キャッチ30さんの映画レビュー・感想・評価

キャッチ30

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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.4

 「オピオイド危機」とは、中毒性の高いオピオイド系の医療用鎮痛剤の過剰摂取問題のことだ。オピオイドは50万人の人々を死に至らしめたとしてアメリカでは社会問題と化している。そんな「オピオイド危機」に挑む>>続きを読む

フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

4.0

 主人公はビルという男(本名かどうか定かではない)だ。ビルは作家志望であり、創作のヒントを得る為に通りすがりの人々の後をつける行為を繰り返していた。だが、ビルは尾行していた相手の男に気付かれてしまう。>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

 J・ロバート・オッペンハイマーは「原爆の父」と呼ばれている。彼は第二次世界大戦下のアメリカで原子爆弾の開発を目的に発足した極秘プロジェクト「マンハッタン計画」に参加する。原爆の開発に成功し、戦争が終>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

 前作におけるハルコンネン家の陰謀により、アトレイデス家は全滅する。しかし、レト公爵の息子ポールとその母レディ・ジェシカは生き延び、砂漠の民フレメンの下に身を寄せていた。ポールは彼等から戦い方を学び、>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.4

 フランスの人里離れた雪山の山荘にベストセラー作家のサンドラと夫のサミュエル、視覚障害をもった息子のダニエル、愛犬のスヌープが暮らしていた。ある日、サミュエルが転落死体で発見される。検死の結果、死因は>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.8

 主人公であるボーはいつも不安を抱え、精神科医に通っている。彼は治安の悪い地域に1人で住んでいるらしいが、周囲にいる人々は現実なのか妄想なのか判断がつかない。ボーは父親の命日に帰郷することになっていた>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

 映画『別れのまなざし』の撮影中に主演俳優フリオが突然失踪する。警察は近くの崖に靴が揃えられていたことから自殺と断定するが、遺体は発見されない。それから22年、フリオの親友で元映画監督のミゲルは彼の失>>続きを読む

式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

3.5

 奇をてらった映画だと思った。プロットはシンプルなのに、語りは技巧を凝らしているように見えたからだ。

 舞台は山口県宇部市。ある男が帰郷すると若い女性が線路に横たわっている。彼女は「明日は、私の誕生
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新しき世界(2013年製作の映画)

4.1

 潜入捜査官が巨大な犯罪組織に潜入し、危険な任務を遂行する。映画ではよく使われる設定だ。『インファナル・アフェア』や『フェイク』がこれにあたる。『新しき世界』もこの系譜に連なる。

 ジャソンは韓国最
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

 時代は19世紀後半らしきイギリス。若い女性ベラは胎児を身籠った状態で橋の上から投身自殺を試みる。ゴッドこと外科医ゴドウィンによってベラは川から拾い上げられ蘇生される。それはベラの頭に彼女が宿していた>>続きを読む

東京暮色(1957年製作の映画)

3.9

 公開当時、今作は失敗作の烙印を押されていた。内容の暗さと後味の悪さに共同脚本の野田高梧は終始否定的だったという。従来の小津映画を期待していた人たちには受け入れられなかったのも当然か。

 銀行監査役
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彼方のうた(2023年製作の映画)

3.8

 余白が多い映画だ。余計な説明台詞や露骨な感情表現は勿論無い。ただ、この映画では登場人物たちの関係性さえはっきりしない。全て、観客の解釈に委ねられている映画だ。

 主人公は春という女性だ。書店員であ
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ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

3.8

 マーティン・スコセッシの『グッドフェローズ』や『カジノ』の変装曲と言える。マフィアの物語が経済界に置き換わった形だ。また、前2作よりもさらに過激だ。

 主人公はジョーダン・ベルフォートという実在の
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.8

 何気ない日常を丁寧に掬い取って見せる映画だ。この手法はジム・ジャームッシュ監督の『パターソン』を彷彿とさせる。

 主人公は渋谷で公衆トイレの清掃員として働く平山という男だ。平山はスカイツリーを望む
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.1

 旧式のラジオから流れてくるロシアによるウクライナ侵攻のニュース。分断と不寛容と戦争が横行する不条理な世界にアキ・カウリスマキ監督は微かな希望の光を灯す。

 物語はヘルシンキに住む中年男女のボーイ・
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市子(2023年製作の映画)

3.5

 題材は重いのに、着地点が見えないと思った。謎は明らかにされていくのに、カタルシスを感じられなかった。あまりにも救いが無く、絶望しかない。『市子』を観た私の感想だ。
 
 主人公の川辺市子は3年間同棲
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(2000年製作の映画)

3.8

 実録犯罪もので殺人を犯して逃げ続ける主人公という設定は今村昌平監督の『復讐するは我にあり』に近い。だが、今作は陰惨な方向には舵を切らない。これはヒロインを務めた藤山直美の功績が大きい。

 藤山直美
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最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.8

 過酷な状況下で生きてきた子供たちを映し出した映画は多い。『誰も知らない』や『存在のない子供たち』がその例だ。『最悪な子供たち』はさらに深刻だ。

 映画監督のガブリエルはフランス北部の治安が悪い地域
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