銀のしずくさんの映画レビュー・感想・評価

銀のしずく

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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

2.5

有名な作品だが、あまり面白くなかった。「ここが笑いどころなんだろうな」と思える場面はいくつもあったが、いかんせん時代が違い過ぎて笑えない。核兵器の危機は今もあるが、ソ連はないし水爆も使われそうにない。>>続きを読む

マジック(2017年製作の映画)

3.3

 ダンス・音楽、アクション、ロマンス、社会問題、あらゆる映画的要素がてんこ盛り。全部をお皿にぶちまける南インド料理ミールズと同じ、これぞタミール映画。インド映画はどれもそうだが、パワフルで観ると元気に>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー(2000年製作の映画)

5.0

始めのうちは話がさっぱり分からず眠かった。しかし映像は終始緊張感を漂わせ(この緊張感はどこから来るのだろう。モンタージュなど存在しないのに)、話も分からなさを含みながらもわかってきて、緊張感はどんどん>>続きを読む

吸血鬼(1932年製作の映画)

3.8

ドライヤーならではの光と影が見事。血糊も特殊メイクもないが怖い。鍵が回りドアが開いて…というだけで怖い。恐怖映画のテンプレート集といった感じだが、それが一つの雰囲気の中に包み込まれている。
 ただ、夢
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奇跡(1954年製作の映画)

5.0

 淡々とした感じで話はゆっくりと進む。いかにも演劇を原作にしているらしく場面も少なく会話が多い。だが光と陰の圧倒的な美しさに、冒頭からずっと退屈は感じない。ここに光がありここに影があるというのが、それ>>続きを読む

極北の怪異/極北のナヌーク(1922年製作の映画)

4.0

講演付きで鑑賞。1922年制作としては高い表現力があり、エンターテイメントとして楽しめる作品なのだが、いろいろやらせがある。

 出てくるのは本物の家族ではなく映画のために寄せ集められた人たち。妻役の
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シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

4.0

信仰と許しをテーマにした作品はヨーロッパならあるのだが、アジアでは珍しいと思う。キリスト教徒の多い韓国だから成り立つテーマか。宗教を「悪」として描いているわけではないが、そこに救いはない。優しいストー>>続きを読む

無法松の一生(1943年製作の映画)

4.5

名画とは聞いているがこんな古い作品面白いかなと思ったが、面白かった。話のテンポがいい。画面は4kリマスターで見やすい。社会の規範ではなく、自分の心に忠実に自由奔放に生きている松五郎。戦時下の圧迫されて>>続きを読む

世界が引き裂かれる時/クロンダイク(2022年製作の映画)

3.5

 ロシアのウクライナ侵攻後に付け刃的に作られた映画かと思っていたが、そうではなく侵攻直前に発表されたその後を予見するような作品だった。

 砲撃が家を壊し、航空機が墜落し、人が撃ち殺されていく世界。そ
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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

2.5

 発想は面白い。でも延々としゃべっているだけなので、眠かった。実際のフィルムを使っているとはいえ、ほとんど立っている場面ばかり。引用文は、元ネタがいつどんな状況で語られたものなのかわからないものが多く>>続きを読む

楽園の瑕(きず)(1994年製作の映画)

3.7

普通これだけのキャストを集めたら、わかりやすい万人受けする大作を作るだろうが、これは全然違う。
砂嵐がかかったような美しい映像のなかで、超絶イケメン剣士たちをめでる作品。
金庸ファンの私は楽しめたが、
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響け!情熱のムリダンガム(2018年製作の映画)

4.0

インド映画に外れなし、で面白かった。音楽だけでなく映像もストーリー展開もリズミカルな青春映画。

楽しいエンタメでありながら、現代インドにおける身分差別も描かれている。「社会問題も入れた」という扱いで
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EO イーオー(2022年製作の映画)

5.0

ロバが主人公だが、しゃべるわけではないし、表情は読み取れないし、尻尾で表現したりもしない。人間目線ではないところがいい。
EOの運命は過酷なようでもあり、幸運なようでもあり、おまぬけであったりもする。
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

もう滅茶苦茶な展開。そういう意味では面白い。しかし本筋は、人生の様々な分岐での選択を悔い、あったかもしれない人生を思い、最後には今の人生の地味な愛と幸せをかみしめるという、古くからある王道パターン。そ>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライブ 2023 「るつぼ」(2023年製作の映画)

4.5

終始緊迫感があった。赤狩り時代の原作だが、宗教的不寛容の現代にもそのまま当てはまる。そうした時代性とともに、人間の普遍的闇も描かれていた。誤りを犯し、隠ぺいしようとし、保身を図り、共同体からの排除を恐>>続きを読む

ノベンバー(2017年製作の映画)

4.5

前半はわけがわからず寝落ちしかけたが、後半この世界が理解でききて、登場人物の思い(主に恋愛)がわかるようになってくると、がぜん面白くなる。特に雪だるまが現れてからが、じんとくる展開だった。「映像美」が>>続きを読む

ハニーランド 永遠の谷(2019年製作の映画)

4.0

なかなか興味深く観れる話ではあるが、展開がドキュメンタリとは思えないできすぎぶり。後半の話の流れはあまりに予定調和的で、「こうなるだろうな」「そうなるよな」という感じで深いものを感じるほどにはのめり込>>続きを読む

狼と羊(2016年製作の映画)

4.0

アフガニスタンの映画。前半は山間の村で暮らす人々の生活を淡々と描く。映画の中心は、羊を飼う子どもたち。このあたり、山の暮らしの描写に魅力はあっても、寝落ちは避けられない。

