六四二さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

六四二

六四二

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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.0

敬意を払うべき映画の一本なのは間違いない。
サイレント(素晴らしい劇伴は付く)でありながら驚嘆すべき表現力を持つ。そして考えさせられる。宗教がしばしば人類の厄介者になっているのではないかといこと。そし
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ガッジョ・ディーロ デジタルリマスター版(1997年製作の映画)

4.0

踊りたくて身体が揺れてくる。
インドのテイストも感じるしアラブのようでも、カチャーシーのようでもあるジプシー音楽。今はロマという。
この流浪の民は土着の人達に嫌われることが多いようで、この映画の中でも
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.5

ライカートは二人の男の配役を彼らの美声で決めたのではないか。クッキーと中国人、ともに穏やかで心地の良い話し方をする。その声のトーンが象徴するように概ね穏やかな映画である。穏やかに流れていく時間の中に見>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

ひとりで暮らす初老の男(初老というのがピッタリくる)。早朝、公衆トイレ清掃の仕事に出かけるためにアパートの玄関を出て、習慣のようににっこりと空を仰ぐ。孤独で寡黙であるにしても、この男の心は豊かなのだ。>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.6

舞台となるオレゴンのポートランドがアートの盛んな場所だということを知るのも映画を見る楽しみの一つになる。
芸術家といわれると、私は無条件に一目置いてしまう。しかしこの映画では陶彫家である主人公を、町の
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王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

3.3

非常な戸惑いを持って一応は最後まで集中して見た。これは、役者の仕事がどんなものであるか、映画を見る観衆に教えてくれる教材だ。比喩ではなく文字どうりの意味でそうだ。
ちゃんとそれをやる為にちゃんとした繊
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.5

コトの発端となる、序章のドタバタがたいへん好きだ。この不謹慎、悪趣味なスプラッタコメディ?を大騒ぎの大喜びでやるスタッフ達、俳優達の姿が目に浮かぶ。

香港の流れ者たち(2021年製作の映画)

3.6

以前はあまり魅力を感じなかった香港が今は行ってみたいと思うようになった。それはいろんな映画で香港を見ることの影響が大きい。高層ビルとネオン煌びやかな繁華街の裏に存在する影、スラム。中国の映画でヤク中の>>続きを読む

Daughter (ドーター)(2023年製作の映画)

3.5

菅野監督の映像と音楽のセンスが際立つ。
全編を見ると少し過ぎるかと感じてしまう。だが、チェロの音色や飛行機雲のショットに引き寄せられたクチだ。
人の死後もその意識は消滅せず集まる場所が存在する。それを
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

3.9

グルメ映画というジャンルがあるのか知らないがおそらく新境地を行っている。まあ、ジャンル映画と呼ぶのは違う気がする。ジャンルに収まるような規格ものではない。
登場する何皿もの目の潰れそうな料理のショット
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ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.7

ディズニーの周年にふさわしい祝祭ムード満点のアニメーション映画だ。エンドロールのフォントに至るまでの全てが上質で見飽きることがない。楽曲においては「星に願いを」とは全く性格の異なる掴み取る系の「この願>>続きを読む

スリ・アシィ(2022年製作の映画)

2.4

ムエタイシーンは生き生きとして良かったのに、その後マーベル映画みたいになると何もかも見劣りして見えてしまう。キャストはいいし方向性を変えればいくらでも面白くなりそうに思われるが、どうしてもマーベルをや>>続きを読む

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.7

この映画は表に現れない制作プロセスにおいて大きな意味があるという。
自然な表現による作品を制作するとき、プロではない人をキャスティングする。見るものの心を動かすような作為的でない演技を求め、何かを仕掛
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浮き雲(1996年製作の映画)

3.3

困難に遭いながらも懸命に生きようとする労働者たちへの応援歌的作品だ。ダメな奴は出てきても嫌な奴は出てこない。気持ちを前向きにしてくれる良作だ。

白い花びら(1998年製作の映画)

3.0

モノクロサイレント映画の手法をわざわざ使って撮った意味が私にはよく分からない。主題をデフォルメすることで送り手の意図を間違い無く受け手に伝えるには良いだろうが、映像表現の溢れる今にあってはどうだろう。>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.7

2023年においてこのような古風な映画が制作され、そして高く評価されていることに驚く。いい大人が、それも北欧の互いに気のある男女が握手とチュウでキメる抑制加減がとてもいい。ひと回りして原点回帰したよう>>続きを読む

The Goldman Case/ゴールドマン裁判(2023年製作の映画)

3.6

フランスの法廷が現在でもこのような演劇的空間なら小っ恥ずかしい。大げさな修辞の弁舌が西洋の伝統なのかずいぶんコッテリとしたものだ。
映画の手法はあっさりとしている。基本的に法廷内の発言のみで構成される
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黄色い繭の殻の中(2023年製作の映画)

4.2

ベトナムの地方を舞台としたこの作品はスローフィルムの心地よさの極みだ。東南アジアの幽玄をスクリーンに映して見せ、音で空気を伝える。どこか溝口映画を見ているようでもある。
きっちりストーリーを紡ぐなんて
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(2023年製作の映画)

