「へへへ。というお粗末さ」。寅次郎という人間の定めの哀しさが滲み出ている一言であった。ラストが素晴らしい。あき竹城が画面に出るだけで明るくなる。風にはためく大小の洗濯物が幸せの一つの形を象徴していて、>>続きを読む
もう普通の恋愛は…と思ってみていると、都はるみの映画で、これまでと趣が違う。とらやでのリサイタルから、さくらの家に突然現れ、別れを告げる一連の場面がすごくいい。画がキマっている。
旅先で出会った若者二人の恋心を寅さんが取り持ち、無事結ばれる─。そんな話であれば安心して見ていられるし、寅さんもそんな年になったよねと言えるのだけれど、そう簡単にはいかない。「やっぱり二枚目はいいね。>>続きを読む
情念が静かにぶつかり合う一夜。この時にしか責任を持てない、旅に生きる寅さんは逃げ出してしまう。そのことを忘れたかのように、再会に舞い上がる寅さんの姿は、この生き方を定められた者の哀しさが滲み出ていて見>>続きを読む
「適当に相づちを打った」と話す寅さんの真剣な眼差し。不採用通知を破いて土間に投げつけるおいちゃんの姿が切ない
前作でフーテンとして生きていくことを改めて心に決めた寅さんは、多くのヒロインとそうであったように、人生の先達として一人の女性を導き、人生を共に生きる人間として導かれる。映画序盤、国勢調査に答えることを>>続きを読む
いつも見送られる寅さんが、さくらと一緒にリリーを見送り、扉越しに「幸せになれよ」と声を掛ける切なさよ。それでも、旅先で再び出会えば、いつものように互いに笑顔を浮かべ、2人の幸せの形はこうであるのだと納>>続きを読む
現実にはあり得ない「カラオケ行こ」だが、どの登場人物も実在感がある。綾野剛の背中から始まる映画がつまらないわけもなく、すべての出来事が
あの「紅」に収斂する物語に涙する
時代的にはそうなのかもしれないが、人種差別が酷い。ただ、終盤の告白からの流れは好き。ラストのテキ屋仲間とのやり取り、寅さんの表情が抜群にいい。
「ふられた後で気づくんじゃないのか、やっぱり恋していたんだと」。博の名言の意味を考える。支笏湖は美しい
終盤の寅さん的展開がたまらなくいい。博の父が息子の家にやってきた時のなんとも言えない団欒の様子と、ホームで見送るさくらとのやり取り。マドンナを後押ししてしまう寅さんの姿が染みる。
「アイ ラブ ユー できるか青年」と問いかける寅さん自身の恋心の本質を問いかけるシリーズ20作目。性愛に囚われない深い優しさを持つ寅さんだが、当の本人が過剰なまでの心配りを優しさだけに還元してしまうの>>続きを読む
アラカンとの共演を楽しむ回。とらやでの「犬のトラ」を巡る騒動は、畳み掛けるような笑いがもはや名人芸、熟練コント集団のよう。涙の再会とそれを見つめるとらやの面々を捉えた画が忘れがたい。
団欒の場面が印象的。楽しいがゆえに哀しいが、それでもやっぱり、この空間は幸せだなと、一生バカ話が続けばいいし、続くんじゃないかと思わせてくれる。そしてこれが、さくらとの別れの場面に繋がり、寅さんの言葉>>続きを読む
戦後変わりゆく価値観の背中を押す、爽やかな物語。裸レビューいいじゃないかと言い放つ先生と、手をいっぱいに広げて好きさ加減を表し頬を赤らめる若い二人。成瀬が描くとねっとりしない、絶妙な距離感がいい。
人の気持が人を動かすという当たり前の事に説得力を持たせる物語の力強さ。もう仕方がないと諦める面々を前に「裁判所が向こうの肩を持つなら、俺が代わりにやっつけてやる」と、相手の居場所も聞かずに出ていく寅さ>>続きを読む