Wakanaさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

Wakana

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わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

3.8

制度に取りこぼされる人たちの話。
いまはセーフティネットさえも0と1でできていて、なんとか紙に「たすけて」と綴ってもそれが響くのは午前九時の教会のなかでだけ。
いちばんやるせないのは、その絶望のなかに
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NTLive『フリーバッグ』(2019年製作の映画)

4.5

多弁な〈わたし〉がユーモアと下ネタのなかに忍ばせる必死のSOS。

本当は「さみしいからハグをして」とか「心細いからキスをして」とか言えればいいんだろうけど、肝心なことが言えない。

架空OL日記(2020年製作の映画)

3.8

「サエちゃん、いまうちらに必要なのは真実じゃなくて矛先だから」

野性の呼び声(2020年製作の映画)

-

ディズニー制作とはつゆ知らず、お上品でぬくい空気にびっくり。もっと野性味あふれる極寒の大地との闘いを期待していたのだけど……まあ今年暖冬だしな……。ロンドンの「火を熾す」がとんでもなくすきだから、サー>>続きを読む

ネコのミヌース(2001年製作の映画)

2.2

今日ラジオで明日のねこの日に向けてねこ特集を組んでいて、それからなんとなくねこがみたい。
CG(だよね?)がけっこうよくできていて、口パク演技するねこの口もとがふくふくしててかわいい。岩合的ねこドラマ
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ブエノスアイレス恋愛事情(2011年製作の映画)

3.4

なるほどたしかに「停電の夜に」的なボーイ・ミーツ・ガール(あれはお別れの話だけど)。
チャットのやりとりが最高だった。

ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語(2018年製作の映画)

4.2

『マリッジ・ストーリー』を見たときに、言葉が通じ合うことの重要性を再確認したつもりだったけれど、ここでは逆にノンバーバル・コミュニケーションについて考える。『ツバル』を先に見たほうがよかったかな。
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ハナレイ・ベイ(2018年製作の映画)

3.0

「ハナレイ・ベイ」は村上春樹の短編小説で「独立器官」と同じくらいすきだから、ストーリーに助けられてまあいい時間だったけど、野暮な演出がいくつかあったような気はする。映画でなくてもいい。
でもいい感じに
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

3.6

かつて疑いようがないほど心が通じ合っていた人と心を通わせられなくなったときについて(そして悲しいかなそれは間違いなく誰もが経験すること)。
例えば、離婚調停代理人が裁判のために作った物語があまりにも(
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

3.0

楽しみにしていた割にぼんやり見てしまってあれ〜と思っていたら「過激なおじいちゃんに過剰に反応しすぎ」って言われて笑っちゃった。

オーシャンズ12(2004年製作の映画)

2.0

お気に入りのテレビ番組(『小さな村の物語 イタリア』)の主題歌が流れたからオープニングは気分がよかった。

去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

-

高校生のとき『藪の中』の犯人探しで友達と意見が割れて、現代文の先生に助けを求めたら「犯人を特定するのが目的の話じゃないのよ」と返されてショックだった。
これも同じで、ああでもない、こうでもないって一緒
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チャーリーズ・エンジェル(2000年製作の映画)

3.0

女の子(と呼びたい)三人がボスに“Good morning, Charlie”とか“Thank you, Charlie”って言うんだけど、その言い方がとても「女の子的」でなんか気に入った。

深夜食堂(2015年製作の映画)

3.0

ドラマ版のエピソードのほうが好みな気がするけど、やっぱりいい。

普通の人が普通の生活のなかでちょっと普通じゃない出来事に直面したときは、誰かに話してその怒りや悲しみを共有してもらうこと。少しだけ息が
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巴里のアメリカ人(1951年製作の映画)

3.4

ちょっと忘れがたい言葉だったのに、引用集にはリストアップされていなくてあれ?という感じ。

“There is only one problem between a man and a woman.
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エセルとアーネスト ふたりの物語(2016年製作の映画)

3.2

『スノーマン』の作者による彼の両親の話。RPとかコックニーとかの知識があればより楽しめたかも。
彼らはたぶん本当に貧しい労働者階級で、あらゆるものを蝕む貧困を前によくこんなに心豊かで丁寧な生活を送れる
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30年後の同窓会(2017年製作の映画)

3.5

あのときなんでああ言わなかったんだろう、こうできなかったんだろうーーそういう過去を抱えて生きている人たちの話。
普段は普通を装っているし十分成功しているのだけど、ふとした弾みでその後悔の発作に襲われて
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ドリーミング村上春樹(2017年製作の映画)

3.4

いつだったか、村上春樹が奥さんと一緒になれたのは彼が書くラブレターが一番素敵だったからというようなことを言っていた。
誰かの「文章」(“sentence”ではなく“text”)に引きつけられることって
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サウナのあるところ(2010年製作の映画)

3.5

毎年国際連合が発表する世界幸福度指数、2019年の第1位はフィンランド(https://www.google.com/amp/s/www.cnn.com/travel/amp/worlds-happi>>続きを読む

こねこ(1996年製作の映画)

