daitenさんの映画レビュー・感想・評価

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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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眠りにつくと見る夢。モノクロームの淡い光は、男が胸に秘める深い闇を照らす。過ぎた日々は決して戻らないと知っている。だから、夜が明け目覚めたら、きょうという日をまず生きる。昨日の繰り返しに見えて、まった>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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見つめるということ。見つめた人を想うということ。暮らしは貧しく、心は戦争でかき乱される日々。ふとした出会いがゆっくりとふたりを変えていく。光と影は柔らかくフィルムに記録され、音楽はここぞという場面で気>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

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バランスを崩して歩く。背負いきれない闇を抱え、それでも先へと進む。自分を捨てなければ、自分を生きることができなかった市子。誰にも理解されない葛藤に苦しみ、涙する姿が強く胸に刺さる。愛なんて所詮はキレイ>>続きを読む

赫い髪の女(1979年製作の映画)

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ひとはどこかしら欠けている。だから頼れる相手を求めている。いったん出逢ったら、ひたすら抱きしめたい。くちづけしたい。濡れて、勃って、挿れたい、イカされたい。身も心もつながりたい。その時だけ苦しみから逃>>続きを読む

花腐し(2023年製作の映画)

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出逢ってしまった。ひどいことをした。鮮明に思い出す何者でもなかったあの頃。生と性は重なり情動が互いを焦がす。果てては死に、生き還ったあの頃。やまない雨の饐えた匂いが心揺さぶる。大切にすればよかった。優>>続きを読む

焼け石に水(2000年製作の映画)

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愛とは支配すること。不機嫌と囁きを使い分け、青年を思い通りに操る中年男が憎々しい。青年の恋人と中年男の古い女(元は男)もまた、クモの巣に絡めとられる。こうなったら全員ベッドへ集合だ!セックスと駆け引き>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

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映画の帰り道。目の前に座る見知らぬ人を見て思う。その眼に世界はどう映っているのだろうか。異星人のような孤独を感じているのだろうか。本能と社会の規範の間で、追い詰められているのだろうか。一見理解しがたい>>続きを読む

五番町夕霧楼(1963年製作の映画)

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寒村の口減らしで廓に売られた娘。奥底には、愛する男への強い思慕が秘められている。そのことに気づいてから、映画の世界にぐっと引き込まれた。故郷の丘に咲く百日紅のイマージュ。たとえ何があっても、あなたを信>>続きを読む

おはん(1984年製作の映画)

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本妻なのに、愛人のごとく密会を続ける女。愛人なのに、本妻のごとく男を養う女。口だけが達者な軟弱男をめぐる倒錯した物語。秘めた情事に感じるところはあれど、焦がれるほどの愛や官能はなく、浄瑠璃と絡めたフォ>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

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痛みはいつも理不尽だ。痛みに理由なんてない。そう叫びながら、いつしか理由を問い詰めてしまう。自分を刺し、家族に刃を向ける剥き出しの苦しみ。そんな八方塞がりのなかでも、寄り添う人がいる。痛みを抱きしめて>>続きを読む

天使のはらわた 赤い教室(1979年製作の映画)

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女と男はどうしてこうもすれ違うのだろう。男は、一瞬の輝きを永遠の恋と思い込む。女は、過ぎ去った一瞬が戻ることはないと知っている。どんなに絡みあい、裸を晒しても、本当に求めていた人とは終ぞつながれなかっ>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

5.0

こころの暗渠にゆっくりと沈んでいく。そこには誰にも言えなかったこと、本当は聞いてほしかったことが池の水のように湛えている。ようやく口にできた、けど手遅れかもしれない。それでも私はあなたの話を聞く。私は>>続きを読む

スケバン刑事(1987年製作の映画)

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少女の義憤と特攻で、世界は救えるだろうか。自ら考えることを奪う“楯の会“のような孤島の学校。使うたびに自らの骨を砕く重合金のヨーヨーだけで囚われの学生を解放しようとするセンチメンタリズムに感じ入る。敵>>続きを読む

野獣の青春(1963年製作の映画)

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復讐に燃えるジョー。全身から獣の臭いが湧き立つ。二重スパイとして泳ぐのは、“表と裏”が常に入れ替わる世界。都会は異界、リアルはファニー、愛情は憎悪。何が本当か、もはや意味さえなさないハードボイルド。泳>>続きを読む

春に散る(2023年製作の映画)

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型にはまったキャラクターも、結末が見える物語も、血と汗の殴り合いでねじ伏せる。睥睨する眼差しには狂気が宿り、ボクシングシーンの熱量は高い。ただ、人々は孤立して交わらず、例えれば違う星に住んでいるように>>続きを読む

夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく(2023年製作の映画)

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正しい呼吸を忘れた彼女。その姿がもどかしい彼。青と茜。黄昏時はふたつの色がつながるマジックアワー。手をつなぎ、駆けまわり、ふたりは互いを補うことで自分を取り戻そうとする。柔らかい色彩と澄んだ音色が、見>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

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大事なことには顔を背ける。そのくせ、いつも耳をそばだてている。いつ責められるかと恐れている。平穏なふりをして、その実こころは泡立つ日常。リビングで発せられる言葉は交わらず、鬱憤は容赦なく夫婦を追い詰め>>続きを読む

ナースコール(1993年製作の映画)

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「白衣の天使」を期待されていた頃のナース。看護チームの仕事が丁寧に描かれる。いつか辞めると思っているから、気負わずに患者と向き合える。薬師丸ひろ子の勝ち気な姿は夜勤によく似合う。医師と看護婦、がんと言>>続きを読む

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

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親と子は違う時間を生きている。母のなかの女には手出しできず、子の悩みも届かない。出会いより別れが多い年ごろ。それでも、子には帰る家があり母には迎える家がある。登場人物に自分と母を重ね、来し方行く末を思>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

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心地よい距離感、気持ちのいい関係。自意識過剰の女子高生と、残り時間を数える老女。無理にわかり合おうとするのではなく、相手を通じて自分の感性の根っこを確かめる。何気ない日々が楽しくも愛おしい。こういう出>>続きを読む

女の橋(1961年製作の映画)

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どうして私をいじめるの。胸の内でいくら叫んでも、紳士の皮を被った女たらしには届かない。先はないと判っていても、温もりに触れたら求めてしまう。どうしようもなく燃え上がる感情。強い力によろめく女の表情が、>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

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大都市の夜。話せば話すほど関係は空回りし、饒舌な言葉が相手も自分も傷つける。女と男を立ち竦ませる夜の闇。ふと自分に向き合うと聞こえる、か細く震える心の声。そんな声には従いたくない。でも、この夜が明けた>>続きを読む

河口(1961年製作の映画)

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勝ち気で幼い、あだっぽい魅力を放つ女。性はあっても愛はない関係に絡まりながら前へ進む姿は、気高く、可愛らしい。実業に身を入れろと説く男との奇妙な関係が、少しずつ女の成長を促す。流れ着いた、美とカネは等>>続きを読む

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