3.6

たけしの全盛期を知る者に通用する魔法が、40年経ってそれを知らない層がどう見るか?追従する浅野や大森が背中で笑ってくれるベタなギャグを、20代の歴女ならまじめにやれ!と一喝するだろう。だから、我々のよ>>続きを読む

ゆれる(2006年製作の映画)

5.0

劇場で見たことで、これまで感じ取れていなかったたくさんの気付きを得た。周到に練られた撮影や脚本に仕込まれた二重三重の企みを、発見する度にグッジョブ!と呟く。
しかし、西川氏はいかにして中年に差し掛かる
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蟻の王(2022年製作の映画)

3.6

控えめな作品という印象だが、アルドの鋭く強い言葉が心に残る。そして偏見の無い目で真実を汲み取り、自らの信念に従ってアルドの支援に回るヤサグレ記者のエンニオが静かに熱い。
エットレの母親の印象がどうして
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ナポレオン(2023年製作の映画)

4.2

日本に住むものにとって非日常の極みである戦場を、非情なリアリティを持ってスクリーンに現してみせる。銃弾の雨にバタバタと斃れながらも銃剣を付けて突撃する歩兵の決死の進軍。人に向かって放たれる砲弾の恐怖。>>続きを読む

怪物の木こり(2023年製作の映画)

3.4

面白かったが想像していたものとは違った。
サイコ同士のガチバトル三番勝負くらいがいいのになーと思う。タイトルが秀逸だったので期待してしまった。

エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)

3.3

正直なところブスッとして見ていた。
ところが、出ているのを知らなかったエレンバースティンが登場するくだりでカチッとスイッチが入り、そして泣きそうになる。なんと偉大な第一作だろうか。50年の時を経てなお
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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

4.2

パワーアップしている!
見落とした小ネタを拾うために再鑑賞したいほどだ。最近で一番楽しませてくれた映画なのは間違いない。配信で前作を見てから臨んだ方がいい。
しかし、私はなぜ笑いながら泣いているのだ

バッファロー’66(1998年製作の映画)

4.0

タイトルのことは、バッファロー(猛牛)’79や、タイガー(虎)’85 くらいのニュアンスだろうか。
物語はバッファローのフットボールチームがチャンピオンになった66年でなく、主人公ビリーがムショを出て
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コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)

3.4

このぬるい映画は自分が好んでよく観ているテレ東深夜ドラマみたいだ。作者の願望が描き出すアパートの住人たちはことごとく幸福そうに見える。ユリは常に猫を抱いて、ヒマを持て余すスウェパンの貴婦人のようだ。>>続きを読む

インファナル・アフェアII 無間序曲 4K(2003年製作の映画)

4.7

Ⅱで物語は香港クライムサーガの様相を帯び、大河のごとき格調を醸し出す。見るのが二度目であっても驚かされる脚本は見事過ぎる。本作ではアンディラウもトニーレオンも出演していないのに「役者が揃った」感の強さ>>続きを読む

インファナル・アフェアIII 終極無間 4K(2003年製作の映画)

4.1

ジャンルはサイコサスペンスへと移行し、男が新たに登場する。ヤン、ウォン、サムらのファンへのサービスは抜かりなく、まだ生きて存在するかのように画面に出てくる。
完結しないで欲しいと駄々をこねたい人は私以
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攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間(2023年製作の映画)

4.5

大スクリーンと音のいい施設で見るべし!
今回モトコより、グリコが主役と言っていいだろう。前作を見ているに越したことはないが、画像の力がすごいので十分に楽しいはずだ。
CG版の違和感が無くなった

極限境界線 救出までの18日間(2020年製作の映画)

3.6

タイムリーというべきか、武装集団に拉致され、その後救出された日本人男性の現在を追うドキュメントがNHKで放映された。不幸にも殺害された事件もあった。その時のニュースを見てホッとしたりショックを受けた記>>続きを読む

パリ、テキサス 2K レストア版(1984年製作の映画)

4.3

ライクーダのサントラが本作との出会いで、カセットテープかMDに入れて聞いていた。このたびはじめて映画を見てバグダッドカフェとの類似点を強く感じた。ドイツの人はアメリカの荒地に興味を持つのだろうか。
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ドミノ(2023年製作の映画)

3.5

面白かったのに、雑なくらい性急にお話が畳まれてしまった。映画一本に収めるよりはドラマにしてじっくり描くのが良さそうだが、そんな時代ではないのかな
自分以外にもうひとり見ていたはずだが、明るくなって振り
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ポエトリー アグネスの詩 4K レストア(2010年製作の映画)

3.9

邦題の補助線がなければ、うっかりと流してしまうところだった愚かな自分である
もう一度見れば見えかたが変わってきそうな作品である
イチャンドンの世界は深い

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.4

私の見ていた鬼太郎とは、まるっきり別物だ
ファンの層が厚すぎてどこを狙えばよいかわからなかったろう。
搾りかすのようになったユーレイ族や、醜くなってしまったゲゲゲの女房などで水木しげるの絵とわかるくら
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PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ(2022年製作の映画)

3.4

ほとんど日本語セリフによる韓国映画
難度の高いチャレンジをよくやったと思うが、であれば日本人俳優を使ったほうが良かったのではと思ってしまう。
好きな俳優達が見れていいんだけど。
みんな、日本を嫌いにな
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