後半はいくつもの出来事が起
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白い豹の影(1984年製作の映画)

5.0

 ソ連時代のキルギスで撮られた映画だが、凄い。映画史上でも屈指の過酷な冬の暮らしと、美しい夏。崖登り、雪崩、狩りといったスペクタクルな場面。

 伝統的生活の記録としても興味深いが、一方で女性の地位や
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.0

いかにもケルト的な緑と湿気の風景と、中世初期の昼も暗い建物の雰囲気が美しい。はまると心地よい。旅によって肉体的にも精神的にも成長しない主人公というのは、独特。物語自体はゆっくりした展開で幾分退屈ではあ>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.0

恐怖物ではない。かといってほのぼのとしているわけでもない。荒涼としたアイスランドの牧羊地に、ある出来事がポンと置かれている、そんな感じの作品。

一年中霧か吹雪に覆われていて、見渡す限りほかの人間もい
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RRR(2022年製作の映画)

4.5

3時間の全編が面白さの塊。映像と音と動きという、映画ならではのエンターテイメントに満ちている。

大衆の抵抗運動と武装という政治的に深い問題に触れながら、それどうなっちゃったのとか、主人公たち不死身す
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マタインディオス、聖なる村(2018年製作の映画)

-

ペルーの山村に暮らすインディオの、祭りをめぐる姿が淡々と描かれている。

説明もほとんどなく、よくわからない行動や意味不明な会話があるだけ。この描写を退屈と感じるか、心地よいと感じるかは全くの好み。私
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水俣曼荼羅(2020年製作の映画)

4.8

6時間の長編だが全く退屈しない。

「ゆきゆきて、神軍」は奥崎のキャラに依っているところも大きいのだが、こちらの登場人物たちは常識人。だがじっくり向き合っていくと、底知れぬ面白さがひとりひとりにあるこ
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灼熱の魂 デジタル・リマスター版(2010年製作の映画)

4.5

悲痛な物語だが、あくまで運命に抗って生きていく母親の姿が、物語を悲惨なだけのものにはしていない。子どもたちも、何が待っていようが真実から逃げない。ギリシア神話を彷彿させる物語が、現代史のなかで描かれる>>続きを読む

チロンヌㇷ゚カムイ イオマンテ(2021年製作の映画)

5.0

1986年に撮影されたキタキツネ送りの儀式の一部始終。見ごたえがあった。アイヌの世界観というのが、完全に理解できるというわけではなくてもじわっと浸みてくる。アイヌの伝統文化から何かを学べるというよりも>>続きを読む

ザ・レッド・チャペル(2009年製作の映画)

3.0

「北朝鮮の奥をのぞき見した衝撃作」とあるが、そういうものとして観るとすごく物足りない。この作品の面白さは、笑顔がどこまで演技で、どこからは心が通じ合ったものなのかが、最後まで分からないところにあると思>>続きを読む

王女メディア(1969年製作の映画)

5.0

メディアの嫉妬と復讐の物語だと思っていたが、この映画は違う。これは古代からの生贄や魔術が力を持つバルバロイの世界と、文明化したコリントスとの対立の物語だと思う。イアーソーンとの出奔によって古いアイデン>>続きを読む

テオレマ(1968年製作の映画)

4.5

家中の老若男女がひとりの男に魅せられ、変容するという物語。全員が、というのは無理な設定になりがちと思うが、そうならないのはテレンス・スタンプという俳優の存在だ。彼のほかにも群衆に至るまで登場人物の演技>>続きを読む

懺悔(1984年製作の映画)

4.0

始めのうちは、ユーモラスでわけのわからないような展開で進む。次第にシュールな場面は登場人物の心のイメージとして捉えればいいのだということがわかってくると、俄然わかりやすくなる。と同時に物語はシリアスに>>続きを読む

放浪の画家 ピロスマニ(1969年製作の映画)

4.5

映像がピロスマニの絵にそっくり。表面的にそっくりなだけではなく、もっと深いところでそっくり。よくわからないところもあるのだが、彼には世界はこう見えていたのだろうというのが伝わってくる。ひたすら絵を描く>>続きを読む

海を待ちながら(2012年製作の映画)

5.0

タジキスタンのフドイナザーロフ監督作品。

アラル海のほとりの、海が干上がってしまい砂漠化した町を舞台にした作品だが、環境問題がテーマではない。海で生きていた人々は砂漠でも、悪事を働いたり、恩に報いた
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ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)

5.0

シリアスな作品として作ることもできる内容だが、登場人物も部屋もみんな少しずつ変で笑える場面がいっぱいあった。そのため楽しくてポジティブな気持ちになれる。子ども部屋おばさんみたいだった主人公の賢さと性根>>続きを読む

世紀の光(2006年製作の映画)

3.0

 透明な光が美しいが、取り立ててストーリーはなく、特に大きなエピソードもない。輪廻というよりパラレルワールドのように感じた。前半後半の対比は後者が無機質で疎外されている世界のようではあるが、後者の霧も>>続きを読む

タルロ(2015年製作の映画)

5.0

白黒で動きの少ない場面が多いのに、面白い。現代チベットの牧畜民の陥る悲劇的状況を、ギリギリ政治性を回避しながら描いている。と同時に、普遍的な人間の孤独や民族的アイデンティティへの問いでもあり、深く感動>>続きを読む

ニノチカ(1939年製作の映画)

3.5

グレタ・ガルボの美貌を拝むだけの作品かと思っていたが、面白い。ソ連のことを少しでも知っている人なら、笑いが止まらないだろう。恋愛話はまあ普通。「トゥーランドット」のピン・ポン・パンを思わせる三人の外交>>続きを読む

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