まちがった道徳と自分に与えられた役割を守る人間に不満が溜まっていくことでいつかその間違った道徳の殻が壊れるという 耐えの姿勢を見せる道子の信念と決意、古風な考え方であるけれどその自己犠牲がうつくしくて>>続きを読む
亡き夫の残したビデオを見て性を探究するようになる未亡人。気になることは全部知りたいの!そんな顔して指南書の頁をめくるミミの柔軟的な考え方と行動力はまるで10代の少女のような軽やかさ。サディズム的なビデ>>続きを読む
フィーリング・ラヴ…。東京の女に潜む影、視覚的な情報にかき消されて見えなくなってしまいがちなもっと奥の方を見る能力が長けているのは盲目の按摩であった。ふたりがすれ違う場面、感覚を研ぎ澄ます按摩の鋭さに>>続きを読む
決してうまくいくことばかりではなくて、でも不幸せかと言われるとそうでもなくて、そんな普遍的な日々を送る 女給であり母親である一人の女を田中絹子が好演。働いている間、子供の面倒を見ている間、気になるひと>>続きを読む
今までに観た 好きな漫画の映画化作品の中で1番と言っていい程に満足している!浅野いにおの創る物語を読んだり観たりすると、ある筈のない記憶が急に呼び覚まされるような感覚を覚える。それが堪らなく好き。きっ>>続きを読む
大映初のカラー映画。日本独特の色彩感覚にうっとり。何処で止めても美しく華やかな極彩色。くっきりとした質感の中、それでも京マチ子演じる袈裟の儚さや健気さは淡く柔く存在していた。映像とは裏腹に物語は陰湿で>>続きを読む
日本の文学って、もう随分と前から確立されて居たのだなと思う。物語としてしっかり完成されているので良い意味で古さを感じさせない展開をしている。何となくのあらすじは理解しているつもりで見たけど、伊右衛門の>>続きを読む
ジャンヌ・ダルクの尋問調書をベースにした無声映画。この97分間の中で描かれるのは、英雄としてもてはやされた凛々しく勇敢な戦士ではなく、信仰深い19歳の少女が大人たちの口車に乗せられ死へと近づいてゆくす>>続きを読む
文字通り骨までしゃぶるように遊女を扱き使う遊郭の中で簡単に腐ってやらずに いつだって自分の幸せのために貪欲でいる、そんなお絹の姿に 人間が生きる上で大切なことを学べたような気がする。天真爛漫で生命力の>>続きを読む
《女》を撮ることに定評のある溝口健二。今までの作品よりも多くの女の生き様にフォーカスした本作は彼の遺作として相応しいものだと思った。普段の作品では長回しを多用するが、赤線地帯では動きのあるカメラワーク>>続きを読む
今作は撮影技術が素晴らしい。白黒のフィルムは人間よりも自然の方が映えると思っている。今作に出てくる竹やぶや草木、淀川、決して廃れないうつくしさ。膨大な自然と音楽だけで不穏な空気を作り出す。そして 若尾>>続きを読む
戦時下、血にまみれたひとりの看護師。西のやさしさは甘い夢を見せる。極限状態のなか、死と対峙する男の天使となって⋯。 負傷兵・軍医という 毎日死を身近に感じている男たちの、死と隣り合わせだからこそ沸き上>>続きを読む
誰が遺産を多く勝ち取るのか分からず、最後のどんでん返しには驚かされる。相続争い系の作品の名物である周りに群がる汚い大人たちの存在が圧巻だったし、最後の三姉妹を見るに遺産相続争いがこれからの自身の生き方>>続きを読む
目まぐるしく過ぎていく日々の中、善人と悪人がハッキリとしていて、尚且つ人生において必要なものが愛と青空だって明確に表されているからテンポが早くても観易く、話もストンと入ってくる良作⋯。 有子の全てが>>続きを読む
舞妓さんを描いた作品ということで、今までに観た溝口映画の中で一番、たくさんの着物姿の女性を拝むことが出来た。舞妓さんがお囃子の音に合わせて 蝶のようにひらりひらり舞う、何と綺麗なこと。溝口健二の撮る定>>続きを読む
鑑賞前、演技未経験の三島にヤクザ映画をやらせるのならば 肉体で魅せたり寡黙な強キャラ感を出す方向性で持っていくのかと予想していたら、かなり人間味を出すキャラクター作りをしていたので驚いた。やっぱり演技>>続きを読む
遊ぶことを知らなかった若者たちの逃避行劇に遊びというタイトルを付ける秀逸さ⋯。 大人に人生を狂わされたふたりが刹那的な自由を無鉄砲に手に入れた初夜とその翌日は阿呆らしくもあるが切なくもあり、何とも言>>続きを読む
“アンドレイ・タルコフスキー”だからこそ撮れた作品なのだと思う。郷愁や死生観、人情深さ、平和への祈り。登場人物が置かれている状況は全く違うが 同監督の作品、サクリファイスとも似通う部分があった。自分の>>続きを読む
