦しむ姿をとても静かに美しく表現している。でも恐ろしいと目>>続きを読む

セールスマン(1969年製作の映画)

4.0

とても面白かったがしんどい、資本主義経済と良心の呵責の問題だった。
歴史的にプロテスタントがメインストリームのアメリカで、貧困層のカトリック教徒向けに高額聖書を売るというところがキモ。聖書はある側面で
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ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

4.5

多様性と民主主義がどんなふうにできあがっていくのかについて。あるいは対話を諦めないこと、受け入れられないと思っても相手の言葉を最後まで聞くこと、そしてまた自らも発信するということについて。
それらのこ
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ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

3.5

ゴースト・ドッグが「チョコ味がいちばんだ」って言ってアイスクリーム頬張るシーン、なんでか『がまくんとかえるくん』のアイスクリームおばけの回を思い出した。
お話は普通、ジャームッシュもこんな暴力的な映画
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レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

3.8

地方出と都会っ子の女の子たちがムッシュにムカついたりお金に困ったり、恋愛のくよくよさがないロメール、新鮮だったしおもしろかったがやっぱり彼が気になるとか好きになっちゃったかもみたいな話があったほうが好>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライブ「十二夜」(2017年製作の映画)

4.0

現代アレンジ版『十二夜』とは聞いていたものの、マルヴォーリオ女性!!!
学部生のころ、シェイクスピア作品の〈階級を上がろうとする者に対する仕打ち〉について習ったが、この版はその辺はあまり感じられず、結
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ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016年製作の映画)

4.0

三編目の牧場の女と教職の女の話が飛び抜けて気に入った。この話に星4つ。
『オールド・ジョイ』なんかもそうだけど、この監督は人間は他者と人生の断片を共有できるはずだという喜びと、かと言ってその二人が人生
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

昔行ったという温泉を探しながら、過去に喜びを共有した男たちが現在を共有しきれない話。
「悲しみはすりきれた喜び(“Sorrow is nothing but worn out joy”)」という台詞と
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

最高だった死んだ

(9/11追記)
三週間後くらいに二回目を見た。初回はなんにも言葉が出てこなかった(が、見たことはすぐにでも共有したかった)けど、その後原作をさらって、『ワーニャ伯父さん』まで読ん
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田舎司祭の日記 4Kデジタル・リマスター版(1951年製作の映画)

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「ヨブ記」を読んでいると、たしかにそこには善悪問わず「すべては神の思し召し」のような発想があり、〈個人〉は神の大きな流れのなかの一要素であることが重視されているようだ。ここでもそうで、良心の呵責に苦し>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

序盤の不思議なワークショップ、居心地悪すぎてなんだこれと思いながら見ていたが、後半になるにつれ、あのワークショップがないとこの映画は全然違うものになってたなと気がつく。
この監督の作品をいくつか見て、
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さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)

3.4

なんだか不勉強でいまいちぴんとこなかったんだが、一番悲しかったのは、未成年に酒を売らないまっとうな酒屋のおっちゃんには銃を向けられるくせに、理不尽な上司には彼の些細なミスを仲間内で愚痴るだけで済ませて>>続きを読む

イージー★ライダー(1969年製作の映画)

3.5

ドラッグとコミューン、フリー・セックス、あとリンチ。
唐突ともとれるびっくりするような展開は、現実の暴力は突然で理不尽であるということを思い出させてくれた。小田急線の事件とか……。

アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン(2018年製作の映画)

4.0

ゴスペルやソウルがこんなにも人の心を揺さぶるのは、このジャンルのバックグラウンドにひそむ途方もない悲しみが、観客がもつそれぞれの悲しみと共鳴し癒やしてくれるからだと思った。映画館の音響で味わうから余計>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.2

大人になると責任とかプライドとか税金とかそういったものを背負って重たいなあ、子どもはいいなあとか思いがちだけど、やっぱり子どもの世界にも大人による理不尽とか暴力があったことを思い出させてくれるキアロス>>続きを読む

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

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この手のSFを受け入れるセンスがわたしにはまるっと欠如してる、悲しいことに、と言いたいけど別段悲しくはない。
有名なでこすけ野郎は思いのほか終盤に聞けるということを知った、あとは暴力がすぎてまいった。
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