4.0

ねこ……とってもかわいくて死んじゃう。
岩合光昭が撮るねこたちを見るときと同じくらい耐えられない気持ちになった、もう食べちゃいたいくらい。
とら猫のチグラーシャに超癒される。やっぱりロシアだけあって寒
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存在のない子供たち(2018年製作の映画)

3.5

この映画に出てくる人たちは、こんなに大きな喪失と悲しみを味わっていながらなぜまだ立っていられるのかしら、と劇中ずっと疑問に思っていた。(それが真実かは別にしても)自分が愛されている、求められていると思>>続きを読む

アイ・オリジンズ(2014年製作の映画)

3.2

生体認証にも使える虹彩の唯一性はどこからくるのか?
科学的な問いに反して意外にもスピリチュアルな雰囲気をまとうから、想像した物語と違って首を傾げるけれど「目は口ほどに物を言う」ということわざを“Eye
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キングス・オブ・サマー(2013年製作の映画)

3.0

今年はどうしてこんなに梅雨が長いのか?
最近はほぼ毎週末コインランドリーに行っては暇つぶしに置いてあるジャンプをぼんやり眺めている気がする。
今週は特に乾燥器が混んでいたのだけど、そのうちのひとつにコ
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アラジン(2019年製作の映画)

2.7

楽しかったけど、ポリコレ意識しすぎて逆にフェミにおもねっちゃった感がすごい。
とくに「スピーチレス」のシーン。
そうやって入れればいいんでしょ、みたいなやり方はきらい。

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(2016年製作の映画)

4.2

活字離れが叫ばれる現代において、また、リアルな本の〈ページをめくる〉フィジカルな動作が必ずしも読書行為と結びつかなくなった現代においては、いったいどうやって図書館の存在意義を見いだせばいいのか?
電子
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英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/2019「ドン・キホーテ」(2019年製作の映画)

3.7

数年まえ、ローザンヌ国際バレエコンクールの再放送を見た夜があった。課題曲のひとつが第三幕の「キトリのヴァリエーション」で、ティーン(未来の高田茜さんたち)の踊るいくつものキトリになんだか目が離せなくな>>続きを読む

サッドティー(2013年製作の映画)

3.5

誰かを「ちゃんと好き」になるとは?
そういうのって本当は雰囲気とか視線とか仕草とか、わたしとあなたの真ん中においてのみ初めてアクチュアルになるような気がするけど、だからといって言葉にして伝えてくれない
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14の夜(2016年製作の映画)

3.8

男の子だって男の子の世界で生きるのたいへんだよね。
少し前、男性の連帯について男性陣から身長と毛髪の苦しみが男同士の共感と連帯を生み出すヒントかもと教えてもらったんだけど、なんかこれを見ていたら、そん
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桜桃の味(1997年製作の映画)

3.9

死にたいけど死ねないおじさんが、自殺ほう助を頼めるパートナーを探すはなし。
心が強張ってしんどいときに、ひょんなところで人に優しくされたり、心配してもらったり、誰かに何かの愛を分けてもらえることがあっ
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ナショナル・シアター・ライヴ 2015「ザ・オーディエンス」(2014年製作の映画)

4.5

イギリス連邦の女王と、一人のエリザベスについて考える。たぶん象徴としての皇室を知る日本人には想像しやすい、彼女の孤独と苦しみ。議会の決定に心を引き裂かれた苦しみとか、首相の凋落に友人として感じる寂しさ>>続きを読む

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

3.2

どきどきしたという点ではサスペンスの面白みは享受した。
でもふつうに怖くて細目で見てた。

ガザの美容室(2015年製作の映画)

3.9

ちょっと前に起きた、ロフトの広告炎上事件を思い出した。仲良しの女の子も裏では……ってやつ。
いろんなフェーズの女性たちが一堂に会する美容院。退屈してる娘、どきどきの新婦、流産の経験がある臨月の妊婦、欲
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クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)

3.0

家族の時間に餃子を包む儀式がチョイスされていて、お腹に、じゃなかった骨身に沁みた。何かでヨーロッパの家庭の味として紹介されたポルチーニ茸のチーズリゾットを見たときだって、お腹には響いたけど心には響かな>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

3.8

〈わたしがあなたに見せたいわたし〉と〈あなたの見ているわたし〉のどうしようもない齟齬と悲しい乖離。
しかも、〈あなた〉以外の誰かなら〈わたし〉の心の柔らかいところまで実に愛してくれるんだけど、〈わたし
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ナショナル・シアター・ライヴ 2019 ヴァージニア・ウルフなんかこわくない(2017年製作の映画)

4.5

万年准教授でうだつの上がらない歴史学者と更年期を迎えたらしい学長の娘の中年夫婦が、新しく大学に赴任した生物学教授のエリートマンとおつむは弱いけど美人な彼の妻を家に呼んで、浴びるほど酒を飲んで喧嘩する話>>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.9

人は他者との関わりによって深く傷つくのだけど、その痛みは他者との関わりにおいてでしか癒やせない……泣いた。いつかぺぺたちのような子どもが成長して、自分を愛しまた自分も愛した人との〈差異〉に気付いても、>>続きを読む