命も、こころも持っていない筈の人型ロボットから 生と死、家族の喪失、そして家族そのもの、愛までもを今一度考えさせられるという不思議な体験をした。壊れたロボット、ヤンが残した数秒間のメモリを辿ってゆくだ>>続きを読む
日本三大怪談のうちのひとつである牡丹燈籠。多少の改変はあったが、登場人物の解像度は凄く高かった。浮世とあの世の住人の逢瀬、雨月物語を思い起こさせる。あるお盆のこと。初めは謙虚なお霧も 愛するひととの時>>続きを読む
ただの妖怪物語では無く、人間ドラマにかなりの重きを置いている。ホラー色は薄いけれど、多種多様な人間と妖怪が出てきて楽しい。悪いやつがしっかりと成敗されるカタルシス!妖怪よりも善の心の無い人間の方が怖い>>続きを読む
妖である以前にただの女として、妻として、母親として描く雪女物語。人間界に潜む雪女が人との関わりを通して人情のあたたかさと慈悲を知るという文芸チックな側面を持ちつつも、人の死ぬ時にはしっかりとおどろおど>>続きを読む
17歳の時に貧しい家のために嫁に出されたお兼は 結婚相手が死んだ後も、自身の美貌により周りからはあることないことを言われる始末。父親も死に、母親も死に、陰湿な土地で村八分にされた彼女に手を差し伸べたの>>続きを読む
原爆がつくられて、落とされて、それで終わりでは無いということを強く思い知ることが出来る作品。ピカッ、ドン。その一瞬でたくさんの人間の一生を狂わせた。苦痛に悶える人々の姿はリアルでいて、直視するのが苦し>>続きを読む
主人公含む女囚たちが虐げられる姿、数十分おきに映し出される裸体、絶対に今だったらコンプライアンスに引っ掛かる演出ばかりで観ていてワクワクする。抑圧からの復讐という王道な展開ではあるがそれ故に充分なカタ>>続きを読む
探偵モノでサスペンス的側面を持つストーリーと幻想的でアーティスティックな要素を持つ映像、あまり類を見ない組み合わせだが上手く融合していて、新鮮な魅力を持つ世界を創り出していた。“人生如夢”というわたし>>続きを読む
家族と言えど、母親と言えど、兄弟と言えど、自分とは別の人間、《赤の他人》であるということを前面に出した映画。母親の面倒を兄弟で押し付けるシーンなど、場面によっては冷たさを感じる部分はある。でも、ただ弱>>続きを読む
“革命”に傾倒する若者たち、否、彼らが魅了されていたのは“革命を起こすという行為”、ただそれだけだったのかもしれない。テロもセックスもすべて彼らの日常でありそれはささやかな爆発だ、自分の思うがままに生>>続きを読む
とってもかわいらしい短編作品だった꒰ᐡ´т ‧̫ т ̀ ᐡ꒱ くすりと笑えてときめいて、人間っていいな、恋っていいな⋯となる。好きなひとのことを考えてる時に身の回りのこと何もかも失敗しがちですべてが>>続きを読む
2024年映画初めは舟橋聖一の小説を溝口健二が映像化した本作。自分の人生の舵を取る、つまり自分の意思で生きてゆく力の無い華族出身の雪夫人、放蕩三昧の直之、雪夫人を愛しているのにも構わずどちらつかずの態>>続きを読む
2023年の映画納めは本作になりました。今の自分の状況と重ねてしまい、たくさん泣いてしまった。絶対に今観るべき映画じゃなかった、でも間違い無く名作。こういう男が愛しているのは女でなく自分自身で、そんな>>続きを読む
その少年は 天使だったのか、悪魔だったのか。彼は、あの家族に何を残して何を奪って去っていったのか。明言はされないまま物語は進みそして終わっていった。裕福なあの家族は破滅へと向かうように見えたが、自由を>>続きを読む
女は愛のためにはなんだってする、それを馬鹿だとか基地外だとか言うのはいつも男だ。という台詞がガツンとくる。一本のザイルと女の愛のかたちについて。あまりにも無鉄砲でそれで居て繊細で艶めかしい、そんな人妻>>続きを読む
クラスメイトの相次ぐ爆発、死が身近になる中 当たり前に1日を過ごすことの大切さを知る。映画ネタが時々出てくるところがクスリと笑えるが、何の変哲も無い高校3年生の少年少女たちが次々と死んでゆくという不条>>続きを読む
国を問わず、現実世界で蔓延っていそうな話を題材にしている。格差社会における、“愛より大切なもの”。結果 殆ど全てがお金で解決しているから、確かにそうなのかもしれないけれど。主要登場人物みんな、すこしず>>続きを読む
やはり悲恋物といえば溝口。真新しさは無いものの、筋書きも映像も完璧に等しく素晴らしいものだった。定点カメラで すこし遠目から、登場人物たちの生活を覗き見る感覚、あくまでわたしたちは鑑賞者で、物語はわた>>続きを読む